infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!」
ゼロワン『ついにあの原作で最も掴み所の無くて油断ならない篠ノ之束が登場したな。』
ラウラ「おまけにマギラといったか?あの男まで何か仕掛けてくるつもりらしいぞ?」
ケイタ「全く油断ならない敵ばかりで困ったもんだぜ。さてさてどうなる?」
(op STRAIGHT JET インフィニットストラトス)


the Heat その3

1

夜、ようやく入浴時間になったケイタと蓮は露天風呂にいた。

 

「あ〜生き返る。」

 

「たまには温泉も良いもんだな。」

 

満点の星空を見上げながら蓮はため息をついた。

なんだかんだ言って4月から今までIS学園でも戦いベンタラでも戦い、たまの休みにはアンカーエージェントとしてサイバー犯罪と戦い殆ど休みの無かった3ヶ月。

 

篠ノ之束の登場など毎度のことながら超ド級の厄ネタが降って湧いてきているが、思い切りリラックス出来るのは随分久しぶりだ。

 

「そう言えばさ、俺は結構蓮に昔の事とか話した気がするけど、蓮から昔の話聞いたこと無いよな。」

 

「ああ…知りたいか?」

 

「興味はある。けど話したくないなら無理に話さなくて良いよ。」

 

「……俺には父親がいない。

少なくとも1歳の時にはいなかった。

だから父方の親戚とも面識がない。

母方の親戚と会ったのも3年前に母親が死んでからだ。」

 

「!? じゃあ、お前のライダーとしての願いって……」

 

「いや、今さら父親に期待なんてして無いし、

死者蘇生を願うほど幸せな頭もしてない。

けどどうしても譲れない願いがある。」

 

もし邪魔するならお前らでも容赦しない。

そう言った蓮はどこまでも真剣だった。

 

「けど、お前らとは居て楽しいし、戦いたくない。

ま、模擬戦とかでは負ける気ないけどな。」

 

「……そっか、お前が良い奴で良かった。」

 

「そいつはどうも。」

 

「それに蓮は強いしな。やっぱり願いがあるから?」

 

「さあな。でも一個ぐらい譲れないものを持っておくのも良いかもな。

例えば織斑の『守ること』とか。」

 

「やっぱりやめるわ。」

 

「例えが悪かったな。」

 

「当たり前じゃん。だってアイツそう言って独断先行しかしなかったじゃん今まで。」

 

「それさえなけりゃそんなに悪い奴でもないんだろうにな。」

 

「俺的には昔の事あるし、

千冬さんに並んで苦手な相手だな。」

 

「そうか……。」

 

頼むからそうゆう面倒くさい奴らの面倒くさい部分を刺激する様なことが起こりません様に。2人は切に願った。

 

 

 

2

翌日、一年の専用機持ちはは指定された場所で追加武装を受け取る為に命名指定されたポイントにて待機していた。

 

これはたとえ仲間内でも完全に秘密とされ、

他はどうか確かめる術はないが

ケイタ、蓮、簪らの強化打鉄の3人はある岩礁の上で待機していた。

 

「本当にコンテナだけ来んの?」

 

「ああ、篠ノ之束は無視したが、

基本的に機密保持の為に誰も来ちゃいけないことに」

 

そこまで蓮が言ったところで簪は奇妙な物を見つけた。

何かガソリンスタンドの様なシルエットの何かがどんぶらこー、どんぶらこーと波に乗って近づいてくるのだ。

よく見ると人が乗っている。

 

「あれってまさか…」

 

「おーい!こっちだあ!」

 

海上ガソリンスタンドに乗った誰かがハンカチを振って叫んでいる。

3人はISを展開して近づいてみた。

 

「あなたは…能見副主任!」

 

ハンカチを振っていたのは強化打鉄の開発責任者の能見荘だった。

 

「いや〜どうもどうも。

あ、網島ケイタパイロットははじめましてですね。

私はアンカーUSAのIS技術筆頭副顧問にして強化打鉄計画の副主任の能見です。」

 

