infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回は確か、、どこまでいったっけ?」

サード『真耶様が良い教師だったというお話です。』

ラウラ「ふん。くだらないな。」

ケイタ「別にお前に分かって欲しいなんて1ナノも思っちゃねえよ。」

サード『まあまあ落ち着いて。このエピソードと次のエピソードで決着のようですし。』

ラウラ「まあ結果は見えているがな。見るがいい。」

ケイタ「そんな事言ってられるのも今のうちだぜ?」

ラウラ「ほう?」

サード『ありゃありゃ。収集つきそうにありませんね。ではどうぞ。」

(op DIVE IN TO THE MIRROR KAMEN-RIDER DRAGON KNIGHT)


Fake number Four その8

1

ついにこの日が来た。

漸くか、と思う気持ちもあれば思ったよりも早かったな、とも思う。

空を仰ぐ。6月には貴重な蒼穹が広がっている。

 

『ケイタ。分かってるとは思うが、

鳳鈴音の敵討ちだからといって張り切りすぎるなよ?』

 

「おう。チーム戦を蔑ろにしたりしないよ。

シャルロット。」

 

「え?うん。」

 

個人用通信(プライベートチャンネル)で話しかける。

 

「勝とうぜ。」

 

「う、うん!」

 

『2人時間です。とも準備いいですか?』

 

教員管制室から通信が入る。

 

「はい!いつでも行けます!」

 

シャルロットが元気よく答えた。

続いてケイタも準備万端です!と答える。

 

「セブン、アシスト頼む。」

 

『了解だ。バーチャルブーストフォングラインダー着身!

IS打鉄赤龍と感覚を共有する。』

 

す、と力が、セブンが流れ込んでくる。

体がライダーに変身した時並みに軽くなる。

 

2人は同時にアリーナに出た。

反対側にはほぼ同じタイミングで出て来たラウラと打鉄を鎧った篠ノ之箒がいる。

 

「会いたかったぜチビ野郎。」

 

「ふむ、一回戦は貴様か。

教官の劣化コピー共との前哨戦には丁度良い。」

 

「言ってろ。

最初っから最後まで極めてハードボイルにこなしてやるよ!」

 

ケイタはラウラにシャルロットは箒に向かって行く。

なぜこの4人が戦うことになったか。

それは約一ヶ月前前に遡る。

 

 

 

2

シャルルが実はシャルロットだと分かった次の日の朝、

一年一組の教室はざわついていた。

 

「それって本当?」

 

「ぽいよ!なんでも出所は生徒会長らしいし。」

 

「ホントの本当に?じゃあ網島君と」

 

「呼んだ?」

 

「わぁ!あ、網島君。別に全然!ねぇ?」

 

「ウンウン!」

 

「そう…。」

 

特に関心のないまま席についた。

 

(昨日シャルロットに返し忘れたデッキ返したいところだけど昼休みまで無理か。)

 

なんてボーッと考えてるうちにホームルームが始まった。

 

「何やらくだらない噂が流行っているらしいが、

あんな物に惑わされんように。」

 

そこからはただの事務連絡で途中蓮がサードとデッキ越しに話してた以外特に変わった事はなかった。

 

「なあシャル」

 

ロットと言いかけて思わず言葉をつまらせる。

肩を叩きながらだっからこちらを振り向いたシャルロットがちょっと青い顔をしている。

 

見ると一夏と蓮もまずそうな表情をしている。

心愛だけよく分かってない感じでポカン。としてる。

 

《ど、どうするんだケイタ?》

 

(いや俺に言われても!)

 

「シャルって新しい渾名?」

 

空気読めバカ!思わずケイタがそう叫びそうになった時。

 

「なんだ心愛知らなかったのか?

