infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「はぁ、はぁ、はぁ、、。そろそろ足止めも限界だぞ?
単一仕様が使えるようになったからって必ず勝てる訳じゃ無いんだ!」

マシュ「安心してください網島さん!
私達と新兵器がどうにかします!」

ケイタ「新兵器?」

立香「ああ、ケータイ捜査官7ファン待望のあのマシンが堂々登場だ!」

ケイタ「よくわかんないけど頼みます先輩方!」

マシュ「頼まれました!行きましょう!」

立香「さてさてどうなる?」


Fake number Four その10

1

時間を少し遡り、立香とマシュのラボにウイングナイトは到着した。

サードから作戦があると聞いていたがどの様なものだろうか?

 

(この際ケイタとセブンとコンスタンが無事なら何でもいい!)

 

変身したままラボの奥まで急いだ。

 

「おいお前らさっき聞いた作戦ってのは確かな物…………お前ら何やってる?」

 

彼が見た光景をありのままに説明すると川の字に敷かれた布団の一番右と真ん中に変身したままのアックスとスティングが寝ていてその周りをそれ以外の面々がそれはそれは真剣な顔で見下ろしていたからだ。

 

「あ、レン来たね!」

 

「本当にアキヤマ先輩なんですね……。

では早速ここに寝てください。」

 

「いや待ってくれ要領を得ない。

時間がないのは重々承知しているが最低限の説明をしてくれ。」

 

「これを使ってあのシュヴァルツェア・レーゲンだったものにアクセスする。」

 

「藤丸それ! ブーストPCソリッドドライバーか?

まだトライアル段階と聞いていたが?」

 

「まだ完全版前の試作機、これが最終案の最有力だけど。

ゼロワンに協力して貰って実用試験をしてたんだ。」

 

「だから授業中時々いなかったのね。」

 

『黙っていてすまんな。

どこで誰が聞いているか分からんものでな。』

 

「気にしてないよ、でもこれって結局何が出来るの?」

 

「ブーストフォン及びフォンブレイバーの機能増幅装置、

そして二つのブーストフォンを同時に着身できるデュアルブースト機能を搭載し、それにより強いハッキングやISの電脳ダイブの補助も可能です。」

 

「つまり今回は頭数あるアドベントデッキをISのかわりにしてあの暮桜擬きに電脳ダイブして内側からパイロットを引っ張り出そうって事か。」

 

『その通りです。

しかしその間無防備になるレン様達を守るのにロランツィーネ様が、

外部からのサイバー攻撃からシステムを守る為にわたくしが、

そして実際にブーストPCを使うゼロワンとその補助に立香様と神楽様、

オペレーターにマシュ様と心愛様が行うため人数ギリギリ、時間的にも一度の勝負になります。

よろしいですか?』

 

「よろしいも何もない。昔あった小児科医志望の天才ゲーマーが言ってた。

そこにゲームがあるからプレイしてクリアするのがゲーマーだってな。」

 

始めてくれ。

ウイングナイトはそう言って最後の布団に寝転んだ。

 

「行くよゼロワン!ソリッドドライバー着身!

サードはアナライザーを!」

 

『任せろバディ、ソリッドドライバー着身!』

 

『了解です。アナライザー着身!』

 

『『着身完了!』』

 

ゼロワンは変形したソリッドに座る様に合体し、

サードは一夏とゼロワンから借り受けたアナライザーを身に纒う。

 

『セキュリティはわたくしが守りきります。』

 

『頼んだぞサード。

とんだデビュー戦になったなソリッドドライバー、

行くぞ!ウイングナイト、スティング、アックスのアドベントデッキの同期……同期完了。

仮称暮桜擬きのパイロットの精神世界(アンダーワールド)にアクセス。

深層まで5…4…3………電脳ダイブ、開始!』

 

 

 

2

手塚海之が目を覚ますとそこは新月の夜だった。

周りには人口の明かりも少なく満天の星空が広がっている。

 

「ここは、何処かの駅か?にしても誰も居ないな。」

 

近くにあった階段を降る。

そこそこ大きい駅なのか他の路線との連絡口に降りた。

何処か違う路線に誰か居ないか?

