あと数話に渡ってアンケートも実地します。
no side
ヒーロー科の生徒達は教室で沈黙していた。いや、正確には何を話して良いか言葉が見つからなかった。
あの後、USJは警察や外部からのプロヒーローの応援で気絶したり捕縛されていたヴィラン達を逮捕・回収、脳無に至っては厳重な拘束の上で護送された。
出久・レイ子・唯の三人は別室に呼ばれて事情聴取。他の生徒達は一度着替えて教室で待機となった。
「「「「「………………………」」」」」
いつもなら騒がしいくらいで相澤の注意が飛んでいる教室だが、起こったことがことだけに不気味なぐらい沈んでいた。
無理もない。本来ずっと先のことだと思っていたヴィランとの戦闘、プロヒーローである教師達の負傷、NO.1ヒーローの弱体化の真実、そしてニュースで話題になっていた仮面ライダーが自分達のクラスメイトであったこと。
あまりにも色々ありすぎで心の整理が追いついていなかった。
「………緑谷、退学とかならないよな?」
ふと切島が声を漏らした。
「なってもおかしくはないだろう。彼は以前から無免許でヒーロー活動をしていたんだ。法というルールに乗っ取れば無くはない」
ふと冷たく飯田が返した。
「でもよ!緑谷は俺たちや先生達を助けてくれたんだぜ!!こうなることも判って上でアイツ自分の正体バラしたんだろ!?なのに何でそんな平気そうな顔でそんなこと…「平気な訳があるか!」……!?」
「確かにいけないことをした。でも彼は僕の友達なんだ!お堅いだまじめだ言われていた僕に彼は普通に接して普通の友達になってくれた。彼がルールを破ったとしても……僕は友達として放っておけない…!」
普段まじめ一直線の飯田がはき出した本音。彼にとっても出久はかけがえのない親友なのだ。
「そうだ!俺たちだけでも緑谷の味方になるぞ!」
「俺も緑谷に助けて貰ったんだ。恩を仇で返すのはヒーローのする事じゃねぇ」
「あはははは!全く何でこうもA組は問題ある奴ばかり何だろうね?今回は借り作ったけど今度は僕たちB組が借りを作ってあげるよ」
「お前はちょっと黙ってろ!」
煽る物間の首に一佳の手刀が炸裂。あえなく沈黙する。
「待機中は静かにしていろ。騒いでも合理的じゃないぞ」
相澤が扉を開けて入ってきた。その後ろには出久達件の三人も一緒であった。
「先生!緑谷達どうなっちゃうんですか!?まさか除籍とかってことは…」
「……そのことを説明するから全員席に着け」
淡々と生徒達を座らせる。出久達は教卓の横に並んで立つ。
「まずは緑谷達三人だが、警察からは厳重注意だけで済んだ。柳と小大に関しては突然変身できるようになったとしか言えないらしく原因究明中だ。そして緑谷は以前からこの力でヴィランや怪人に対して戦闘行為を行ってきたが、今雄英を追い出して非道に走られても困る。まして仮面ライダーの攻撃は怪人には絶大的に有効、ゆえに対怪人戦での最大戦力を失う訳にはいかないというのが理由で処分は回避された。あの場で俺が三人を捕らえたのも逃走を防ぐことも理由の一つだが、教師として雄英で生徒を守るためには残って貰うのが一番合理的だからだ。下手に逃走されて妙な連中に利用されたらそれこそ本末転倒だからな(悪い言い方をすれば雄英で監視してきちんとしたヒーローに育てて社会に出すのが一番良いという判断だがな)」
一見暴挙にもとれた相澤の行動だが、反面で生徒を守るため、そして今後の怪人やヴィランに対しての頼りになる戦力流出を防ぐためであった。
「それともう一つ、お前らには説明せんとならんことがある。入ってきて下さい」
扉が開くと、頭に包帯を巻き腕にギブスをはめたオールマイトが入ってきた。その姿はいつもの筋骨隆々のマッスルフォームではなく、ガリガリに痩せたトゥルーフォームであった。
「えっと………本当にオールマイト先生、何ですよね?」
「…そうさ。これが私の本来の姿さ」
やはりアレは現実であったと生徒達は信じざるを得なかった。