2人は来月のタッグトーナメントで優勝する為にコンビネーションを高めようって話になった時にファーストネームで呼び合う事にしたんだ。だよな?」

 

「そ、そうそう!ねぇあ、、、ケイタ、君?」

 

「う、うん。そう。そうだったよなシャル。」

 

教室内が再び騒つく。

 

「ガッカリ………。」

 

「でもそれはそれで」

 

「アリよりのアリだね!」

 

「てことは秋山君は織斑君と!」

 

などとクラスが違う話題で盛り上がり始めた折を見てケイタはシャルロットを連れて廊下に出た。

 

「これ。昨日返し忘れてたから。」

 

「あ、そういえばすっかり忘れてたね。」

 

オルタナティブのデッキを受け取りながら恥ずかしそうにはにかむシャルロット。

こんな表情を見てると美少年っぽいけど女子だなと思うケイタ。

 

「ただそのデッキ、俺らのと全然違うよな。」

 

「確かに。昨日は見比べたりする余裕とか無かったけど。」

 

それぞれデッキからカードを一枚ずつ引き抜き比べてみる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これ、詳しく調べてもらった方がいいのかな?」

 

「調べるったってどうやって?

学園の設備でやったら間違いなくログとかでバレそうだけど?」

 

「確かに……。」

 

『なら私に考えがある。』

 

「え!?い、今の誰?」

 

「セブン。」

 

そう言ってホルダーからセブンを取り出すケイタ。

 

『改めてよろしく頼むぞシャルロット・コンスタン。』

 

優しく笑いながら挨拶するセブンにつられてシャルロットも笑う。

 

「よろしくねセブン。」

 

「で?考えって?」

 

『藤丸立香に調べて貰うんだ。

彼ならライダーの事を知ってるし、

我々フォンブレイバーを作った水戸博士の孫弟子。

腕も確かだ。都合が合えば引き受けてくれる筈だ。』

 

「成る程。

じゃあ昼は皆で立香さん達のラボで食べよっか。」

 

「そんな大勢でお邪魔しちゃって平気かな?」

 

「セブン。予め連絡入れといてくれる?」

 

『やっておこう。』

 

 

 

2

同じ頃、ベンタラのゼイビアックス基地にて。

間明は遅めの朝食(もちろんカップ麺)を取りながら仕事の追い込みをかけていた。

 

「ふぅ、どこもペラペラなファイアーウォール。

破りがいないな。」

 

「CIAのセキュリティーを突破した後のセリフじゃないな。」

 

「やあエムちゃん。変わりなさそうだね?」

 

「ウォームアップにもならなかった。

しかし、私のサイレント・ゼフィルス、

どんな改造をしたらあんな性能を出せる?

ちょっと加速、ぐらいのつもりで瞬間加速(イグニッション・ブースト)並のスピードが出るぞ?」

 

今後の報酬の前払いと君の然るべき戦いの為にと言われ改造を許したが流石にここまでとは思ってもいなかった。

 

「我々カーシュの科学はこの地球の科学を遥かに上回る。

ただそれだけだよ。」

 

2人の背後のワープ装置から見慣れたスーツ姿の女が帰って来た。

 

「お帰りなさいませゼイビアックス将軍。」

 

「ただいま。調子はどうかな?」

 

「すこぶるいいです。あなたは?」

 

「あまり良くなかったね。全く強情だよ彼女は。」

 

「彼女?」

 

「ああ、エムちゃんにはまだ話してなかったね。

仮面契約者明彩(カメンライダーキャモ)の事だよ。

まだデッキを受け取っていない唯一のライダーさ。」

 

「彼女がいれば全ての仮面契約者が揃う。

その時こそ残る仮面契約者達は選ぶ事となる。

私の配下になるか敵として処分されるか、ね。」

 

そう言って胸ポケットから黄緑色のカメレオンのライダーズクレストのついたアドベントデッキを取り出す。

 

「ところで、あの後トラストとトルクはどうなった。」

 

「それがトラストは殺る気になったのですが、

トルクが命令違反を。」

 

「命令違反?一体どんな?」

 