 

「手塚!」

 

「秋山居たか!その白いジャケットは私服か?

学校の制服とラビットハウスの制服しか見てないから新鮮だな。」

 

「お前こそホワイトロリータとは可愛らしい趣味だな。」

 

「今気づいたが一番気に入ってるやつだ。」

 

「取り敢えず電脳ダイブ自体は成功したみたいだな…。」

 

「だが簪達が見当たらないな。」

 

どうしたものかと考えていると唐突に2人のスマートフォンが鳴った。

 

「もしもし?」

 

『あ!良かった繋がった!蓮君!』

 

「心愛か?今どうなってる?」

 

『仮面ライダーが川の字になって寝てるシュールな光景が』

 

「いや物理的な状態じゃなくて俺たちは他の奴らと魂が混じったりしてないかって話だ。」

 

『それは大丈夫!

ゼロワンと神楽ちゃんと立香さんが頑張ってくれてる。

2人は今皆の魂の繋ぎ目にいるみたい。』

 

「魂の繋ぎ目?……成る程そうゆう事か。

心愛、こっちの状態が見えてるか分からんが俺たちは今駅の連絡口みたいな所にいる。

多分他の路線に乗れば他の奴の精神世界(アンダーワールド)に行けるはずだ。

通話を切らないでくれ、何かトラブルが有ればすぐに知らせろ。」

 

一度電話から耳を離しマイク部分を押さえる。

 

「手塚、聞いてたか?」

 

「マシュさんからおおよその話は聞いた。

さっき君は何番線から来た?」

 

「1、2番線だ。お前は?」

 

「9、10番線だ。なら君は3、4番線を私は7、8番線に行く。

先に片付けた方が5、6番線をあたる。どうだ?」

 

「了解した。無事でいろよ?」

 

「君もな。」

 

 

 

3

蓮が3、4番線のホームに付くと既に蒸気機関車が到着していた。

 

「アキツネが両手を上げて喜びそうだな。」

 

『アキツネさんって?』

 

「俺の部下だ。今度機会があれば会わしてやるよ。」

 

ケータイを通話中にしたまま蓮は機関車に乗り込んだ。

汽笛と共に発車する。

窓の外を見ると小さな女の子と両親と思われる3人が遊んでいる。

 

(案外誰かの思い出の一コマなのかな?)

 

少し頬を緩ませているとトンネルが近づいて来た。

窓を閉めて外に出るのを待つ。

しばらくすると駅に着いた。

ホームに降りると巨大な風車がついたシンボルタワーが見えた。

 

「風都タワー……ここは鳳の世界か。」

 

 

 

4

7、8番線は何故か地下鉄になっていた。

連絡口から階段を登って出た筈だが、

夢の中だしなんでもありだなと納得するしか無い。

 

『もしもし?何か問題でもありましたか?』

 

マシュから通信が入る。心愛は蓮についている様だ。

 

「いやなんでも。

ただここが夢の中みたいな物だと理解しただけだ。」

 

考えていても仕方ない。

電車に乗り込み二駅程行くと終点に着いた。

 

ホームに降り、階段を上がって地上に出る。

 

「あれは学校、IS学園ではない様だな。」

 

綺麗な白い壁の上品そうな学校で、偏差値や学費も高そうだ。

 

「しかし夢だとわかっていても誰もいない校舎というのは不気味だな。」

 

『私は学校に通った事が無いので分かりませんが、

そういった物なのですか?』

 

「!? あー、少しデリケートな質問をしていいだろうか?」

 

『? なんでしょう?』

 

「勉強は誰から教わったんだ?」

 

