infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ(羽織袴)「それでは皆さん。」
3人「新年、あけましておめでとうございます。」
一夏(振袖)「あっという間に過ぎていった令和元年、いかがお過ごしだったでしょうか?」
蓮(タキシード)「このssは相変わらず亀の歩みですが、それでも楽しみにしていただいてる読者の皆様がいる限り、完結まで頑張っていく所存です。」
3人「皆様是非、応援のほど、よろしくお願いいたします。」ペコ
ケイタ「ま、硬い挨拶はここまでで。前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは…」
ガードベント「」(遺影)
一夏「悪意があるね。」
蓮「何とは言わないけどな。」
一夏「おふざけは置いといて前回は、箒がライダーだったってとこまでだったね。」
蓮「……あぁ。中々ややこしい状態になってきたな。」
ケイタ「まだまだ先が見えないけど、結局進むっきゃないよな。
それではどうぞ!」


番外編 変わったモノ、変わらないモノ

1

臨海学校まで残すところ数日、ケイタ達の姿はショッピングモールにあった。

「なあ蓮。」

 

「なんだ?」

 

「世の中には確かなことが三つ有ると思うんだ。」

 

「どんな事だ?」

 

「悪党は変身中に攻撃してこないこと、

女子の買い物が長引くことと」

 

「ちょっと?」

 

急に知らない女に声をかけられる。

 

「あんたら暇よね?買い物手伝いなさい。」

 

当たり前にそうするよな?

とでも言う様な態度で命令してきた。

 

「……女尊社会はクソって事だな。」

 

「違いない。」

 

「な!あんたら男の分際でよくもそんな事を!警察呼ぶわよ!?」

 

「どうぞお好きに?

IS学園の生徒を司直で裁こうなんて不可能だけどね。」

 

そう言って2人揃って女にIS学園の学生証をみせる。

 

「レン・アキヤマに網島ケイタって…男性操縦者の……。」

 

「俺たちを訴えるつもりならアンカー社と日米両政府を相手にできるだけのバックアップを得る事だな。」

 

「くっ………男のくせに、覚えてなさい!」

 

安っぽいファンタジーものの1話で伝説の勇者に倒される変な二つ名の荒くれ者みたいな捨て台詞を残して女は去って行った。

 

「たく、ああゆう露骨な隠そうともしてない奴には参るよな。」

 

「隠そうともしない、か。」

 

ポケットからドラゴンのデッキを取り出すケイタ。

 

「ああゆうのは剥き出しだから秘密がないのに俺たち(ライダー)は人前で仮面をつけてはじめて罪を明かせるってのはなんの皮肉だろうな?」

 

「篠ノ之の事か?」

 

一夏から箒がライダーだと聞いた時目の前で変身したと聞いていた。

 

「篠ノ之さんに限らず、

山田先生も新聞部の黛先輩だっけ?

の目の前で変身して正体がバレちゃった訳だし。」

 

「確かに。もしかしたら俺らも誰か大勢に正体を明かすときは変身することでかもな。」

 

そう言えば初めて蓮がケイタや智乃達に正体を明かしたのも目の前でウイングナイトに変身したことだった。

 

(逆に俺達がドラゴンナイトが誰か知ったのはこいつが変身を解除したからだったな。)

 

《つくづく主に良い意味で仮面ライダーが似合わないと言うことなのかもしれないですね。》

 

そんな風に蓮とサードが話す間もケイタはずっと手のひらに乗ったデッキを眺めていた。

 

(なあ、セブン。)

 

《なんだ?》

 

(合理的な理由とか云々抜きにアンカーのエージェント辞めたくなった時ってある?)

 

《なくはないが、どうしてだ?》

 

(いや、この前篠ノ之さんと戦った後に一夏が泣きそうな顔してるの見たんだ。)

《ほう?》

 

(それで、一夏があんな顔するぐらいならやめた方がいいのかなって。

でもストライクみたいのを野放しにしたくはないし、

篠ノ之さんにちょっと言ってやりたい自分もいるけど。)

 

《あんだけまるでチワワとかどうとか煽っておいてまだ言い足りないのか?》

 

(まあな。あとついでに5、60発ぐらいぶん殴っておきたくもあった。)

 

《ケンカ屋の常識で考えるな!

5、60発はついでレベルではないぞ!》

 

(そうなの!?)