「アックスに手を出した挙句、

止めようとしたスピアーをベントしたんです。」

 

「なんだと? それは重大な裏切りだ。」

 

「しかも同士討ちをしてる間にセイレーンとオルタナティブが網島君達と結託しました。

こちらが確実に不利です。」

 

「確かに。

エム君に出張って貰うわけにはいかないからなあ。

仕方ないもう少し温存しておきたかったが。」

 

「ストライク、ですね。」

 

「ああ、山田真耶。そして残りのライダーのうち誰かが動けなくなるようなシチュエーションを演出するんだ。」

 

「でしたらビーストを二体貸して頂けますか?

確実に一人戦闘不能に出来ます。」

 

「ほう。大した自身だ。策があるとみたが?」

 

「はい。来月中旬にIS学園で学年別のタッグマッチトーナメントがあります。

上手くやれば5人のライダーを釘付けにして一人を確実に倒せます。」

 

「宜しいでは早速準備に取り掛かれ!」

 

「はは!」

 

 

 

3

昼休み。

集まった一同を立香とマシュは快く迎えてくれた。

 

「皆さん大変ですね。男子というだけで注目の的なんて。」

 

「お陰でここと屋上ぐらいしか落ち着いて飯食える場所がないですよ。」

 

「こらこらケイタ。

ここを溜まり場みたいに言わないの。

立香さんとマシャさんのイチャイチャタイム奪っちゃってるんだから。」

 

「な!仕事場!ここ仕事場だから!」

 

「わ、私達はちゃんとTPOをわきまえてます!」

 

「お前らあんまり年上を揶揄うんじゃない。

それやりに来たわけじゃないだろ。」

 

ほら座った座った。と言いながら二人を誘導する蓮。

 

「ま、確かに内緒話をするにはいい場所なのは否定しないがな。」

 

そう言って蓮は全員のケータイにデータを配信した。

 

「上手く騙してアキツネとジュリエットにデュノア社について探らせてみたが特に何も見つからなかった。

戸籍情報なんかもハッキングしてみたらしいが、

アルベール・デュノアもロゼンタ・デュノアも存命のままって事になってる。

シャルロット・コンスタンもな。」

 

「え!てことは!」

 

皆が一斉にシャルロットの方を向いてから再び蓮の方を向く。

 

「大方米国海兵隊の悪徳少佐がフランス政府を脅迫でもしたんだろうな。」

 

『? どこかもなにも全てレン様の仕業でしょう?

無理矢理協力させられるこちらの身にもなってください。

電子頭脳が震撼しました。

人間で言うところの心臓が止まったかと思うというやつ「サード。頼むから空気を読め。」? フォンブレイバーに呼吸器官はありません。』

 

「お前なあ……。」

 

「ふふふ。ありがとうレン。」

 

「俺は自分のやりたいようにやってるだけだ。」

 

「はいはいレンの照れ屋さん。」

 

「黙れファーストキスはソース味。」

 

「ちょっ!れ、レン!それは今関係ないでしょ!」

 

「そうだな。だから話を戻そう。」

 

上手く逃げた蓮が何枚かの紙を取り出した。

 

「これって、今度のタッグマッチトーナメントの登録用紙?」

 

「ああ。取り敢えずアキツネ達の根回しが終わるまでコンスタンとデュノアが同一人物だって知られることは避けたい。

だから秘密を知ってる奴同士が今度のタッグマッチのペアになればコンビネーション確認って理由で二人だけの時間を増やせば他の奴らも声掛けづらくなるし、

秘密を口走っても問題ないことの方が多くなる。」

 

「成る程。」

 

「あれ?でもそうなると、私、ケイタ君、蓮君、一夏ちゃん、シャルロットちゃん、千夜ちゃん、海之ちゃんだから一人余っちゃうけど?」

 

「俺は兄の方の織斑と組む。

確かコンスタンとあいつは相部屋だろ?

