infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回は、俺のISの強化バージョンが出て来たとこまでだっけ?」
簪「うん。あなたの臥竜鳳雛と私の弍式。」
ケイタ「なんかカッコいい漢字使ってるけどこれどうゆう意味なの?」
一夏「眠っている龍に、まだ雛の鳳凰。
どちらもこれから活躍する者って意味。
ま、ケイタは延々と寝ちゃいそうだけど。」
ケイタ「失礼な。そうゆうお前だって初めて作った料理は」
一夏「待ってあの話はちょっと!」
簪「夫婦喧嘩が長引かないうちに、本編どうぞ。」


Gossips or true news その4

1

日曜日、簪はIS学園に帰って来た。

 

「簪ぃいいい!」

 

「とお!ライダーキック!」

 

校門を潜るなりいきなり抱きつこうとして来たロランツィーネに挨拶がわりのライダーキックを浴びせる。

 

「ぐふぅ!流石は簪!技がまったく衰えていないな。」

 

「あなたは耐久性が上がったね。」

 

前は一撃で気絶させれたが今回はふらつきながらも起き上がれている。

 

「私も常に進化しているのだよ。」

 

制服についた土を払いながらいい笑顔を決めるロランツィーネ。

 

「そう、なら丁度いい。」

 

そう言って簪は右手の指輪型の待機形態の打鉄弍式を見せる。

 

「私と戦って。」

 

ロランツィーネは二つ返事で早速アリーナをとりに向かった。

 

 

 

2

「退院おめでと。って俺に言われるより蓮に言われた方が嬉しいか。」

 

「な!あ、網島さん?そういうのはもっとオブラートに包んでくださいませんこと!?」

 

「つまりケイタよりアイツに来て欲しかったんでしょ?」

 

「レンは今日ラビットハウスのシフト入ってたんでごめんね?」

 

戯けた感じで同じタイミングで同じ様にとを合わせて頭を下げるケイタと一夏。

 

「み、皆さん揃って…ま、まあ確かにレンさんに食べていただこうと思って作ったランチが無駄になってしまったのは残念…あ、なら丁度皆さんに食べてもらえばいですね。」

 

バキバキッ!と3人の流れる時間が止まった。

 

なんとか視線だけは必死に動かすとセシリアの手には大きめバスケットが握られている。

 

あれは殺人兵器だ。下手すればISも上回る様な代物だ。

何故そこまで言い切るかと言えばあれはかつてまだセシリアと仲良くなりたての頃、

お弁当の時間に蓮がセシリアの作ったサンドイッチを食べさせられたことがある。

その時は酷かった。

理性のアンコントロールスイッチをハザードオン!させられた蓮は一瞬で機械の様な無表情になるとまるで夢遊病患者の様にふらふらと校内を歩き回った後、自分の席に戻るとこう言った。

 

「……は!俺はいったい何を!?」

 

ただただ戦慄した。この世には食べるだけで人の思考回路を強制停止させるものがあるのか?と。

 

その後試しにケイタが一口食べてみたがあまりの不味さに満身創痍になってしまった。

本人曰く

 

「俺が食べた物の中で一番目に不味い。

まさかあれより不味いものがこの世にあるとは。」

 

見た目が普通なので特に何も意識しないで食べたら死に切る事で危機を回避できるが、下手に覚悟して食べると

この世の地獄を味わう羽目になる魔の一品。

もはやそれは料理なのだろうか?

 

(どうすんのよあの核弾頭?)(あたしは嫌だからね!)

 

(俺だってやだよ!)(けどSDGs的な)(観点から見ると食べないわけには)

 

(いっそ真実を伝えるってのも)

 

(正直に)(『千冬さんがたまに)(思い出した様に作る)(煮魚より不味いです。』)(って言える?)

 

あれもあれでセシリアのとは別ベクトルで酷かったとゲンナリする3人。

 

そして密かに二機のフォンブレイバー達は自分達には消化器官がなくてよかったと独白した。

 

「どうしましたの3人とも小声で?」

 

「いや別に!なあ一夏、鈴!」

 

「そうそう!やましいことなんてないよ!ないない!」

 

「小声って何?アンタの空耳じゃないの?」

 

我ながら苦しいなと思いつつも誤魔化す3人。

 

「あやしい…」といった感じで見ていたセシリアだがふと3人の背後に目をやる。

 

「………お久しぶりですわね。ボーデヴィッヒさん。」

 

振り返るとなんだか緊張した面持ちのラウラがいた。

 

「あ、ああ。」

 

何やら落ち着かないラウラだが意を決したように口を開いた。

 

「謝罪させてくれ!セシリア、鈴音!」

 

「謝罪?」

 

「ああ、私は2人に対して本当に失礼な発言をした!