 

《そうなの!全く…ま、君のやりたい様に進むべきだろう。

私も出来る限りの手伝いはしよう。》

 

(ありがとうな、相棒。)

 

《当然だ。》

 

 

 

2

「ねえ一夏ちゃんこっちの色は?」

 

「うん…。」

 

「でもちょっとセクシーなぐらいがいいかな?」

 

「うん…。」

 

「……一夏ちゃーん!」

 

「わぁ!お、大声出さないでよビックリするじゃん。」

 

「一夏ちゃんがお話聞いてないんでしょうが!」

 

バシン!と一夏の頭に何かが振り下ろされる。

 

「イタ!何それ?」

 

「なんか購買で売ってた!」

 

バッ!と今さっき振り下ろした何かを広げる。

無駄に達筆な字で 私を焦らすな! と書かれた扇子だ。

 

何故だろう?一瞬オールバックの髪型でとんでもない顔芸を披露する三十路になったばかりで自称神の天才ゲームクリエイターが脳裏に浮かんだ。

 

「それ、楯無さんの?」

 

「多分同じやつ!」

 

「酷いセンス。」

 

「今のは扇子と感性(センス)をかけたヒジョーに面白いギャグだね!」

 

「「はい!一夏じゃナイカー!」」

 

「って心愛ちゃんは私に何を言わせてるの?」

 

「あ、やっと笑ってくれた!

やっぱり一夏ちゃんは笑ってる方が可愛いぞー!」

 

むにー。と頬っぺたを伸ばす心愛。

 

「ちょ、痛い痛い!」

 

「へへ、一夏ちゃんのほっぺ気持ちいいからつい。」

 

「それに私そんなにつまんなそうな顔してた?」

 

「つまんなそうなって言うか、辛そうな顔してた。」

 

やっぱり箒ちゃんのこと?

 

心愛が言った瞬間胸が痛んだ。

 

「やっぱり。友達が戦うの、嫌?」

 

「……うん。箒だけじゃなくて、

ケイタや蓮や簪さんに山田先生や…シャルロットさんもそう。

けどそれって私がどうこう言える事なのかな?って。」

 

だってみんな命がけだよ?

とポケットからアビスのデッキを取り出す。

 

「それに私みたいに、

変わっちゃう人に言われても説得力ないんじゃないかな?とも思って。」

 

「だからあの時何も言わなかったの?」

 

 

 

3

あの時とは、トラストがベントされたその日、

海之がライダーがベントされる以外に何か伝えようとしていたのを思い出して改めて連絡を入れてみたのだ。

 

『トラスト…そうか、私の占いは当たるな。

デッキは回収出来たか?』

 

「いや、逃げるのに必死で無理だった。」

 

『と言う事はいまデッキは私と秋山が2個ずつ、網島、山田教諭、シャルロット、簪、それからアビスのを一夏が1個ずつか。』

 

「敵側はトルクにストライクがトラストのを含めて二個。

それからまだ出てきてないライダーが2人だな。」

 

ライダーの数的にはこちらが有利だがいきなり大量のアドベントビーストを学園全土に投入しようものならジリ貧だし、

ストライクにトルクと2人の強力なライダーに正体不明のライダーが更に2人。

 

状況はあまり良いとは言えない。

 

「何か、切り札が無いと今の数の優位をひっくり返されるな。」

 

苦い顔で蓮が呟く。するとケイタが一瞬顔を曇らせた。

 

「? ケイタ?」

 

『いや、切り札が無くはない。だが、かなり博打だ。』

 

「どうゆう意味だ?」

 

『秋山、今スピアーのデッキはお前が持ってるんだったな。

中のカードを見てみろ。』

 

(? 中のカード?アタックベント、スピンベント、ファイナルベント、シールのカードに…!?なんだこのカードは!)

 

スピアーの中に入っていた疾風のサバイブカードを取り出す蓮。

 

「蓮君そのカードは?なんか如何にもスーパースーパーレア!って感じだけど?」

 

確かに心愛が言う通りサバイブカードは縁が金色で、

カードの絵が動いてる様に見える正にレアカードといった感じの装飾だ。

 

「SURVIVE…生き残る、か。」

 

『網島も同じカードを持ってるはずだ。』

 

「本当?」

 

「ケイタ、お前のも青か?」

 

「いや、俺のは赤だ。」

 

デッキから烈火のサバイブカードを取り出すケイタ。

 

「そんなカード一体どこから?」

 

『青いのは布仏本音が持っていたのを回収したもので

赤い方は初めから私のデッキに入っていた。』

 

「なんか凄そうな感じだけど、どんなパワーがあるの?」

 

『分からん。

私のコピーベントみたいにAPやGPの表示も無いし、

シールやコントラクトみたいになんとかベントですらない。

正直、何が起こるか分からん。』

 

「楽観的に考えればスペシャル技とか超パワーアップなんだろうけど…」

 

『その後どんな反動が来るか分からん。

だが、少なくともそれなりの戦力になる様だ。

事実私の占いではサバイブカードを使っていれば

トラストはベントされなかった。』

 