だったら俺との訓練って事で、

あいつとコンスタンの接触する時間を減らせれば

それだけ奴に秘密がバレるリスクが減る。」

 

「おぉ!いけんじゃんそれ!」

 

「問題は三春兄が無自覚なだけでモテるって事だけど?」

 

「そこは大丈夫だ。

使い方合ってるかは知らんが高嶺の花には手が出しづらいって奴だ。」

 

「考えたな秋山。」

 

「一限目に授業聞く片手間で考えたにしちゃ良くできてるだろ?」

 

「千夜が運動性能カス過ぎて真面にIS動かせないことを除けば。」

 

ピシッ!と空気が凍る。

千夜を覗いた全員が千夜の方を向く。

 

「ひゅ、ひゅるる〜。」

 

「宇治松さん、吹けてない。」

 

No way(マジかよ)……まあ、仕方ない。

手塚、お前更識辺りと仲良いだろ?

あいつになら最悪バレても問題ない。

が、更識がもうすでにローランディフィルネィ 辺りと組んでた場合は別だ。」

 

「わかった誘ってみよう。」

 

そんな訳でタッグマッチのペアはケイタとシャルロット、

蓮と三春、一夏と心愛、海之は簪と組めず四十院神楽と、となった。

 

そして申請書を提出した8人はそれぞれのやり方でコンビネーションの確認を始めた。

 

例えばケイタとシャルロットはグラウンドの隅で。

 

「で、僕らがやんなきゃいけないのはIS戦だよね?

なんでバスケ?」

 

「いや仲良くなる方法これぐらいしか知らなくて。」

 

「へえ。じゃあ子供の頃よくこれで遊んだんだ。」

 

「今もまだまだ子供だけど、ね!」

 

 

蓮と三春は初めからコンビネーションを考えず。

 

「織斑、本番は何があってもお前は右から仕掛けろ。

俺は左から仕掛ける。」

 

「は?何言ってるんだよ蓮!

そしたら俺がお前を守れないだろ!」

 

「何度も同じ事を言わせるな。

俺のもお前のも遠距離タイプのISじゃない。

守るならお互いの背中だけで十分。

それに俺はお前如きに労られる程弱くない。

最後に気安くファーストネームで呼ぶな。」

 

 

一夏と心愛はいつも通り

 

「なんで………こんな事に。」

 

「私は文系で、心愛ちゃんは理系だから教え合えば丁度弱点を補い合えるはずなのに!

なのに何回やっても何度やっても何故こうなる!」

 

「なんで迷宮入りするのー!」

 

ガン!と2人が同時にテーブルに突っ伏すのと同時に智乃が入ってきた。

 

「あの、そろそろ店の方手伝って貰えませんか?」

 

「智乃ちゃん助けて!」

 

「お姉ちゃん達全然勉強終わらないの!」

 

「それでも倍率一万倍のIS学園の生徒ですか?」

 

智乃の何気ないツッコミが二人の心を容赦なく抉った。

 

「おい落第コンビ!さっさと降りて来い!

天々座の分も働け!」

 

蓮の怒号が飛ぶ。2人は再びテーブルに沈んだ。

 

「なあセブン。一体2人の何がいけないと思う?」

 

『心愛が教える時は明らかに教科書以上の事を教えてしまっていて。

逆に心愛が教わる時は一夏が語彙力絶無の効果音しか無いような説明しか出来ないからでは?」

 

「……そう言やあったな昔そんな事が。」

 

それなのに何故一夏は毎回科目に限らず記述満点なんだろう?

と改めて不思議に思うケイタだった。その頃甘兎では

 

 

「どうかな?それなりに自信はあるのだが。」

 

海之がペアになった神楽を招いて始めて作ったスイーツを振る舞っていた。

 

「通りで、とても美味しいですわ。」

 

「そうか、それは良かった。

で、早速本題で悪いんだが……。」

 

 

IS学園では簪とロランが

 

「あの…ロラン?」

 

「なんだい?私の可愛い蕾ちゃん?」

 

「髪触り過ぎ。」

 

「おっと失礼!

