infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

47 / 104
ケイタ「さて、前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは、どこまで行ったっけ?」
弾「俺が!あんだけかっっっこよく変身してWと一緒に戦って勝ったとこまでだよ!」
鈴音「まさかあんたが仮面ライダーになるなんてねー。私は?」
ケイタ「私は?って、鈴お前やりたいの?」
鈴音「当たり前じゃん!だってこいつがやれたのよ?彼女いない歴とバレンタインにチョコもらった事ない歴が年齢とイコールのこいつが!」
弾「それ変身と関係ないだろ!お前だって渡せたのか達郎にチョコを!」
鈴音「………双天牙月と龍咆好きな方を選びなさい。」
弾「のぞむところだ!変身!」
ドライバー<一撃in the shadow!>
鈴音「くらえぇぇ!」
黒影「うおおぉ!」
ケイタ「たく、馬鹿ばっか。それではどうぞ。」
(op Alive A life 仮面ライダー龍騎)


the Heat その0

1

警報機の様なベルの音で夢の世界から放り出される。

鉛の様に重い体をなんとか動かしカーテンを開けて目覚まし時計を止めた。

 

(なんでだろ?腹がすっごく重苦しい。)

 

昨日なに食べたっけ?なんとなく独り言の様に呟くと

 

『セシリア・オルコットの失敗手料理の満漢全席だ。』

 

そうだった。

昨日の夜セシリアの料理特訓に付き合って死にかけたんだった。

 

「思い出しただけで吐き気がする。」

 

「奇遇だな。俺もだ。」

 

『レン様大丈夫ですか?昨日はうなされてましたよ?』

 

「悪夢ぐらい昨日の行軍に比べりゃマシだ。」

 

あの後満身創痍になりながらもなんとかバイクを運転して帰ったのだった。

 

「満腹感的にはもう今日のお昼ぐらいまでは要らないんだけどな。」

 

「そうも行かないだろ。

アレが栄養になったかと言われたら疑わしい。」

 

「違いない。」

 

4人は無理矢理朝食を胃に押し込むと学校に向かった。

 

「こんなんでまともに授業受けれんのかな?」

 

「だよね〜不安。」

 

「そう思うなら少しは授業中に居眠りしない努力をしよっか2人とも?」

 

「は、はい。」

 

「善処します。」

 

流石に千冬の授業で寝る事はないがそれ以外の一般科目の授業は割と寝ているケイタと心愛は必然的にあまり成績がよろしくない。

 

流石に赤点を取るほどでは無いが。

 

「頼むからオルコットの為の料理教室の次はお前らの為の勉強会とか勘弁してくれよ?」

 

 

 

2

授業が終わり放課後、

解散と共にケイタ達の携帯に一通のメールが届いた。

 

差出人 謎のお姉さん

 

件名 来てね

============

お姉さんから凄く凄ーく重要なお話があります!

帰る前に生徒会室によってね!

============

 

「どうする皆?」

 

「十中八九、て言うか間違いなく更識生徒会長からだよな?」

 

「別に無視しちゃってもいいんじゃない?

来週から臨海学園だし私達も暇じゃないし。」

 

「でもお話だけでも聞いてみてもいいんじゃない?」

 

《これはわたくしの個人的な意見ですが、

楯無様と関わって良い事はないかと。》

 

《我々フォンブレイバーや仮面ライダーのことを嗅ぎ付けられたりしたら面倒だ。》

 

《それに奴には新聞部(パパラッチ)を使って一夏をコソコソ調べまわっていた前科がある。》

 

フォンブレイバーや尾行された事がある一夏や用心深い蓮は乗り気じゃないみたいだ。

 

「俺は行こうかな。

いつまでも立場不明でいられんのも怖いし。」

 

「一理あるが相手は学園最強のIS乗りにして暗殺部隊の長だぞ?」

 

「だから今のうちにお友達になっておいて損はないよ。」

 

そうなケイタの一言で渋りながらも一夏と蓮も生徒会室に向かった。

 

「失礼しまーす。」

 

ドアを開けて中に入ると大量の書類とそれと格闘する眼鏡の上級生の姿があった。

こちらに気付くと立ち上がり一礼して名乗った。

 

「! お待ちしておりました。

私は生徒会会計の布仏虚といいます。」

 

「布仏って……網島です。」

 

「アキヤマです。」

 

「織斑です。」

 

「保登心愛です。」

 

どうしたものか?もし1人で待っていたのが更識楯無なら

どんなにからかってきても『で?用件は?』で済ませられ

るが、相手は自分たちが死に追い込んだと言っても過言で

はない布仏本音の姉だ。

 

「今日は皆様に謝りたくて呼ばせていただきました。」

 

