infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「よし!前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは布仏先輩が達郎と弾に出会ったとこまでだったよな。」
一夏「鏖殺網島とかいうとんでもない渾名も出て来たけど?」
ケイタ「あ、あれは…。」
鈴音「それも驚いたけどあんな食欲なくなる料理の数々を見てお腹空いたとか言える達郎も凄いわよね?」
ケイタ「確かに……。」
一夏「そんな私達の愛すべき悪友達の活躍をご覧ください!」
ケイタ「さてさてどうなる?」


Gossips or true news その7

1

「なあ達郎?」

 

「なんだよ。」

 

「さっきあった眼鏡の人さあ。」

 

「人の友達を殺人鬼扱いするクソ野郎だったな。」

 

心底不機嫌という様に達郎は落ちてた空き缶を蹴飛ばした。

 

「まあ…ケイタが悪く言われたのは嫌だし、

だからこそこう…この街の汚いとこ以外も見て欲しいっていうか。」

 

言葉を探す様に言いながら考える弾。

 

「はぁ…。弾、友達として忠告するけどお前見境なさ過ぎだ。」

 

「え?そりゃどうゆう「あの女を口説くんなら辞めとけ。」な!別に他意は…。」

 

「あるだろ。つかあんな感じの年上が好みだろ。」

 

図星だ。

前にふざけて達郎と数馬とケイタにだけは眼鏡の似合う年上が好みだと言ったことがある。

 

「そりゃ、お前は面は良いけどずっと同じクラスに三春がいたせいで芽が出なかったが色男だ。

長い付き合いってのもあるけどお前は中身も悪い奴じゃない。

けどな、お前は優し過ぎる。

これは一夏や翔太郎さんにも言えるけど俺に言わせりゃこの街に悪人は居ない。

いるのは街に住まわせてもらってる人達と街に住んでる気になってる病原体共だけだ。」

 

またか、と弾は思った。

 

達郎は地味に5人の中では一番気さくな反面、

かなりの過激派なのだ。

それは昔、ケイタと一夏経由で左翔太郎にで会った事に起因する。

 

「戦うのって辛くないですか?」

 

初めて会った時、ケイタ達から数々の武勇伝を聞いていた達郎はずっと気になっていた事を聞いてみた。

 

「戦う事より、この街が泣き止まないことの方が辛えからな。」

 

そう言う翔太郎がカッコよくも少し悲しそうな顔をしたのを達郎は見逃さなかった。

間違ってると達郎は確信した。

 

(こんな立派で良い人が苦しみ続けるなんて間違ってる。)

 

なんで悪い人はいなくならないんだろう?翔太郎やケイタや一夏、鈴や弾に数馬の様な良い人だって大勢いる。

 

つまり善人になる事って簡単な事なのに。

 

そんな堂々巡りの問いの答えを出したのは皮肉にも織斑三春という善人になれない存在がいた事だった。

 

『守る』これこそが至上であり何よりも優先されると考え、

それを実感させる為だけに実の妹にさえ危害を加える三春に達郎は生理的嫌悪感を抱いた。

 

(ああいう自分の考えを絶対的に正しいと思い違えてる奴らがいるから皆が割りを食うんだ。

欲をセーブしない奴らこそ、街を苦しめる病原体だ!)

 

街に感謝し、住まわせてもらってるという気持ちを失わない人達が割りを食わない為には心をなくした者など人と、街の一部と考えてはならない。

もし街の一部と扱うならば、倒す事でしか救えない亡霊である。

 

三春への嫌悪と理解できない怖さから来た感情まみれの持論だが、

その在り方は鳴海荘吉に似てさえいた。

 

故にどちらかと言えば翔太郎タイプの弾とはこの一点だけは相容れないのだろう。

 

「そりゃあの人は街の汚い部分とこしか見てないかもだけど!

だから良いとこも見てくれれば!」

 

「病原体に、いや他所から来た害虫に見せる景色は無い。」

 

流石にカチン!と来て怒鳴ろうとする弾にけどな、と付け足す。

 

「これはあくまで俺の考え方だ。

お前を否定する気は無いし、

お前を止めるつもりもない。」

 

だから後はお前が好きにしたら良いさ。

そう言って達郎は弾の肩を叩くと来た道を戻っていった。

 

 

 

2

夕刻、指定された時間に3人は指定された廃倉庫にやって来た。

 

「若頭、本当に手に入るんですか?