どんな素晴らしい絹糸よりも綺麗だったものだから。」

 

「もう…勝つよ。」

 

「無論だ。まずはフォーメーションを」

 

それぞれがそれぞれのやり方で己を磨き、

一月が過ぎた。

ついに発表された対戦カードにはこうあった。

 

[第一学年第一試合 網島ケイタ&シャルル・デュノアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒 

第一アリーナにて]

 

 

 

4

電磁手刀を構えたラウラは真っ直ぐケイタに、

やや遅れた箒は近接ブレードを構えてシャルロットに向かってくる。

 

「予想通りだな。」

 

「じゃ、ケイタ君。作戦通り行こうか。」

 

「セブン。頼むぜ。」

 

「了解だ。敵との距離500……300……今だ!」

 

まずケイタが飛び出した。

展開したグラインダーを盾のように構え真っ直ぐ突っ込んで行く。

 

「くらえ!」

 

「食らうか!」

 

電磁手刀を振るわれる直前で止まる。

シールドをかすめながら刃先が通り過ぎた。

そしてケイタはのけぞった姿勢のままシャルロットの方に斜め上に飛ぶ。

 

「逃げるな!」

 

レールカノンで追撃しようとするがシャルロットの援護射撃に邪魔される。

 

(篠ノ之箒は…クソ!役立たず!)

 

箒も同じように足止めを食らっていた。

シャルロットはアサルトライフルとショットガンの二丁持ちをしている。

 

「僕と遊ぼ?」

 

まるで一本線が見えてる様にラウラの真正面を避けながら銃撃で確実にダメージを与えていく。

 

「このハエがぁ!」

 

マイクロチェーンを放ちシャルロットの左手首を捕まえる。

 

「しまった!」

 

壁に叩きつけられるシャルロット。

衝撃で武器を落としてしまう。

 

「終わりだ!」

 

左手の電磁手刀を構えシャルロットを引き寄せるそのままシャルロットを貫くと重れたが飛んで来た物がマイクロチェーンを断ち切った。

 

(あれは打鉄のブレード?という事は!)

 

顔の右に凄まじい衝撃が走る。

頭に付いてるウサギの耳の様な形のセンサーが砕ける。

これ程のパワーの武装を持っているのは今アリーナにいる四機のうち打鉄赤龍だけ。

 

「足止めにもならんか、役立たずめ。」

 

角の方で伸びている箒を横目に吐き捨てた。

 

「言い残す事はそれだけか?」

 

シャルロットを助け起こしながら予断なく構えるケイタ。

 

「まあいい。二対一になったところで結果は変わらん!」

 

「言ってろ!」

 

「僕らが勝つ!」

 

 

 

4

「行け!左!そう!そこで援護射撃!行け!

ぶっ壊せー!ですわ!」

 

ナイトメアドーパントに魂を抜かれたっきり目覚めない鈴音をガクガクと譲りながらセシリアはモニター越しに

ケイタとシャルロットに声援を送っていた。

 

ラウラが遠距離攻撃を始めればシャルロットが敵を撹乱し

ケイタが切り込む隙を作り、

ラウラが切り込んで来ればケイタが身を挺して盾になり

シャルロットが遠距離から削っていく。

 

(よくたった一ヶ月でここまでのコンビネーションを仕上げましたわ!

何かコツとか有るんでしょうか?

