infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来 作:伊勢村誠三
ゼロワンA(遺影)「」
ゼロワンB(遺影)「」
ゼロワンC(遺影)「」
ゼロワンD(遺影)「」
ゼロワンE(遺影)「」
ゼロワンF(遺影)「」
心愛「英文字ふってないと誰が誰だかわかんないね。」
サード『我々と違い量産機ですから。」
心愛「てことはいつかこの後大量に空を覆い尽くす勢いでゼロワンの群れが」
ケイタ「やめろ!演技でもない事言うんじゃねえ!それではどうぞ!」
(OP Alive A life 仮面ライダー龍騎)
1
目覚まし時計のアラームに叩き起こされ、
簪はカーテンを開けた。
いつもは多少は自分の気分を前向きにさせてくれる太陽も今日に限っては自分を責め立ててる様に感じる。
兎に角、陰鬱な気分だ。
枕元にあったケータイを見る。
ロック画面には山の様なロランツィーネからの不在着信があったことが表示されている。
「何やってんだか。」
かなり不純な動機とはいえ心から心配してくれる人間を無視していつまでもベッドでぐだぐだしている自分が嫌になった。
「…………本音。」
もうこの世にはいない、生まれた時から近くに居た親友の名を呼ぶ。
ふと、たまたま昨日聞いてしまったケイタと蓮の会話がフラッシュバックした。
2
なんとか鈴音と共にゼロワンを倒した簪はベンタラを経由して地球に戻った。
さっき一夏の黒いケータイが言っていたことが本当なら今は学校中の監視カメラが使い物になってない筈だ。
思い切りカメラの真ん前に飛び出たが特に問題はない。
「よっと。たく、ここんとこ休む暇なしだな。」
「トラブルには事欠かない一年になりそうだ。」
反対側の廊下の窓からケイタと蓮が飛び出して来た。
さっき少しだけ見たが、自分より上手く立ち回れていた様であまり疲れているようではない。
「そうゆう事言うなよ蓮。俺は別にそこそこでいいんだから。」
「アドベントデッキやフォンブレイバーなんて持ち歩きながら、なんなら世界にたった3人しかいないIS男性操縦者のお前がよく言うな。
諦めろ。あの
「クラスメイトの身内をこき下ろすなよ。」
そんな事を言いながらこちらの方に歩いてくる。
簪からも向かった。お互いの姿が見えた所で蓮のスマートフォンが鳴る。
島谷ひとみのDitaだ。
蓮のただでさえ怖い目付きが明らかに殺意を孕んだ物になり、
眉間にそれはそれは深いシワが刻まれる。
「失礼。もしもし?」
声色だけはいつも通りなのが余計に怖かった。
反対側の声はよく聞こえないが若い女性の様だ。
「…………じゃあ悪いニュースから。
………………いや知りませんよ。
てか何ドイツ軍に喧嘩売ってるんですか?
御礼参りと上からのお叱りがダブルで来ますよ?
…は?もう来てる?ふざけないで下さいよなんで関与してない事で怒られに帰んなきゃいけないんですか?
大人しくハリエットやアンドリュー達と怒られて下さい。
…………子供じゃないんですから。
ワガママ言わずに大人しくボーナスカットを甘んじて受け入れろ淫乱バイ女。切るぞ?………わかりゃいいんですよ。で、最悪なニュースって?」
しばらく黙って半分呆れ顔で聞いていた蓮だったが、
たちまちその表情が真剣そのものになる。
「なんであんたが知ってるのかとか色々言いたいことはありますけど、了解しました。
それの下手人、心当たりあります。
ええ、任しといてください。賞与七倍は忘れてませんから。」
通話を切ると蓮は小さな声で告げた
「更識、落ち着いて聞いてくれ。」
「え?うん。」
「どうしたんだよ蓮?さっきまでのアレが嘘みたいだぜ?」
「うるせえさっさと本題に入るぞ。単刀直入に言う。
布仏本音が殺された。」
「………………………え?」
「蓮、冗談でも怒るぞ?」
「ジョークに聞こえたか?」
3人の間に嫌な沈黙が流れる。
しかし直ぐに蓮は口を開いた。
「死亡推定時刻は深夜一時半から二時の間死因は発狂死。
