infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

31 / 104
ケイタ「さて、前回までのinfinite DRAGON KNIGHT、、と言いたいとこだけど、作者なんであんな落ち込んでるの?」

一夏「さ、さあ?」

サード『おそらく一番最初に書いたこのssより後から友人との馬鹿話から何と無くで書き始めた「(ゲーム本編に)救済なんかあらへんで!絶対に笑ってはいけないグリフィン指揮官養成所24時」の方がお気に入りが多い事に葛藤しているのでしょう。』

ケイタ「じゃあなおのことこっちをしっかりやってくれよ。」

一夏「まだラウラとシャルルが出てきたとこまでしかきてないんだから。それでは、どうぞ!」


Fake number Four その5

1

全ての授業も終わり生徒達は解散した。

帰路に着くもの、部活に向かうもの、

またここIS学園に限ってだが、

IS訓練の為にアリーナに向かうものが有った。

 

「このっ!ヒラヒラと!」

 

鈴音の甲龍の衝撃砲が蓮の打鉄黒翔に打つが、

マント型の防具覇止でさながら闘牛のように受け流される。

 

「ふん!叫んだところで相手は止まってくれないぞ!」

 

回避の合間にサムライエッジliv004の物理弾を放つ。

肩、膝に当たり頰をかすめる。

 

「クッソ!」

 

「何焦ってる!そんなんじゃ勝てるもんも勝てないぞ!」

 

とは言うものの、蓮には鈴音の焦りの正体が分かっていた。

先のトーナメントに襲撃して来た戦闘用人造人間ゼロワンに乱入して来た仮面ライダー。

どちらもISに匹敵する存在。

特にゼロワンは何処かの国で量産体制が整えばたちまち人と数に限りがあるコアが必要不可欠なISなどすぐに捨てられる。

つまり今IS操縦者に必要なのは自身の有用性を証明する事だ。

 

(ISはただの破壊兵器だ。蒼穹のファフナーの『ファフナー』やゼノクラシアの『iDOL』みたいにパイロットに代わりがないわけじゃない。

コアには一応心があるらしいが篠ノ之束がご親切にそれを無視出来る機能をつけてくれてるからな。)

 

蓮は新装備の二本の小太刀、サムライサーベル003Aとサムライサーベル003Bを展開して急接近した。

鈴音も応戦しようと双天牙月を出したところで身を捻り

伸身宙返りのように身体をスピンさせながら鈴音の頭上を飛び越える。

 

「鈍い!」

 

背中を切りつけ、怯んだところをドロップキックで距離を取る。

再びサムライエッジliv004の銃撃を浴びせた。

 

「さっきからそればっか!」

 

「当たり前だ。俺の黒翔はスピード重視で紙装甲だから防御は覇止に頼り切ってるんだ。

こいつが容量食ってサムライエッジと後近接武器入れたらもういっぱいなんだよ。」

 

ほんと欠陥機だよと毒づくと空になったマガジンを捨てて最大速度で鈴音まで近づき柔道の反則技、諸手刈の様に両手を掴み、アリーナの防御シールドにむかってジャイアントスイングを決める。

 

「………まだ続けるか?」

 

「もちろん!今度こそ三春を倒すために!」

 

「はぁ……。前回襲撃のせいで不完全燃焼だったのは分かるが、

今のお前じゃ零落白夜で双天牙月ごと真っ二つにされるのがオチだぞ?」

 

「何ですって!」

「頭冷やせって言ってるんだ。

そんなんじゃ中国代表どころかクラス代表維持さえ難しいぞ?」

 

「ッ!……ええ。そうね。熱くなりすぎてたみたい。」

 

「丁度さっきので残弾使い切ったんだ。

新しいマガジン取ってくるまでちょっと休んでろ。」

 

ゆっくりと地面に降りてビットまで歩く。

中に入って直ぐにISを解除した。

 

「それがアメリカの黒翔か。データで見た時の方が強そうだったな。」

 

「………ボーデヴィッヒ。」

 

いつか絡んで来るだろうとは思っていたが随分なご挨拶だ。

女性用のISスーツはスクール水着の様な形である為太ももにつけた待機状態の専用機、黒い雨(シュヴァルツェア・レーゲン)があるのが分かる。

 

「(被爆国日本にその名前のISを持ってくるとは中々の度胸じゃないか。ま、落としたのは米国人(おれたち)なんだが)

