infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「さて、前回までは間明の奴があのアバズレ新聞部を化け物にしたとこまでだっけ?」
一夏「け、ケイタ言葉選びなよ。」
ラウラ「あばずれ?とはいったいどうゆう意味」
一夏「ラウラは知らなくていいから。」
ラウラ「え?あぁ…。」
ケイタ「そして主役なのに俺の出番はまったくない。」
一夏「大丈夫!私やラウラもだから!」
ラウラ「じゃあなんで私達ここに?」
一夏「あーもーさっきから何!さっさと初めて!」


Gossips or true news その3

1

「今朝は上手く逃げられちゃったわね。」

 

誰に見せる訳でもなく反省 と書かれた扇子を広げるのは生徒会長更識楯無。

彼女はこれから新聞部に、

脅迫用の記事を作るよう頼んだ黛薫子の元に向かっていた。

 

(あの子の記事、たまに誇張が過ぎる時があるから困るのよね。)

 

気のいい友人なのだが、と心で付け足し新聞部の部室を目指す。

 

「あれ?鍵かかってる。」

 

おかしいわね?と首を傾げながらノックをする。

 

「薫子?居ないの?」

 

「ウ?ウゥゥウゥ…」

 

ガサガサと耳に残る気持ち悪い声が聞こえてくる。

とてもではないが人間の声ではない。

 

「はいるわよ!」

 

自身の専用機ミステリアス・レディを起動して変幻自在のナノマシンを通した水を鍵型に変形させて扉を開ける。

 

そこには繭の様な物に覆われて倒れている黛と騎士の様なボディーに歪んだ笑顔の様な面と女性のデスマスクの様な左腕の怪人、ペルセウスゾディアーツが立っていた。

 

「な!あなたどこから!?」

 

「██▅▃▃▄?」

 

声になってない声を発しながら剣を構えるペルセウスゾディアーツ。

 

「よく分かんないけど、やるしか無い感じ?」

 

出現させた槍と剣がぶつかり合う。

同じ頃、ベンタラでも一つの戦闘が起こっていた。

 

ウイングナイトとトラストだ。

新聞部の様子をベンタラ越しに見ようとして、

最悪黛を脅迫し返して黙らせようと考えていた為、

他のメンバーに黙って行ったのが

 

「ようやく見つけた!戦え!私と戦え!」

 

「!?」

 

運悪くトラストとエンカウントしてしまったのだ。

 

トラストはゼイビアックスに脅迫されて以来、

敵を求めて、ライダーを倒さなければという脅迫観念に追い詰められ半ば暴走状態になっていた。

 

「お前本気か?

俺を倒した所でゼイビアックスが約束を守る保証なんてないぞ。」

 

「この戦いにゼイビアックスは関係ない!

これはブラッド・バレットの戦いだ!」

 

<STRIKE VENT>

 

メタルホーンを呼びだす。

どうやら一旦頭を冷やさせないと始まらないらしい。

 

<SWORD VENT>

 

ウイングランサーとメタルホーンが火花を散らす。

もともとパワーファイターのトラストの猛攻は凄まじかった。

 

元々スピード特化で筋力がそこまででもないウイングナイトは苦戦を強いられた。

不意打ちで放たれた蹴りがウイングナイトの胸部アーマーにまともに入る。

吹っ飛ばされて地球側に出た。

 

「ぐぅ!」

 

飛び出た先は楯無とペルセウスゾディアーツが戦っている場所だった。

 

(また新しい怪人だと?)

 

《それに生徒会長様まで…本日は会いたくない敵によく会いますね。》

 

(最悪だな!)

 

気色悪い左手を伸ばすペルセウスゾディアーツ。

 

ウイングランサーで受けるが、

触られた箇所からだんだん色が変わっていく。

 

(これは触んない方が良いか!)