あの時私が伝え切れていれば、済まない。と

 

電話越しでもわかる悔しそうな声で言った。

 

「そ、そんな!手塚さんは何も悪くないよ。」

 

「サバイブカードの件も不確定要素を考えれば下手に話さなかったのは賢明だ。

だがこうなった以上使うべき時が来たら迷わず使えと言え。

その時は躊躇わない。」

 

『……わかった。』

 

「ケイタ。

俺はもしこのカードを使うべきとなったら迷わず使う。

お前はどうだ?」

 

「俺も使う。」

 

間髪入れずに至って真剣にケイタは答えた。

 

「ストライクは、いや、

悲劇を繰り返さないためにゼイビアックス達は俺が倒す!」

 

やめて。一夏は言いたかった。

 

何で皆なの?

だからって他の誰かがやれって言うつもりは無いけど無理しないでよ。

ストライクにトラストがやられるの見たよね?

死んじゃうよ?

 

言いたかった。我儘だと分かっても言いたかった。

 

けど一夏は強い光を宿したケイタの目を見るばかりだった。

 

 

 

4

「ところでケイタ。」

 

「なに?」

 

「お前と一夏ってなんていうか、

あんまりにもお互いにタイプが違うと思うんだが、

前からあんなに仲よかったのか?」

 

「いや、最初はなんか俺一夏にめっちゃ嫌われてたよ。」

 

意外だった。まだ3ヶ月そこらの付き合いだがあの一夏が自分から人を毛嫌いする様には見えない。

 

まぁアレの兄のように明らかにダメなのもいるっちゃいるが。

 

「どんな出会いだったんだ?」

 

「聴きたい?じゃ、ちょっと長くなるけど。」

 

 

 

ケイタが小学四年生に上がったばかりの頃、

織斑姉兄妹が網島家にやって来た。

 

当時のケイタは今程ではなかったが無精者で、

仲良くなるのめんどくさそうだな。くらいに思っていた。

 

いきなり姉が出来たのも同い年の子が二人も増えたのもなかなか疲れたし、ケイタは三春を好きになれなかった。

 

別に自分より頭が良いからとか運動が出来るからとかそういう理由でなく、性格が好きになれなかった。

 

きっかけは一度三春に剣道に誘われた時のこと。

寝る時ぐらいしか同じ部屋に居ないくらい薄い関係だったが放課後毎日何してるのか気になってはいたし行くだけ行ってみるか。

 

そう思い教室のあった神社に行ってみた。

まあまあ繁盛してるようで生徒の数は10人くらいで下は自分達くらいで上は千冬くらいまでいた。

 

「ケイタ君。君も剣道に興味が?」

 

「一応。普段二人が何してるのかも気になってましたし。」

 

結局普通に剣道を見学していただけなケイタ。

特に剣道に興味を抱けぬまま終わりさて帰ろうかと思うとおかしなものを見てしまった。

 

三春だけまだやると言って御神木の方へ歩いて行ったのだ。

なんだろう?普段ならあまり気にしないがここ最近は悪友の弾達と共にバスケに付き合ってくれる翔太郎の影響でちょっとしたことまで気になってしまうようになっていた。

 

覚えたての忍び足で追跡していくとある一本の木の前で止まる。

いつでも走り出せる体制で隠れながら覗き込む。

三春はこちらに気付いていない様子で竹刀を取り出すと

 

「なんでなんだ!」

 

思い切りその木に向かって振り下ろした。

 

「なんで僕も一夏も皆んなを守るくらいに強くなれないんだ!

僕らはどんなものからも守れるくらいにならないとダメなんだぁ!」

 

そこからは酷かった。

 

自分と同い年の少年の口から発せられているとは思えない罵倒や悪態を自分と一夏に向けて喚き散らして吐き散らして型も何もあったもんじゃない素振りを繰り返している。

 

目眩がする。あまりに酷い。

そういえば探偵も見たくないものを見てしまう時もある。

って言っていた気がする。

 

その後は最悪な気分で帰宅した。

どうやって自分が帰ったかも思い出せない。

その後は普段以上にボーっとしていた。

 

「大丈夫?なんか今日帰って来てから変じゃない?」

 

「そういう一夏も最近調子悪そうじゃん。」

 

多分一夏は環境の変化に疲れているだけだろうが。

 

「私、君ほど不摂生じゃないから。」

 

なんてことない一言だったがその声には軽蔑の念が込められていた。

部屋に戻らず洗面台の方に向かい鏡を覗き込む。

 

俺そんな変かな?