そう言うお前は自信満々だな?」

 

「当然だ。私が負けるなどあり得ない。

織斑三春と織斑一夏を倒して何が絶対的に正しいかを証明する。

それが終われば次は貴様らだ。

米IS師団破壊部隊は我ら黒ウサギ隊が倒す。」

 

「そいつは楽しみだ。精々首を洗って待つとするよ。」

 

アリーナに出て行くラウラの背中を見送ると蓮は本日何回目かの溜息をついた。

 

『ラウラ様は中々厄介そうですね。』

 

「人間的にか?それともIS操縦者としてか?」

 

『両方です。

恐らく千冬様という固定概念が出来上がってしまっているからかと。』

 

「たく。ウチの師団長とは真逆のタイプだな。

あの感じだとマガジン補充したら戻った方がいい。

サード急ぐぞ。」

 

 

 

2

「はぁ。」

 

去って行く蓮の姿を見送りながら鈴音はため息をついた。

三春は屑だが、焦った自分に勝てる相手じゃない事ぐらい分かってる。

だがどうしてもあいつの顔を見るたびに心の奥でドス黒い感情が大きくなってしまうのだ。

 

「どうしよう?…………………達郎。」

 

「鈴さん。」

 

「わっ!セシリアびっくりさせないでよ。」

 

「ごめんあそばせ。あまりに思い詰めてるようだったので。」

 

「…………まあね。でも平気よ。」

 

「本当に平気ならもっと平気そんな顔して下さいまし。

今にも泣きそうな顔で言われても説得力皆無ですわ。」

 

「え、嘘。」

 

「少しは誰かを頼って下さい。

これでも一緒に山田先生にボコされた仲でしょう?」

 

「ボコされたは余計よボコされたは。

はぁ。あんたに言う話でも無いけど、

なんかこう、最近自分が弱い気がして。」

 

「果たして自分はこの先あの無人機や仮面の騎士達に及ばないんじゃ無いかと?」

 

「まあ、そんなとこ。こうゆう時あんたならどうする?」

 

「想像しますわ。少し先の強くなった自分を。」

 

「ゴールを決めるって事?」

 

「いいえ。中間点を決めるだけですわ、

人間って前を向ければ案外思ってるより頑張れるものですわよ?」

 

鈴の目を真っ直ぐ見ながらセシリアは小さく笑った。

 

「そんなもん?」

 

「そんなもんです。」

 

少し先の強くなった自分。

確かに今まで考えた事も無かった。

過大評価と言われたらそれまでだが、

最近は後ろ向きに考えすぎていた気もする。

少しぐらい前を向きすぎても良いかも知れない。

 

「ありがと。ちょっとはマシな気分になった。」

 

It's my pleasure.(どういたしまして、ですわ)

この後一緒に訓練でもいたしませんか?」

 

「いいんじゃないか?

雑魚はより雑魚な奴が近くに居れば安心出来るようだしな。」

 

先程蓮が去って行った方から失礼なセリフが聞こえる。

シュヴァルツェア・レーゲンを鎧ったラウラだ。

 

「あんた………。」

 

「タツローだか誰だか知らないが男如きに惑わされ力の先に復讐など求めるなど愚の骨頂だな。」

 

「……………ねえセシリア?このジャガイモ女

今『殺して下さいお願いします。』って言わなかった?

いや、言ったわ。言ったわよね?」

 

「鈴さん落ち着いてください。

ここで挑発に乗ってしまえば向こうの思う壺です。」

 

「分かってる!分かってるけどっ!」

 

「ふん。見下げ果てたな。

自分から戦う事も出来ないか。

なら戦わざるを得ない様にしてやる!」

 

シュヴァルツェア・レーゲンの大口径レールカノンが鈴音とセシリアを狙って放たれた。

 

「ッ! いいじゃない。その喧嘩!買ってやろうじゃ無いの!」

 

避けながら双天牙月を投擲するが、

逆にラウラの放った特殊ワイヤー、マイクロチェーンで絡め取られ投げ返される。

左足の装甲を抉られる。

絶対防御が無ければ間違いなく脚を切断されていただろう。

 

「こいつ!自分で言うだけあって強い!」

 

「この!」

 

セシリアも射撃で援護するがラウラは銃を向けられた段階ですぐさま射線の外に出る為なかなか狙いが定まらない。

 