「謝る?先輩が私達に?」

 

「はい。私は…あなた達を赦すことは多分出来ません。

けどだからといってあなた達の立場を考えていなかった

かもしれません。」

 

「私達の立場?」

 

「同じ立場になって分かりましたよ。

人智を超えた力を

持った化け物に人の身で対峙する事の恐ろしさが。

それから少し考えれば私達を度々助けてくれた

仮面ライダーの気持ちもわかった気がします。」

 

「仮面ライダーの気持ち?」

 

「化け物と同じ力で一歩間違えれば自分も

そうなっていたかもしれない怪人に拳を振るう葛藤が

いかに苦しいか、そう考える様になりました。」

 

一歩間違えればそうなっていたかもしれない。

気付けばケイタと蓮はポケットに入れたデッキを

握りしめていた。それだけ虚の言葉は重い。

 

(確かに……俺がいつストライクや、あの時夢に見た

オニキスってライダーみたいにならない保証は何処にもない……。)

 

(見方を変えれば俺はベントしたインサイザーに負けず劣らずのクソ野郎ってわけか。)

 

「だから私はあなた方を一方的に悪と決めつけた事にだけは謝罪します。本当にごめんなさい。」

 

「頭あげて下さい布仏先輩。

どっちかって言ったら頭下げても下げ足りないの俺たちなのに。」

 

「そうですよ。私達がのほほんさんを逮捕したのに!」

 

「………アンタの恨みはある意味正当なもんだ。

けど楽な方へ逃げ続けなかったアンタを俺は称賛する。」

 

「そうですか、では改めてよろしくお願いしますね。」

 

「こちらこそお世話になります布仏先輩。」

 

「はい。あ、あと最後に五反田弾くんの連絡先を教えてもらえませんか?」

 

「ダン?知り合いか?」

 

「あ、ああ。布仏先輩弾に会ったことあるんですか?」

 

「はい、つい先日助けていただいたばかりで。」

 

「へぇ〜あの弾が?」

 

「? 一夏ちゃんどうしたの?」

 

「いやなんでも。ただ弾な先を越されたのは少し悔しいかな〜って。」

 

「ふーん。って ヴェア!?」

 

 

3

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

場所は変わってベンタラ。

 

黒いジャケットの男、仮面ライダートルクこと

ドリュー・ランシングは逃げていた。

 

(なんで、なんでこんな事に?)

 

彼はゼイビアックスに拾われるまで詐欺師だった。

 

元々口達者で人を騙す事に快感を覚えるタチだった事もあり、

彼は大学を出て直ぐに詐欺師になった。

 

しかしそんなポッと出の彼がそんなに上手くやれる訳がない。

割とすぐに詐欺がバレて警察に追われる羽目になった。

 

「こんなはずじゃなかったのに!」

 

そうやって逃避行を続けるうちに出会ったのがゼイビアックスだった。

 

「君は口が達者で頭も回る。どうかね?

私の元で働いて欲しいんだよ」

 

ゼイビアックスの手を借りてベンタラに逃げるとすぐにドリューは彼の真の目的を聞かされた。

 

「そう言う訳で私の目的が達成された暁には君に地球の支配権をあげよう。」

 

ドリューはすぐに引き受けてデッキを受け取りライダーになった。

 

(見てろよ俺はゼイビアックスの部下で終わらない!

必ず奴も他のライダーも倒して最強の王になってやる!)

 

彼は優秀だが、その身の丈に合わない野心を持った男だった。

自分なら上手く立ち回れる。

そう確信していたのだが

彼には一つ致命的な欠点があった。

 

自分の失敗を認めらない、否頑として認めないのだ。

 

そんなんで口八丁で言いくるめただけの仲間が付いてくるはずもなくたちまち四面楚歌、更に悪いことは重なる。

 

「やあやあやあドリュー君。

よくのこのこ戻ってこれたね。」

 

「ッ!……すいませんしくじりました。けど次は必ず!」

 

「次?君に次なんてないよ。」

 

「! 間明にエム?」

 

「この発言はどうゆう意味かな?」

 

スッとゼイビアックスが鏡に手をかざすと映像が浮かび上がる。

 

『なーに、しばらく寂しいだろうがドラゴンナイトやゼイビアックスも上手い事利用して用済みになったら直ぐに送ってやるから安心して待ってろ!』

 

前に勢いでアックスやスティングに言ってしまったセリフだった。

 

「しかもこの戦いで脱落したのはスピアーだけ、

こちらには損失しかなかったのに対して向こうは団結してしまった。」

 

「君には責任を取ってもらうよドリュー君。」

 

そう言って間明はポケットから紫色のコブラのアドベントデッキを取り出す。

 