「オールマイトのこの状態に関して知っているのは現状ヒーロー協会と警察の上層部と一部のヒーロー、主治医でもあるリカバリーガール、そしてヒーロー科の教師である俺たちとお前達一年の生徒だけだ。彼の弱体化はヒーロー社会において一番の大打撃になる。いつかは彼も引退の日が来るかもしれないが、お前達にはそれまでに立派なヒーローになって貰わんと市民が不安になる」
「オールマイトはどうしてそんなことに?」
一佳が手を上げて質問してきた。
「もちろん話そう。そのために来たんだからね」
オールマイトはなぜ自分がこんな状態になったのかを語り始めた。勿論ワン・フォー・オールの件については伏せて話す。
オールマイトにそこまでの大怪我をさせたヴィランがいることにも驚いたが、自分達の知らないところでそんな大事件が起こっていたことにもショックは隠せなかった。
「この事に関してはお前達にも箝口令を敷く。もし漏らしたりでもしてみろ、即刻除籍だぞ、厳重監視の上でな」
「機密保持ってことですか?」
轟が質問してみる。自分の父親はオールマイトを追い抜くためにあらゆる手段を講じてきた。自分のその一つであったが、オールマイトの現状を知って今まで自分がされてきたことにも余計に腹が立った。
「ウチからも質問良いですか?」
今度は響香が手を上げてきた。
「オールマイト、前にウチと会っていますよね?去年の大晦日の日に。それにもしかして、出久は知っていたんじゃないの?オールマイトの現状を」
それを聞いて全員が目を見開く。出久とオールマイトは罰悪い顔になる。
「じ、耳郎よう、どうゆうことなんだ?」
「ウチは夏休みに出久と知り合って時折海岸掃除を手伝っていた。そして去年の大晦日にそれが終わってゴミを運ぶためのトラックを手配していた人と出会った。それが今のオールマイトなんだよ」
「マジかよ!?じゃあ緑谷ってオールマイトの………」
「………判った、白状しよう。そうさ、私は入学前から緑谷少年が仮面ライダーであったことも知っていたし、弟子としてこれまでに指導を施してきた」
出久がオールマイトの指導を受けていたことに対して全員が驚いた。
「ただ先に断っておくよ。緑谷少年は訓練の際は仮面ライダーの力は一切使っていない。それどころか変身に必要なアイテムを全部私に預けていたぐらいさ。入学してからはあまりそう言ったことはしていない、君ら生徒と同様に育てていきたかったからね。今や雄英の生徒になった緑谷少年は勿論、君らにも強く立派な正義の御旗になるために私も出来るだけの努力をしよう。今は私が平和の象徴と呼ばれているが、今度は君たち有精卵が力を合わせて新しい平和の象徴を形作っていってくれ」
オールマイトは深々と頭を下げた。
「僕も皆にずっと黙っていてごめん。でも秘密だって約束もあったから。皆さえ良ければ、こんな僕をもう一度仲間に迎えてほしい「何馬鹿なこと言ってんだよ緑谷」え…?」
「オールマイトの弟子だろうが何だろうが俺たちは同じヒーロー科の仲間だろ!」
「そうよ緑谷ちゃん。私たちも皆もお友達よ」
「緑谷には何度も助けて貰ったんだ。今更変なこと言うのは無しだぜ」
「むしろ俺たちにも色々教えてくれよ」
「イズ君もずっと隠して大変だったんだから、もう気にせず楽になって良いんだよ」
「ん、困ったことがあったら頼って」
一部を除いて皆が緑谷を励ました。
「盛り上がっているところ悪いが、マスコミが押しかけてくる前に全員下校しろ。明日は今回のことで臨時休校だ、家にマスコミが押しかけてきても絶対妙なことは話すんじゃないぞ」
こうして無限にも思えた長い一日がようやく終わった。
Side out
爆豪Side
デクの奴がオールマイトの弟子?しかも去年俺をヘドロ野郎から助けたあの仮面野郎だと?
冗談じゃねぇぞ!今までこそこそ何かしていたのはオールマイトの指導を受けていたからだと。
確かにそれ以前からトレーニングはしていたが、急にあそこまで伸びたってことはそれ以外に何かあるはずだ!
