infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回までは、えっと…布仏先輩が思ったより病んでたって話だっけ?」
達郎「なかなか大変みたいだな。」
ケイタ「達郎!」
達郎「ケイタ!」
2人「イェーイ!」(ハイタッチ)
セブン『知り合いか?』
ケイタ「幼馴染の達郎。」
達郎「よろしくな。言っとくけど、ケイタのバディを譲ったつもりはないぜ。」
セブン『ほう…いいだろう。受けて立つ!』
ケイタ「なんか2人とも熱くなっちゃってるけどさておき。それではどうぞ!」


Gossips or true news その6

1

「シャルロット?いないのか?」

 

約束をすっぽかす様なシャルロットではないのだがなぁ。

ラウラ・ボーデヴィッヒは首を傾げた。

というのも2人は夕食を取る約束をしていたのだ。

 

「友達の1人ぐらいいないと高校三年間辛いぞ?」

 

と蓮に言われて初めて誘ったのがシャルロットだった。

一度銃口を交えた仲だし話せることもあるだろうと思い、箒も誘ったのが

 

「私は今忙しい!悪いがまたいつかな!」

 

と断られてしまったのだ。なんだか蓮がケイタや3組の

更識簪や手塚海之と示し合わせた様に同時にいなくなること似てる慌て方だった。

 

そんな訳でシャルロットだけと行く事になったのだが

 

「ふむ留守か…、先に食堂に行ってるだけかも知れないし見に行ってみるか。」

 

そう言って回れ右しようとした時ゴン!と鈍い音がした。

今さっきまで目の前にいたから間違いなくした。

 

(しかも今の音は、人骨の音!)

 

念のためシュヴァルツェア・レーゲンを、

近々唯一核を落とした国的にその名前は不味いといった理由で改名される、を展開して勢いよくドアを開ける。

 

「シャルロット!う!」

 

ツン!とくる酸っぱい匂いがラウラを出迎える。

匂いの元はすぐにわかった。

テーブルに置かれたカレーだ。

どんなカレーかと言えばセシリアが、

あの悪名高きセシリア・オルコットが、

影ではミス料理型破壊兵器製造者地球代表とかいうどこから突っ込んで欲しいのかわからない渾名で呼ばれているあのセシリア・オルコットが作ったカレーである。

 

「セ、セシリア?」

 

泡を拭いて倒れているシャルロットを介抱しながらセシリアを見上げる。

 

すると彼女は徐にまだ九割五部残っているカレーを手で鷲掴みにする。

 

「は、早まるな!それをさらに戻せ!いい道がきっとある!」

 

しかし彼女は躊躇わずにそれを自らの口に押し込んだ。

 

「セシリアアアア!」

 

 

 

2

「ていう事があったらしくて。」

 

「成る程、じゃあ昨日俺たちが帰り際に見た救急車はセシリアさんとシャルを乗せたやつだったのか。」

 

「漸く復活したと思ったらベットに逆戻りとはオルコットも災難だな。」

 

「災難というか、ただの自殺。」

 

「簪、言葉選べ。」

 

昼休み、いつもの面子で屋上に集まったケイタ達は頭を抱えていた。

 

「料理下手なぐらい気にする事ないのに。」

 

「心愛お前は気にしろ。

というかパン以外何かまともに作れた試しがあったか?」

 

「そんなに酷いのか?」

 

「聞いて驚くなよローランディフィルネィ 。

サラダを作らせればトランスフォーマーの燃料の様な物を作り、

パスタを茹でさせれば妖怪の触手に生まれ変わらせる。」

 

「えへへ。」

 

「照れるな。一言も褒めてない。」

 

「一夏、なんとかフォローできない?」

 

「教えるのは良いけどセシリアさんはもう一回厨房に立てる精神状態かな?」

 

確かに。と頭を悩ませる一同。

 

「ま、荒んだ状態とは言え中1のバレンタインの時の弾と鈴よかマシだろ。」

 

「ちょっとケイタ!」

 

「あー、確かに」

 

「一夏まで!あの話はちょっと違うじゃん!」

 

「そういえばお前ら3人は風都出身だったな。」

 

「同中だったのか?」

 

「俺らと後弾と数馬と達郎が。」

 

「まるで今の私達みたいだね!」

 

「今頃どうしてっかなあ?」

 

 

 

2

デカデカ『ドーパント学校に侵入 仮面ライダーまたも活躍』と見出しの踊る新聞を見ながら大江達郎は携帯電話を手繰り寄せた。

 

連絡先からか行の一番下にある名前をタップする。

直ぐに呼び出し音が鳴った。

 

「もしもし弾?」

 

『よう達郎!お前もニュース見たか?』

 

「たった今新聞で。愛しの母校が半壊してるのが。」

 

『学校からメール来たけど今日休みだってさ。』

 

「来られても困るんだろ。

折角暇だし今から遊び行かないか?」

 

『いいけど。数馬も誘うか?』

 

「いや、お前より先に電話したら熱が39度近くあるから大人しく寝てるってさ。」

 

なんでも家が近いからという理由でたまたま学校がドーパントにより半壊させられたのを聞いて学校が休みになる!と喜びベイエリアで騒ぎまくった挙句1人カラオケで喉をズタズタにして引いた風邪らしい。

 

『そっか災難だな。今すぐは出れないからどこで会う?』

 

「じゃあ10時にすずかぜ公園の噴水前で。」

 

おう。

と弾が短く言うと電話をきってお気に入りの白灰色のパーカーを羽織った。

 

 

 

3

「チッ!嫌な風ね。不吉なものを運ぶ風。」

 

