infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来 作:伊勢村誠三
虎月「俺たちベンタラの騎士が出てきてマスターユーブロンが無知なお前らのために説明してやったとこまでだろ?」
キース「タテナシ。もう少し言い方があるだろ?」
ケイタ「あまり強い言葉を使うなよ……」
2人「?」
ケイタ「弱く見えるぞ!」
虎月「なっ!」
キース(こいつ、出来る!)
セブン『ケイタ、オサレな漫画の読みすぎだ。』
ケイタ「てへぺろ!」
虎月「ズル!なんだそりゃ!?」
キース「それでは本編開始だ。」
1
エリー・リバーはずっと悪夢を見ていた。
舞台は穏やかな春の野原。
彼女は道無き道を前にレンに教えてもらった人力車に乗っている。
若草の匂いが程よく気持ちい風に乗ってエリーの鼻をくすぐる。
「すっごく良い風。車屋さん。一体どこに向かってるんですか?」
「それはねぇ」
ものすごく渋く不気味な声で男は言った。
「あの世だよ。お前さんの男の待っているね。」
「は!? う、嘘よそんな筈ないわ!」
車から飛び降りるエリー。地面に足が着いた瞬間、
穏やかな春の草原は煉獄と化した。
そこかしこで炎が巻き起こり、岩をも溶かす灼熱が体を蝕む。
「う、ううぅ!レン!レン!レーーーンッ!!」
男の言葉を信じたわけではないが、
エリーはレンを探して走り回った。
手が焼けるのも構わず瓦礫をどかし、炎が移るのも構わず道を突っ切る。
「レン!どこ!……あ、レン!」
ようやく見つけた。黒く長いロングコートを羽織った後姿があった。
トレードマークのツンツン頭は蓮に違いない。
エリーと出会ったばかりの頃の蓮だ。
「レン!待ってレーン!」
聞こえていないのか蓮はエリーに背を向けたままずんずん進んでいった。
追いかけて行く内に気付いたが、炎が揺らめくたびに姿が変わっていった。
エリーが選んだ白いジャケットに下した髪の姿に、
バッ〇マンみたいな仮面に黒いスーツの騎士に、
そして最後に二又に分かれたマントに綺麗な青の鎧、金色の淵の仮面の騎士に。
「レン!おいてかないで!レン待って!」
ようやく追いついた。その先に居たのは黒い鎧の騎士だった。
重そうな格子戸みたいな仮面の奥には赤い釣り目が怪しく光っている。
そして蓮と同じように鎧や仮面の淵に金色の飾りがついている。
2人は剣を構え睨みあった。
「はぁああああ!」
「うぉおおおお!」
2人が交差する!勝負は一撃だった。
「いや!レン!レンんんーー!!!」
腹部から炎の中でもわかる赤黒く、鮮やかな血を噴き上げながら崩れ落ちる青の騎士。
エリーはそれに駆け寄って
「はぁ!」
というところで目が覚めた。
ベッドから思い切り体を起こす。体中嫌な汗でぐっしょりだ。
患者服が肌にくっ付いて気持ち悪い。
(あれは、夢?……夢の、はず。でももしホントだったら!)
新手て両手を確認する。蓮を探し回った時に燃える瓦礫に触って出来た火傷が一つもない。
アレは全部夢だったようだ。
(でも、不安だ。レンを探そう!)