 

腹部を蹴って怯ませると楯無の手を引いて距離を取った。

 

「協力してくれるの?」

 

また例によって喋るわけにはいかないので無言で頷く。

 

「ありがとう。これで二対一になったけど作戦とかある?」

 

ペルセウスゾディアーツを倒すために連帯を取るためという口実でウイングナイトの話し方や声から正体を探るつもりらしい。

 

「ちっ!」

 

「ちっ!って…そんなに私と組むの嫌?」

 

素早く頷き、バイザーを構える。

ペルセウスゾディアーツも剣を構えて突っ込んで来た。

 

「あーもー!仕方ない!

何があってもあなたは左から!

私は右から行くわ!」

 

頷くとウイングナイトはペルセウスゾディアーツの剣を弾くことにのみ集中した。左腕の対処は楯無に一任する。

 

それを察した楯無は水をシュヴァルツェア・レーゲンのマイクロチェーンの様にペルセウスの左手に巻きつける。

 

「形の無い水は掴んでも無意味よ!」

 

チェーンデスマッチの様に自分に有利な様にペルセウスを引きながら的確にランスを当てて行く楯無。

 

「終わりよ!」

 

ペルセウスの体制を崩し、もっとも鋭い一撃を繰り出す。

 

「私と戦えウイングナイト!」

 

<CONFINE VENT>

 

しかしその寸前でいきなり楯無の水がただの水になった。

ベンタラからトラストが追いかけて来たのだ。

 

ウイングナイトがそっちにかかりきりになった隙に自由を取り戻したペルセウスゾディアーツの左手がランスを掴む。

 

ガチガチと嫌な音を立ててランスは石化した。

 

(だったら内蔵ガトリングで!  何で動かない!?)

 

触られるのはまずいと思っていたがこれ程とは思わなかった楯無。

驚いてる間にペルセウスの左手が楯無の頭に伸びる。

 

(こんな判断ミスで自滅なんて!)

 

<ATTACK VENT>

 

しかしなんとか間に合ったダークウイングに助けられた。

 

「っ! 全く。駄目よね学園最強がしっかりしなきゃ。」

 

すぐに元の不敵な笑みを取り戻し、

残りの水を鞭の様に細い糸状にして構える。

 

「月に代わってお仕置きよ!なんてね。」

 

新聞部部室のドアを挟んで水の鞭と異形の剣が、

騎士の剣と猛獣の角が火花を散らす。

 

勝負は拮抗していた。

 

(くそう!何故だ攻めきれない!

私は試練に勝つ!

私はブラッド・バレットだ!

私はなんとしても再びレースに出るんだ!)

 

「アァアアアアア!」

 

雄叫びを上げながらメタルホーンで突きを放つ。

ウイングランサーなら兎も角、ダークバイザーでは防げまい!

 

トラストは完成に勝利を確信した。

奴がカードをベントインするより奴の喉にメタルホーンが突き刺さる方が早い。

 

『更識楯無!』

 

突如機械で合成された様な声がウイングナイトからした。

すぐさま意図を察した楯無はウイングナイトとスイッチする。

 

「な!?」

 

「はぁ!」

 

スイッチしながら楯無の水の鞭がトラストの足をすくい上げ転ばすのとウイングナイトがカードをベントインするのは同時だった。

 

<FINAL VENT>

 

飛来したダークウイングと合体し、左足でライダーキックの構えを取る。

 

ウイングナイトをダークウイングの翼が繭の様に包み、

高速回転しながらペルセウスを貫いた。

 

「███▅▅▃▄▅▅▅▅▅▅▅▃▃▄▅▅━━――!!」

 

絶叫を上げて爆裂四散するペルセウスゾディアーツ。

 

(成る程、あの技なら回転するから上手く掴めないわよね。)

 

もしドラゴンライダーキックやトラストのヘビープレッシャーなら簡単に掴まれ、契約ビーストごと石化していただろう。

 

「さて、あなたにも罰を受けて貰おうかしら!」

 

復活したランスの内蔵ガトリングでトラスト1人を狙い撃ち!