学校をサボって風都にやって来た虚は吐き捨てるように呟いた。

風都、本音を変えたガイアメモリの温床たる魔の都市。

 

そんなふうに考えるだけでこの街の住んでる人からこの街で起こる事全て何から何まで嫌な物に見えた。

虚本人は知る由もないがその様はかつての仮面ライダーアクセル=照井竜(てるいりゅう)を思わせた。

 

「ねえねえお姉ちゃん。俺らと遊ばない?」

 

こんなナンパも不快で仕方なかった。

絡んできた3人組にごみわゴミを見るような目を向けてやる。

 

「あ?なんだよその目。

俺らがここらでなんて呼ばれてるか知ってんのか?」

 

リーダー格らしい男が凄む。

 

「ハナキズのヤス。

半年前にケイタのやつを8対1でリンチにしようとして返り討ちにあって大暴落したアホ。」

 

「あ!?なんだお前ら…ヒッ!

お、お前ら鏖殺網島の……ご、ごめんなさーい!」

 

ハナキズのヤスと呼ばれた男とその取り巻きたちは尻尾を巻いて逃げて行った。

 

やれやれと言った感じで話しかけて来た灰色っぽい白のパーカーの少年と長い赤毛に黒いバンダナの面長な少年が肩を竦めた。

 

「すいませんねうちの街の馬鹿どもが。」

 

赤毛の方が気さくに話しかけて来た。

 

「いえ、気にしてません。

ところで彼らが去り際に言っていた鏖殺網島とは?」

 

「ああ、そう言えばケイタのやつそんなダサい渾名もあったっけ?」

 

「ケイタに網島、あの網島ケイタですか?」

 

「ご明察。あの網島ケイタだよ。」

 

そう言ってパーカーの少年が近くの売店に置いてあったIS関連の雑誌を指差す。

 

「彼、不良だったんですか?」

 

「まあ世間一般には。」

 

3人は知る由もないが鈴と一夏が引っ越してからすぐ、

つまりケイタがデッキを手に入れたからすぐ四六時中なるアドベントビーストの出現を知らせる耳鳴りのような音にケイタはストレスを感じて荒んでいた。

そのストレス発散の為にケイタは走り屋行為や喧嘩に明け暮れたのだ。

 

「これが武道とか何もしてないのにめちゃくちゃ強い。」

 

幾つか例を挙げると

少年院から戻ってきたばかりのかなり容赦の無い札付きの悪を警察病院送りにした。

 

因縁をつけて来た煽り運転常習犯の自分より一回り大きい大人の腕を2度と車が運転出来ないようにした。

 

極め付けはさっき逃げて行った高校生の不良グループの8対1の喧嘩に無傷で勝った。

 

「それでついた渾名が鏖殺網島ってわけ?」

 

「いくらか尾鰭ついてるやつもあるけど概ね事実。

煽り運転のあれは実際に見たし。」

 

「凶悪凶暴ね。」

 

「お陰でつるんでるだけの俺らまでびびられる始末ですよ。」

 

「いや弾お前は中1のバレンタインの時に鈴とやらかしてるだろ?」

 

爽やかに笑う弾を冷ややかな目で見る達郎。

 

「ガイアメモリといい鏖殺網島といい、

野蛮な事には事欠かない街みたいね。気に入らない。」

 

「そんな事ありませんよ。良いとこだっていっぱい」

 

「では聞くけど、ドーパントになってしまった妹を鏖殺網島と愉快な仲間たちに殺された私にどうやってこの街を好きになれと?」

 

「え?」

 

「ケイタが殺人?馬鹿言え。

そりゃ街に泥を塗るような奴をボコすことはあるだろうけど、

あいつに限って人殺しなんて。」

 

「する。だから私はこの街がいかに汚れてるかを見に来た。」

 

プチン。達郎の中で何かが切れる音がした。

 

「お前黙ってりゃ言ってくれるな。

妹がドーパントになったのを倒されただ?

は!そんなん元々アンタの妹がガイアメモリを買うだけの理由がある悪人だったってだけの事だろ!」

 

「知ったような口を!」

 

「俺に言わせりゃガイアメモリに魅せられる様な人間は人を傷つける以外何もしない害悪だ。

アンタの妹はガイアメモリで何か救ったか?」

 

「ッ!…………。」

 

「ふん。化け物に成り果てても妹は可愛いってか?

行こうぜ弾。時間の無駄だ。」

 

「お、おいちょっと待てよ!達郎!」

 

1人残され立ちすくむ虚。それを背後から見つめる影があった。

 

「あの娘、布仏の!」

 

は!と気付いた男はすぐさま踵を返して奥まった店に陣取っていた男の元に急いだ。

 

「若頭!」

 

「どうした?」

 

「さっき向こうの公園で布仏の娘を見かけました。」

 

「ほう、それはいい。

なら例のブツを手に入れたら真っ先に血祭りに上げてやろう。」

 

不敵に笑うと若頭は2人の部下を連れて店を後にした。




ケイタ「いかがだったでしょうか?」
セブン『最後に出て来た3人組が気になるな。』
達郎「俺は前半の料理の話聞いてたら腹減って来ちゃったよ。ケイタ、久々にギョーザ作ってくれよギョーザ。」
ケイタ「いいけど具あんまりないよ?」
セブン『というかケイタ料理できたのか?』
達郎「あれ知らない?ギョーザに限って言えば一夏より美味いんだぜ?」
セブン『ぐぬぬぬぬ…』
ケイタ「こらこら喧嘩すんな。次回、Gossips or true news その7!」
達郎「鏖殺網島に喧嘩すんなって言われるとわな。」
ケイタ「うっ…。」

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