infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは、篠ノ之博士が新しいISを持ってきたとこまでだっけ?」
心愛「あとケイタ君の打鉄赤龍改もね!」
一夏「それから黒法に乗った私は皆に…襲いかかって!」
蓮「大丈夫だ!誰も怪我してないだろ!」
ケイタ「色々と不安、不穏な感じですが、さてさてどうなる?」
(op Alive A life 仮面ライダー龍騎)


theHeat その4

1

泣き疲れて眠ってしまった一夏を抱えながら

ケイタは旅館の方を目指して飛んだ。

 

「これって早く飛んだ方がいいの?」

 

「いや、そのままでいなさい。

あんまりスピード出し過ぎると一夏に負担がかかるわ。」

 

「了解。」

 

しかしISを鎧った人間はまあまあ重いな。

なんて呑気に思うケイタ。

 

しかし一夏の暴走を目の当たりにした5人はそうはいかない。

もしまた同じ様なことがあれば、

初めから満壊極夜を使ってくる様なことがあれば勝てる自信はハッキリ言ってない。

 

可能性があるとすれば新たな装備を持って来た強化打鉄達だけだ。

 

「ところでアキヤマ少佐、

あなたはどの様な武器を受け取って来たのですか?」

 

「高速戦用のサムライソニックと近接装備をサムライソードに変えて来たぐらいだ。」

 

「ということはまさか覇止を」

 

「置いて来たよ。パススロットがギリギリだからな。」

 

「簪、君はどんな装備を?」

 

「弍式改に搭載する予定の防御パッケージの試作機。」

 

そう言って背中についた4枚の羽の様なパーツを指す。

 

「どんなふうに使うんだい?」

 

「2枚以上展開してエネルギーをスクリーン状に展開して攻撃を弾く。」

 

「ほお、そのバリアに山嵐が加われば正に敵無しだな。」

 

そして一番気になるのはケイタの打鉄赤龍改・臥竜鳳雛だ。

 

「ケイタのは、ガラッと変わったよね。」

 

「今まで見たどんなISよりもゴツゴツしていて大型でアンバランスですわね。」

 

「武装は何が?」

 

「さあ?まだ全部見てないけど。」

 

「アンタ全部見てないのに飛び出して来たの?」

 

「多分ケイタの意思じゃない。」

 

真面目な顔で簪が言う。

 

「はあ?簪アンタ何言ってるの?ISが勝手に動くわけ…」

 

笑い飛ばそうとした鈴音だったが、

一夏に勝手に黒法が纏わりついたのを思い出す。

 

「まさかケイタのも…」

 

「何故か勝手に部品がくっついて、海に潜っていた。

高速戦用のパッケージは積み終わってたから慌てて追いかけたら、

いつの間にか正気に戻ってた。」

 

もし赤龍改も黒法みたいに暴走してたかと思うと背筋が凍るよ。

笑うしかないという感じで笑う蓮。

 

「でケイタ。もしお前が暴れてたらどんな武装で俺たちを海の藻屑に変えてたんだ?」

 

「嫌な言い方するなよ蓮。

えーっと、確かマウントラッチについてる武装が多いからパススロットの方は2つしかないな。

IS用ブーストフォンのスピーカーに…クアッド・ファランクス改?」

 

「「「クアッド・ファランクス改!?」」」

 

候補生達から驚愕の声が上がる。

 

「そんな凄いの?」

 

「凄いも何も本来ISの機動性をゼロにする代わりに最強の火力を得られる砲台装備だよ?」

 

「幾ら武器をマウントラッチにつけたってとても装備出来るような代物じゃないぞ!?」

 

そんなに凄いのか?とかなんとか持ち上げといてトルクのラーンチベントぐらいじゃないの?