人智を超えた力なんて。

俺らが女ってんならわかりますけど。」

 

実は裏社会では知られた事だが、

闇の武器商人である亡国機業はたまにだが武装勢力に盗んだISを売り捌くことがあるのだ。

 

「まあ見てろ。ここは風都、

金さえ積めば魔法も奇跡も帰る愉快な街だ。」

 

若頭と呼ばれた男がそう言った所で扉が開き、

片手で荷台を押しながら大柄の男が入って来た。

 

「はじめまして関東電龍会(かんとうでんりゅうかい)の皆様。」

 

男は握手を求めて来た。

 

「電話越しには会ってるはずだがな。」

 

「私とは別の者です。それから」

 

ドシャ!と後ろ手に引きずっていた物を放る。

 

「本来はアフターサービスですが、

貴方達を嗅ぎ回っていたネズミを生け捕りにしておきましたよ。」

 

放られたのは動けなくなる程度に痛めつけられた虚だった。

 

「こいつは布仏の所の!」

 

「丁度いい。こいつを手に入れたら真っ先に殺そうって決めてたんだ。」

 

若頭は男に金の入ったアタッシュケースを渡すと荷台から一つケースを選んで取り出し、

中から赤いジューサーを模した装置と赤い果実の錠前を取り出した。

 

それを着ていたスーツのベルトよりやや上に当てる

 

<ゲネシスドライバー!>

 

認識音声と共に銀のベルトパーツが展開し、固定される。

 

若頭はニヤリと笑い錠前を弾く。

 

<ドラゴンフルーツエナジー!>

 

「変身!」

 

<ロック・オン!ソーダァ!>

 

<ドラゴンエナジーアームズ!>

 

独特の変身メロディーと共に若頭はアーマードライダータイラントに変身した。

 

「これが、仮面ライダー?」

 

「着心地はいかがですか?」

 

「身体中が滾る!最高ね着心地だ。」

 

「それは良かった。今後も我々SHADOWをご贔屓に。」

 

「いーや。お前らがご贔屓にすんのは刑務所だ。」

 

「何?」

 

<BAT>

 

<STAG>

 

どこからか現れた二台のメカが4人を牽制する。

その間に中折れ帽子の伊達男とバンダナの少年が入って来た。

左翔太郎と五反田弾だ。

 

「彼は、網島ケイタの」

 

「貴様か、この街でドーパント潰しを生業にしてるのは。」

 

「如何にも俺が、いや俺達がこの街の涙を拭う二色のハンカチ」

 

<JOKER!>

 

「変身!」

 

<CYCLONE JOKER!>

 

「仮面ライダーWだ。」

 

「ほう、面白い。おいお前らもやれ。」

 

タイラントに促され、荷台にあったケースから量産型戦極ドライバーを取り出し

 

<マツボックリ!>

 

「変身。」

 

「変身!」

 

<ロックオン!ソイヤ!>

 

<マツボックリアームズ!一撃in the shadow!>

 

仮面ライダー黒影トルーパーに変身した。

 

「どうやら私は必要なさそうですね。では。」

 

売人の男はタイラントに丁寧に頭を下げる。

 

「ああ、あんな半分こ野郎俺達だけで十分だ。」

 

タイラントはソニックアローを、黒影トルーパーは影松を構える。

 

その間に男は別の出入り口から出て行った

 

「お前らなんかに負けてやる程柔じゃねえ!」

 

『とは言え相手は仮面ライダーだ。

油断しないに越したことはない。』

 

「ああ、俺たちの名前を侮辱した事、

後悔させてやろうぜ!」

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

 

3

入り組んだ道を進みながら売人の男は仲間との合流地点を目指した。

 

「?」

 

そして目的地に着いたが出迎えが誰もいない。

おかしい。いつもなら1人はいるはずだ。

 

「悪いがお前のお友達は先に片付けておいた。」

 

「……侮れませんね仮面ライダー。

お客様が変身することも織り込み済みで。」

 

あの時俺たちと言っていたのはこうゆう理由か。

とバイクのハンドルを模したドライバーを装着した男と、

照井竜と対峙する。

 

<ACCEL>

 

「変、身ッ!」

 

<ACCEL!>

 

照井はメタリックレットのボディに青い単眼の仮面ライダーアクセルに変身する。

 

「コンバージョン、アンドロイドモード。」

 