部屋を見渡す。白い簡素な部屋、病室だ。
ベッド以外には体につながった管についてる機械と生活に最低限必要な物ぐらいか。
身体に着いた管を外し、ベッドから降り
「え?うぐ!」
上手く体に力が入らず盛大にゆかにすっ転んだ。
「いったたた……な、なんで?」
彼女が知る由もないが、二年間も眠り続けていたのだ。
筋肉なんか衰え切ってる。
「うぅ、お、お願い私の身体ぁ…今だけ!今だけでいいから頑張って!」
何とか辺りの物に摑まりながら立ち上がり、
何度も転びながら起き上がり蓮を探す。
「はぁ!はぁあ!れ、蓮!死んじゃ嫌だよ……レン!」
歩いて歩いて、普通の人なら軽く小走りした程度の距離を凄まじい時間をかけて進み、蓮を探す。
そして曲がり角に差し掛かった時、
「エリー!」
聞きなれたのより少し低い声が聞こえた。
振り返る。そこに居たのは短い黒い髪に彼女が選んだ白いジャケットがちょうど良いサイズに見えるぐらいにまで背が伸びていたが
「レン!」
「エリー!」
蓮はエリーに抱き着くと、声を殺して泣き出した。
エリーの全体重がかかってる筈なのに蓮は逞しい両腕でそれを支えながらすすり泣いた。
「エリー…。」
「なに?泣き虫さん。」
「あの時の答えだが、俺は、お前の事を異性として好きだ。
そんなお前のたっての頼みだ。どんなことでも偽りなく答える。」
「!? れ、レン?今、今なんて言ったの!?」
「お前を異性として好きだって」
「~~~~~ッ!!」
ポン!と音と煙が頭から出そうなぐらい真っ赤になったかと思うとすぐにうつむき涙をいっぱいにためながら
「レン、私も大好き。付き合って。」
「! ああ。」
今度はエリーが泣く番だった。
声を一切セーブせず大声で泣いた。
蓮は何も言わずにエリーを背負うと歩き出した。
『レン様、あなたとエリー様に割り当てられた部屋の位置情報が送信されてきました。ご案内します。』
「ああ。エリー。」
「ぐすす……なに?」
「信じられないかもしれないけど、
俺お前が二年ぐらい寝てる間ずっとエイリアンと戦ってたんだ。」
「エイリアン?」
「ああ。その時いっしょに戦う仲間になれた友達が大勢いるんだ。
今度紹介するよ。」
「どんな人達なの?」
「知りたいか?」
「レンの事だから知りたい。
それに、私よりレンの事を知ってるなんて男の子でも許さないんだから。」
「そうか。」
きっとケイタと一夏もこんな気持ちだったんだろうな。
と思いながら蓮は背中にエリーの体温と鼓動を感じながら話し始めた。
エリーにとっては隣の世界の昔話を、地球の仮面ライダーの戦いの記録を。
2
蓮が走り去って行ってしまったので、話は一旦ここまでで、
一同先に部屋に案内された。
「本来もっと少ない人数しか集まらないと思って部屋を用意してたから手狭だぞ。」
「理由をお聞きしても?」
「俺はユーブロンに一番早くに復活させられて、
ずっとアイツのバックアップをしててな。
進言してたんだ。
セシリア・オルコットの様なライダー程度の性能も持たない兵器に胡坐をかいてるだけのくせに無駄にプライドの高い女尊主義者や!」
「う!」
「ラウラ・ボーデヴィッヒのような依存心と崇拝を取り違えた甘依存や、」
「なんだと!」
「シャルロット・デュノアのような傀儡になり下がった意見無しなど足を引っ張るだけだとな。」
「い、言って良い事と悪い事があるぞ!」
掴みかかるデュノアブライアンは不機嫌そうに腕を払いのけると
「全部事実だ。
ベンタラとついでに地球を救う一大プロジェクトだぞ?
不確定要素はすべて排除するべきだ。
特にお前らのような扱いずらい人員はな。」
吐き捨てて案内を始めた。
「なあ、地球のアイツもあんな感じなんか?」
トニーがシャルロットに尋ねる。
「いえ、もっと取っつき易いです。」
「レン少佐は尊敬に値する上官だ。」
「素敵な方です。とても強くて」
「はー、好かれとるな。」
「俺たちもブライアンのイメージはそんな感じだったんだが」
おかしいなと言う様に首をひねる虎月楯無。
「どうしちゃったんでしょう?」
「まるで本官達と初めて会った時の様であります。」
「そうなんですか?」
サクラとモーラスの反応に意外そうな顔をするアレク。
「アレクはブライアンより後に加入したメンバーだから知らないか。」
「彼は焦ってたんだ。難病の恋人を救えない自分に。」
ブライアンより少し早く加入していたマコトは少しつらそうな顔をしながら言う。
「それでその、恋人は?」
「今はアドベント空間だ。」
「アドベント空間?」
「本官達ライダーがベントされると送られる地球とベンタラの境目にある空間であります。」
「そこでは時間の流れが違う。
だから特殊な回復装置を使うことで戦いに敗れたライダーを保存できるって訳や。」
「ま、アドベントマスターのデッキ、
アドベントキーを抑えられちまえば一瞬で無限の牢獄に早変わりだ。」
皮肉って言う虎月楯無。
「だからその、ユイといったか?