試しに展開させてみる。

両肩のハードポイントに黒鉄色の巨大マシンガンが装備される。

 

「な!ケイタ!?今出さなくていいの!」

 

「(なーんだただのラーンチベントじゃん。)ああ。」

 

直ぐに閉まって他の武器の確認に移る。

 

「えーっと、背中のマウントラッチににミサイルポット付きライフル龍炎(りゅうえん)に近接ブレードの葵改・鳳羽(ほうう)が二本。

後は腕部装甲内にコンバットナイフの凰爪(おうしょう)が左右に一本ずつ、両膝の装甲内にハンドガンの龍火(りゅうび)が二丁ずつ。か。」

 

「確かに随分と盛り沢山な装備だな。」

 

「ケイタ覚えきれそう?」

 

「まあ多分(セブン手伝ってくれるよな?)」

 

《まあ、それもバディの役目だからな。

だが自分で覚える努力もして貰うぞ?》

 

(りょーかい。)

 

そんな風に話してると沖が見えてきた。

 

「あ!戻って来たぞ!」

 

真っ先に気付いた海之が大きく手を振っている。

ケイタも空いてる方の手を振り返した。

そして、順番に着地していく。

 

「一夏!」

 

真っ先に駆け寄って来たのは千冬だった。

 

「一夏!一夏大丈夫か!?」

 

「大丈夫ですよ千冬さん。寝てるだけっぽいんで。」

 

「そうか……そうか…良かった………礼を言うぞ網島。」

 

一夏が無事とわかるや否やすぐに教師モードに戻る千冬。

もう少し余韻に浸ってもいいだろうに。

 

「お前達も怪我などないか?」

 

「あんだけ激しい戦闘でしたけど、

双天牙月が壊れたぐらいしか。」

 

「そうか。無事で何よりだ。」

 

本人はいつも通りの表情で言ったつもりかもしれないが頬が若干緩んでる。

 

「なーんだ詰まんないの。

もっとお前らがちゃんと倒されてくれれば黒法といっちゃんの凄さが証明できたのにな〜。」

 

至極詰まんないと言う様に束は足をブラブラさせながら欠伸を噛み殺した。

 

「な! 姉さん本気で言ってるのか?

危うく一夏が人殺しになりかけたんだぞ!」

 

「本気も本気だよ。

別にいっちゃんにみっくんにちーちゃんに箒ちゃんが無事ならそれ以外の事なんて部屋の隅に溜まる埃よりどうでもいいよ。」

 

さも当然のように言う束に戦慄して絶句する一同。

 

しかし動けた者が2人だけいた。ケイタと蓮だ。

 

「災いだ、恵みの業を行わず自分の宮殿を

正義を行わずに高殿を建て

同胞をただで働かせ賃金を払わない者は。」

 

「何それユダヤ教?」

 

「エレミヤ書22章13節。

お前の為にあるような聖句だ。」

 

「だから何?お前に束さんが裁けるわけ?」

 

「いや、だが。」

 

蓮がそこまで言った所で束の頭が真っ赤なISの脚に掴まれる。

 

「仮に世界が許しても、赤龍改が赦すかな?」

 

そのまま束の世界が270度回転する。

 

ISのPICを利用したスカイハイフランケンシュタイナーが一切の容赦なく束を顔面から硬い岩肌の地面に叩きつけ、その意識を刈り取った。

 

 

 

3

「う、うん…あれ?」

 

一夏が目を覚ますとそこには見知らぬ天井が広がっていた。

 

(んなベタな……てかあれ?私今まで何やって…)

 

枕元にあった黒い時計用のチェーンを、

待機形態になった黒法を見た瞬間全てを思い出した。

魅せられる様に黒法に乗った私は夜桜で皆を…

 

「うわぁああああああああああああ!」

 

「!? 一夏起きたか!」

 

やけに古い化石みたいなiPodで音楽(多分EXILEだろう)を聞いていたケイタが襖を開けて入ってきた。

素早く布団の中に隠れる。

 

「? どうした?なんか、具合悪いか?」

 

「違う。あんな事して、皆に合わせる顔がない。」

 

布団の中で胎児の様に丸くなる。

こうすると不思議と落ち着く。

 

「と、申しておりますが?」

 

ケイタはまず将棋に興じていた蓮と簪に尋ねた。

 

「人殺しがどうとかライダー(おれたち)が言えた事か?」

 

歩兵の駒を成り上がらせながら蓮が言う。

 

簪もそれに頷く。ライダーは基本、殺るか殺られるかだ。

 

「それを言うなら僕は一夏を殺しかけたわけだし……。」

 

オルタナティブのデッキを取り出しながら苦笑するシャルロット。

 