名刺を渡され握手を求められるケイタ。

 

「えっと…偉い人なの?」

 

「心愛の叔父が総括するIS開発部の中でも今一番メインの企画のNo.2だ。」

 

「つまり現場監督の右腕。」

 

「右腕!……ふふっ、そう!私こそが主任の右腕!」

 

驚いて頭を下げるケイタ。

まさかそんな偉い人が自ら来るとは思わなかった。

 

「で、なんで貴方がここに?」

 

「よくぞ聞いてくれました。何せ網島くん、

君の新たなIS打鉄赤龍改を組み立てるにはこのレベルの作業場と私の優秀な部下達が必要だったからだよ。」

 

「打鉄赤龍改!?」

 

「君の単一仕様発現に合わせてね。

さ、コア周り以外を全て取り替える大掛かりな作業になる!

1分1秒が惜しい!早速取り掛かりなさい!

え?IS学園に怒られないかだって?

もう織斑千冬には連絡済みです!」

 

能見がそう言うと何処からか出てきた作業員達に誘導され、

装甲やスケルトンパーツを交換されていくケイタの打鉄赤龍。

 

「さ、アキヤマくん。君にはご注文通り高速戦闘用パッケージのサムライソニック005の完成版を、更識さんには打鉄弍式改不動岩山のメイン防御装備のプロトタイプを。」

 

そう言って能見達は恐ろしい手際の良さで3人のISをあっと言う間に強化した。

 

「凄いな。武装のインストールと調整だけとは言え1時間足らずで終わっちまった。」

 

「ケイタ君の方は……」

 

そちらの方を見てみると、まだ半分といったところか。

目を閉じたケイタの周りにまだ3割くらいしか装甲のないISがある。

 

「打鉄赤龍改・臥竜鳳雛。装甲やスラスター内にマウントラッチを設置する事でISのパススロットを水増しする事により豊富な手札と圧倒的火力の両立を実現した第3.5世代型試作機です。」

 

「臥竜鳳雛、まだ現れぬ龍にまだ雛の鳳凰、か。」

 

「ええ。

貴方の打鉄黒翔改聖流降夜に打鉄弍式改不動岩山の原型。

ピッタリな名前でしょう?」

 

得意げに能見が言った時に異変が起きた。

なんと急に赤龍の周りにあった部品、

武装が次々と装着されていき、

その真っ赤で無骨な全容が露わになった。

 

専用機であることを差し引いても長く、

堅牢そうな両腕両足に西洋の龍の翼の様なスラスターウイングにアンバランスな両肩のハードポイント。

 

硬さの塊の様な印象を受ける赤龍改は背中のスラスターを起動させるとケイタが目を閉じたままにも関わらず飛び出し、海の中に潜って行った。

 

「!? おいケイタ!何があった応答しろ!

ケイタ!くそう!サード。

イニシエイト・クラック・シークエンスを発動!

赤龍改を強制停止させろ!」

 

『申し訳ありませんレン様!

赤龍改が接続を拒否。進入できません!』

 

「強行突破は?」

 

『防壁が硬すぎて無理です。

この硬さはコア2つ分の出力でも無いと不可能……は!

まさか!』

 

「ふふっ。気付きましたねサード君。

貴方の想像通り第3.5世代型とはデュアルコアによる大容量、高出力、広域殲滅を可能としたISの事ですよ。」

 

「………そっか!だから単一仕様発現で容量をくわれてもあれだけの速さと防壁を!」

 

「その通りです更識さん!

ああ、やはり主任の考えは間違っていなかった!