『お母様とアンダーアンカーの水戸博士からです。

お母様は歴史学者だったので古今東西の歴史を教えていただきました。

水戸博士からは機械工学を教わりました。』

 

「そうか、ご両親を大切にな。」

 

『はい!』

 

かなり罪悪感の様なものを感じながらドアを調べていくが何処も鍵がかかって開かない。

 

「なんで建物はこんなに広いのに空いてるドアが無いんだ?」

 

『恐らくこの精神世界を構築している人物の記憶にないからでは無いでしょうか?』

 

「成る程、ならドアが開くところには必ず何かがあるな。」

 

一番上の階から順番にドアが開くか試していく。

三階の三年六組の教室で漸く開いた。

 

「あれは、簪か。」

 

今の簪よりも少し背が低い様に感じるが儚げな横顔はあまり変わってない様。

紺色のブレザーが少しキツそうだ。

胸の花を見るに卒業式の後らしい。

 

「お嬢!どうしたんですかしけた顔しちゃって!」

 

物憂げに俯いていた簪の背後から着崩したブレザー姿の茶髪の少年が明るく話しかけてた。

心なしか簪の顔が少し明るくなった気がする。

 

「健……。」

 

「ほら帰りましょう?

明日から早速寮に持ってく荷物選んだり色々あるんでしょ?」

 

そう言って健は右手を差し出した。

しかし手を取れず増す増す下を向く簪。

 

「もう……何も心配することありませんよ!

お嬢ならすぐに友達沢山できますって!

本音も行くし、若様や虚さんだって居るじゃないすっか!

それにお嬢美人ですし言い寄ってくる女の子だって居るかも「ダメ!」しれな……え?」

 

ガタッ!と立ち上がる簪。呆気に取られる健。

 

「えっと。その、まさか居るんですかその、好きな人。」

 

躊躇いがちにだが切り込む様に健は尋ねた。

真っ赤になってそっぽを向く簪。

 

「け、健には!関係…無いよ。」

 

「! そうっすか…。」

 

何処か残念そうに肩を落としながら健は出て行った。

 

「………。」

 

沈黙したまま海之は見送った。

 

「あの時私はお姉ちゃんが自力でISを完成させたって事やロシアのIS代表になったプレッシャーで卑屈になってた。」

 

振り返ると簪の姿がISの制服に変わっていた。

 

「今のままじゃ所詮私は更識楯無の保険。

ただのバックアップ。

せっかく手に入れたライダーの力も使いこなせない。

そんな風に思ってた。」

 

一歩、二歩と簪は海之に迫って来た。

後一歩踏み込めば手が届くくらいの距離で止まる。

 

「今は助けてくれる人も大勢いて、

良いところも少しはあるかな?って思える。

けど仮面ライダーストライクを、

本音の仇を打てるなら相討ちになってもいいって思う。

これって悪い事?」

 

そこまで簪が言った所でピシッ!と

まるで一時停止のボタンが押されたTV画面の様に景色が動かなくなり、

かわりに簪と海之の間に『Yes』『No』と書かれたボードの様なものが現れる。

 

「なんだこれ?」

 

『恐らく、ノベルゲームの様なものだと思います。』

 

「ノベルゲーム?なんだそれ?」

 

『シナリオを読み進めながら途中にある選択肢を選んで結末が変わっていくゲームです。

ゲーム全般が苦手な私でも気軽に遊べるゲームで先輩に13歳の誕生日の時に貰って今でもよく遊びますね。』

 

「ふざけよって。」

 

吐き捨てると海之は改めて浮遊する選択肢を見つめた。

 

「……答えはNoだ。簪は何も悪くない。」

 

「なんで?」

 

動き出した簪が上目遣いにこちらを見る。

真っ直ぐに見つめ返した。

 

「私も思い出した様に雄一を喰い殺したエビルダイバーを憎む時がある。

結局私がやってる事は正しいのか?と思う時ぐらいある。

それは人ならば当たり前に思う事だ。

簪だけじゃ無い。

それに、殿方には一歩引いてるぐらいが言質をとりやすいぞ?」

 

最後に一言冗談めかして言った時視界が真っ白に染まった。

 

 

 

5

蓮は駅から出ると足の向くままにひたすら進んだ。当てなんてないならなる様になれと思ったからだ。

 

(この世界は鳳の記憶をベースにしてるのか?