「無駄だ!」

 

慌ててレーザービットを展開しようとしたがそれより早く瞬間加速で急接近したラウラにスターライトを電磁手刀で破壊されてしまう。

 

「しまった!」

 

素早く手首を返したラウラの電磁手刀がセシリアの両肩を襲った。

これでもうインターセプターや体術などの近接戦は不可能だ。

 

「邪魔だ。」

 

右手で首を掴むと顔面、腹、右腿、と空いてる左手と両足でセシリアを痛めつける。

 

「セシリアを放せ!」

 

双天牙月を拾い直した鈴音が迫るがラウラはレールカノンを180度回転させるとノールックで鈴音を撃ち落とした。

落下した先から悲鳴が上がる。

他の練習していた生徒が助け起こしているが意識が無い様だ。

 

「な!」

 

「お前も消えろ!」

 

左手でセシリアの顔面をつかみ直すとラウラは瞬間加速でアリーナの壁にセシリアを激突させる。

 

「ガッ!ッ!………ッ!」

 

「ほう、甲龍より骨があるな。ならこれはどうだ?」

 

マイクロチェーンでセシリアを縛り上げるとアリーナの壁を沿う様に加速しながら飛ぶ。

瓦礫を巻き上げながらアリーナの壁を滑らされ頭から地面に叩きつけられるセシリア。

頭から出血しながらもなんとか意識だけは保った。

 

(このままでは………お願いブルーティアーズ!)

 

なんとかミサイルビットを二機とも展開して攻撃するが、

二機のうち一機、ラウラの真正面にいたビットがまるで金縛りにあった様に動かなくなった。

 

(バカな!

まさかアクティブ・イナーシャル・キャンセラー!?

実用化されていたなんて!)

 

「こいつは驚いた。ブルーティアーズ。

さっきの発言は撤回しよう。いい機体だ。

だがこのラウラ・ボーデヴィッヒとシュヴァルツェア・レーゲンには及ばん。

AICの停止結界の前にはあらゆる攻撃が無意味だ。」

 

レールカノンで動けていた方のビットを破壊し、

動けない方を電磁手刀で叩き割る。

 

「さらばだブルーティアーズ。」

 

レールカノンがセシリアの頭に狙いを定める。そのまま

 

「はぁ!」

 

発射されることは無かった。

背後からスライディングでラウラの股を潜りながら現れた蓮が起き上がりざまにオーバーヘッドキックを放った。

眼帯をしていない方の目のやや下につま先が当たる。

堪らず一歩引いた。観ると打鉄を鎧った四十院神楽がセシリアを救出して離脱して行く。

 

(くそッ!トドメに時間をかけ過ぎたか。)

 

「よう。お楽しみだな。

プールパーティーには二ヶ月早いぜ?」

 

「ふん!言ってろ!」

 

戻ってる間に武装を取り替えて来たのだろう。

サムライブレイド002を装備した蓮が真っ直ぐ斬り込んでくる。

停止結界を発動させて止めるが直ぐに蓮は思い切り腕を振り切り結界を弾く!

 

「なんだと!?そんな馬鹿な!」

 

「しゃらくせえ!」

 

そのままサムライブレイドを逆手に持ち替え大ぶりのパンチを横っ面に見舞う。

 

「ぐっ!この黄色人(モンキー)が!」

 

「!?伏せろ!」

 

さっ!と遠巻きに見ていた全員と蓮が伏せた。

ラウラも蓮が視線をやっていた先から飛んで来た打鉄のブレードを右手で払った。

 

「誰だ!」

 

「私だ。」

 

いつも通りの今にもどっかの銀河帝国の暗黒卿のBGMが流れそうな雰囲気(一夏談)を纏いながら現れたのは我らが一年一組担任織斑千冬だ。

 

「教官!」

 

「ずいぶん派手に暴れたな。

事と次第によっては国際問題だな?」

 

ラファールを鎧った上級生に介抱されている鈴音をチラッと見る千冬。

 

「だが今度のタッグトーナメントの目玉が減るのは困るな。

ボーデヴィッヒ。

貴様は今後タッグトーナメントが終わるまで一切のアリーナの使用と放課後の食事、入浴以外の外出を禁ずる。

いいな?」

 

「教官の決定に異存はありません。」

 

「よろしい。アキヤマ、鳳を保健室まで運んでやれ。

それ以外の者は自主練に戻って結構だ。」

 

それぞれが元の位置に戻って行く。

蓮もラファールの上級生から鈴音を受け取るとアリーナを後にした。

 

 

 

3

「ん…………。あ?」

 

「おはようございますセシリアさん。

よく眠れましたか?」

 

目を覚ますと見慣れない天井と見慣れたクラスメイトの顔が飛び込んで来た。

窓を見るともう空は茜色に染まっていた。

 

「神楽さん?ここは?」

 

「保健室です。何があったか覚えてませんか?」

 

「何が、、あ!