「は?アンタシャルロット可愛い顔して凶悪ね。」

 

「そう言う鈴は中1のバレンタインの時に軽く殺人未遂」

 

「ケイタ、私達が友達でいる為にも黙っておこうか?」

 

なんの躊躇も無く龍咆を顔面に向けられ流石に黙ったケイタ。

 

「凶悪と言えばラウラさんも昔は刺だらけでしたわね。」

 

「あ、ああ。あの時は本当に荒れていた。」

 

「わたくし、実は根に持つタイプですわよ?」

 

「!?」

 

「オルコット 、その辺にしてやれ。」

 

ええこの辺にします。そう言って笑ったセシリアの目はまあまあ怖かった。

 

「美しい花となる蕾の茎にはトゲがあるものだ。」

 

宝塚の男役みたいな気障ったらしい身振り手振りでロランが言う。

 

「これでも合わせる顔有りませんか?」

 

ケイタが言うと襖の隙間から一夏が顔を見せた。

 

「皆……怒ってない?」

 

「まさか、わたくしがどれだけ覚えの悪い弟子だった事か。遅れながら手をあげられても仕方がないですわ。」

 

料理の特訓を自虐しながら言うセシリア。

 

「ま、達郎の事をどうこう言われたのは許してないけどね。後でなんか奢んなさい。

それでチャラにしてあげるわ。」

 

なかなかちゃっかりしている鈴音。

 

「それに武器を向けたのは我々も同じだ。」

 

そう言って腕を組むロラン。

 

「私はただ止めるべきだと思いお前を止めただけだ。

後ろめたく感じる必要は無い。」

 

真面目に言うラウラ。

 

「まあ僕は、前に一回怖い思いさせちゃったし、

おあいこって事で。」

 

あの時はゴメンね。と逆に謝るシャルロット。

 

「別に俺たちは危害を受けてない。」

 

「むしろ私達は5人に謝る側。」

 

将棋を指しながら言う蓮と簪。

 

「皆……その…ごめんなさい。」

 

「いーって。」

 

「もしまた暴走しても全力で止めてやる。」

 

「簪、次は私達を殴らないでくれよ?」

 

「保証しかねる。」

 

「時と場合によるな。」

 

「さ、湿っぽいのはこの辺で終わりにしましょう。

だいぶ遅いですが何か食べませんと!」

 

「確かに。だけど僕セシリアの料理だけはごめんだからね。」

 

「わたくしも日々成長してるんですよ?」

 

すると突然部屋のドアが開き、

息の上がった真耶が飛び込んで来た。

 

「み、皆さん!たい、た、た、大変です!」

 

「大変なのは山田先生ですよ。落ち着いてください。」

 

「はー、はー、はー……ふぅ。

皆さんミーティングルームに向かって下さい。

織斑さん含めて専用気持ちは全員です!」

 

そう言った真矢の目は真剣そのもの。

 

普段の大人しく控えめな感じの一切無い戦士のそれだ。

 

「たく、昼飯もお預けか。王手(チェック)。」

 

「あ…。」

 

簪にトドメを刺すと上着に入れていた金の三連リング、

打鉄黒翔の待機形態をはめて一番に部屋を出る蓮。

 

その後ろにラウラ、セシリア、簪、ロラン、鈴音、シャルロットと続く。

 

「織斑さん大丈夫ですか?」

 

「一夏いけそうか?」

 

最後にひどく怯えた一夏と心配そうなケイタと真耶が残った。

 

「わ、私…またアレに乗るんですか?」

 

「……必要となれば全戦力を投入します。」

 

真耶は非常に苦しそうに言った。

 

「じゃあ、また私……。」

 

次黒法に乗っても理性を失わない保証など無い。

一夏は自分の手が誰かの血で真っ赤になるのを幻視した。

 

「させない。」

 

しかしケイタは一夏の手を取り、真っ直ぐ目を見て言った。

 

「俺がついてる………あ、後ほら、

蓮達や作戦には参加しないっぽいけど心愛ちゃんとか、バディとか、ほら!」

 

最後恥ずかしくなってしどろもどろ言うケイタにクスッと笑う。

 