無数の弾丸を浴びたトラストはベンタラに吹っ飛ばされた。

 

「よし、と。後はあなたね。」

 

お互いに手を伸ばせば届く距離を置いて対峙する楯無とウイングナイト(ふたりの槍使い)

 

「山田先生を問い詰めてもいいけど、

私はあなたに直接聞きたいの。

貴方達は学園の敵?それとも味方?」

 

『お前ら、いや織斑千冬次第だ。』

 

少し間があってさっきと同じ機械音が聞こえてきた。

 

「何故そこで織斑先生が出てくるのかしら?」

 

『project ZERO=DIVER』

 

「まさか知ってるの!?」

 

『お前たちよりはな。

面白半分興味本位で探りを入れるな。

もしこれ以上詮索するなら。』

 

ゆっくりとウイングランサーを楯無に向ける。

 

『次に爆散するのはお前とお前のISだ。』

 

「そう、覚えておくわ。」

 

ウイングナイトは隙を見てベンタラにダイブした。

 

 

 

2

「はぁ…。」

 

溜息を吐きながらバックルからデッキを外し、蓮は変身を解除した。

 

「悪いなサード、わざわざ伝言ゲームさせちまって。」

 

『いえいえ、レン様の正体がバレることに比べればどうということはありません。』

 

「助かるよ。じゃ、さっさと新聞部の様子見て帰るか。」

 

『ですね。』

 

鏡を探して覗き込む。幸いカーテンは閉まっていなかった。

 

「どれどれ…!?何があった!」

 

鏡越しに見たのは意識が無いと思われる黛を介抱する楯無の姿だった。

 

『先程の怪人の仕業でしょうか?』

 

「いや、もしそうなら石化させる筈だ。」

 

しばらくすると黛は目を覚ましたが、

左手の肩口を押さえながら悶え始めた。

獣と下手くそなクラシックの演奏を合わせた様な叫び声を上げ、

元々目も当てられないような惨状だった部屋をさらに荒らしながら、のたうち回って暴れだす。

 

『一体なぜ……。』

 

「サード、俺がさっき石化怪人にファイナルベントを叩き込んだのは何処だ?」

 

『確か左肩だったかと……まさか!?』

 

「また天々座の時みたいに精神体だけが怪人化していたんだろうな。

だからきっと魂が戻って怪人だった時のダメージがフラッシュバックしたんだ。」

 

『つまり間明が?』

 

「ああ、恐らく俺達か更識楯無の手札を今のうちに黛をぶつけて把握しておこうって魂胆だろう。

また奴が近々動くぞ。」

 

『近々あるイベントと言えば…臨海学園がそうですね。』

 

 

 

3

直ぐにドクターヘリが呼ばれ、黛は一番最寄りの聖都大学附属病院に搬送された。

担当医が言うには外傷はなく精神的なもの、フラッシュバックだと診断された。

 

(フラッシュバック…薫子が事故とかにあったなんて聞いたことないわ。

だとしたら、なんで?)

 

考えながら病院を後にした。いくら考えても答えは出ない。

 

「お嬢様」

 

ボーッとしていると不意に呼び止められた。

長い髪を一つに束ねた眼鏡の少女。楯無より一つ年上。

 

「あら虚ちゃん。2日ぶりね今度はどこに行ってたの?」

 

「風都に、本音を悪の道に落としたガイアメモリの生まれ故郷に。」

 

だった2日しか会ってないはずだが彼女の妹が、

布仏本音が超常犯罪の容疑で逮捕されてから変わり果てた姿に胸が痛い。

 

「酷い隈ね、眼鏡のせいで余計不気味よ?

また痩せたんじゃない?ちゃんと栄養取ってるの?

唇も荒れちゃってるじゃない。」

 

「どうでもいいです。

それより一刻も早くやっていただきたい事が。」

 

「何?聞くだけ聞くわ。」

 

「山田真耶の強制拘束と尋問を。」

 

「駄目に決まってるじゃない。

そんな人権をガン無視したこと。」

 

呆れて溜息を吐きながら真っ直ぐ虚の目を見る。

夜空から外灯の光も星明かりや月明かりも奪わえばこんな色になるんじゃないかってぐらい黒い目をしてる。

 

「いいえ必要なことです。

宮内庁経由で防衛省に問い合わせてIS学園の監視カメラの映像を見させてもらいましたが私の考えでは、

奴らは鏡のあるところからならどこからでも現れます。」

 

「それは私も目の前であの蝙蝠の騎士がやってるのを見たわ。」

 

「ならばお嬢様も薄々気付いているでしょう?