わたくし達はラウラ・ボーデヴィッヒに!痛た!」

 

ガバ!っと起き上がると身体中が、主に頭が痛んだ。

 

「やめとけ。ISを装備してなきゃ7回死んでたような大怪我だ。」

 

「レンさん。」

 

カーテンを開けて蓮が入って来た。

その手には購買部の袋が握られている。

 

「悪いな四十院。ちょっとのつもりが随分長いこと付き合わせちまった。」

 

「いえいえ。怪人屋の件の探偵料と思えば安いですわ。」

 

「そう言ってくれると助かる。」

 

袋から板チョコを取り出し神楽とセシリアにそれぞれ渡す。

 

「もしかして四十院さんが私をここまで?」

 

「はい。専用機持ち同士が本気で戦い始めたと聞いた時に整備室の方から走って来た秋山さんに『何かアリーナでトラブルが起きてないか知らないか?』と聞かれまして。」

 

「たまたま近くにいた3年の先輩から四十院の分のISを借りてって訳だ。」

 

「そうだったんですか。レンさん四十院さん。

本当にありがとうございます。」

 

「いえ、お礼を言われるようなことは。」

 

「むしろ鳳は間に合わずにすまんな。

お前も間に合わなかったっちゃ間に合わなかったが。」

 

「という事は鈴さんは」

 

「まだ意識不明だ。

医者が言うにはダメージ自体はお前より少ないはずだし頭を酷く打ったみたいなのも無いらしいんだが、

まだなんとも言えんらしい。」

 

「そうですか……タッグトーナメントにはどうにかなるといいですが。」

 

「お前も鳳も無理だ。」

 

「な!本当で痛たたたたた!」

 

「激しく動くな傷が開くぞ。

お前のブルーティアーズあいつにダメージレベルD、

素体以外パーツ総入れ替えしなきゃマトモに動かないぐらい壊されてたんだ。

体の傷にリハビリ合わせたら来月中旬までに間に合わん。

今回は見送れ。」

 

「はい。」

 

しゅん。とイタズラを咎められた子供のように小さくなるセシリア。

 

「なに、心配すんな。運が良ければ俺がボーデヴィッヒを倒してやる。」

 

「! お願いしますね?」

 

「任された。四十院。

先生には会ったら俺はもう帰ったと伝えておいてくれ。」

 

「わかりました。お気をつけて。」

 

「ああ。じゃあな。」

 

保健室を出て誰もいない事を確認すると蓮はサードを取り出した。

 

「ケイタはなんて?」

 

『ライダー関係でややこしいトラブルになったから来てくれと。』

 

セシリア達と話してる途中、蓮はサードからデッキを介してケイタ達の救援要請を受けていたのだ。

 

「場所は?」

 

『理世様のお宅です。』

 

「? なんでそんなとこに?」

 

『なんでもお見舞いだそうです。』

 

「あいつが風邪でも引いたってのか?想像出来んな。」

 

曲がり角を曲がろうとした時に話し声が聞こえたのに気付き止まった。

 

(誰だ?)

 

「納得いきません。」

 

「山田くん、気持ちは分かるがこれはかなりデリケートな問題だ。」

 

「だからって殺人未遂犯を野放しにしておくんですか!?