このままデュアルコア型の開発を続けて行けば必ず強化打鉄計画は究極の防衛を実現する!」

 

狂ってやがる。

能見にサムライエッジを向けてやりたい衝動に駆られたが、グッと堪える蓮。

 

「蓮君、追いかけよう。」

 

「分かってる。」

 

蓮は3本のトゲのようなスラスターが特徴のサムライソニック005を増設した黒翔を、

簪は4枚の試作型防御装備不動岩山を背中に増設した弍式を展開し、

コア反応を頼りにケイタを追った。

 

 

 

3

顔を撫でる心地よい風で目を覚ます。

ケイタは原っぱで仰向けに寝ていた。

 

「ここは、風都?」

 

背中についた草を払いながら立ち上がる。

柵の向こうに風都タワーとその下の街が見えた。

 

(懐かしいな、ここ確か小6の夏に一夏と花火見にきたとこだ。)

 

翔兄に教えてもらった穴場なんだよな。と昔を懐かしんでいると

 

『う、うーむ…は!ここは!?』

 

「お、起きたかセブン。」

 

『ケイタ!無事だったか…ん?

ここは、公園?何故だ?

我々はさっきまで機体の調整を受けていたはず…』

 

「え!?…………そう言えばそうだっけ?」

 

確かに改めて自分の格好を見るとISスーツ姿だ。

 

「まあ、俺が君らを無理やり呼んだからな。」

 

背後から不意に声をかけられる。

振り返るとそこにはあり得ない者がいた。

 

「ドラゴン、ナイト?なんでだ?

デッキはここにあるのに?」

 

「君達のイメージを借りさせて貰った。

本当なら俺は姿すら持てない。」

 

ドラゴンナイトの姿をした誰かは坦々と語った。

 

「俺は君達に力を授けられる。欲しいか?」

 

「力?具体的にどんな?」

 

「力は力だ。ただ力としか言いようがない。」

 

「力ねぇ…。」

 

ケイタは考えながら腕組みをした。

力、まあ貰えるなら貰ってもいいか?

と思う一方でかつて見た悪夢の様に意地悪く問いかける自分が居るのも事実だ。

 

「その力でストライクみたいな悪党を倒せたとして、

そっからお前が力を使って愉しく暴れない保証はないだろ?

悪い事は言わない。

お前が黒瑪瑙(オニキス)にならない保証はないだろ?」

 

確かに一理あると思うけど。

 

「貰っとくよ。ごちゃごちゃ考えてぐだぐだ悩んで迷って燻って、結局やりたい事やれなくて後悔を残したくない。」

 

はっきり言ってあんま俺頭良くないし、

考えるの苦手だし。と自嘲気味に笑うケイタ。

 

「その力は誰かを傷付けるとしても?」

 

「そんなこと言ったら結果的に何かを壊さない力なんて無いし、もしそうなったら死ぬまでその罪を数え続ける。

きっと翔兄やフィリップ兄に限らず、

仮面ライダーみたいな正義の味方達は、

大自然の使者達はずっとそうして来たから。

俺も振り返ってずるずる下がるより、

間違ったらそこで思い切り泣いてその後すぐに前に進むよ。」

 

「……そうか。なら戦え。戦わなければ生き残れない。」

 

そう言ってドラゴンナイトの姿をした誰かは銀色のカーテンの様な何かを出現させてケイタを送り返した。

 

「甘いな。あんな様子じゃあいつか自分自身の影に塗り潰される。」

 

ドラゴンナイトの背後からいつの間にか現れたオニキスが言った。

 

「確かに彼は周りを見てないかもしれない。

けど彼は周りに多くの仲間を持ってる。信じよう。」

 

「ふん。新参者のくせに知った様な口を。

所詮我々ISコアは道具だ。

篠ノ之束(かあさま)には逆えんし、

今回の様なことがない限り、

パイロットに話しかける事も叶わん機械だ。

網島ケイタとセブンの様な関係にはなれん。」

 

「だからこそ、俺は今彼の考えが聞けて良かった。」

 

「ふん。物好きめ。」

 

 

 

4

時間を少し巻き戻し、一夏達は準備が終わった者から早速テストする追加装備をインストールしていた。

 

「一夏。」

 

「? どったの箒?」

 

「いや、さっき姉さんからおかしなメールが来てな。」

 

「メール?」

 

箒のケータイを覗き込む。

 

 

差出人 姉さん

 

件名 愛しのらぶりぃ箒ちゃんへ!