そう言って機械的なまでに落ち着いた声で売人が言うと男の姿がブロックノイズの様に乱れ、

特殊炭素と強化ガラスに僅かばかりのナノスキン、

そして剥き出しの金属骨格のアンドロイドゼロワンに変身した。

 

「やはりさっき倒したアンドロボットどもと同じ機械か。」

 

「対象、仮面ライダーアクセル。排除する。」

 

「さぁ、振り切るぜ!」

 

(BGM 疾走のアクセル 仮面ライダーW)

 

右手首から先を外し、内蔵型エネルギーマシンガンを使うゼロワン。

アクセルは愛刀エンジンブレードを盾にして最低限の防御をし、残りのダメージは全て無視して距離を詰め、

渾身の力で切り上げた。

ゼロワンは両脚のラムジェットエンジンを点火し空から逃げようとするが

 

「逃すか!」

 

携帯電話型の支援ツールビートルフォンを操作して近くにスタンバイさせていた戦車型サポートドロイドガンナーAで砲撃される。

 

2発の派手な砲声の後、ゼロワンが真っ逆さまに落下してくる

その隙にエンジンブレード専用の擬似メモリを取り出す。

 

<ENGINE!>

 

「絶望がお前のゴールだ!」

 

<ENGINE MAXIMUMDRIVE!>

 

「はぁ!」

 

丁度落下して来たタイミングでAの字形に斬られ爆散。

アクセルの必殺技アクセルエースラッシャーだ!

 

「さて、左達の方に急ぐか!」

 

 

4

(BGM Cyclone Effect 仮面ライダーW)

 

3対1の不利な状況にもかかわらずWは優勢だった。

まずサイクロンジョーカーでタイラントの矢を近接戦に持ち込む。

2人の黒影トルーパーが邪魔して来たが狭い空間、

入り乱れてでは長物の利を活かせない。

 

<CYCLONE TRIGGER!>

 

距離をとられてタイラントに狙われるが、

連射性はWのトリガー形態最強のサイクロントリガーに切り替えて手数で押し勝つ。

 

「な、なんで強さ。」

 

虚はただただ圧倒された。

これが妹の魅せられたガイアメモリの力、

これが妹を止めた仮面ライダーの力か、と。

 

「立てますか?逃げますよ。」

 

さっき会ったバンダナの少年、弾といったか?が虚を助け起こす。

 

「な、なんで?」

 

「助けに来たかって事ですか?

風都にはそりゃ悪い所も沢山ありますけど、

やっぱり折角来てくれたからには涙の似合わない良い所を見て帰って欲しいんですよ。」

 

それに美人を見捨てちゃ男が廃りますから。

 

そう言ってウインクした弾に不覚にも虚はドキッとしてしまった。

 

「え、ええ。」

 

「うぎゃあ!く、くそう敵わない!

こうなったらガキどもを人質に!」

 

形勢不利と見た黒影トルーパーの1人が弾と虚に迫る。

 

「させるか!」

 

翔太郎の側がトリガーマグナムを構える間にフィリップ側がメモリを変える。

 

<LUNA TRIGGER!>

 

変幻自在の魔弾の射手ルナトリガーにチェンジし、

黒影トルーパーのベルトを打ち抜く。

 

身体からドライバーが外れて変身が解除される。

しかし男は不敵な笑いを浮かべると懐から黒光する拳銃を取り出す。

 

「しまった!」

 

「行かせないぞ!」

 

直ぐに向かおうとするがタイラントと黒影に阻まれる。

 

「く、くそぉ!」

 

「マズ!ちょっと失礼!」

 

「な、きゃあ!」

 

咄嗟に虚を俗に言うお姫様抱っこで抱える弾。

しかし人1人抱えて走るせいでかえってスピードが落ちてる様に見える。

 

「馬鹿なガキが!死ね!」

 

「させるかぁ!」

 

ゴッス!銃を持った男の背後から飛び出した誰かが持っていたバットで男の側頭部を殴打した。

 

崩れる男。容赦なく第二、第三の打撃が与えられる。

 

「たく、王子様なら白馬か、

なけりゃかぼちゃの馬車ぐらい用意しとけよ。」

 

なんて軽口をたたきながら現れた増援は思いもよらない人物だった。

 

「達郎!帰ったんじゃなかったのか?」

 

「勝手に帰すな。

ま、これを取りに一回自分家に行ったけど。」

 