あなたが教育したからですか!?」

 

声と発言から千冬に真耶だとわかった。

 

「違う。私だって考えが無いわけじゃない。

オルコットと鳳には申し訳なかったと思ってる。

未然に防げなかったのは我々の責任だ。」

 

「ではどうするんですか?」

 

「今回の件で学園上層部の女権寄りの奴らはボーデヴィッヒの強さを再認識した。

少なくともオルコットを倒したアキヤマと同等、スペック、装備も充実している。

男の顔に泥を塗るには好都合だ。とな。」

 

「つまり今度のタッグトーナメントでアキヤマ君と網島君にボーデヴィッヒさんを倒してもらうって事ですか?」

 

「奴らは間違いなく一回戦からボーデヴィッヒと男子を当てるだろうからな。」

 

「なぜそんな回りくどい事を?」

 

「ボーデヴィッヒは、強さ=物理的な強さと思ってる節があるからな。

ケイタ君とアキヤマなら倒せるさ。」

 

「2人が組むとは限りませんよ?」

 

「なに、大丈夫さ。

アキヤマはやらせれば大体そつなくこなす奴だし、

ケイタ君は昔から一度スイッチが入れば三春や一夏より出来る子だ。

それに彼はバスケぐらいしか取り柄がないと言っていたが、

気付いてないだけでもう一つあるんだ。」

 

「もう一つ?」

 

「ああ。私の知る限り、ケイタ君ほど、

誰かが独りぼっちなのを許せない人間は居ない。

友達作りの達人なんだ。」

 

息を殺して聞いていた蓮は思わず頰を緩めた。

確かに蓮の知る限りケイタ程人の居場所に凝る人間も居ない。

 

(あいつも弟分をよく見てるじゃないか。)

 

《ケイタ様は正に仮面ライダーWの弟子、ですね。》

 

(さて、早速その名人を助けに行きますか。)

 

足音を立てづに保健室の前、女子トイレまで行き、

サードにカメラを目隠しさせるとそこの鏡からベンタラへ、

ベンタラから自分のバイクのミラーから地球側に戻った。

 

「KAMEN-RIDER!」

 

バイクにまたがりながら出現させたVバックルにデッキをセット。

蓮はウイングナイトに、蓮のバイクはウイングサイクルに変身し、

ベンタラに突入した。

 

 

 

4

山田真耶は不満だった。

千冬に考えがあることも分かったし、

ケイタや蓮を信頼していないわけじゃない。

ただひたすら生温いと思った。

 

「なんで皆改心させるなんて七面倒なことするんですかね?

癌は患部を切り取って初めて治るんです。」

 

愛する生徒を酷い目に合わせた奴なんて一足飛びに殺してやろうか?

そう考える自分がいることに真耶は驚いた。

自分の様などう取り繕った所で人殺しがまだ教師のつもりか?

まさかあり得ない。

 

「まあ、無意識にここに来ちゃってるんじゃ説得力無いですけどね。」

 

考えながら当てもなく歩いてるつもりがいつの間にか保健室の前まで来ていた。

IDカードを使って中に入る。

 

「四十院さん?」

 

「山田先生、お疲れ様です。」

 

セシリアのベットの横には神楽がいた。

 

「アキヤマ君はもう帰りましたか?」

 

「はい。ついさっき。」

 

「そうでしたか。

では四十院さんもそろそろ戻ってください。

医務の先生が来るまでは私が。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

綺麗なお辞儀をすると神楽は去って行った。

 

それを見送ると真耶はセシリアの顔を除き込んだ。

小さく寝息を立てているその寝顔はとても穏やかだ。

 

「これがビーストの食卓に上がるのは嫌ですね。」

 

真耶はカーテンを閉めに窓に近づいた。

鏡の向こうにいたナイトメアドーパントと目が合う。

飛び退いた真耶はデッキを構えてポーズを取った。

 

「カメンライダー!」

 

セイレーン に変身した真耶はバイザーを引き抜きアンバランスな頭部に向けて一閃剣戟を放った。

よろけながらセシリアが眠るベットの方に倒れこむ。

起き上がるとドーパントは紫の電撃を纏わせた両手をセシリアに向けた。

 

「やめなさい!」

 

素早く駆け寄り背後から掴みかかり乱暴に投げた。

しかし距離を取ったのがよくなかった様だ。

どこからともなく取り出した車輪の様な輪を投げつけてくる。

セイレーン の目の前で巨大化しネットとなって拘束した。

セイレーン が動けない間にドーパントは鈴音に両手で触れた。

電撃が身体を駆け抜け、精神だけが小さな、ガイアメモリぐらいの大きさの小箱になって取り出された。

どうやら海之は幸運だったらしい。

魂を抜き取るのにドーパントがかけた時間は2秒に満たなかった。

 