だったら次こそ負けない為に是非ご教授願うとしましょう。)

 

それは待機室で見ていた一夏、心愛、簪、ロラン、海之、神楽、蓮も同じ意見だった。

三春だけは違う様だが

 

「二対一なんて卑怯だ。」

 

「篠ノ之を温存させる戦いを出来なかったボーデヴィッヒが悪い。」

 

「しかし本当に見事なコンビネーションだな。」

 

「あれの後でやらされると思うと自信ないですね。」

 

「四十院さん弱気だね?」

 

「私達が勝っちゃうよ〜?」

 

「ご安心を。負けるつもりは一切有りませんので。」

 

「こりゃ第二試合も見逃せないな。」

 

そんな風に軽い調子で呟く蓮だがどうにも不安が拭えないのだ。

 

(前回の自立型破壊ロボといい、

一月前のナイトメアドーパントといい、

どうにもこの学園は不吉だ。)

 

そう思えてならないのだ。何かは起こる。

もし起こるのなら飛び切りの厄ネタが。

そんな考えが顔に出かけた時だった。

 

《レン様、緊急事態です。

イニシエイト・クラック・シークエンスに酷似した方法でIS学園の防犯セキュリティが掌握されました。》

 

(!?……ファイブの、間明の仕業か?)

 

《断定には時間がかかりますが恐らく。》

 

(目的はなんだと思う?)

 

《そうですね、前回の無人機の様な兵器、

あるいはアドベントビーストやドーパントの様な怪人の投下などが予想されますが)

 

サードがそこまで言った所でウイングナイト、

スティング、アックスのアドベントデッキが耳鳴りの様な音を発し始めた。

 

「ちっ。最悪だ。手塚、更識聞こえたか?」

 

「うん。」

 

「ああ、バッチリとな。」

 

「聞こえた?どういう事だい簪?」

 

「俺たちが戻ってくるまで絶対に鏡とか鏡のかわりになる物に近づくなって事だ!手塚!念の為にこの場は頼む!」

 

「頼まれた!」

 

海之の声を背後に2人はデッキを構えて廊下に飛び出た。

近くの窓を見ると紫色のコブラのライダー、

ストライクが首を鳴らしながらこちらを見ていた。

背後には無数の群体タイプのアドベントビースト達が控えている。

 

「おいおい。パーティーにはまだまだ早い時間だぞ…。」

 

「本音の、仇!」

 

それぞれデッキを構えてポーズを取る。

 

「KAMEN-RIDER!」

 

「カメンライダー!」

 

ウイングナイトとアックスはそれぞれバイザーを引き抜き、

ビーストの群れとストライクに向かって行った。

 

<TRICK VENT>

 

分身を囮にウイングナイトは真っ直ぐストライクに向かった。

振るわれるダークバイザーが逆手に持ったベノバイザーで受け止められる。

 

「よう。はじめましてだな。」

 

「お会い出来て嬉しいよ。」

 

なんだかガサガサした気持ちの悪い機械で変換された声が返ってきた。

一種の動揺をつかれ、力負けし膝をつかされる。

 

「来ないのかい?ならこちらから。」

 

いきなり力を抜かれバランスを崩した所を蹴り飛ばされる。

 

<SWORD VENT>

 

ウイングナイトが立つまでの間にストライクは契約ビーストベノスネーカーの尾を模した突撃剣ベノサーベルを構える。

 

「はぁ!」

 

振り下ろされるベノサーベルを掻い潜りカウンターで寝たままでカポエイラの様なキックをバックルに当て、

そのまま上げた足を振り回した遠心力で立ち上がり、

バイザーにカードをベントインした。

 

<SWORD VENT>

 

ウイングランサーをを手に、ベノサーベルの荒々しい打撃を受け流しながら足払いや横回し蹴りなどのキック技で対抗した。

 

(サード、パターン計算。)

 

《はい、右上、左下、突き、右下、今です!》

 

繰り出された斬撃をウイングランサーの一番硬い持ち手の根本を守っているガードで受け閃光のような蹴りを左膝に放つ。

 

「ながっ!」

 

一瞬足を逆くの字に曲げられたとあっては流石のストライクも怯んだ様だ。

その隙を逃さず一歩下がり武器を持った腕の手首を蹴り上げる。

ベノサーベルはあらぬ方向に飛んでいった。

 

「トドメだ!」

 

ウイングランサーがストライクの脳天に振り下ろされる。

 