============

ちょっと早いけどはっぴーはっぴーbirthday!

素敵で可愛い箒ちゃんには

らぶりぃ束さんからとっても素敵な

お誕生日プレゼントがあるよ!

ついでにみっくんといっちゃんにもね!

次回!降臨束さん!お見逃しなく!

============

 

「うん……凄く束さんらしいメールだね。」

 

「まあな。ただこのプレゼントというのがどうも不吉で。」

 

「確かに束さんなら地球破壊爆弾とか平気で作れそうだし。」

 

「今のは平気と地球破壊爆弾(へいき)をかけたヒジョーに面白いギャグだね!」

 

「「はい!一夏じゃナイカー!」」

 

「……何を言ってるんだ一夏?」

 

「何って一夏ちゃんの持ちネタ「雰囲気でのっちゃったけど別にさっきのギャグじゃないし、一夏じゃナイカー!って言い出したの心愛ちゃんだからね?」

 

そんなふうに話が脱線し始めると、

陸の方から何かが、土煙を上げながら突っ込んで来た。

 

「ちーちゃん!ぐぶう!」

 

千冬は一切躊躇いなく、持っていた情報端末、

スマートブレイン社製の最新モデルだ、

を顔面にめり込ませた。

 

「束。」

 

「相変わらず容赦ないねぇ、

そんな事よりさあハグしよう!再開を喜び合おう!」

 

「それより先に挨拶ぐらいしろ。

生徒達が困惑している。」

 

「えー、めんどくさ。

私が超天才の束さんだよー、ハロー☆」

 

投げやりに言うと束は再び千冬に抱きつこうとしたが、

千冬の閃光の様なジャブを炸裂される。

 

「えぇ…あの人がISを作った篠ノ之博士?」

 

「なんかイメージと違うね。」

 

「天才となんとかは紙一重って言うけど……。」

 

周りの生徒が囁き合う。

まあ、多くの人間が抱くイメージとはだいぶ離れた人間だろう。

 

「こらお前達手が止まっているぞ。

この変人は無視して早く作業を続けろ。」

 

しかしそのざわめきも千冬の一括ですぐに作業に戻る。

 

「むう…冷たいなあちーちゃんは。」

 

「昔からこんなもんだ。

で?なんでわざわざこんな所に来た?」

 

「よくぞ聴いてくれました!

本日は箒ちゃんといっちゃんにサプライズプレゼントがあるのですよ!」

 

パチン!束が指を鳴らすと空から二つのISが降りて来た。

 

「箒ちゃんといっちゃんの為に束さんがコアから丹精込めて作った箒ちゃん専用機の紅椿(あかつばき)といっちゃん専用機の黒法(こくほう)だよ!」

 

紅椿に黒法。

その名の通り、光を反射する紅いボディが美しい、

光を吸い込む黒緑色のボディが見る者に不安与える機体だった。

 

「どちらも現行最強の第4世代型だよ!」

 

「第4世代型!?」

 

代表候補生の何人かが素っ頓狂な声を上げる。

 

「そう!第4世代型、つまり展開装甲の自動支援プログラムによるエネルギーソード、エネルギーシールド、

スラスターへの切り替えと独立した稼動が可能!

ま、ぶっちゃけ最強の ISだね!」

 

「でも、一夏の黒法は三春の奴の白式と同じじゃない!」

 

「よく気付いたね中国人の貧乳チビ!」

 

「なんだとこの駄肉があ!」

 

暴れだす鈴音を押さえ付けるシャルロットとセシリア。

 

「貴様らぁ!離せえ!なぜアイツの肩を持つぅ!

肉か!お前らもアイツ程じゃないにしてもぶら下げてるからかぁ!」

 

「鈴さん落ち着いてくださいまし!」

 

「今暴れたって仕方ないじゃん!」

 

フーッ!フーッ!と怒った猫みたいな声を出しながらもなんとか落ち着いた鈴音。

 

「ふん!外人って野蛮で嫌だね。

やっぱり日本人だよ、箒ちゃんとちーちゃんといっちゃんとみっくん限定だけど!」

 

(な! し、篠ノ之博士!?

