infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「さて!前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!と行きたいところだけど、セブン。あそこにいる死んだ目の子誰?」

謎の幼女「…………はぁ。」

セブン『UMP45だ。作者が新しく書き始めた小説、「(ゲーム本編に)救済なんかあらへんで!絶対に笑ってはいけないグリフィン指揮官養成所24時」の参加者の1人だ。』

ケイタ「こんな小さな子が!?大変だね〜。」

UMP45「頭を撫でるな!子供扱いするな!」

セブン『全く。今回はボーデヴィッヒの視点からスタートだ。
さてさてどうなる?』

(OP 果てなき希望 仮面ライダー龍騎)


Fake number Four その3

1

ラウラ・ボーデヴィッヒは冷めていた。

IS学園、やはり破壊兵器であるISをアクセサリーと勘違いしてる奴らが多いようだ。

どいつもこいつも未だ到着しない男性操縦者に夢中なようだ。

 

(ふん。夢中になった所で付き合えるわけでも無かろうに。

色恋沙汰や愛なんかを持ち込む奴ほど弱い。

必要なのは向上心だけだ。

それだけが力を得る為に必要な感情。

それ以外の心などただの贅肉。

力こそが唯一無二の正義だ。)

 

力無いものは虐げられ力、ある者だけが美酒を味わう事を許される。

世界のルールだ。少なくともラウラは、否、ラウラ達はそうあれと育てられて来た。

なぜならラウラ達は「すいません遅れました!」

 

バタバタと走りながらケイタ、蓮、三春、シャルルの順にアリーナに入ってくる。

 

「遅い。2組との合同授業ゆえに遅れるなと言ったはずだ。

一応言い訳だけは聞いてやる。」

 

「野次馬を巻き損ねました。」

 

と三春。

 

「違います。兄の方の織斑が無理矢理デュノアの着替えを見ようとしたからです。」

 

一部の女子から黄色い悲鳴が上がる。

相変わらずシャルルはぽかん。としている。

 

「…………。アキヤマ、本当か?」

 

「嘘ついて俺に特はありません。」

 

「…………。ケイタ君。説明を。」

 

「多分三春は裸の付き合い的な意味で言ったんでしょうけど、ほら。蓮今朝のアレでちょっと神経質になってるみたいで。」

 

「そうか、いや、何。その……分かってくれるか?」

 

「はい。多分俺も一夏や可憐が鈴辺りと恋人繋ぎとかしてたら今みたいな反応しますんで。」

 

「なっ!い、い、い、一夏?」

 

「いや千冬姉泣きそうな顔でこっち見ないで!?

私にそっちの趣味ないよ!ないない!」

 

「織斑先生、ケイタのユーモアたっぷりの例え話ぐらいでシスコンとも親バカともつかない反応やめてくれますか?」

 

「え、えーいうるさい!

元はと言えばお前が誤解を招くような言い方をするのが悪いのだろう!

兎に角本日は初回の授業であるからまずは諸君らにどの程度のIS操縦を身につけてもらうか見てもらう!

オルコット、ファン。すぐに準備しろ。山田くん!」

 

千冬が右耳に付けたインカムを押しながら呼ぶ。

 

「あれ?山田くん?山田くん!」

 

しばらく経ったが返事がない様だ。

狼狽えながら何度か天井と生徒達を交互に見る。

 

「うわぁあああ!退いてください!皆さんんんんんん!」

 

右後方、誰も意識を向けていなかった方から叫び声が聞こえてきた。

専用機持ち全員がそれぞれのISを起動させ視覚補助をオンにする。

見えたのは量産型ISラファール・リヴァイブを鎧った真耶だ。

 

「なんで先生こっちに頭から突っ込んでくんの?」

 

「そりゃドジやって制御不能になったんだろ?」

 

サムライブレイド002を展開して柄の先に覇止を巻きつける。

 

「よしなら俺が!」

 

スラスターを展開して飛び出そうとする三春。

真耶を受け止めに行くつもりだろう。

 

「三春さん。悪い事は言いませんわ。

玉突き事故になりますわよ?」

 

「玉突き事故?」

 

三春がセシリアに気を取られた一瞬で蓮はサムライブレイドをカウボーイの縄投げの要領で投擲。

スラスターの一つに命中し、進度をずらす。

真耶は頭からアリーナの壁に激突した。

 

「痛たた、、すいません助かりましたアキヤマ君。

危うく皆さんをひき肉にする所でした。」

 

「オルコットと鳳には山田先生と戦ってもらう。」

 