仮面ライダーやオールマイト以外の何か………それが何であろうと俺には関係ねぇ。
俺はいつかNO.1ヒーローになってやる!たとえオールマイトだろうがエンデヴァーだろうが、仮面ライダーだろうが全部ぶっ潰して最強となった俺が頂点に立つ!
今に見てろクソデク。テメェが俺の足下に及ばないことを証明してやる!
Side out
No side
次の日―――――
「「「ん?」」」
駅でお茶子、響香、そして一佳はばったり鉢合わせていた。そう、出久の家の最寄り駅でだ。
「何であんたらいる訳?」
「えっと………散歩?」
「休みの日にどこ行こうが自由じゃん」
響香はなんとなく二人の目的を察していた。
「単刀直入に聞くけど出久ン家いくの?」
「「ドキッ!?」」
「だろうと思った。麗日は最近やたらと出久にひっついてくるし、拳藤もわりかし話しかけてきてる」
「そう言う耳郎ちゃんはなんなん!?」
「アンタもやっぱり緑谷目的か!?」
「えっと………散歩/////」
「「下手な誤魔化し方するな!!!」」
結局三人で出久の家に行く羽目になった。
「何だってこんな時に鉢合わせるかな?」
「響香は中学の時から緑谷と接点あるだろ。家に行ったことぐらいあるはずだ」
「そりゃ受験勉強一緒にしたりしたけどさ」
「「中学違うのになんて美味しい展開!!」」
そんなこんなで歩いて行けば、今度は横道からレイ子が出てきて鉢合わせた。
「何でアンタまで出てくる。ややこしくなるだけじゃん」
「イズ君の家は近所、私はお使いで料理のお裾分けに来ただけ。そしてそれを口実にイズ君の家で―――――「「「抜け駆けすんな!」」」
結局更に一人加わって四人で行くこととなるが、出久の家の前に見知った顔が立ち尽くしていた。唯であった。
「唯、アンタまで……」
「ん!?……えっと、昨日借りっぱなしだったジャージ返しに………」
持っていた紙袋から借りたままになっていた雄英の体操着を出す。
「いやにしたって、なんか少しめかし込んでない?」
唯の格好は服を返しに来たにしては確かにちょっとおしゃれな格好であった。
「やっぱり、唯も?」
一佳の言葉に顔を赤らめてコクコクと首を縦に振る。
「イズ君、高校生になってからモテすぎだよ」
「その片鱗は中学の時からあったよ。現にウチがそうだったし」
緑谷出久、自身の知られざるところで人生初のモテ期到来であった。
「あれ、皆どうしたの?」
ふと声をかけられて振り向けば、5人の意中の人である出久がそこにいた。紺色のジャージで首にはタオルを巻いていた。
「イズ君!?…えっとトレーニングの帰り?」
「うん、休日のランニング。ところで皆もどうして僕の家に?」
突然の問いかけ。来る理由があるレイ子と唯はともかく、一佳、お茶子、響香の3人はただ会いたいというだけで来てしまったので返す言葉に困った。しかし助け船は出た。
「あら出久お帰り。そんなに可愛い子達連れてきてひょっとしてこれからデートかしら?」
庭先から出久の母・引子が顔を出してきた。
「デデデデデデート!!??ちちち違うよ母さん!彼女たちは雄英のクラスメイトで―――――」
「あらそう?でもせっかく来てくれたんだし上がってお茶でもどうかしら?」
「「「「「……お邪魔でなければ」」」」」
あっさり出久の家に入り込めた。
取り合えず5人はリビングに案内された。出久本人は帰ってきて早々に引子から買い出しを頼まれた。せっかくなので彼女たちと一緒にお昼を食べようと言うことなので必要な材料を書いたメモを渡されて家を追い出された。
ジュースが注がれたコップが5人の前に置かれ、引子はその向かいに座る。
「レイ子ちゃんも本当に綺麗になったわね。響香ちゃんも一緒に入学できて良かったわ。他の皆さんも含めて出久と仲良くやってちょうだい」
「「「「「あ……はい」」」」」
しばし沈黙する。その沈黙を引子が破る。