そんな発言をしては4月の時のわたくしの様に!)

 

一年達の中で海外から来てる者たちから鋭い視線が注がれる。

 

「束、そこら辺にしておけ。

で、そんな最強のISをこのガキ共に与えて何がしたい?」

 

「なんでもいいじゃん?ちーちゃんも楽しいでしょ?

ささ、もう2人のデータはもう入力済みだからさっさとフィッティングと一次移行済ませちゃおっか!」

 

束がそう言うとガシャン!

と二機のISが開いて、人を受け入れる様に跪いた。

 

「乗れば、いいんですよね?」

 

「ん? そうだよー!」

 

先程からずっと食い入る様に黒法を見つめていた一夏がすっ、と手を伸ばしその黒緑色の装甲を撫でる。

 

次の瞬間、一瞬で機体のボディカラーがディストーションブラックに変色し、白式と全く同じだったシルエットが打鉄黒翔を思わせるスマートな物に、スラスターは打鉄赤龍によく似た形に変身して、一夏に纏わり付いた。

 

「凄い……わぁ……」

 

まるで小さな光を愛でる幼子の様に愛おしそうに機体を撫でる一夏。

 

「い、一夏ちゃん大丈夫!」

 

「え? あ、うん。」

 

目に生気が戻り、改めて身体に着いた機体に驚く一夏。

 

「良かった…さっきまで一夏ちゃんなんか変だったよ?」

 

本気で心配していたのか少し涙目な心愛。

 

「そんなに、変だった。」

 

「うん。なんか目が死んでたわよ?」

 

難しい顔をしたまま一夏を見上げて鈴音が言う。

 

「まるでデュランダルに魅せられたマンドリカルドみたいだったよ?」

 

フランス人特有の例えをするシャルロット。

 

「もちろん!束さんのISは絶世の名剣なんかよりも100億光倍スーパーなんだから!」

 

そして物凄く得意げな束。

 

「そう…なんだ。」

 

確かにそれだけ言われてもこの機体を今すぐ脱ぎ捨てようとか思わないし、何か魔力めいた物を感じる。

 

『一夏、そろそろ降りろ。この機体、ただのISじゃない。』

 

ゼロワンも機体にアクセスして言う。

 

「あ、待っていっちゃん!

降りるんだったら唯一の装備の夜桜を確認してからにして!」

 

「夜桜?」

 

『近接ブレードとだけ有るが?』

 

「ならいっか。」

 

少し警戒しながらもケイタや蓮達がカードを使って武器やビーストを召喚してる姿をイメージするとすぐに夜桜は現れた。

 

「うわぁ………。」

 

そして一目見た瞬間一夏の警戒とか反省とかは吹っ飛んだ。

 

(綺麗な刀…鋭くて、光って、

刃紋も素晴らしい。これが、血塗れになったら…)

 

もっと綺麗だろうな。

糸車の針に指を伸ばす眠り姫の様にその刀身を狂おしそうに撫でる一夏。

 

「ッ!……停止結界!」

 

流石にまずいと感じたラウラはシュヴァルツェア・レーゲンのAICを発動する。

 

「離してラウラ。」

 

「お前がISを解除したらな。」

 

「嫌だよ!だって見て夜桜を!こんなに綺麗。

けどまだ足りない。彩が足りないの。

夜桜が真っ赤血を吸いたがってるの!」

 

ゆらり、恍惚とした表情のまま一夏は強引に停止結界を切り裂いた。

 

「な!?」

 

「まずは、ラウラ!」

 

一瞬で距離を詰めた一夏の夜桜の刃がラウラの喉元の皮一枚に食い込む。

 

(なんて迷いのない!)