ならよく覚えてない街の住人まで再現されていないのは納得だ。)

 

誰もいない街はベンタラを行き来しているお陰で慣れっこだった。

 

「心愛、外の様子はどうだ?」

 

『変わった事はないよ?』

 

「なら良い。」

 

時々そんな会話をしながら練り歩いていると高速道路の下に作られた小さな公園が見えた。

 

「! 人がいる。」

 

バスケットゴールで6人ほどの小学生が遊んでいた。

 

「あれはケイタ!?って事はあっちが一夏であいつが鳳か。」

 

学校から直で来たのかゴールの下にはランドセルが積み重ねられている。

 

『私も小ちゃいみんな見たいよー。』

 

「今度アルバムでも見せて貰え。」

 

素っ気なく答えて蓮は積み上げられていたランドセルを一つ取る。

6人はレンに気付いて無いかのようにバスケットを続けている。

蓮も気にせず蓋を開けて小学校の住所を確認し、

電柱やアパートに書かれた番地を頼りに向かった。

 

「ここがケイタ達の母校か。

心愛、一つ一夏に確認してくれ。」

 

『何?』

 

「鳳が初めて日本に来たのっていつだ?」

 

『わかった。一夏ちゃーん!

鈴ちゃんが初めて日本に来たのっていつ?

わかったありがとう!

小学校の五年生の時だって。』

 

「よし来た。」

 

空きっぱなしになっている校門をくぐり、

地図を確認して真っ直ぐに五年生の教室のある階に向かった。

 

「あいつ何言ってるかわかんないよな」

 

「早口で気持ち悪いし」

 

「中国人ってみんな自己中らしいじゃん?」

 

一番階段に近い部屋に入って見ると30人近くののっぺらぼうがカゴメカゴメのような形で鈴音を取り囲んでいた。

真ん中にいる鈴音は顔を伏せて体育座りしており表情は見えない。

 

『酷い…。』

 

「言葉は壁、か。」

 

もし一度でもこんな状態に置かれた後で一緒に遊ぼう。

と親切にされたらそれはそれは嬉しいのだろう。

ケイタや一夏にあそこまでの親愛を抱き、

三春にあれだけの憎悪を向けるのも納得だ。

 

「ある意味こいつらは織斑よりタチが悪いがな。」

 

精神世界でも持ってこれていたスタームルガーを構え1人ずつ頭を撃ち抜いていく。

3回目にリロードした弾を使い切って時ちょうど全てののっぺらぼうを倒した。

 

「鳳行くぞ。ケイタ達が待ってる。」

 

ビクッ!と鈴音が震えた。

恐る恐るあげられた顔は泣きはらしたのか涙の跡がくっきり残り、目は真っ赤だ。

 

「いや。」

 

「なんでだ?ケイタ達はさっき俺が殺した奴らとは違うぞ?」

 

「ケイタ達は信頼してる。

だから今は合わせる顔がない。」

 

「合わせる顔がない?」

 

思わず鸚鵡返しで聞き返した。

 

『そんな事無いよ鈴ちゃんはいい人じゃん!』

 

「そんな事ある!……私弱いし、

ラウラの奴にも言い返せなかったし。

ずーっと昔の事引きずってるし。

平気で自分を押えらんないで手が出るやな女。」

 

そう言って自嘲気味に嗤った。

蓮の中にあった快活で豪胆な鈴音のイメージとかけ離れた感じとも思ったが、彼女もまた普通に傷付く少女という事か。

 

「ねえ、私みたいな悪い奴消えた方がいい。そう思わない?」

 