「一つはっきりさせたいのだけれど、あなたたち出久のこと好きなのかしら?」
突然核心を突いてきて全員が動揺したが、引子は気にせず話を進める。
「親の私が言うのはアレだけど出久は正直モテる方じゃなかったわ。イケメンってわけでもなければ社交的でもないし、何より去年まで無個性だった」
無個性。この超人化社会において個性は今や魅力ステータスの一つ。強く他人を引きつけるような個性ならば多少の問題ならば物の数ではない。
しかし出久は無個性。ヒーローに憧れて自身でもデータを取り、自分なりにどんなことが出来るかをシミュレーションして他人の個性を伸ばしたり、使っている本人でさえ気づかないような考えに至ることもある。
しかしどんなに個性についての知識を蓄えても、どれだけ体を鍛えても無個性というこの時代において異端に見られるその事実に出久はずっと苦しめられてきた。
しかしオールマイトが、それ以前から仮面ライダーがそれを変えてきた。自分でも出来ることをして伸ばせるだけのことを伸ばしてきた。たとえ他人から馬鹿にされようとも愚直にそれを幼いときから続けてきた。
その結果、オールマイトに認められ個性を受け継ぎ、原因は不明だが仮面ライダーの力も継承できた。出久自身でも諦めずに続けてきた奇跡と言ってもいい。
「私はずっと出久が無個性であったことが不憫で仕方なかったわ。でも出久はそれにめげずにトレーニングを続けてきた、それこそお友達がほとんど離れてしまってもね。だから私は知りたいの、貴女たちが出久の何に惹かれたのかを。レイ子ちゃんは昔出久に苛められていたのを助けて貰ったからだと思うけど、他の皆は何に惹かれたのかしら」
side out
レイ子side
私は転園した幼稚園で苛められていた。原因は私の個性『ポルターガイスト』を気味悪がられたからだ。
当時は今ほど個性も強くなかったので精々人形などを浮かせて動かすぐらいしか出来なかった。他の子供達は強化系やヒーローのような派手な個性を持つ子が多くて少し特殊な私の個性は受けが悪かった。
そんなこともあって友達も出来ずに一人で幼稚園の庭で遊んでいるときだった。あの爆豪をガキ大将としたいじめっ子達が私の個性が気持ち悪いと言って私の持っていた人形を奪って爆豪が爆破しようとしたときだった。
爆破なんて子供から見ても危なそうな個性を持っているのにもかかわらずそれに立ち向かった男の子―――イズ君が爆豪を突き飛ばして人形を取り返してくれた。
その後は多勢に無勢でボロボロにされちゃったけど、あの瞬間から私の中でイズ君は私のヒーローになった。彼が無個性だと判明しても私の気持ちは変わらなかった。無個性でもヒーローのように立ち向かっていく男の子。
けど現実は厳しく、個性のない彼ではヒーローになる可能性がほぼゼロだ。だから私が彼の夢を引き継いでヒーローになろうと思った。ヒーローになって彼の目に止まってくれれば良い。出来れば再会したい。それだけを思ってトレーニングを続けた。
雄英の入試の時にイズ君と再会した。最初は人違いかと思ったけど、次に会ったときは間違えなく彼だった。
ただでさえ倍率の高い雄英入試試験を次席の私に大差を付けて主席で合格。個性を発現してからの彼は凄く楽しそうだった。でもその反面で無茶をするようになった。
戦闘訓練の時は真っ先に飛び出して身を挺して仲間を守り、敵チームであっても身体を張って守る。USJの時だって大怪我してもおかしくない状況だったのにその身一つで彼は私たちを守ろうとした。
だから改めて決めた。イズ君と一緒にヒーローになって、彼を隣で支えたい。無茶をするなら今度は私が身体を張って止める。そのための力も手に入った。
もうイズ君一人に負担をかけさせない。だってヒーローもライダーも協力が必要だから。
side out
響香side