「………。織斑先生?お言葉ですが、山田先生ですか?」

 

「私達どうしでなく?」

 

セシリアと鈴音の疑問はこの場にいる大半の人間の気持ちを代弁していた。

とてもじゃないが、生徒をついうっかりでひき肉にしかける人間がまともに想像できない。

 

「ふ、言ってろ。百聞は一見にしかずだ。」

 

そう言って何やらセシリアに耳打ちする千冬。

 

「鈴さん!わたくし達の超協力プレイ、

皆さんにとくと見ていただきましょう!」

 

「は、え?いや、私あんたと話すのも殆ど初めてなんだけど?」

 

「何を仰いますわたくしと鈴さんは親友でしょう?」

 

「あんた何言って「親友でしょ?」…………。いや、えっと。うん。」

 

鈴音を説得した?セシリアはスターライトmkⅢを、鈴音は双天牙月を展開して宙に浮く。

続いて真耶もショットガンを実体化させながら飛んだ。

 

「さて、デュノア。

初回の授業に遅刻したのに何もないのもなんだ。

今山田君の乗っているISについて解説しろ。」

 

「はい。あのISの名前は再誕の疾風(ラファール・リヴァイブ)

フランス、デュノア社が開発した第2世代型ISで、そのスペックは第3世代型初期に劣らなず現在配備されている量産ISの中では世界第3位のシェアを誇り、7カ国でライセンス生産され、12カ国で制式採用されています。

操縦しやすく汎用性が高いことそれにより操縦者を選ばないことと、多様性役割切り替えを両立していることがその理由です。

僕の専用機ラファール・リヴァイヴ・カスタムIIの原型で、大容量のパススロットを持つことから別名『飛翔する武器庫』の異名を持っています。」

 

「流石だな。遅刻の件は大目に見てやる。

今回だけだぞ?お、山田先生もそろそろか。」

 

千冬につられて空を仰ぐ一同。

シャルルの解説を聞いてる間にもう勝負は着きかけていた。

真耶の勝利で。理由はいくつかあるが、まずはISへの理解度。

セシリアと鈴音の自分のISへの理解度はそこまでではない。

せいぜい2、3年の付き合いだ。

しかし真耶はラファールが世に出た頃からラファールを使っておりその付き合いは実に六年ほどになる。

次にこれに伴う年季の差。そしてほぼ即席コンビのセシリアと鈴音はまるで連隊が取れていないこと。

さらに極め付けは、真耶は二人組の敵を潰すことに異様に長けていることだ。

可愛い花には毒があるとは言ったものだ。

セシリアと鈴音は土煙の柱を作りながら地面と再会した。

 

Awesome(すさまじいな)流石は元日本代表候補生。」

 

口笛を吹きながら呟く蓮。

 

「いやいや。所詮は代表候補生止まりですよ。」

 

「騙されませんよ?日本人は皆謙遜が過ぎるって知ってますから。

ほら、オルコット生きてるか?」

 

「うぅ、な、情けないところを見せてしまいましたわ。」

 

「相手が悪かったな。でもお前らもやるじゃないか。

山田先生の左足の見てみろ。」

 

蓮が指差したところを見ると深緑色の装甲の一部がはがれている。

 

「久しぶりのせいか少しながら不覚を取ったな。

さて、諸君!このように君達とIS学園の教師にはこれだけの差が有る。

しかし代表候補生達のように鍛えればそれに迫れる。

追い越すことも出来る。君達にはそこまで行ってもらう!

最終目標はそこだ!各班に分かれて訓練開始!」

 

今回はISの搭乗に関してだった。

量産機が七機用意され、それぞれに専用機持ちがアシストする形だ。

4番ゲートのすぐ下に位置する所に割り当てられたケイタはざっと周りを見回した。

 

(蓮の班は……セシリアさんと一緒にやってるのか。

まあまあスムーズに出来てるみたいだな。

鈴の所は、まあ普通か。

三春にデュノアのとこは、すげえ人気。

まあ2人とも顔良いしイケメン大正義ってやつか。

で、眼帯チビは………うわっ。凄え人気ない。

誰も近付こうとしてない。)

 

まあ、あんな視線だけで人を殺りそうな面してたら誰も近づかんわな。

蓮はあれ多分生まれつきだし。

と思考を辞めて集まった人たちを見る。

 

「えー、じゃ始めていきます。グラインダー出すんでそれを台にして乗ってくださーい。」

 

女子達は何やら俺ともっと密着できるんじゃないかとか期待してたみたいだが残念ながらケイタは効率を重視する人間。

気の利いたサプライズとかは特になく作業は恙無く進んでいった

 

「(時間的にも人数的にもそろそろ最後か)次の人!」

 

最後に来たのは丸メガネをかけた線の細い娘だ。

肌も白くなんだかロウソクみたいなイメージがある。

 

「じゃ、どうぞ。」

 

「………………ねぇ網島君。」

 

「何?」

 

「更衣室でさ、何があったの?」

 

「え?」

 

「さっき言ってたじゃない!