「ストライクゥウ!」

 

より前にベノサーベルとデストバイザーを構えたアックスが2人の間に割って入った。

 

「おいアックス!?」

 

「邪魔するな!こいつは、本音の仇は私が討つ!」

 

剣幕に圧倒されて動けなくなった一瞬に残っていた雑魚ビースト達に群がられる。

 

「しまった!待てアックス!せめて二対一で!くそッ!」

 

右、左。又は両方向から。ウイングナイトを無視してアックスの猛攻は続いた。

こいつだけはベントぐらいじゃあきたらない。

極上の痛みを味あわせてから捕まえて生身のまま嬲り殺してやる!

 

ありったけの殺意、憎悪、敵意を込めて繰り出される剣戟は確実にストライクを削っていた。

それはもう雑魚モンスターを相手にしながら見ているウイングナイトももしかしたら倒せるのでは?と思うほどに強烈だった。

 

しかし同時にこうも思った。

余りにもストライクが無抵抗じゃないか?と。

いくらアックスの剣幕が凄まじくとも、

むしろ凄まじいからこそ逃げ出そうとか、

なんとか立ち向かおうと思う物ではないのか?

 

「まさか、アックス戻れ!それは罠だ!」

 

しかしウイングナイトの叫び虚しくアックスは背後のウィンドウから現れたナイトメアドーパントに一瞬で魂を抜き取られて昏倒した。

 

「!?」

 

「ふふふ、よくやってくれたよ天々座ちゃん。

欲を言えばウイングナイト君やスティングちゃんも捕まえたかったけど、

そろそろ君のキャパシティが一杯か。」

 

(もうそんなに魂を吸収してるのか?

てかそんな事より今ストライクがあのドーパントの事を天々座って呼ばなかったか?)

 

動揺するウイングナイトにサードが答えた。

 

《以前閲覧したcode:W、仮面ライダーWの資料にはガイアメモリを使った精神体のみの実体化は可能と書かれていました。

恐らくそれの応用かと。》

 

(一番最初の犠牲者に見せかけた犯人ってわけか!

いや天々座も被害者だが。

兎に角奴が何をする気か知らんが不味いぞ!)

 

ストライクは魂の取り込み過ぎで思うように体を動かせなきなっているドーパントから幾人分かの魂を引っ張り抜くとナイトメアが入って来た鏡に向かう。

 

「ま、待て!」

 

ビーストに道を阻まれながらもなんとかストライクを追いかけようとするが上手くいかない。

 

「急いだ方がいい、

そのドーパントから核になってる魂を取り出した。

早く核を戻してそいつ自身の意思で変身解除させないとドーパントの身体に残ってる方の魂が昇天しちゃうよ?じゃあね。」

 

「な!待て!待てって言ってる!ストライク!」

 

『レン様大変です!気になってインターネットで調べてみました所、

理世様の通う学校でクラス一つの生徒全員が昏倒する怪事件が起きています。

急がなければ数十人の命が危ないです。』

 

「黙れサード!焦るだろう!」

 

<FINAL VENT>

 

こうなれば強行突破だ。

半端ヤケ気味にカードを切り、

雑魚ビーストの群れから脱出し、

ぐったりしているアックスを拾い上げるとストライクが出て行った鏡に手をかざす。

 

恐る恐る外の様子を伺う心愛が写っている。

そこにアックスとサードを投げ込んだ。

 

ケータイは投げる物ではありませーん!

とか聞こえたような気がしたが無視した。

次にストライクが行った先を探した。

そんなに離れてないのかすぐに見つかった。

 

(ケイタにコンスタン、てことはアリーナか!)