「トモ………………ダチ。」

 

網戸の様な模様に覆われている顔、

口から魂を取り込む。

これでもう鈴音は目覚めない。

ドーパントが倒されない限りは。

 

「貴様ぁ!」

 

<SWORD VENT>

 

追いついたセイレーンはウイングスラッシャーを振り回すが目的は達成されたとばかりにドーパントは逃げを選んだ。

 

「私の生徒に何をした!?」

 

ドーパント、セイレーンとベンタラにダイブし、鬼ごっこが始まった。

マントを翼に変えたセイレーンは執拗にドーパントを追い立てた。

 

角に消えるドーパント。着地しながら角を曲がる。

顔を上げると追いかけていたハズのドーパントが倒れてきた。

再び翼を広げ飛び退く。

 

見るとドーパントの直ぐ先に黒いコオロギの様なライダーが倒れていた。

その先には見た事のない武器を構えた仮面ライダースティングとその後に追ってきたらしいバイクに乗ったドラゴンナイトと顔はヘルメットでわからないが白い服の少女がいた。

 

予想以上にめんどくさいのとバッティングしてしまったらしい。

向こうも同じ事を思った様で予断なく構えた。

どうするべきか一瞬迷ったセイレーン だったが次に起こった出来事が身体を動かした。

 

ダメージのせいかコオロギのライダーの変身が解除される。

その仮面の下から現れたのは

 

「デュノア君!」

 

ウイングスラッシャーを上段に構えながらセイレーン はドーパントに走った。

振り下ろされたウイングスラッシャーはドーパントの背中を切り裂いた。

 

「逃げてください!」

 

叫びながら一閃、二閃と剣戟を繰り出す。

それはドーパントを攻撃しながらも確かにスティング達を牽制していた。

このままでは近づけない。

 

スティング達は攻めあぐねたが突如として壁を砕きながら現れたウイングナイトにより戦場は混沌を極めた。

 

ドーパントとセイレーンを轢きながら着地したウイングナイトは体操選手の様にバイクを台にして揃えた両足を一回転させ、セイレーン とドーパントを下がらせるとダークバイザーを引き抜きセイレーンに迫った。

 

「またあなたですか!大事な生徒はやらせません!」

 

「? 生徒?まさかその声は!」

 

何かに気付いたウイングナイトはダークバイザーを収納すると太刀取りでウイングスラッシャーを奪い捨て、

逮捕術の様な動きでセイレーンを取り押さえた。

 

「誰でもいい!こいつのデッキを外せ!」

 

「あ、あぁ!」

 

素早く駆け寄ったスティングがベルトからデッキを外す。

変身が解除されセイレーン は山田真耶に戻った。

 

「「「山田先生!?」」」

 

「馬鹿な、山田教諭がセイレーンだと?」

 

ドラゴンナイト、スティング、ウイングナイトも変身を解除し、

白い服の少女もヘルメットを脱いだ。

 

「網島君にアキヤマ君に織斑さんに手塚さん?」

 

「1、2、、5人か。世間ってやつは本当に狭いな。」

 

独りごちながら蓮は逃げない様シャルルにスタームルガーを構えながらコオロギのデッキを拾い上げる。

 

『予想以上に込み入った話になってしまったな。』

 

一夏のパーカーのフードからゼロワンが、

ケイタの腰のホルダーからセブンが、

蓮のブレザーのポケットからサードが現れる。

 

「!?デビルKにエンジェルK!」

 

意外と都市伝説とか知ってたらしい真耶が素っ頓狂な声を上げる。

 

『知っているなら話は早い。

まずは理世の家に戻るぞ。話はそれからだ。』

 

ライダー達の夜は長い。

それぞれが混乱や憔悴の色を見せる中、

シャルルの瞳だけは相変わらず濁っていた。




ケイタ「いかがだったでしょうか?」

一夏「ライダーとしての山田先生が久々過ぎてちょっとビックリかな?」

サード『そして本編よりラウラ様の戦い方や強さがえげつないですね。』

ケイタ「まあ、その蓮や手塚さんのスペックかなり高めにしちゃったからね。」

(ED Go!Now!~Alive A life neo~ RIDER TIME仮面ライダー龍騎)

ケイタ「お、そろそろ時間か。」

サード『次回、infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来 Fake number Four その6!』

一夏「これで決まりだ!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。