「ふふ。翔兄の真似が板についてきたね。」

 

「そ、そんなつもりは……」

 

「はいはい。いつまでもイチャイチャ青春ラブラブタイムしてないで行きますよ!遅刻は教師としてキチッと補導しますからね。」

 

そう言って2人の頭を千冬の百億倍優しく小突くと真耶はケイタに小声で

 

「不純異性交遊もです。」

 

と言ってケイタを茹でダコみたいにしてから出て行った。

 

「じゃ、行こうか。」

 

「うん。」

 

手に持つ黒法は不安と恐怖で重かったが、

反対の手で握る幼馴染みの手は力強く頼もしかった。

 

 

 

4

ミーティングルームに着くと、

ケイタと一夏以外は三春や箒も含めて全員揃っていた。

 

「ようやく来たな。では、これより状況を説明する。

2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカとイスラエルが共同開発していた第三世代型軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れ暴走。監視空域より離脱。

この先2キロの空域を通過することがわかり、

50分前上層部より我々が対処することになった。」

 

「たく。ウチの師団長(ばか)の進言は無駄だったか。」

 

やれやれ。と言う様に蓮がお手上げのポーズをする。

 

「そう言うわけだ。何か意見がある者は?」

 

早速セシリアが手を挙げる。

 

「目標の詳細なデータを要求します。」

 

「当然だな。しかし2ヶ国の軍事機密だ。

けして口外するな。

情報漏洩があった場合査問会による裁判と最低二年間の監視が付く。」

 

イマイチ情報が飲み込めていないらしく呆けている一夏、三春、箒。

3人を他所に開示されたデータを元に代表候補達は相談を始めている。

難しい事は分からないケイタもなんとなく殺し合いだなと思いなんとか話についていく。

 

「わたくしのブルー・ティアーズと同様に射撃特化型の機体ですわね。」

 

「しかもオールレンジの高域殲滅目的型と来たか。」

 

「攻撃力、機動力ともに俺の黒翔と鳳の甲龍以上。

無策で突っ込んで行っても蜂の巣にされるな。」

 

「この特殊武装が曲者だね。

リヴァイブの新型防御パッケージや更識さんのバリアでも連続攻撃されたらキツイな。」

 

「しかも、格闘性能は未知数。偵察は無理なんですか?」

 

「残念ながらこの機体は現在も超高速移動を続けています。

最高速度2450キロ越えとありますから、

チャンスは一度きりです。」

 

真耶の言葉に全員が一夏と三春の方を見る。

 

「な、なに?」

 

「なんで皆俺たちを見るんだよ?」

 

「今回の任務、全力全開の一撃必殺でなくてはならない。

つまり高速戦用パッケージを持つISがもう一機の攻撃特化のISを運んで攻撃させなければならないのです。」

 

「つまり零落白夜か……満壊極夜かって事だ。」

 

蓮の言葉に一夏は真っ青に、三春は唖然とした顔になる。

 

「織斑兄妹。これは実戦だ。

覚悟がないなら無理強いはしない。」

 

「……やります。俺が、やってみせます。」

 

千冬の言葉に迷わず三春は答えた。

 

「織斑さんは?」

 

「わ、私は…私は……。」

 

震えながら俯く一夏。嫌な空気が部屋に流れるが

 

「とう☆」

 

そんなのお構い無しに何者かが天井を突き破って入ってきた。

いつの間にか復活した束だ。

鼻の頭に絆創膏を貼っている。

 

「チッ」

 

ケイタが束に聞こえる様に舌打ちをした。

 

しかし束は構わない。

 

「ちーちゃんちーちゃん!

ここは断然!白式、黒法、紅椿の出番なんだよ!」

 

「山田先生こいつを摘み出せ。」

 

「は、はい。博士こちらに……。」

 

「うりゃ!大丈夫だよ!

いっちゃんが黒法を気に入らないならいっちゃんが白式に乗って、みっくんが黒法に乗ればいいんだよ!」

 

「私が白式に?」

 

「そう!ちーちゃんの零落白夜をみっくんが使えた例もあるしツインズの2人なら問題ナッシング!」

 

「本当だろうな?」

 

「IS第一人者どころかあらゆるISのママたる束さんを信用してよ!」

 

しばらく考え込んでいた千冬だったが

 

「束、白式と黒法の調整にどれぐらいかかる?」

 

「!? 織斑先生本気ですか!?」

 

「14分有れば余裕のよっちゃんイカ!