ピシッ!と部屋の空気が、

景色が、鈴音自身が一斉に固まり、

蓮の前に『Yes』『No』と書かれたパネルが出現した。

 

「なんだこのクイズ番組みたいなノリは。」

 

面白くない。吐き捨てると蓮は迷わず選んだ。

 

「ああ、お前はやな女だ。」

 

『ヴェ!?蓮君ちょっと!』

 

「やっぱりね…。」

 

「ただしお前は自己評価がまるで出来てない。」

 

「?」

 

予想外の反応に思わず顔を上げる鈴音。

蓮はまくし立てるように続けた。

 

「結局お前は怖くなっただけだ!

今の自分はケイタに嫌われないか?

一夏の気に障らないか?

他の3人に会った時に失望されないか。

そればっか気にして勝手に自分をすり減らしてただけだ。」

 

鈴音の胸ぐらを掴み無理やり立たせ怒鳴り散らした。

 

「シャキッとしろ!そんなんでどうする!

自分のやってる事が正しいかなんて自分が信じなくてどうする!

たとえ黒でも自分が白って言ったなら白になるぐらいの気持ちで行け!

何もかもがそれで良いって訳じゃないが、

自分が一番嫌いな奴らの意見ぐらいへし折ってやれ!」

 

そこまで叫ぶと急に蓮の視界は奪われた。

衝撃のような物が全身を襲ったのを最後に意識を手放した。

 

 

 

6

「ん……」

 

眠そうに目を擦りながら起き上がる。

蓮は今まで自分がモノレールに乗っていた事に気付いた。

 

「あれからどれだけ時間が…もしもし心愛?」

 

通話しっぱなしにしていたはずのケータイに呼びかけて見るが砂嵐の音が聞こえるばかりで繋がらない。

 

Fuke it(くそが)

 

通話を諦めケータイを切るって辺りを見まわす。

反対側のシートに簪、海之、鈴音が寄りかかり合いながら寝ていた。

 

「おい、起きろ。起きろ!」

 

「ぐぅ…ん?秋山?ここは?」

 

「多分5、6番線だ。もうすぐ駅に着く2人を起こすぞ。」

 

「ああ。簪、鈴音!」

 

「んん、、。後5分…。」

 

「早くしろ!」

 

まだ頭の覚醒しきってない2人を引っ張りホームに降りた。

 

「あれは木組みの街?」

 

「て事はここが天々座の世界か。」

 

蓮は眼下に広がる木組みの街に確かな違和感を感じ、

用心のためスタームルガーに新たな銃弾を装填した。

 

「手塚、2人を連れて連絡口まで戻ってくれ。

ここは俺に任せろ。」

 

「? 2人、なんなら4人であたった方が早くすまないか?」

 

「この世界では何故か心愛達と通信出来ない。

もし万が一全滅したら救援要請さえ出来ない。

それだけは避けるべきだ。

あと付け加えるならそこのお眠ちゃん2人が役に立つとは到底思えん。」

 

「あふぅ……。」

 

「………寝てない!ねて、ないよ?」

 

「………わかった。必ず助けて来いよ?」

 

「無論だ。」

 

反対側のモノレールに3人が乗り込んだのを確認すると蓮は駅の外に出た。

蓮のよく知る木組みの街その物だ。

他の世界と同じ様に人っ子ひとりいないきみ悪さがあるが。

そんな中ようやく見つけた人影に蓮は驚いた。

 

「ん!? あれって俺か?」

 

ツンツンに逆立てた髪に黒ずくめの衣装は間違いなく自分だった。

確かサードと出会ったばかりの頃の、

サードと初めて任務にあたった時の事だ。

 

(さっきの鈴音の感じから察するにこの世界は人の闇を固めた、

踏み込まれたくない領域だ。

心の傷と言い換えても良い。

つまり数少ない登場人物はその世界の人間を傷つけた何かである筈だ。)