2人を悪意を持って傷つけた!」

 

本当にすまなかった!と見事に90度の礼をするラウラ。

 

「……いいわよ。極論あたしらの実力不足もあるし。」

 

「鈴さん!?」

 

「気にしなくていいわラウラ。

一度ドツき合った仲じゃない。

それに終わってみればあっという間でも高校は3年もあるのよ?

お互いケツの穴が小さい事言い合わないで、

仲良くしましょう?」

 

「り、鈴音!」

 

「鈴でいいわ。よろしくねラウラ。」

 

「ああ、ああよろしく!」

 

ガッチリと握手を交わす2人。

 

「さ、仲直りの印にこれでも食べましょ?

セシリアの手作りよ!」

 

セシリアからランチバスケットをひったくる鈴音。

彼女の悪魔の所業に気付いたケイタと一夏は彼女の目を覗き込む。

 

(と、取り憑かれてやがる!)

 

(に、人間ってあんな目が出来るんだ……。

いや確かに逃げ切る方法それぐらいしか無いけど!

だとしてもあんまりな仕打ちじゃん!)

 

「サンドイッチか、美味しそうだな。」

 

「ええ、真心込めて作りましたもの。

ボーデヴィッヒさん。

わたくしは鈴さん程器が広くはありませんが

誠意を持った態度に答えないほど矮小でもありませんわ。」

 

「ありがとう。これからも頼む。」

 

そう言ってパクリ。とサンドイッチを一口かじる。

 

「ヴ!」

 

その瞬間一気に吐き気に襲われたのか涙目になりながら鈴音の方を見る。

 

「あら泣くほど美味しい?良かったじゃない。」

 

「まあ、そうですか?

気に入っていただけたようで何よりですわ。」

 

思わず脊髄反射で全力で首を横に振りたくなるが

作った本人がこれ以上なく満足げな手前それが出来ない。

 

流石に鈴音に言おうとしたケイタだったが

 

「あら電話(よっしゃ簪ナイスタイミング!)

もしもし鈴よ。え?模擬戦?

もちろんいいわ。

あ、一夏もいるから連れてっていい?ケイタ?

まだラウラに壊されたのが治ってないって聞いてるけど?

わかったじゃ後で。」

 

そう言って鈴音は電光石火で一夏を連れて行く。

残されたのケイタとラウラとセシリア。

 

「お二人にも食べて欲しかったのですが、

随分余ってしまいましたね。」

 

「………………」

 

「まだ、あるの?」

 

「はい、あと3人前は。」

 

3人前、致死量を遥かに超えている。

 

「け、ケイタ。わ、私は死ぬのか?

人の恋を侮辱した罪はこれ程までに重いのか?」

 

「……さあ、お前の罰を噛みしめろ。」

 

一瞬で地獄に落とされた様な顔になるラウラ。

 

「取り敢えずアリーナで皆の戦いぶりでも見ながら食べない?」

 

ケイタに出来ることはこんな時間稼ぎが限界だった。

 

 

 

3

アリーナに甲龍を鎧った鈴音と打鉄を鎧った一夏が出るともうすでに簪は打鉄弍式を鎧って待っていた。

背後にはオーランディ・ブルームを鎧ったロランツィーネが控えている。

 

「で、来たけどアンタと誰がやるの?」

 

「私と鈴とロラン。1対2。

エネルギーが規定値以下になるまで。」

 

「いいの?アンタの機体がどんなもんか知らないけど

それは舐めすぎじゃない?」

 

双天牙月を弄びながら少し呆れたように言う鈴音。

 

「百聞は一見にしかず。」

 

「へぇ。言うじゃん。」

 

2人のボルテージが一気に上がる。

これは審判有って無い無いようなもんかな?

と思いながら一夏は試合開始を宣言した。

 

「流石簪だ。さあ、私の前で花開いてくれ!」

 

ロランは両手持ちのプラズマライフルスピーシー・プランターを構え簪に突っ込んでいく鈴音を援護した。

 

簪は薙刀の夢現(ゆめうつつ)を取り出し、

最小限の動きで銃弾を避け

双天牙月をいなしていく。

 

「簪さん凄え。」

 

「ああ、とてもブランクが長かったようには見えんな。」

 

感心しながら試合を見守るケイタ達。

自分達も出たかったと少し残念に思う。

 

「うぅ…簪ちゃん。お姉ちゃんが見てない間にあんなに出来る様になって…。」

 

「な!いつからそこに!?」

 

(生徒会長!?