「仮面ライダー。」

 

構えを取り間明はストライクに、

エムは自身の愛機サイレントゼフィルスを展開。

ゼイビアックスも怪人態に変身する。

 

「クッソ!KAMEN-RIDER!」

 

ドリューもトルクに変身してマグナバイザーを乱射して隙を作り鏡に飛び込み逃げる。

 

「追えストライク!」

 

「ありがたき幸せ!」

 

こうして逃避行が始まった。

寝る場所ひとつ確保する事さえ周囲の全ての鏡を塞がなければならないような気なんてとても休まらない旅だ。

 

途中でなんとか仲間を作ろうとしてトラストに共闘を持ちかけたが

 

「もはや私は後に引けない!今すぐ脱落してくれ!」

 

いきなり襲い掛かられる始末だ。

 

(何か、何かないのかよ!

この状況をどうにかできるような何かは!)

 

因果応報の悪因悪果。

正しく自業自得なのだが運命の神様とは気まぐれなものだ。

 

(あそこにいるのはアックス!)

 

丁度モンスターを倒した後らしい簪がいた。

 

「な、なあおい!」

 

「!? ドリュー・ランシング!」

 

こちらを見るなりデッキを取り出し臨戦態勢になる簪。

 

「ま、待て!待ってくれ!

もうお前らと敵対するつもりはないんだ!」

 

「そうやってまた私達を騙して分断するつもりでしょ?」

 

「違うよ!今、ゼイビアックスやストライクに追われてるんだ!頼むから助けてくれよ!」

 

「……なるほどそうゆう事。

それで仲間になって隙を見せたところでベントして

残ったデッキを手土産にゼイビアックスのところに戻る作戦。」

 

Vバックルを出現させポーズをとる簪。

 

「さっきから違うっつってんだろ!」

 

「ふん!どうだか、どっちにしろ雑魚の助けなんて要らない。」

 

「なんだとテメェ!もうムカついた!

お前からベントしてやる!」

 

ドリューもVバックルを出現させて構えをとる。

 

「カメンライダー」

 

「KAMEN-RIDER!」

 

同時に仮面ライダーに変身した2人、

先に動いたのはトルクだった。

マグナバイザーをフルオートにしてアックスを撃つ。

 

「!」

 

<STRIKE VENT>

 

アックスは横に飛ぶとデストクローを召喚。

ドラゴンナイトがドラグシールドでやる様に構えて突っ込んでいく。

 

「なんだと!?」

 

「はぁい!」

 

胸部にモロに斬撃を受け飛ばされるトルク。

転がりながらなんとかカードをベントイン。

 

<LAUNCH VENT>

 

ギガキャノンを装備して連続で光弾を浴びせる!

すかさず柱に隠れるアックス。

 

「ッ!」

 

「どうしたどうした!お友達が居なけりゃ雑魚にさえても足も出ないじゃないか!

このまま俺の王国の礎になりな!」

 

(……不味いな、なんとか隙を作らないと…そうだ!)

 

「ねぇトルク!王様になれない条件が1つあるんだけど教えてあげようか?」

 

「あ?あんのかそんなもん?」

 

「王様っていうのは、王様になろうとした瞬間に失格。

つまりあなたはいきなりアウト。」

 

「あぁ?なんだよそれ?そんな事…」

 

無いと言い切れるだろうか?

 

ほんの一瞬そう思っただけだが、

次々と思い当たる節が浮かんでくる。

 

詐欺が警察にバレた時も、簪を騙しそびれた時も、

スティングやアックスを仕留め損ねた時も、

絶対に大丈夫だと思った時程失敗していなかったか?

 

(今だ!)

 

デストクローを外し、バイザーにカードをベントイン!

 

<FREEZE VENT>

 

「! しまった!」

 

ギガキャノンが凍結され、光弾が発射されなくなる。

 

<FINAL VENT>

 

その油断が命取りだった背後から現れたデストワイルダーに仰向けになぎ倒され引きずられる。

 

その先にはデストクローを構えたアックスが待ち構えている。

 

「死んでたまるかぁー!」

 

トルクはベルトにマウントされたままだったマグナバイザーをデストワイルダーの腹部にビームを連射する。

 

デストワイルダーが怯んだ隙にトルクは逃げ出した。

 

「……チッ!」

 

仕留めきれなかったがあれだけ痛めつけておけばしばらく平気かと思いアックスは撤退した。

 

そして満身創痍で逃げ出したトルクは

 

「はぁ…あぁ……クソ、クソ!クソ!クソ!クソ!」

 

逃げ出した先で意味もなくマグナバイザーを撃ち散らす。

 

「なんでどいつもこいつも俺の思い通りに動かないんだぁ!」

 

醜い慟哭と銃声がこだました。

 

 

 

4

場所は変わって剣道場。もう誰も居なくなった後、

ただ1人素振りを続けているのは篠ノ之箒だ。

 

(このままではダメだ!奴らは、どんどん先に行く。)

 

強力なビーストと契約しているケイタに躊躇いなくライダーをベントできる蓮。

箒には無い強さだ。そして箒はただでさえ絶不調だった。

 

(あのカニがベントされてからというもの、デッキが怖い……。)

 

ビースト出現を知らせる音がするだけで一瞬身構えてしまう。

 

(軟弱!軟弱だぞ篠ノ之箒!