 

そう確信した蓮は躊躇いなく過去の自分の形をしたアバターを撃った。

 

脳漿を撒き散らしながら崩れ落ちる。

しばらくは見下ろしていたがやがてラビットハウスに向かって歩き出した。

誰もすれ違わずに辿り着いた。

 

見慣れたドアわ開けて店内に入る。

ついいつもの癖でただいまと言いそうになったがなんとか耐えた。

 

「いらっしゃいませ。」

 

智乃が無愛想に挨拶して来た。

 

「えらいけったいなカフェやな。」

 

「余計なお世話です。」

 

確か始めて来た時と全く同じやり取りをして席についた。

確かあの時はカプチーノを頼んだ気がするが今回は気分でアイスティーを頼んでみる。

 

しばらくして理世が運んで来た。

 

「おまちどうさま、隣いいかい?」

 

「構わん」

 

あまりに客がい無くて退屈なのか、

理世が隣に座って来た。

 

「この街は初めてかい?」

 

「ああ。」

 

「来た理由は?」

 

蓮は思い出した。確かこの時、

というかこの頃の蓮は滅茶苦茶荒れていて心のない事を言ってしまった様な気がする。

 

「? どうした?」

 

黙り込んだ蓮を不審に思ったのか理世が蓮の顔を覗き込む。

 

「いやなんでもない。この街にはフラッと寄っただけだ。」

 

「そうか、どこに行くつもりなんだ?」

 

「罪を償いに、かな?」

 

椅子を動かし理世の方を向く。

 

「天々座、俺はあの時お前に何を言ったか思い出せん。

だがこれだけは言っておく。

ラビットハウスにもうお前の事を悪く思ったり傷付けようと思う奴は居ない。

相談くらいならいくらでものるし、助ける。

だから他人を巻き込むな。」

 

理世が首を傾げる。

その首筋にガイアメモリの生体スロットが刻印されている。

 

「変身を解除しろ。」

 

ガク。と俯く理世しばらくして今にも泣きそうな、

しかし乾ききった目の顔を上げた。

 

「いやだよ。僕はみんなと一緒にいる。

邪魔する奴は倒す!」

 

<NIGHTMARE>

 

いきなり立ち上がると理世はナイトメアドーパントに変身した。

 

「奇遇だな。俺もだ。」

 

迫り来るナイトメアドーパントを転がりながら避け、

取り出したデッキをVバックルにセット。

 

「KAMEN-RIDER!」

 

ウイングナイトに変身してCQCをベースにした近接格闘を繰り出すナイトメアにカポエイラをベースにしたキック主体の技で迎え撃った。

 

時に椅子やテーブルを足場にキックと打撃の応酬が続く。

 

「嗜み程度にやってるかと思えば中々やるじゃないか。

見直したぜ。」

 

「ふん!男女にはお似合いだよ!」

 

虚をついて拘束用のネットを投げるナイトメア、

ウイングナイトは自分の十八番で答えた。

 

<TRICK VENT>

 

五人に分身し、一人をネットの生贄に、

二人が残り二人を持ち上げ、ダブルキックを仕掛ける。

吹っ飛ばされたナイトメアがガラスを突き破り外に出る。

ウイングナイトも続いて飛び出た。

 

「どうやら最終手段を取る必要があるみたいだ。」

 

「最終、手段?」

今までマウントしたままだったバイザーを引き抜き、

デッキからファイナルベントのカードを引き抜く。

 

「文字通りの切り札さ!はぁああああああ!」

 

思わず目を伏せるナイトメア。

しかしいつまで経っても刃が振り下ろされる事はなかった。

恐る恐る目を開けると変身を解除して生身に戻った蓮が頭を下げていた。

 

「な、なんだよ、それ?」

 

「謝る。俺のタイプじゃないが、お前もいい女だよ。」

 

「! そ、そんなんで私が許すとでも!?」

 