け、気配どころか足音すら気付きませんでしたわ。)

 

「あ、簪さんのお姉さん。ども。」

 

「ちぇ。もうちょっと驚いてくれてもよくない?」

 

不発 と書かれた扇子を広げるいつの間にか隣に居た楯無。

 

「先輩みたいなミスアンタッチャブルにいちいち反応してたって疲れてるだけでしょ?

あんたみたいなある種カマチョは無視が一番ですよ。」

 

「な、なかなか残酷なこと言うわね君。」

 

「攻撃はどんな人にも当たるって限りませんけど

口撃だけは鼓膜やら無い限り必中ですから。」

 

一度は千冬さえも撃沈させたケイタが言うと説得力が有った。

 

「後学のために覚えておくわ。

ところで私お昼まだなんだけど、

そのサンドイッチ貰っていい?」

 

「え?まあ、いいですけど。」

 

期待を込めた目で見つめるセシリアと不安そうに見つめ合うケイタとラウラ。

そしてたまごサンドを一口

 

(ケイタ大丈夫なのか?)

 

(さあ?でも空気よんでくれれば)(最悪の結果だけは)

 

「オエ!不味っ!」

 

考えうる限り最悪の言葉が出てきた。

 

「ケイタ君あなた味覚おかしいんじゃないの!?

こんな物毎日食べてたら寿命が縮むわ!」

 

セシリアの顔は笑顔のまま真っ青になって行く。

 

「簪さんのお姉さん頼むから黙って!」

 

「せめて言葉を選んでくれ!

確かにあれはあれしか食べ物がないような状態でも食べ無い。

餓死寸前でも土かアレかなら迷わず土の方を選ぶ様な不味さだけども!」

 

「バカチビ!ラウラお前全部言っちゃったじゃん!」

 

「あ…」

 

セシリアの方を見ると引きつった笑顔のまま真っ青を通り越して真っ白になり

目からは止めどなく涙が流れている。

 

「あー…そのセシリアさん?」

 

「なんですの?」

 

「これが現実だ。」

 

セシリアは泣き叫びながらアリーナを後にした。

 

「け、ケイタ?私が言うのもなんだがあのタイミングであのセリフはどうかと…」

 

「あそこまで言っちゃったらいっそ介錯してやった方がいいでしょ?」

 

そしてゆっくりと2人に振り返るケイタ。

 

「さあ、口撃を無垢な少女にねじ込んだご感想は?」

 

「……このたまごサンドより苦いです。」

 

楯無は苦渋 と書かれた扇子を広げた。

 

 

 

4

一方その頃模擬戦の方はというと

 

(簪さんすごい。2人と戦えてる。)

 

飛びながら双天牙月と夢現が火花を散らし、

時折距離を取ったかと思うと

ミサイルポット付き機関砲で的確にアーマーのカバー出来てない部分を狙って狙撃してくる。

 

「大口叩くだけ、あるわね!」

 

横からの龍咆、上からのスピーシー・プランターを器用に避けながら

簪は閃光手榴弾を投げた。

 

(目潰し!?てことはここで勝負を決めに?)

 

視界が戻ると打鉄弍式の最強装備山嵐が、

6機×8門のミサイルポッドが向けられていた。

 

「全48発、ターゲットロック完了。

全砲門、ファイア!」

 

文字通りの破壊の嵐が鈴音とロランに降りかかった。

 

何発かは手持ちの遠距離武装で相殺出来るが流石に24発を一度にさばく事はできない。

ポリーのブラックヘルドラゴンの精密同時射撃ならどうにかなるだろうが2人のISにはそこまでの装備を積んでいない。

 

「投了。」

 

「し、シールドエネルギーエンプティ!勝者、更識簪!」

 

地面に落下する2人を見下ろし、簪は確かな手応えを感じた。




ケイタ「あれセシリア立ち直れんのかな?」
簪「お姉ちゃん…ホント余計なことばっかり…。」
一夏「今度料理教えにいこっかな?」
ケイタ「そうしてくれると助かる。次回、Gossips or true news その5!」
簪「私が変身する!」
(ED 果なき希望 仮面ライダー龍騎)

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