正直ウチは自分でも情けないぐらいに優柔不断だった。進学の時期になってどっちか一つを決める取捨選択でウジウジと迷っていた。
そんなウチの殻を破ってくれたのは他でもない出久だった。
ヒーローか音楽か、諦められないなら両方取ってしまえば良いなんて欲張りな考え方はあの時のウチには正直考えつかなかった。自分のやりたいことをやってしまえば良いと出久は背中を押してくれた。
だから受験勉強も迷わず集中できた。判らなければ出久も教えてくれた。逆に判らないことがあればウチも教えた。
会ってたかだか半年程度だったけど、出久の何かを引きつけるような魅力に惹かれた。
入学してレイ子や麗日なんて強敵も現れたけど、ウチは負けるつもりはなかった。
ヒーローも音楽も欲張って目指したんだから、もう一つぐらい欲張っても良いよね?出久の隣にいること、それがウチに出来たもう一つの目標だ。
side out
一佳side
初めてあいつと出会ったのは入試の実技試験の時。仮想ヴィランの取り囲まれた私に加勢してくれた。しかも自分は1Pを2~3体倒して残りのポイント高い奴を私に譲ってくれた。
次に会えたのは入学式初日の教室。最初は声をかけようと思ったけど直ぐにあの除籍の掛かった個性把握テスト。その時は仮面ライダーだなんて知らなかったけど、爆豪よりもスゴイ超パワーの投擲力(麗日は別にして)、走らせれば飯田より速い上に0.1秒以下とか、巨大エアバイク出したり腕が伸びたりと本当に驚かされた。その後に話す機会が出来たので入試の時の御礼を言うことが出来た。
本格的に気になり始めたのは初めての戦闘訓練の時。一人でチームの楯になって、こともあろうが巻き込まれそうになった物間の奴も守っちまった。あれだけディスってきたのにそれでも守りにいっちまうなんて……アレで惚れない訳無いよ。
次のUSJの時には本当に危なかった。あの時、緑谷がもし間に合っていなければ私も唯もあの男達に酷いことをされて、ネットで晒し者にされて殺されていた。でも緑谷は少ない情報で仲間の危機を察知して助けに来てくれた。たとえ襲われていたのが私たちじゃなくても来てくれただろう。
そして雄英にいられなくなることも覚悟の上で自分の秘密を明かしてくれた。
他の皆もそうだけど、それを知ったからこそ力になってやりたくなった。勿論ヒーローの仲間としても、一人の女の子としても。
アイツが無茶するなら今度は殴ってでも止められるぐらいの存在になりたい。
side out
麗日side
好きになった切っ掛けは入試でレイ子ちゃんと一緒に助けられたときだ。校門で転びそうになった男の子を助けたら、実技試験で瓦礫に潰されそうになったところを助けて貰った。私みたいに地味そうなのに0P仮想ヴィランに立ち向かっていくその背中が大きく見えた。
小さい頃、初めてヒーロー活動を見たときにヒーローの活躍よりも周りの人たちが喜んでいるのに目がいった。いつも疲れた親の顔を見るのが辛かった私にとって人が喜ぶ顔を見るのが好きだった。だから困っている人がいたら助けるのが当たり前だと思っていた。
でもデク君を見とってその当たり前がどれだけ大変なのかを思い知らされた。怪我をしたり嫌な思いをしてでも助けにいく。戦闘訓練を通してデク君のしている人助けがちょっと異常に思えた。
だから考えた。ヒーローが困ったときには誰が助けてくれるのか?ヒーローが辛いときに誰が手を差し伸べるのか?
幸いにもこれからのヒーローは協力していく方向で時代が進んでいる。だから私は、デク君が辛かったり困ったりしたら手を差し伸べたい。あんな無茶してたらいつかデク君が死んじゃう。
だから私も戦う。ヒーローになる切っ掛けは両親に楽をさせたいことだったけど、デク君の隣に立てるぐらいに強くなって周りを笑顔に出来るヒーローになりたい。頼りにするんじゃなくて頼られるようになりたい!