「ここまでやって俺の顔を立てない様な奴じゃない。」

 

じゃあ急ぐんでな。そう言うと蓮は背中を向けて駅に向かった。

 

「待て!…その無防備な背中を攻撃しても良いんだぞ?」

 

「お前はそんな悪人じゃ無い。」

 

今度こそ蓮は駅に向かった。

 

 

 

7

蓮に遅れて理世が連絡口に着いた時、

そこには異様な光景があった。

 

「来たか天々座。」

 

「あ、ああ。その…いつからここはヒーローショーの会場になったんだ?」

 

何故かライダーに変身出来る3人はライダーに、

鈴音はISを鎧っている。

 

「まずここが精神世界なのはわかるか?」

 

「…夢の中みたいなものって事か?」

 

「ああ、それでこの世界はお前と鳳と更識。

あとボーデヴィッヒって奴の記憶から成り立っている。

だからそこに入り込んだ俺と手塚以外にもう一つ精神世界がある筈なんだが、どこにも入口が見当たらなくてな。」

 

「だから適当に壁とか壊せばどうにかなるかなー?

って思ってたんだけど」

 

双天牙月を見せる鈴音。

 

「傷一つ、ヒビ一つ付かない。」

 

デストクローを見せるアックス。

 

「脳筋過ぎるないか?」

 

3人は変身を、鈴音はISを解除する。

 

「いや勿論それ以外も色々試したんだがまるで手応えがなくてな。

外からも調べてもらっているんだが」

 

『今の所原因は不明です。』

 

海之の持つケータイ越しにマシュがすまなそうに言った。

 

「つまり万策尽きたのか?」

 

四人が気まずそうに目を逸らす。

理世は思わずこめかみを抑えた。

 

「何かないか天々座?」

 

「貴女だけが頼り。」

 

「そう言われても…。

持ってこれた物と言えばこのガイアメモリぐらいだぞ?」

 

「それ抜き取れたのか?」

 

「意外と簡単に。」

 

「ナイトメアメモリ…それだ!」

 

ぱん!と手を叩き理世の方を振り向く海之。

 

「な、なんだ?」

 

「そのメモリを使ってラウラの夢にアクセス出来ないか?」

 

「成る程、もしもし心愛聞いてたか?

翔太郎先生に確認とってくれ。」

 

『ラジャー!』

 

「心愛!心愛なのか?」

 

『理世ちゃん?理世ちゃんだ!理世ちゃん!』

 

「感動の再会は目覚めてからにしてくれ。」

 

翔太郎に確認を取ると、

ナイトメアは本来夢にダイブしてそれを都合良く書き換えるメモリとの事だった。

 

「それじゃあ、やるぞ?」

 

「頼んだ。」

 

「OK」

 

「よろしく頼む。」

 

「やっちゃって!」

 

<NIGHTMARE>

 

スイッチを押してハリボテの改札にメモリを突き立てる。

バキバキ!とメモリが割れて喰われる様に砕け散ると改札が通れる様になり五人は雪崩れ込む様に進んだ。

 

 

 

8

ラウラ・ボーデヴィッヒは人造人間(キカイ)だ。

 

優秀な人間のDNAを元に合成され、鉄の子宮から産み落とされた。

 

彼女は初めから死んでいた。

ただ人を殺す事だけを命じられその為だけの技術を身につけさせられた。

その扱いは拳銃やナイフとそう変わらなかった。

 

そんな事情が変わったのはISが出来てからだ。

戦える女性という事でラウラは重宝された。

目の生体型ハイパーセンサーの移植に失敗し、

ISの訓練で結果を出せなくなるまでは。

 

そこからラウラはエリートコースから真っ逆さまに転がり落ちていった。

特に何も感じなかった。

そんなながら唯一ラウラに手を差し伸べた人間がいた。

雇われ教官としてドイツ軍に来ていた千冬だった。

 

「私がお前を鍛え直してやる。」

 