そんな事ではあの2人を倒して一夏の目を覚まさせるなど夢のまた夢だぞ!)

 

何度も何度も素振りを続ける。

そろそろ三桁にいきそうになった時。

 

「箒!」

 

「! 一夏!どうしてここに?

まさか剣道部に入る気になったか?」

 

「いや、まだ残ってるって四十院さんから聞いたから。

頑張ってるね。」

 

「まあな。いつまでも、負けっぱなしではいられない。」

 

「負けっぱなし?」

 

「ああ。網島や秋山の様な後から来た奴らにお前の幼馴染ポジションを盗られっぱなしではな。」

 

「フフッ」

 

「? なぜそこで笑う?」

 

「いや、箒が友達でよかったなぁ…って。」

 

「そ、そうか。むっ!」

 

「こ、この音って…!」

 

ぴーん、ぴーんと耳鳴りの様な音が響く。

 

「出たか。」

 

「!? 出たかって箒まさか…。」

 

「ああ一夏。私も網島達と同じ仮面ライダーだ。」

 

ブレードのデッキを取り出す箒。

 

「見ていてくれ一夏。

お前を取り巻く余分な奴らを倒して真の強さを証明するよ。」

 

「ま、待って箒!」

 

飛び出した箒を追う一夏。

箒は近くの窓にデッキを構えてVバックルを出現させる。

鏡には緑色のライダー、トルクが写っている。

 

「新手か、いいだろう。仮面ライダァ!」

 

箒はブレードに変身してベンタラに飛び込んだ。

 

「ほ、箒…!電話?

こんな時に誰…手塚さん?もしもし一夏です。」

 

『一夏!今ライダーの運命を久しぶりに占ってみたんだが!

大変だ。またライダーがベントされる!』

 

「!? 本当?」

 

『ああ。サバイブカードが無ければベントされる!』

 

「サバイブカード?それよりも誰がベントされるの?」

 

『それはウッ!ガァアアア!』

 

「? もしもし?もしもし手塚さん?」

 

『ぐぅうぅううう!頭が!頭が割れるぅう!』

 

『海之ちゃん!落ち着いて海之ちゃん。』

 

「嘘でしょこのタイミングで発作?」

 

『落ち着け一夏!網島ケイタ達に連絡を入れろ。」

 

「う、うんわかった!オブザーバーはケイタに!

デモリッションはレンに!

ゼロワンはシーカーを着身!

カメラを乗っ取ってケイタ達が変身できるように!」

 

『了解だバディ。

シーカー着身!…着身完了。

イニシエイト・クラック・シークエンス発動。

IS学園の防犯カメラを掌握する。……完了だ。』

 

「よし!あ、繋がった!もしもし?」

 

『どうした一夏?』

 

『ずいぶん焦ってるな。何かあったか?』

 

「手塚さんの占いで!また誰かがベントされるって!

今トルクと箒が変身したスティングみたいなライダーが戦ってる!」

 

『スティングみたいな、ブレードか!』

 

『ブレードの正体は篠ノ之だったのか!』

 

「兎に角急いで!

カメラはゼロワンがどうにかしたから!」

 

『わかった!一夏も気を付けろよ!』

 

『そこを動くな!心愛をそっちに向かわせる!』

 

電話が切られ、再び一夏とゼロワン達だけになる。

 

(ケイタ、蓮。お願いだよ…

この連鎖を止めて…仮面ライダー。)




黒影「うおおぉ!」
ドライバー<マツボックリスカッシュ!>
鈴音「でりゃああああ!」
ケイタ「まだやってるよ、おーい誰かいないの!」
紗路「! な、なに?ISと仮面ライダーが戦ってる?」
ケイタ「紗路ちゃん良い所に。これ読んで。」
紗路「え? カンペ?」
ケイタ「次回予告だから。」
紗路「私出番ないのに?」
ケイタ「夏休み編ちゃんと出番あるから!」
紗路「う、うん。次回the Heat その1?」
ケイタ「戦わなければ生き残れない!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。