side out
唯side
思えばあの日から私は周りに関して無関心になった。幼稚園に通っていた頃に日帰りのバスツアーで事故に遭って両親が他界。それ以降は時計店を営む叔父さんの元に引き取られた。お父さんとお母さんが亡くなってから私は目の前が灰色になった。お葬式で泣きはらして、涙も枯れたと思うぐらい泣いた。楽しかった生活が一つの出来事によって壊されてショックが大きかった私は物事に大きく興味を持てなくなった。
幸い引き取ってくれた叔父さんはいい人で、そんな私を見捨てようとはせず何かに興味を持つように色々なことをしてくれた。遊園地や動物園、水族館にも連れて行ってくれた。クリスマスと誕生日の時はケーキとプレゼントを用意して少しでも喜んで貰うよう努力してくれた。そのおかげもあって以前ほどじゃないけど周りに興味を持つようになった。
ヒーローになろうと思ったのは中学生になったとき。理由はよくわからないけど私はストーカーの被害に遭って、こともあろうにそのストーカーに刺されかけた。その時偶然パトロールをしていたヒーローに助けて貰い事なきを得た。
事情聴取を受けた後に叔父さんが私を迎えに来てくれてこう言った。
『今回はラッキーだったよ。ヒーロー飽和社会だなんて言うけど、ヒーローでも助けきれないこともあるんだ。オールマイトだって手の届かないところにいたら助けられないんだ。唯ちゃんを助けてくれたヒーローだって自分の手が届いて助かって良かったと思っているよ。その人の未来を奪われずに済んで良かったって』
その言葉で少し考えた。私の手の届く範囲でも人を救えればその人の未来を奪わずに済むのではと。私みたいな人を少しでも減らせるのではないかと。そんな考えを思考している内に私はヒーローになることを進路に選んだ。
元々成績は良い方だったから努力して勉強をした結果、最難関の雄英に合格して友達も出来た。周りにはすごい個性を持ったクラスメイト達がいた。でもその中でも飛び抜けていたのは緑谷君だった。誰よりも力強く誰よりも早く、そして誰よりも優しい人。
USJで私が酷いことをされかけたときには少ない情報で助けに来てくれた。助かったと思ったと同時に恐怖で身体が震えて動けなくなった私を優しく抱きしめてくれた。暖かかった。すごく安心できた。
その時はこの感情がなんなのかよくわからなかったけど、事件の後でよくよく考えればこれが恋なのだと自覚した。
家族の温もりを与えてくれた叔父さんとも違う。自分意思で絶対に失いたくないと思った温もり。
緑谷君とこれからも一緒にいたい。無茶ばかりをする彼を支えたい。皆の力で彼を助けたい。私によりヒーローになるための目標が見つかった。
side out
no side
五人の話をあらかた聞き終わって引子は答えた。
「貴女たちが出久のことを思っていることははっきり理解したわ。出久は無茶ばかりするから一人が止めても止まるような子じゃない。貴女たち五人で出久を支えてちょうだい。幸いにも今度こんな法律が出来たんだし」
引子が取り出した新聞に書かれた一面、それは―――
『日本政府来る少子化対策で重婚法可決に踏み切る!』
年々問題になりつつある少子高齢化社会を打破すべく政府が打ち出した正直前代未聞の政策。一定状の収入や地位があれば重婚を可能とし、なおかつ最大5人まで奥さん・旦那さんを持つことが出来る。奥さんが複数いれば育児に家事、仕事の継続も可能。逆に旦那さんが複数いれば収入も多くなる。
「この法律とうとう可決されたんだ………」
「確かに私たちに取っちゃ渡りに船だけど………」
「やっぱり皆は出久のことを独り占めしたいの?」
一度無言になるが、直ぐ沈黙は破られた。
「でも下手に奪い合いになって出久が悲しんで身を引くよりはましだね」
「むしろ私たちで出久支えれば良いよ」
「ん!ヒーローもライダーも協力」
「私も皆とは友達でいたいしね」
「結婚してなおかつ仲が良ければイズ君も喜ぶ。困ったときは話し合いも出来るし、家族の負担も大幅軽減できるね」
「満場一致のようね。告白はまだ少し先だと思うけど、出久のことよろしくお願いね」
「「「「「勿論!」」」」」
女性陣が互いの利害が一致して少ししてから出久がスーパーの袋を抱えて帰ってきた。その日のお昼は引子を含む六人の女性陣達で作った料理が並んだ豪華な食事会となった。
爆豪が変身するとすればどのライダー?
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負ける気がしない 仮面ライダークローズ
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プライドの騎士 仮面ライダーバロン
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狙いは外さない 仮面ライダースナイプ
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圧倒的大火力 仮面ライダーゾルダ