織斑君がデュノア君の身体を見ようとしたって!」

 

流石に何だ?と思いその子の顔を見ると目は血走り口は三日月型に釣り上がり息は荒い。

 

(こいつ腐ってやがる!)

 

IS学園に入ってからというもののそうゆう世界が身近になった気がする。

別に人の個性や趣味をどうこう言うつもりはないが自分がその対象にされることはあまり良い気分じゃない。

 

「多分あんたが期待してるような事はないよ?」

 

 

 

ー回想ー

 

ベンタラを経由して来たケイタと蓮はアリーナの男子トイレの鏡から地球に出た。

 

「今だけベンタラ様々だな。」

 

「俺なんか毎日だ。」

 

2人は入り口近くに誰もいない事を確認すると更衣室に向かった。

 

「アリーナ襲撃された後にしては警備がいつもと変わらない気が。」

 

「よくそこに気付いたな。

他の奴らは転校生に浮かれ放題だってのに。」

 

「ま、俺男興味ないし。」

 

「だろうな。」

 

「で、何で警備が強化されたりしない訳?」

 

「しないんじゃなくて出来ないんだ。

多分女権からの圧力でな。」

 

「何でさ?IS学園が狙われたんだぜ?

女権的にここやられたらマズイ所なんじゃないの?

亡国機業やSHADOW辺りの戦争屋とかこの気に乗じてIS強盗とかしそうじゃん?」

 

「だから襲撃そのものを箝口令まで使ってもみ消したんだ。

ISなんて物があるせいで感覚麻痺してるだろうが、

握り拳大の大きさの太陽電池が二足歩行ヒューマノイドに仮面ライダー級の機動力を出させられる訳ないだろ。」

 

「言われてみれば、そんなん作れそうなの篠ノ之博士ぐらいか。」

 

「ああ。難波重工や飛電インテリジェンスなんかが研究を続けてるらしいが実用段階じゃない。

投資企業のD&Pがなかなか慎重。ってのもあるが。

それと前にも言ったが女権の上層部は権利に取り憑かれている。

世界がひっくり返りでもしない限りISを超える存在を認めるなんてしないさ。

一度美味い汁吸った人間はそれに固執するって相場が決まってる。

個人的には亡国機業 やSHADOW辺りの戦争屋の差し金だろ。」

 

「なんつーか、まんま汚い大人の世界だな。」

 

そこで話は終わったがケイタは1人で考えた。

だとしたらあの量産型01をけしかけて来たのは誰、

あるいはどこの企業、組織だろう?

いくら篠ノ之束でも妹が死にかねないような事はしないだろうし、

自分が作ったISが兵器としての立場を無くすような事はそうそうしないだろう。

 

「ま、考えたってしょうがないか。」

 

昔からちまちま考えるのは面倒くさい。

善悪なんて見方の問題なんだから明らかに悪い奴らだけ許さなければ良い。

左翔太郎の背中を見てそう考える様になっていたケイタはある意味誰よりも大人だった。

 

「はぁはぁ。ケイタ、蓮。お前らのが先だったか。」

 

「おそかったな。」

 

「あんだけの人間に囲まれたら遅くもなるさ。

逆に2人はどうやって来たんだよ?」

 

「「鏡のイリュージョン。」」

 

「なんだそれ?よく知らないけど狡いぞ。」

 

そう言いながら三春は2人に続いてISスーツに着替え始めた。

 

「あれ?シャルルは着替えないのか?」

 

「え?あ、いや、先に着替えてて!」

 

「? なんだよそれ?早くしないと千冬姉にどやされるぞ!ほら!」

 

三春はシャルルの腕を引き自分の横に連れ行こうとしたがケイタがその手を捻り上げた。

 

「痛!何すん「こっち来い。」

 

捻ったままの手を無理矢理引っ張りながら蓮には目で合図を送る。

3人はアリーナの入り口前まで来た。

 

「なんだよケイタ!いきなり痛いじゃないか!」

 

「うるせえ今回は全面的にお前が悪い。」

 