を保存できるわけか。」
「ええ。そういう訳ですから医者を手配できるまでそこで待たせられるから問題ないんですけど……。」
「あの焦り方は、と言うか余裕のなさは少し違うと思いませんか?」
「だよなあ……。」
3
部屋割りは以下の様に決まった。
101号室 ケイタ、一夏
「うん。狭い!」
「べッドは二人で一個でいいね。」
102号室 蓮、エリー
「ホントに私がベッド使っちゃっていいの?」
「病み上りに無理させれるかよ。」
103号室 モーラス、シャルロット
「よろしくお願いするであります!」
「は、はい!」
104号室 キース、ラウラ
「ふむ、君はラウラ君と言ったな。
ともに試練に打ち勝とう!」
「あ、ああ」
105号室 虎月楯無、更識楯無
「よろしくねベンタラの簪ちゃん!」
「……チッ!」
「!?」
106号室 サクラ、セシリア
「こうして見ると、
本当に山田先生と違いが判りませんね。」
「地球の私も教師だったんですか?」
107号室 トニー、虚
「よろしゅうな、地球の杏子ちゃん。」
「という事はベンタラの私も更識家に?」
108号室 マコト、鈴音
「よろしくね、もしかしたら時々癖で手塚さんって呼んじゃうかもだけど」
「地球の私か?学校辞めてないみたいだな。」
109号室 アレク、心愛
「よろしくお願いします。」
「あとで一緒にパン作ろう!」
110号室 ブライアン
「よし、全員問題なさそうだな。」
「いや待った!」
「なんだよ楯無。文句ないだろ。」
「いや何しれっとお前だけ1人部屋なんや!」
「なんだよ?別にいいだろ?」
「駄目だよ!?」
賑やかに喧嘩するベンタラの騎士たち。
「部屋入っちゃおっか。」
「だな。」
ケイタと一夏は特に文句も無かったので二人で部屋に入った。
「ケイタ。こっち向いて。」
「ん?どうし」
一夏はケイタを押し倒した。
そして唇を奪い、口の中に舌を入れる。
「んん!んんん!!んーーっ!」
一夏は子犬みたいにしゃぶりつくす様にケイタの口をむさぼった。
「ぷっは!急になんだよ一……一夏さん泣いてます。」
「だって、ケイタが居るんだもん。
死ぬまで会えないと思ったケイタが居るんだもん。
誰にも渡したくない。ケイタは私のだもん。
だからケイタの口の中全部私のにするの。」
「い、一夏さんタイム!
落ち着いて?頼むから落ち着いて!」
「落ち着けない!いつもケイタは遠くに行っちゃう!
いつも私のそばにいない!
だからずっとそばにいるって言って!」
ケイタは気付いてしまった。
あまり深く考えていなかったが、一夏たちは人造人間。
種族としてはまだだ一世代。
子供を造らなければ完全に孤独。
しかも確かに血の繋がりがあると信じていた網島家との繋がりも弱い物と知れば怖いのだろう。
一人きりが。隣に誰も居ないという事が。
そして危険な存在として排除されかねないことが。
その上一度自分で想い人に手を掛けたとなればもう二度と離したくないのだろう。
「セブン。」
『なんだ?』
「お前って電源切れんの?」
『ああ。その、なんだ。この部屋の防音設備なら大丈夫だろうが、程々にな。』
「いやそこまで行く気は!え?」
「いってくれないの?」
「え、ええ?」
どうやら自分は一歩も引けない所まで来ているらしい。
そりゃそうだ。一夏がここまで死んでも一夏を止めようとしたケイタにも責任の一端がある。
「一夏。誓うよ。俺は絶対お前を離さない。
どんなに過去を忘れてもお前だけは思い出す。
そして必ずお前に会いに行く。」
「うん。嬉しい。私も絶対そうする!」
再び唇を貪りあう。そこからは二人だけの時間だった。
4
「ふむ、何やらお取込み中の様だな。」
ほんの短い間とは言え生き別れに等しい隔絶を感じていた恋人同士だ。
積もる話もあるだろうと、マスターユーブロンは気を利かせて部屋の前を去った。
「彼らには早く話しておくべきです。
夕飯の跡にでもしっかり呼び止めるべきです。」
「ブライアン…ああ。分かっている。それで、
君はどうする?」
「デッキは地球の俺、レンって言いましたっけ?
に渡しますよ。ここの設備をあなたの次によく知ってるのは俺ですし。」
裏切者を討ちとれないのは残念ですけど、とブライアンはぶっきらぼうに言うと去って行った。
ケイタ「いかがだったでしょうか?」(疲労困憊)
一夏「まだもう少し説明が続くかな?」(お肌ツヤツヤ)
キース「君達………。」
虎月「まじかよ…。」
ケイタ「じ、次回…the Next world's old tale その3」
一夏「これで決まりだ!」