ラウラとしては別に千冬に命令されたから従うぐらいの感覚だったが、

あまりに熱心な千冬に次第に認められたいと思うようになり、

自ら訓練に打ち込む様になった。

 

そして千冬の契約期間が満了になる頃にはISの特殊部隊の隊長に抜擢されるまでになった。

千冬がドイツをさる直前、ラウラは思い切って千冬に聞いてみたことがあった。

 

「教官の向上心の源はなんですか?」

 

一瞬驚いた様な顔をした千冬はすぐに見た事ない様な柔和な笑顔になるとこう言った。

 

「そうだな、眼に入れても痛くないあのひよっこどもかな?」

 

秘密だぞ?と言うと千冬は去って行った。

ラウラは許せなかった。

千冬があんな顔をするのが。

千冬を汚された様な気がした。

 

「必ず証明する。教官の栄光を汚した様なお荷物が教官を弱くする要因でしかないと!」

 

その想いを胸にラウラはIS学園にやって来た。

 

「で、あの蛇仮面に良い様に利用されてこのザマって訳?」

 

「鳳お前言い方…。」

 

まあ唯一実害を受けてるし仕方ないかと思い直す。

 

「ああ、教官の期待に応えるどころか無様に生恥を晒しているよ。」

 

5人の前に黒いタールの様な何かに絡みつかれ捕まったラウラが語りかける。

 

「結局私は最初から生きても死んでもいない人形だったんだ。」

 

がくりと項垂れラウラは動かなくなった。

 

「ラウラ?」

 

名前を呼びながら顔を覗き込む簪、

余りに力のない顔に思わず後ずさる。

 

「ドイツはホムンクルス系の研究が活発とは聞いていたがこれ程とはな。」

 

蓮は呟いた。それだけだった。

流石にかける言葉が見つからない。

明確に悪い奴が居るならそいつのせいにすることが出来るしラウラが悪いならラウラを叱り飛ばす事が出来るが彼女の場合間が悪かったとしか言いようが無いからだ。

 

どうにかしなければと思いつつも何も出来ずにしばらく経った時。

 

『手塚さん聞こえますか?』

 

「マシュさん?」

 

『ラウラさんとかわって下さい。』

 

言われた通りにラウラの耳にケータイを当てる。

 

『もしもし?』

 

「……。」

 

『貴女は誰ですか?』

 

「?」

 

『貴女はドイツ軍の兵器ですか?

それとも織斑千冬さんの弟子ですか?』

 

「……。」

 

『貴女はそれでいいんですか?

そんなんで織斑千冬さんに胸を晴れるんですか!?』

 

「胸を、はる?」

 

『そうです!

今貴女がやってる事は千冬さんを裏切ってはいませんか!?』

 

「教官、を?』

 

『上部だけの物理的強さにばかり目を向けているんじゃありませんか!』

 

「上部だけの、強さ、だと?」

 

『そうです!

それしか無かったから計算外の事態に対応出来ずに網島さん達に負けたんです!

奇跡に期待できるのが人間性です!

それは自分以外に誰かがいて始めて出来る事です!』

 

「誰かが、いて?」

 

『どんなに強いヒーローだって必ず側に誰かがいます!』

 

「教官、にも、、か?」

 

『当たり前です!』

 

「なら私は、最初から負けて、、いたのか。そうか…。」

 

悲しげな、しかしどこかスッキリした顔をすると周囲の景色が無に変える。

 

任務完了。

 

全員が自分の体に帰還した。




ケイタ「いかがだったでしょうか?」

マシュ「次回で最後ぐらいですね。」

立香「なんだかんだで一番長いエピソードになったね。」

ケイタ「それは今回がって事?
それともFake number Fourがってこと?」

立香「両方かな?」

(ED WAKE YOU UP ケータイ捜査官7)

マシュ「そろそろ時間ですね。
次回!Fake number Four その11!」

ケイタ「戦わなければ生き残れない!」
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