常駐してた7人の女権が子飼いにしてた武装警官もだいたい同じぐらいの時間に殺害されていた。」
「いや、待って秋山君。発狂って?」
「恐らく薬物毒による疾患だと思われるキノコ状の吹き出物が全身に目以外隈無く出来ていたからそれに耐えきれなくてだろうな。
7人の武装警官のうち2人も同じ死に方をしてた。」
「……………………。」
「簪さん大丈夫?顔、真っ青だ。」
「いや、平気。早く本音を迎えに行かないと。」
霊柩車。と言いながらケータイを取り出す簪。
「必要ない。死体はもう骨カスも残さず燃やされた。」
「ッッッッ!それは、それは本音がドーパントだから!?」
簪が蓮の胸ぐらを掴む。
その顔には今まで見たことの無い憎悪の表情が貼りついている。
「伝染病が蔓延する恐れがあったからだ。
同じ毒に殺られたと思われる2人についても同じ対応がなされた。」
女権どもの話が正しけりゃな。と付け足し蓮は続けた。
「残りの5人はある意味先に言った3人より酷い。
うち1人は心臓をドリル状の剣のような物で貫かれたまま壁に固定された事による失血性ショック。
次の1人は頭を物凄い力で両側から鷲掴みにされて潰されて、
最後の1人は顔面を蹴り壊された事による窒息で死んでた。
これは俺の個人的な見解だが、こんな残虐かつ、
相手の心を抉るような手口を好む奴は、否仮面契約者は1人しかいない。」
「紫の、コブラのライダー!」
「仮面ライダーストライク。それが奴の名だ。」
「あいつが…………。」
一気に簪の心は死の恐怖に支配された。
今でもたまに夢に見る光景が、高らかに笑いながらドリル状の突撃剣を何度も自分に振り下ろす姿が脳裏に浮かぶ。
「おい、平気か?顔色悪いぞ?」
「………大丈夫。また。」
「おい更識!」
「簪さん!」
2人の制止の声を無視して簪は走った。
どこにでもいいから逃げたい。
前も見ないでがむしゃらに走った角のところから出てきた人にぶつかった。
「う、イタタ。すまない前をよく見ていなか、、簪じゃないか!」
「………ロランツィーネ。」
「ロランでいい。愛しい蕾よ。
どうしたんだい?悲しい事があったと見えるが?」
「関係ない。」
「関係なくはないさ、君から見てどうかは知らないが私はこれでも反省してるんだ。」
「……反省?」
「あぁ、君と初めて会った夜。
自分を抑えられずにスキンシップには激しすぎる行いをしてしまった。
警戒されるのも当然だ。
だが私だって誰彼構わずやるわけじゃ無い。
本気だ。だが、最後に君に選ばれなくとも本気で心配ぐらいする権利はあるさ。」
「………………ロラン。ごめん。」
3
それからずっと夕飯も食べずに部屋に篭っていたのだった。
相部屋だった本音はもういない為、
ルームメイトに迷惑はかからないのが唯一マシな事だ。
(いや、私だけ落ち込んでる訳にはいかない。
本音のお姉さん。虚さんなんかきっと私より辛いんだ。)
このままグダグダしてたって余計にネガティヴに考えるだけだ。
シャワーでも浴びよう。
そう思って昨日から着っぱなしだった制服を脱ぎ捨て一糸まとわぬ姿になるとシャワー室に入った。メガネを外して鏡を見る。
本当に酷い時は目の形以外ほぼ姉と同じこの顔にさえ嫌悪したが、
今はそうでもない。
「若様が美人なんじゃなくてお嬢が美人なんですよ。」
不意に石橋健に、もしかしたら自分の初恋かもしれない少年に昔言われた事を思い出した。
あの頃は家同士の関係で話しかけてきてるだけだと思って彼だけじゃなく本音や芝浦淳も拒絶していた。
(その後お世話は要らないって言ったら怒られたっけ?)
自然と笑みがこぼれた。あの頃の様に4人では集まれない。
けど、本音にガイアメモリを渡して狂わせた敵を倒すことは出来る。
(ゼイビアックスだろうと、ストライクだろうと!)
さっとシャワーを浴びてパン!と自分の頬を張る。
大丈夫。私は前を向く。
手早く着替えると学校の準備を始めた。
カバンに教科書やIS組み立てにいつも使ってるノートPCを突っ込み、最後にポストを確認する。
(なんかある?瓶?)