 

迷わず飛び込んだ。

 

「! 今度は蓮?なんだよ次から次に!」

 

「ほ、本当に何が…。」

 

見ると2人がかりでボコボコにされたのだろう。

ぱっと見でももう戦闘不能と判るほどに大破したシュヴァルツェア・レーゲンに埋もれるようにラウラが倒れている。

そこにストライクは蹲み込んだ。

 

「やあボーデヴィッヒちゃん。悔しくないかい?」

 

「悔…しい?」

 

「ああ。網島君に負けちゃったよ?今からでも挽回したくない?」

 

「あ、ああ。したい。私は…今すぐ力が欲しい!

どこまでも届く力が!」

 

「確かに聞いたよ。君の魂の叫び。じゃ、遠慮なく。」

 

そういうとストライクはスロットが3つ付いたダブルドライバーに酷似したドライバーをラウラにつけ、ガイアメモリの形になった魂をセットする。

 

変化はすぐに現れた。

飛び上がるように起き上がったラウラは頭を髪をちぎらん勢いで掻き毟りながら苦しみだした。

 

訳の分からない言葉を叫びながらまるで何か纏わり付くものを引き剥がすように暴れ出したが唐突に止まると、

先程とは打って変わって恐ろしい程の無表情で機械のような棒読みで告げた。

 

「Valkyrie Trace System boot」

 

「なんだと!」

 

「ダメ!」

 

2人が叫んだが動き出した機械(システム)は止まらない。

 

「今日から君が織斑千冬だ!」

 

グニャリ。

ストライクの言葉と共にラウラの纏うシュヴァルツェア・レーゲンが黒い液体に溶けた。

それはラウラを取り込むとISに関わる物なら絶対に知っている姿へと変身した。

 

「千冬さん?」

 

専用機、暮桜を纏った千冬になった。

しかし変化はそれに止まらない。

 

まず剣を、専用武器の雪片を持っていなかった方の左腕が異様に盛り上がり獣を思わせる爪を持った物にかわる。

 

手のひらから、その豪腕ならぬ巨腕に対してだが、やや小ぶりな戦斧が現れる。

 

次に顔だ。

右目が異様に膨れ上がりまるで銃のスコープの様な物が現れた。

 

続いて背中から折れた猛禽類の翼の様な物が生えて、

最後に足が、所々鱗の付いた剥き出しの筋肉の様な質感に変わり、

バッタとも恐竜ともドラゴンともつかない逆くの字の形に変わる。

 

変わり果てる。

 

「これが織斑千冬?なんの冗談だ?」

 

「いや、蓮。これ冗談でもなんでもなくマジだよ。」

 

「こんなの、私達にどうしろって言うの?」

 

気が付けばストライクの姿は消えていた。

3人の前にはもう手遅れなんじゃないかと思える異形、

それも尋常じゃない殺意を発している、のみ。

どうする?なんとか逃げて応援を待つか?

そう3人全員が思ったのだが

 

『ケイタ、アキヤマ、シャルロット・コンスタン。

最悪の知らせだ。アリーナのセキュリティーが何者かに掌握された。

応援も来ないし、逃げ出すことも出来ない。』

 

「嘘だろ?」

 

「██▅▅▅▃▄▄▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅▃▃██▅▅▅▃▄▄▅▅▅███▅▅▅▃▄▄▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅▅▃▃▄▅▅▅━━━━!!!!!」

 

3人は一斉に散ってなんとかその嵐そのものの様な斬撃を伴う突進を避ける。

アリーナの壁に激突したラウラだった化け物はアリーナ全体を震わせながら壁にめり込んだ。

 

「自滅?」

 

「油断するなすぐ来るぞ!」

 

怪物は健在だった。殺意も力もまるで衰えていない。

地獄はまだ始まったばかりだとでも言う様に、

奴は走り出した。疾り出した。




ラウラだった化け物「███▅▅▅▃▄▄▅!!」

ケイタ「ねえ大丈夫なの!これ本当に大丈夫なの!?」

サード『現時点ではなんとも!
次回、infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来Fake number Four その9!』

ケイタ「戦わなければ生き残れない!
てかこんなん戦ったところで勝てるのかよ!」

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