「は?なんでだよ?」

 

「野郎が肌や裸を見られたく無い理由は三つしかない。

心は女、古傷、日焼けこのどれかだ。」

 

「お前は本当に遠慮がないからな。

そのうち相手の心を痛めつけるぞ?」

 

 

ー回想終了ー

 

「充分だわ。」

 

「何がだよ?」

 

「いえ、本当に充分よ。じゃ、またね。」

 

そう言うとメガネの生徒はISを降り去っていった。

 

 

 

2

授業は終わり昼休みになった。

着替えを終えたケイタと蓮は持って来ていた弁当箱を持って屋上に向かった。

 

「あ、居た。網島君、アキヤマ君!」

 

「デュノア。」

 

「シャルルでいいよ。2人は今からお昼?」

 

「ああ、屋上で一夏や心愛達と食べるつもりだ。」

 

「僕もいいかな?ほら、男子同士で親睦を深めたくて。」

 

「どうするケイタ?」

 

「ま、いんじゃない?1人ぐらいは。」

 

3人は屋上に向かった。

その間に何度か先輩方に誘われたがシャルルの紳士的で物腰柔らかな断り方に皆がうっとりしていた。

中には気絶した人さえ居た。

 

「どこで習うんだ?そんなテクニック。」

 

「お母さんが昔会った一曲10億ドルの天才バイオリニストに教えてもらった方法なんだって。」

 

「なんかどっかの農場でジャガイモ作ってそうな感じだなそいつ。」

 

屋上に出ると一夏、心愛の他にも海之、千夜、簪と5人が揃っていた。

 

「お疲れ。いつもより遅かったね。」

 

「デュノアが居るせいかいつもより話しかけてくる輩が多くてな。」

 

それぞれ弁当を広げて食べ始める。

 

「あれ?簪さんシャンプー変えた?

なんかいつもより髪サラサラだけど?」

 

「お!ケイタはやっぱ気付くね!」

 

「今日の簪ちゃんは椿油のおかげでサラサラのツヤツヤなのだ!」

 

簪の髪を背後から持ち上げる様に触る心愛。

青い髪はいつもより艶やかなせいか上等な糸の様に見える。

 

「ローランディフィルネィ辺りから貰ったのか?」

 

「ローランディ、、あぁ!あの4組のクラス代表の?」

 

「そうなの?」

 

「うん。」

 

「へぇ。レンよく分かったね。」

 

「知らないのか?オランダのローランディフィルネィと言えば女誑しで有名だぞ?

だが自分から贈り物、ってのは初めて聞くな。」

 

「なんか、本気っぽい。」

 

「更識さんもモテ期かな?」

 

「違う。」

 

「私の場合は幼稚園の時、千夜に紗路に雄一と親衛隊が出来てたが?」

 

「あ、あれはそういうのとは違うじゃん!」

 

「モテ期と言えばこの前チノちゃんがね!」

 

そこからは女子3人集まれば姦しいというやつでケイタや蓮にはちょっと取っつきにくい話題に、空気になっていく。

 

「いつもこんな感じなの?」

 

「いや、色々有って今日ようやくって感じ。」

 

「ふぅん?羨ましいな。僕あんま友達とか居なかったから。」

 

「デュノア社代表取締役の息子ってのも楽じゃないな。」

 

「え?デュノアってそうなの?」

 

「言うほど大した物じゃないよ。

父さんとの繋がりだって有って無い様なものだし。」

 

「お袋さんは何してるんだ?」

 

「…………僕が中学生の時に、病気で。」

 

「ッ!……………………デュノア。

俺を一発殴れ。失礼な詮索だった。」

 

「い、いやいいよ!もう受け入れたことだし!」

 

「いや、母親は男が、いや人が惚れた相手の次に大事にしなきゃいけない物だ。個人的には一発でも割に合わん。」

 

「蓮なんか最近こう、、硬いっていうか生真面目すぎるぞ?」

 

「そうか?」

 

「流石にもうちょっと肩の力抜いても良いと思うよ?」

 

「そんなもんか?」

 

すると突然島谷ひとみのDitaが鳴り出す。

蓮のスマートフォンだ。

 

「失礼。もしもし師団長?」

 

2人から一旦離れ、中に続く階段の一番上の段に腰掛ける。

 

『ハーイ!レン、襲撃が有った後にしては元気そうね。安心したわ。』

 

「俺が殺されても死なない事ぐらい知ってるでしょ?で、要件は?」

 

『貴方への賞与、通常と変わらない代わりにこの情報あげるわ。メールで送ったから見てみて。』

 

「は?ちょっと?…………切りやがったよ。

サード、ポリーの馬鹿に掛けてくれ。」

 

『畏まりました。』

 

(ていうか報酬代わりの重要機密をメールで送るなよ。どれどれ?)