 

そのまま肉を裂かれ、骨を絶たれ、

反対側の皮も切られ、視界が逆さになって遅れて血飛沫が舞う。

 

そうなる前にセシリアのビットが一夏に体当たりしてラウラを救い出した。

 

「ラウラさん!しかりなさって!」

 

「あ、ああ!」

 

直ぐに遠距離装備を構える2人、

その間にロランと鈴音がそれぞれレイピア・カウスと双天牙月を装備して前に出る。

 

「一夏!悪いけどちょっと痛い目見て貰うわよ!」

 

「レディに手をあげる趣味はないが、

今回ばかりは緊急事態だ。平にご容赦を。」

 

「鈴にロラン…。だったら安心して。

2人の後に達郎と簪さんも切ってあげるから。

そしたら皆一緒だよ?」

 

「な!あ、アンタこんな時に何言って!」

 

「生憎、そういった趣味はない!」

 

(BGM 神崎士郎 仮面ライダー龍騎)

 

戦場は海上に変わった。

銃弾の雨が降り注ぐ中、一夏は夜桜を1本にも関わらず不可視の砲弾と双天牙月を巧みに織り交ぜ攻めたてる鈴音と変則的に武器を遠近に切り替えるロランと互角の勝負を演じた。

 

(一夏アンタ強すぎでしょ!)

 

(こちらを殺す気できてるとは言えこれ程とは!)

 

鈴音とロラン武器を合わせる度に伝わる殺気に

 

(ライフルもビットも擦りもしないなんて!)

 

(嘘でしょ!?前戦った時は全然本気じゃなかったってこと?)

 

(馬鹿な!5対1で今年の一年でほぼ完璧な布陣なんだぞ?)

 

セシリア、シャルロット、ラウラは今まで片鱗すら見せなかった筈の神技に恐怖した。

 

「流石に、キツいね!ゼロワン!

ハイシーカー着身。視覚補助を。」

 

『断る一夏。今のお前は普通じゃない!』

 

「チッ ゼロワン。私、素直じゃない子って嫌い。」

 

一夏がそう言った瞬間、

黒法にアクセスしていた筈のゼロワンが逆に黒法にアクセスされる。

 

『うがぁ!…こ、これは?俺のラムダ(こころ)に侵ってくるぅ!

機体コード黒法…単一仕様、満壊極夜(まんかいきょくや)だと?』

 

これは不味い。

そう直感したゼロワンは最後に残った意識で黒法に対峙する5機のISにデータを送った。

 

「メール?こんな時に誰よ?」

 

「黒法から…一夏さんからですわ!」

 

「これって黒法のデータ?」

 

「!? 単一仕様を発現してるだと!

まだ一次移行したばかりなのに?」

 

「いや、織斑三春の白式の同型機なら有り得なく無い!来るぞ!」

 

シュン!横一線に放たれる夜桜を連結させた双天牙月で受ける鈴音。

 

バッシュン!と聞いた事の無い音を立てながら双天牙月の攻撃を受けた部分が()()()()()

 

「な!」

 

「あは♪」

 

即座に追撃しようとする一夏。

ロランはギリギリで鈴音を掴むと

なんとか狙撃部隊の後ろまで下がった。

 

2人は直ぐ様龍咆とスピーシー・プランターを構え、加勢する。

 

「何よさっきの!ケイタの逆鱗閃甲みたいな純粋な武器強化でああはならないわよ!三春の奴の零落白夜みたいな防御無視!?」

 

「だったら君の武器の一部が消えた理由が分からん!

あれは、満壊極夜は私達の知るどんな単一仕様より恐ろしい何かだ!」

 

よく見ればさっきまでは夜桜で弾いていた筈の弾丸を全て刃で受けて()()()()()

 

「だけど流石にあたしの衝撃砲は避けてるわね。」

 

「なら活路はある!」

 

フォーメーションを変えようとするが

 

「待て!11時の方向にISコア反応が4つ!