鏡にはいつものやる気のない自分の顔しか映らなかった。

 

 

 

6

「別にいいと思うな。」

 

「え?」

 

一夏の話を聞き終えると心愛はなんて事のない様に言った。

 

「確かに一夏ちゃんは箒ちゃんから見たら変わったのかもしれないけど、

私が好きになったのは今の一夏ちゃんだから。

きっと箒ちゃんは変わる前の一夏ちゃんから好きになったからなんか違和感なのかも、嫌なんだろうけど、

良いも悪いも全部一夏ちゃんだから、

気にする事ないって思うな。」

 

屈託のない笑みで言う心愛を見て一夏は風都に、

網島の家に越してきたばかりの頃を思い出した。

 

その日一夏は風邪を引いた。

40度近くの熱を出し動くのも怠くなる程の酷いやつだ。

おそらく急な環境の変化が原因だろう。

 

その上剣道を休みなく続けていたんなら尚更だ。

幸い土曜日だった為学校を休んだりはしなかったが。

 

「お粥持って来たぞ。」

 

お盆を持ったケイタが入ってきた。

 

「自分で体起こせる?」

 

ゆっくりと首を横に振る一夏。

 

「わかった。じゃ俺が動かすから。」

 

自分でやろうとしたが体に殆ど力が入らない。

 

「世話、、ないね。」

 

「ん?」

 

「君の、こと。、、不摂生、とか、、言っておいて、、情け、ないなぁ。」

 

口を動かすのも怠かったがそう言わずにはいられなかった。

 

「、、別に、俺は一夏が情けないとか全然思わないけど?」

 

「、、、え?」

 

「慣れない街で、馴染もうとしながら剣道だって頑張ってたんだろ?

だったら仕方なくない?

それにこの街は良いものも悪いものも風が運んでくるから

きっと次は一夏の所に良いものを運んでくるよ。」

 

翔兄ちゃんの受け売りだけど。カッコつけすぎかな?

 

気恥ずかしそうにはにかみながらお粥をひとすくい。

 

一夏はなかなか差し出されるお粥に手をつけれなかった。

 

何故か泣き出してしまった。

そしてようやく泣き止んでお粥を食べれた頃にはすっかり冷めてしまっていたが一夏にはとても暖かく感じた。

 

「…ありがとう心愛ちゃん。」

 

「どういたしまして!」

 

晴々とした笑顔になった一夏。

もう迷いはないだろう。

 

《バディとしては、少し妬けるな。》

 

そして少し複雑な気分のゼロワン。

しかし画面を開いたならそこに笑顔のフェイスパターンがあったはずであろう。

 

 

 

7

「お前ら結婚しろよ。」

 

「な! れ、蓮お前いきなり何を!」

 

「一夏と末長く爆発しろ。結婚式には呼べ。

スピーチと織斑千冬に斬殺された後の骨ぐらいは拾ってやる。」

 

「何で千冬さんに殺される前提なんだよ!

いや確かにもしそうなればあの喪女侍に

殺されるの待ったなしだけど!」

 

《どちらかと言えば今の喪女発言のせいで殺されませんか?》

 

《だが、間違いなく妹や山田真耶に先を越されそうだ。》

 

「違いない。いや、間違い無いな。」

 

この時IS学園の教員室から特大のくしゃみが聞こえたとかなんとか。

 

「話戻すけど俺と一夏は」

 

「確かに世間的に見てん?ってなる様な事だが、

別に法に触れる訳じゃないし、

一夏みたいな女がお前の性癖ドストライクだろ?」

 

「い、いやまぁ、そうなんだけど…。」

 

(それに一夏も満更じゃ無い感じだし)

 

「なんか言ったか?」

 

「いや、別に」

 

「ならいいけど。それよりそろそろ行くぞ。

女の買い物はここからが本番だ。」

 

「だな。」

 

臨海学校まで残りわずか。

 

彼らに試練が訪れるまで残りわずか。




ケイタ「次回、infinite DRAGON KNIGHTは!」
心愛「海、キター!」
一夏「束さん?」
篠ノ之束「ちーちゃん!」
千冬「ふん!」
能見創「これが新しい打鉄赤龍です。」
箒「いける、この紅椿なら!」
ラウラ「銀の福音だと!?」
蓮「こっからは戦争だ。」
三春「俺が守る!この新しいISで!」
一夏「私が白式に?」
千冬「すまない三春、一夏。」
真耶「ストライク!」
間明「僕らも、混ぜて貰おうか。」
ドリュー「死ねよどいつもこいつも!」
一夏「嘘…私……。」
箒「一夏ぁああああああ!」
蓮「次回、the Heat その2!」
ケイタ「戦わなければ生き残れない!」
一夏「何この予告!?私死ぬの!?」

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