ついでに紅椿の展開装甲の高速専用調整も合わせてね!」

 

天災(ハザード)め。」

 

蓮がぼやく。全くその通りだと全員が思った。

 

「ではそのプランで行く。織斑兄妹。

使い慣れたISが使えないが、それでもいいか?」

 

「構わないよ。守れるなら白式でも黒法でも紅椿でもいい。」

 

「織斑妹やれそうか?」

 

「…………やります。」

 

意を決した様に、呟く様に言う一夏。

 

「よし。この3人以外で一番早い、

というか高速戦用パッケージのあるISは?」

 

セシリア、ケイタ、蓮、簪が手を挙げる。

 

「俺は戦闘訓練時間29時間だ。お前らは?」

 

「わたくしは40時間です。」

 

「20時間。」

 

「多分5分。」

 

「なら決まりだ。各自準備を急げ!」

 

 

 

5

「よし!調整完了!いつでもオケ丸水産だよ!」

 

「はい…ありがとうございます。」

 

白い懐中時計に変わった白式を握ったまま一夏は不安そうに束の元を離れた。

 

「戦う前から浮かない顔をしていてどうする。

そんな事では運気が逃げるぞ。」

 

「あ、箒。そう、だよね。」

 

「全く。実戦では私は三春を乗せていく事になった。

お前についてやれないのも男に乗っかられるなど甚だ不本意だが、

それでも大船に乗ったつもりでいろ。私がついてる!」

 

「え、うん。」

 

生返事だったにも関わらず箒はどこか機嫌良さげに去って行った。

 

《一夏、わかってると思うが》

 

(うん。なんか箒浮かれてる。)

 

アレは後々落とし穴になるんじゃないか?

 

箒は励ましに来てくれたつもりかもしれないが逆に一夏の不安は一層増した。

 

「一夏!」

 

「!? ケイタ。」

 

「IS、どうだった?」

 

「調整したら白式のは満壊極夜に、

黒法のは零落白夜に変わった。

試しに白式で満壊極夜使ってみたけど、

黒法みたいな事にはならなかった。」

 

「見た目はどうなったん?」

 

「三春兄が黒法に乗ったら元の形と色に、

私が白式に乗ったら色がパールホワイトになって形が黒法みたいになったの。」

 

「へぇ、不思議なもんだな。

これで世界八不思議が世界九不思議になったな。」

 

「八不思議って一つ多くない?」

 

「多くないさ。中国の万里の長城

インドのタージ・マハル、

イタリアのコロッセオ、ヨルダンのペトラ、

リオ・デ・ジャネイロのキリスト像、

ペルーのマチュ・ピチュ、

マヤのチチェン・イッツァ、

あんだけ家事上手で可愛い妹が居るのに散らかり放題の千冬さんの部屋、

ISの操縦席、ほら九つ!」

 

「………ぷっ、はっはっはっはっ!違いないね!」

 

一夏が大笑いした所でコツン。

と出席簿ぐらいの硬さ、細さの何かが頭に当たる。

笑顔のままギ、ギ、ギ、と後ろを向くと

 

「織斑千冬かと思ったか?」

 

ノートパソコンを持った蓮がイタズラっぽく笑っていた。

 

「「なんだよ蓮(レン)!脅かすなよ(さないでよ)!」」

 

心臓を押さえながら脱力する2人。

 

「いや、何。心愛がいない分、

適度なギャグをと思ってな。」

 

「心臓に悪すぎるよ!」

 

「寿命が100年縮んだわ!」

 

割と本気で怒るケイタと一夏。

 

「この任務を成功させない限り、後100年も何もない。

適度に力を抜いておけ。

オルコットも居るし大丈夫だとは思うが、

素人3人が軍用機に向かっていくなど狂気の沙汰だ。」

 

改めて真剣になる3人。

だが、さっきの様な陰気な感じはない。

 