奴らは、仮に仮面騎士とでも呼びましょう。

仮面騎士達は一枚岩じゃない。

ならば学園に最も多い派閥を排除すれば問題は解決です。」

 

「口ではなんとでも言えるわよ。

けど今のところ私達にあの鏡の向こうに行く術はないじゃない。」

 

「何を悠長な、問題は仮面騎士だけじゃないんですよ?

例えば黛薫子の左肩を襲った強烈な痛み、

あれはお嬢様と蝙蝠の仮面騎士が戦った左腕の怪人の致命傷と同じ位置です。」

 

「あの怪人が薫子だったっていうの?」

 

「恐らく本音のように無理矢理変身させられていたんです。」

 

逮捕前の言動から察するにあれは自ら望んで変身していたはずだがここは黙っておく。

 

「でも彼女は鍵がかかった部屋で怪人と2人きりだったわよ?」

 

「自我のある石ころを内蔵した有人兵器があるんです。

魂だけが怪人に変身することもありでしょう。」

 

駄目だ。この子は妹を殺した犯人を突き止めたいが為に暴走している。

 

「そんな強引な推理に納得しろって言われたって無理よ。

頭冷やしなさい。

明日も学校はあるんだから。

そろそろ登校しないと出席日数足りなくなるわよ?」

 

「どうでもいいです。本音の魂の安らぎ以外。」

 

死人はありがとうなんて言わないわよ?

そう言いかけて虚の目を再び見た時、

初めに感じた違和感に気付いた。

 

(あ、私知ってるわ。

今の虚ちゃんの目、死んだ人間の目だ。)

 

最早死んだ妹の仇を、

死者の名残を探し続ける彼女は正しく生ける屍なんじゃないかと思った。

 

 

 

4

「遂に…完成した。」

 

アンカーIS開発所強化打鉄専用ドックにて。

簪はようやく完成した愛機を見上げながら満足げに呟いた。

 

「素晴らしくて、美しくて、

あなたにふさわしい機体ですね。」

 

「違う。これから私がこの機体に相応しくなる。」

 

決意を込めた眼差しで話しかけて来た能見に答える。

 

「それは結構。所で、これからお時間ありますか?

是非見ていただきたいものが。」

 

「?」

 

能見に連れられて隣のドックに移る。

 

「これは?」

 

「重厚で、堅牢で、ISと思えないサイズでしょう?

パズスロット節約のためにアーマーに内蔵出来る武装を充実させたんです。」

 

そこにはケイタの打鉄赤龍と同じ赤い色のISが後はコアとその周りを残して完成していた。

 

「打鉄赤龍改 臥龍鳳雛(がりょうほうすう)

我らが第三・五世代型IS一号機です。」

 

「他にもあるの?」

 

「ええ、まずこの網島ケイタ君用の『無慈悲な破壊と制圧力』の臥龍鳳雛。

次にレン・アキヤマ君の『最速の一撃での瞬殺』の打鉄黒翔改。

最後にあなたの『究極の安定と継戦力』の打鉄弍式改。」

 

「私のまで?」

 

「はい。十分なデータと必要なものが揃い次第、改修します。」

 

そう言って能見は簪に一つの計画書を見せる。

 

「極限の両極計画?」

 

「我らの理想の実現のための大いなる計画ですよ。

まず手始めに。」

 

メガネを直し、愛用のハンカチで汗を拭くと

能見は自信満々に言い放った。

 

「篠ノ之束を出し抜きます。」




一夏「ケイタのIS新しくなるの!?」
ケイタ「そう言えば、ラウラに壊されてから修理してなかったけど…」
ラウラ「その節は本当にすまなかった。」
ケイタ「いや、いいよ気にしてないから!土下座なんてしなくていいよ!」
一夏「顔あげて!まだ終わってないよ!」
ラウラ「そうだった!次回、Gossips or true news その4!」
一夏「これで決まりだ!」
(ED DIVE INTO THE MIRROR KAMEN-RIDER DRAGON KNIGHT)

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