バットを弄びながら男が落とした銃とドライバーを回収する。

 

「あ、あのえっと…弾……くん?」

 

「え?は、はいなんすか?」

 

「そ、その!」

 

「いつまで太ももと胸触ってるんだよ。」

 

お姫様抱っこの為、丁度そんな持ち方になってしまっていた。

 

「あ、す、すいません!」

 

「い、いえ!それから、ありがとうございます。」

 

「別に俺としてはアンタがどうなっても良かったけど弾を見殺しにした日には五反田食堂の飯は食えないし、

大将の拳骨と蘭ちゃんに蹴り喰らう役は俺には荷が重いからな。」

 

「達郎…善人の仇を捨てて悪人の友達を招けとはこの事だぜ!」

 

「逆だ逆。

それにさっきも言ったけどこの街に悪人はいない。

悪人に見えてるのは魂を悪に売った化け物だ。」

 

あいつらみたいなな。

そう言ってバットでさす先ではタイラントと黒影トルーパーが満身創痍になっていた。

 

「おのれ、おのれこうなったら!」

 

ドライバーからロックシードを外し、

ソニックアローに装着するタイラント。

 

『翔太郎、僕達も。』

 

「ああ、キメるぜ。」

 

フィリップ側をサイクロンに戻し、

トリガーマグナムにメモリを挿入する。

 

<TRIGGER MAXIMUMDRIVE!>

 

<ロック・オン!ドラゴンフルーツエナジー!>

 

「ハァー!」

 

「『トリガーストームボム!』」

 

赤い一条のエネルギーがダブルに向かって放たれる…より先にタイラントの足元に炸裂した風の爆弾がタイラントを倉庫の屋根ごと天高く舞い上げた。

 

「うおお!」

 

「きゃあ!」

 

「あぶね!」

 

お互いを守り合いながら突風に耐える3人。

 

「お前ら大丈夫か!?」

 

「なんとかー!」

 

バットを振りながら返す達郎。

 

『さて、後は君だけだ。』

 

「ヒイ!こんな、こんな筈じゃなかったのに…。

わ、若頭が、若頭が欲を出すから!」

 

自分もちょっと前までノリノリだった癖にすっかり怯え切って責任転換している。

 

遂に壁際まで追い詰められた時、再び天井を突き破りながらタイラントが空の旅から帰還した。

 

「わ、若頭!アンタ、アンタどう責任取るつもりだよ!」

 

無理矢理タイラントを立たせるとガクガクと揺さぶる黒影トルーパー。

 

「たく、ロクでもねえ野郎だぜ。

ん?どうしたフィリップ?」

 

『気をつけろ翔太郎。

あの弓矢のライダー、どこか変だ。」

 

見ると右手に持ったソニックアローからバチバチと赤いエネルギーが過剰放電?している。

 

「うぅ…。」

 

そしてソニックアローを持つ手をゆっくりと黒影トルーパーに向ける。

その手にはロックシードから伸びたヘルヘイムのツタが伸びて絡み付いていた。

 

「おいそいつから離れろ!」

 

「は?何言っ」

 

それが黒影トルーパーの最期の言葉だった。

タイラントの腕から生えた無数のツタに身体を穴だらけにされる。

 

「!?¡?!!¿!」

 

よく分からない叫びを発しながらツタを抜こうとするが、

首元から入ったツタに脳をかき混ぜられたらしい。

奇妙な痙攣の後に動かなくなる。

 

「フィリップこいつは…」

 

『分からない。だが確かなのは()()がこの世にいてはならないモノということだけだ!』

 

「違いねえ!植物にはヒートだ!」

 

<HEAT TRIGGER!>

 

<TRIGGER MAXIMUMDRIVE!>

 

「トリガーエクスプロージョン!」

 

爆炎で黒影トルーパーに巣食ったツタは燃やし尽くせたが、

タイラントの方は体の奥まで根付いてしまったらしい。

 

ゲネシスドライバーが外れてアーマーが解除される。

 

「マジかよ…」

 

出て来たのはイナゴの様な白い怪人だった。




ケイタ「相変わらずよく人が死ぬssだな!てか弾!達郎!超逃げて!」
一夏「しょ、翔兄フィリップ兄…。」
鈴音「信じよ。絶対大丈夫だって!」
ケイタ「あ、ああ!次回Gossips or true news その8!」
一夏「これで決まりだ!」

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