「不安を煽るつもりはないが、

篠ノ之束が最新鋭専用機を完成されたタイミングで軍用機が暴走して倒してくれと言わんばかりにこっちに向かってくる。

あまりに不自然すぎると俺は思う。」

 

つまり蓮は暗に篠ノ之束のマッチポンプを疑っているのだ。

 

「篠ノ之博士なら…まあ出来なくはないな。」

 

「出来なくはないって言うか、

束さん以外に出来る人はそうそう居ないね。」

 

状況証拠だがな。と蓮。しかし

 

「俺に言わせりゃ、自分の発明をやっと完成させて発表したのに、

認められなかったから認めざるを得ない様にする為に各国のミサイルを乗っ取って自分の発明と戦わせたのと全く同じ状況だな。」

 

これには流石に驚いた。

ISも世に知らしめた白騎士事件さえ、

マッチポンプだったというのだ。

 

「けど黒法の時のあいつの反応を見るに、

やりかねないな。」

 

「奴なら織斑三姉兄妹(きょうだい)と自分の妹の命か、

それ以外の全人類の命か天秤にかけた時、

間違いなく前者を選ぶ。」

 

やりかねない。

長い付き合いなだけに一夏の中で説得力がムクムクと大きくなる。

 

「ま、とは言ったものの、

だからと言ってここまで来たらもう最後までやり切るしかないんだけどな。」

 

「確かに今言った通りだとしても、

福音倒して篠ノ之博士問い詰めるぐらいしかないし。」

 

「まあね。」

 

そう言った所でただいつもの様に話していただけなのに随分と心が軽くなっているのに気付いた。

 

「…………ありがと。」

 

「え?」

 

「今なんて言った。」

 

「独り言!」

 

セシリアに高速移動のコツ聞いてくる!

満開の笑顔でセシリアの方に向かった。

 

「……良かった。緊張抜けたみたいで。」

 

「戦場ではしけた面してる奴から死ぬ。

あんぐらいが頼もしいな。」

 

不安や恐怖がなくていい訳じゃないが。

と付け足す蓮。

 

「……一夏は凄いよな。

千冬さんの妹っていうプレッシャーとか、

その上今不安しか無いはずのISに乗って戦いに行くんだぜ?」

 

俺は力があるのになんも出来ないや。

かなり自虐的になっているケイタ。

 

(ま、本人無自覚っぽいけど、

惚れた女が死地に行くとなればこうなるか。)

 

無意識に励ましに行っていたが、

ケイタもケイタで不安な様だ。

 

「そんな事ない。」

 

「うわ!更識!」

 

「いきなり背後から!」

 

「更識家の暗殺術。」

 

キリッ!とアックスの変身ポーズをとる簪。

 

「あなたは一夏の大切な人。

あなたじゃなければまだ一夏は黒法に囚われてた。」

 

「俺らの中で一番あいつの近くに居たんだ。

祝勝会の内容今から考えるぐらいドーンと構えてろよ。

必ず戻って来るさ。」

 

「そうか…そうだよな、平気だよな!」

 

ケイタは信じて送り出した。

蓮は一連の出来事にきな臭さを感じながらも進ませた。

 

心愛は蒼穹に飛び立つ4機のISを見ながら無事を祈った。

事情を説明された候補生達は最大限のサポートを行った。

 

そして攻撃部隊は全身火傷を負った一夏と作戦失敗の報せと共に帰還した。




ケイタ「…………。」
一夏(全身大火傷)「」
心愛「蓮君…。」
蓮「ああ。流石にふざけられる空気じゃないな。」
心愛「作者さんからビデオ預かってるけど?」
蓮「流せ。」
心愛「う、うん。次回、infinite DRAGON KNIGHTは……。」
(ED Go! Now! ~Alive A life neo~ RIDER TIME 龍騎)
三春「守るために仕方なかった!」
千冬「お前に力を持つ資格など無い!」
間明「やあ、お通夜かな?」
真耶「ストライク!」
ケイタ「丁度暴れたかった所だぁ!」
トルク「チクショウ!もうなんなんだよ!」
海之「よせ網島!」
蓮「使うしか、ないか!」
<SURVIVE MODE>
一夏(あれ?私は……。)
蓮「次回、theHeat その5」
心愛「その……また次回…。」

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