椿油だった。付いてた髪には『親愛なる簪へ。ロランより。』とオランダ語で書かれている。
「……………ありがとロラン。」
一夏辺りに使い方を教えてもらおう。
昨日と打って変わって思わず鼻歌でも歌いたくなる様な気分で簪は出かけた。
4
結局クラス代表トーナメントはどうなったかと言うと学園側が量産型01そのものを隠蔽したり、セキュリティシステムを見直したりする都合上、一回戦のみが行われた。
量産型01襲撃については生徒と教師両方に箝口令がしかれ世間に明るみになることはなかった。
「納得できねー。」
「そう言うな。いざとなったらフォンブレイバーでセキュリティシステム全てを破壊して混乱を起こし、
それに乗じてISを盗みに来る輩を隠れ蓑に盗み出しゃいいさ。」
『やけに計画が具体的だ。』
『アキヤマならやりかねんな。』
『レン様。くれぐれも実行なさらないでください。』
「前から思ってたけどレンって常識人の皮かぶった超の付く中核派だよね?」
「チュウカクハって?」
「保登、お前は俺の心配より自分の社会科の成績を心配した方がいい。」
いつも通りそんな話をしながら4人は教室に入った。
「なんかいつもより皆ソワソワしてるな。」
「あんな騒ぎがあったから。って理由にしちゃ表情が明るいな。」
「転校生とか?」
「そりゃ確かにのほほんさん抜けちゃったけどこの時期に?」
すると間も無く真耶と千冬が入って来た。
真耶は教壇に立ち、千冬が後ろで腕を組んでいる。
「おはようございます皆さん。
えー、ほとんどの人は風の噂で聞いていると思いますが、
本日から転校生がやって来ます!」
騒めく教室。蓮だけは嫌な顔をしていた。
(どうせ男性操縦者のデータ目的の企業パイロットだろ?)
なんて諦めというか、冷めていた。
しかし入って来た2人の姿を見て驚いた。
1人は身長150センチ程の小柄な長い銀髪の女だ。
身体運びから軍属と分かる。左目は眼帯で隠れていて分からないが赤い右目は射る様に鋭い。
しかし彼女より強烈だったのがもう1人だ。
制服改造がアバンギャルドだとか、
顔が凄まじくブサイクとかそういった理由などでは全くなく、ただ一点。
「男?」
「では、簡単な自己紹介を。」
「はい。フランスから来ました。シャルル・デュノアです。」
来るな。そう思った蓮は同じ轍は踏まないと耳を塞ぐ。
「きゃあああああああああああ!」
「男子!4人目の男子よ!」
「素敵!まさにブロンドの王子様だわ!」
「今年の夏は網シャルで決まりよ!」
「何言ってるのよ!シャル網よシャル網!」
「馬鹿ね!秋網こそ原点にして頂点!」
「俺はバイでもゲイでも無い!」
意外と多かった腐った奴らに怒鳴る蓮。
一方ケイタとシャルルは何を言ってるか分からない様でポカーン。としてしまっている。
「静かに!もう1人は終わってないぞ!」
千冬の一括で教室は水どころか氷を投げ込んだ様に静まり返った。
「ボーデヴィッヒ。自己紹介を。」
「はい教官。」
教官。とラウラは千冬のことを呼んだ。
第2回モンド・グロッソ一夏が誘拐された時にドイツ軍が千冬に一夏の居場所を教えその見返りとして一年間程ISの教官をさせていたという話は本当らしい。
「ドイツ軍シュヴァルツェ・ハーゼ所属。ラウラ・ボーデヴィッヒ。」
「………あの、それだけですか?」
「それだけです。」
「そ、そうですか。あ、一限目は第2アリーナでISの実習訓練ですので早く着替えて来てくださいね。」
真耶が言い終えると見計らったかの様にチャイムが鳴った。
一息つくと4人は立ち上がった。
「じゃ、俺たちの更衣室アリーナだから。」
「授業で会おう。」
そう言ってケイタと蓮は出ようとするが
「待て。レン・アキヤマ。」
ラウラが呼び止めた。
「なんだボーデヴィッヒ?長くなるなら場所を変えるぞ。」
「いや何、すぐ済む。ポリー・ナポリターノに伝えろ。
借りは耳を揃えて利子をつけて然るべき時に返す。とな。」
「………ああ。一字一句違わず伝えておいてやる。」
「それから網島ケイタ。」
「え?俺も?」
「貴様は、弱い。
私はお前の様な奴を見てると虫唾が走る。
向上心が無いなら周りがなんと言おうと早々にここから去ってあの無駄にデカイ風車の下で昼寝でもしてる事だ。」
「テメエ風都タワーを馬鹿にしたな眼帯チビ。」
「キレるとこそこかよ。」
「最後に織斑一夏。」
「え?私も?」
「ああ。むしろ貴様がメインだ。」
唐突にラウラは一夏の頬を思い切りビンタした。
「……え、えっと?」
「私は認めん。貴様やあの白式の男が教官の肉親など!」
ケイタ「というわけで作者が文化祭とソシャゲのイベントの所為でいつもの半分以下の今回でした。」
心愛「のほほんさんファンの皆様本当にごめんなさい!」
サード『にしても、ゼイビアックスもエグいことしますね。』
ケイタ「文才大したことないくせに殺し方だけ異様に凝ってるよな。」
心愛「次回は多分いつもと同じぐらいの長さで出すのでもうちょっと待ってて下さい!」
サード『次回、 Fake number Four その3!』
心愛「青春スイッチオン!」