 

素早くメールアプリを開き中身を確認する。

 

「…………嘘やろ?」

 

『レン様?どうかなさいましたか?』

 

「どうかしたとか言うレベルの問題じゃない。見てみろ!」

 

『これは、先日襲撃してきた人造人間(アンドロイド)の設計図!?』

 

「あぁ。しかも恐ろしいのがデータを見る限り、

量産準備はほぼ完了している事だ。」

 

『確かにそこそこ優秀なロボット工学者がいれば太陽電池などのコアパーツ以外は簡単に作れますね。

しかし一体何のために?』

 

「そこまではまだ調べがついてないらしい。

だが、ある計画を実行するため。ってのは確定らしいな。」

 

『計画?』

 

「計画の名前はProject ZERO=DIVER。

またの名を…織斑計画。」

 

 

 

3

「蓮の奴遅いな?」

 

「トイレにでも行ってるんじゃない?」

 

「いやそれはない。あの着メロの人は蓮にとって話すだけでストレス要因になる様な人、それも上官ばっかだからなんて事ない用事なはずはないよ。」

 

「詳しいね。」

 

「本人が前に言ってし。あ、メール。」

 

「アキヤマ君から?」

 

「ぽいね。えっと?」

 

 

差出人 蓮

 

件名 先行っててくれ

============

ちょっと上司から厄介な

仕事を押し付けられちまった。

昼休みが終わるまでには戻れるが

弁当箱を持ってきてくれると助かる。

悪いが頼んだ。

============

 

 

 

「だってさ。」

 

「軍属も大変だね。

ボーデヴィッヒさんもこんな感じなのかな?」

 

「いやあの眼帯チビは蓮みたいに意見なんか言わないで機械人形(ロボット)みたいに淡々と命令にだけ従ってるんだよ。

きっと。」

 

「網島君、ボーデヴィッヒさんの事嫌いなの?」

 

「あいつは風都タワーを、風都を、俺の街(こきょう)を侮辱した。

人の街を侮辱する奴は万死どころか兆死に値する。」

 

「羨ましい。」

 

「え?」

 

「僕は故郷にあんま良い思い出がないから。」

 

「じゃあ来いよ風都に。」

 

「え?」

 

「翔兄が、俺が尊敬してる男が言ってたんだ。

『街ってのは生まれた場所や育った場所じゃなくてその人が心から帰りたいって思える場所だ』って。

一度離れてみてから故郷の良いところを探すも良いし、

自分で自分の街を作るのも良い。

シャルルがいたい場所をゆっくり探せば良いと思うよ。」

 

「…………詩人だね。そのショウニイって人。」

 

「いや探偵さ。風都一のね。」

 

そう言うとケイタは自分と蓮の弁当箱を片付けて一夏達の方に向かった。

 

「…………。恵まれてるね君は。」

 

ケイタを見送ったシャルルの瞳から喜怒哀楽の喜と楽が消え失せた。

淡々とぶつぶつと何か呟き始める。

 

「私の持ってないもの全部持ってる。

私の持ってたくないもの全部持ってない。

良いなぁ、良いな良いな良いなぁ。」

 

ポケットからおもむろにコオロギのライダーズクレストに似た金の刻印のついたケースから一枚のカードを取り出し、鏡のようになっている手すりに向かって構える。

ベンタラの奥から黒い身体にメタルシルバーの六つの発光器官のある仮面のような顔のアドベントビースト、サイコローグが現れる。

 

「もうさ、ここまで来ちゃったら2人も3人も変わらないよね?

何なら幸せな奴に私よりちょっと不幸になって貰ったって良いよね?」

 

縋るようにサイコローグを見つめる。

サイコローグはいつもの様に温かみを感じない首肯をすると鏡の奥に去って行った。

 

「人類なんてゼイビアックスにどう手でもされちゃえば良いんだ。

そしたら最後に残った私が世界一幸せな女の子。

そうだよね?きっと。」




ケイタ「如何だったでしょうか?」

UMP45「そっちもそっちで大変ね。」

セブン『ある意味ではそちらの方が救いがないがね。』

UMP45「言わないで悲しくなるわ。」

ケイタ「じ、次回!Fake number Four その4!」

UMP45「深層の奥、真実を見逃すな!」

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