こっちに真っ直ぐ向かってくるぞ!」

 

「4つ?姿は見えないってことは海の中?誰か分かる?」

 

「レンさんに簪さんにケイタさん、

後の1つはケイタさんと一緒にきますわ!」

 

「早いな。高速戦用パッケージを積んでるのか?」

 

「後5秒で接触!来るよ!」

 

5人と一夏の間の水面が膨らんだと思うと、

飛び出した3つの水球が弾けて、

中から3機の強化打鉄が現れた。

 

「!? どうゆうこと?3機しかいないじゃない?」

 

「赤龍の走行が全然違う…まさかデュアルコア型に改修したの!?」

 

皆が驚く間にケイタは、打鉄赤龍改は膝よりも下にある拳のナックルガードを展開し、逆鱗閃甲を纏わせる。

 

「お前らぁ!」

 

そしてその爬虫類の様に長い腕が前に出ていた鈴音とロランのはらめりこわ腹にめり込んだ。

 

「ガァ!」

 

「な、なぜ?」

 

「ふん!」

 

そして返す刀ならぬ返す拳で2人の後頭部を叩き伏せて海に落とした。

 

「な、何をしますの!?」

 

「黙れ。」

 

セシリアの顔面に蓮の容赦のないヤクザキックが、

簪に武器を弾かれガラ空きになったシャルロットの腹に横蹴りが喰らわされる。

 

そして残ったラウラも2人が同時に放ったサマーソルトキックで海に蹴り落とされた。

 

「ぷは!いきなり何すんのよ!」

 

「こっちの台詞!」

 

「お前ら代表候補5人がかりで一夏をリンチとか何考えてんだ!」

 

珍しく本気でブチ切れる蓮と簪。

その剣幕と言ったらまあ怖いこと。

 

確かにはたから見たら5対1でどっちが悪者かと言われたら5人の方だが。

 

「一夏大丈夫か?」

 

「い!…け、ケイタ……」

 

見られた。と一夏は思った。ケイタに全部見られた。

自分の中にあった汚くて、この機体みたいな真っ黒な部分を全部見られた。

 

「わ、わた、し…わたしは……う、うわぁ…」

 

もうここに居られない。自分はここに居てはいけない。

自分はいつか必ずこの両手と夜桜を真っ赤に染める咎人だ。

逃げよう。消えよう。そう思って思い切り飛び立とうとした時

 

「待て一夏!無理すんなよ」

 

赤龍の長い腕を解除してケイタの腕が直に一夏の夜桜を持っていない方の手を取る。

「なんで?」

 

「? なんでって、

目の前に苦しくて泣きそうな女の子がいるんだぞ。

止めない訳にはいかねえよ。」

 

それにお前なら尚更だ。少し照れ臭そうにケイタが言った瞬間、一夏は夜桜を手放してケイタに抱きついていた。そして泣いていた。

 

「えっと、えっと…よしよし大丈夫、

大丈夫だから。俺も皆もついてるから。」

 

そう言って有りったけの語彙を駆使して一夏を慰めた。

 

《う…うん……一体何が…!?

近い。近いぞ網島ケイタ。一夏と密着している!

だが、今回は許してやる。》

 

一夏が夜桜を手放したせいかようやく目覚めたゼロワン。

 

目覚めたばかりで状況も分からず充電(ちから)もあまり残っていないが、今は黙るべきだと判断して2人を見守った。




ケイタ「いかがだったでしょうか?」
ラウラ「蹴られた頭が痛い。」
ゼロワン『お互い災難だったな。」
ケイタ「ま、兎に角一件落着かな?」
ラウラ「いや、そうも言ってられないぞ。次回、infinite DRAGON KNIGHTは!」
千冬「銀の福音だと!?」
真耶「チャンスは一度きりです。」
セシリア「つまり一撃必殺でなくてはならないと?」
蓮「零落白夜か……満壊極夜かって事か。」
一夏「また、黒法に乗るの?」
ケイタ「俺、何もできないのか?」
簪「そんな事ない。」
心愛(皆…無事でいて。)
ゼロワン『次回、the Heat その4』
ラウラ「さあ、ショータイムだ!」
(ED SUPER∞STREAM インフィニットストラトス)
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