僕のヒーロー&ライダーアカデミア   作:鎌足大

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お久しぶりです。今回は全編に渡ってNO sideでお送りします。

今回から体育祭編が始まりますが、結構オリジナルなことが起こるので了承下さい。


雄英体育祭
No.14 大・英・雄・祭


事件から二日後。臨時休校明けの雄英の校門にはやはりと言うべきかマスコミが殺到していたが、警備に当たっていた警察や要請できた各事務所のサイドキックヒーローがマスコミを押さえ込んでいたためオールマイト赴任時に比べれば大分楽に生徒は登校できた。

 

「皆―――――!!!朝のHRが始まる席に着け―――――!!」

 

「いや着いてないのアンタだけだよ飯田。ほらほら相澤先生に怒られたくなきゃあんたも早く座る」

 

 糞真面目に委員長の仕事をする飯田に嗜める拳藤。

 

 一見にしていつも通りに見えるが全員が一昨日の事件のことでまだ内心は穏やかではなかった。

 

「お早う」

 

「全員揃っているな?」

 

 相澤とブラドが教室に入ってくる。全員がそれを見て静まった。

 

「諸君、先日は全員生き残って何よりだ。昨日の会議でセキュリティの見直しや多方面のヒーロー事務所の見回りが決定した」

 

「だが君たちの戦いはまだ終わってはいない」

 

「戦い?」

 

「まさかまたヴィランが!?」

 

「上等だ今度は負けねぇぞ!」

 

 各々が意気込んだり不安になったりするが、

 

「雄英体育祭が迫っている!」

 

「「「「「クソ学校ぽいのが来たああああ!!!」」」」」

 

 予想に反して普通であった。

 

「待って待って!ヴィランに侵入されたばっかりなのに大丈夫なんですか!?」

 

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…と言う話らしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ」

 

「そして何より雄英体育祭は……君らヒーロー科にとっては最大のチャンスの場だ」

 

 雄英体育祭。日本でも随一のビッグイベントである。かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。しかし超常によってそれが一変し規模も選手人口も縮小し形骸化した。

 

 日本に於いて『かつてのオリンピック』に代わるのが雄英体育祭。テレビ中継もされ全国のヒーローがスカウト目的で注目する。

 

「資格習得して卒業後は事務所にサイドキック入りするってのがセオリーだもんな」

 

「そこから独立し損ねて万年サイドキックのマイナーなヒーローもいるけどね。多分アンタもその口だアホそうだし」

 

「ちきしょう!」

 

 当然ながらランキングトップの事務所にでも入ることが出来るなら経験・話題性で大分有利になる。雄英在籍中にチャンスは三回、ヒーローを志すのであれば絶対に外せないイベントだ。

 

 

 昼休みになれば皆この話で既にわいわいと盛り上がっていた。その中でもお茶子は特に燃え上がっていてキャラがふわふわして一同は困惑気味であった。

 

 食堂へ行く途中に理由を聞いてみれば、お茶子は究極的に言えばお金が欲しくてヒーローを目指していたそうだ。理由としては実家の建設会社の経営が厳しいからだそうだ。

 

「でもお茶子の個性なら職業用の個性使用許可取ればコスト掛からないんじゃないの?」

 

 超人化社会での個性の公的使用においては大きく分けて二つある。一つはヒーローライセンス習得により個性の自由使用。もう一つは役所などに申請し業務内容と個性の能力で限定的に許可された職業用の許可証。超人化社会においては個性を大っぴらに使うに当たってはこの二つが一般的である。

 

 それも承知で麗日も両親にそう言ったが、両親としてはお茶子自身が夢を叶えてくれた方が何倍も嬉しいと言ってくれた。だからこそ麗日はヒーローになってうんと稼いで両親に親孝行をしたいそうだ。

 

 憧れだけではなく現実味を加味して目指すお茶子を見て一同は感心していた。

 

 そんな話をしている内に食堂が見えてきた。出久と飯田から少し離れた女子五人は今日は誰が出久の両隣に座るかをじゃんけんで決めていた。

 

「よし勝った!」

 

「勝利のV!」

 

 じゃんけんで勝ったのは一佳とお茶子だった。後は料理を受け取って席に着こうとしたときであった。

 

「おお!!緑谷少年が、いた!!」

 

 マッスルフォームのオールマイトが突然現れた。

 

「お昼ご飯……一緒に食べよ?ちょっと話したいこともあるし」

 

 お昼のお誘いであった。そして当然の如く「是非!」と言って料理の乗ったお盆を持って連れて行かれた。

 

「………行ってしまったな。まぁ緑谷君はオールマイト先生の弟子という話だし、積もる話もあるのだろう。個性だって似通っているから随分と気に入られて―――――」

 

 飯田は気づいていなかった。出久を連れて行かれた恋する乙女達が怒りのオーラを纏っていたことに。

 

(((((おのれオールマイトめ!!)))))

 

 溢れんばかりの怒気に周りは気をされていた。

 

 

仮眠室―――――

「1時間半……!?」

 

「あぁ………それが私の現在の活動限界だ。この前の戦いで無理をしてしまったからね。マッスルフォーム維持だけなら3時間行くかどうかって所だ」

 

 ただでさえ個性を継承して残り火しか残っていない今のオールマイト。出久のリカバーによって古傷こそ完治はしたが後遺症と活動限界だけはどうにもならなかった。

 

「それよりも体育祭のことだ。君は今現在ワン・フォー・オールは瞬間的な上限で25%まで操れる。ぶっちゃけて言えばね………私が平和の象徴でいられる時間はもうそんなに長くはない」

 

 USJでの事件に於いて敵はオールマイトの弱体化に気づき始めそれを知られてしまった。メディアにこそ情報は流出してはいないが、バレるのも時間の問題である。

 

「君に力を託したのは私を受け継いでほしいというのが本音だ。そして雄英体育祭という全国が注目するビッグイベント、次世代のオールマイトの意思を受け継ぐ象徴の卵を………君が来た!ってことを世の中に知らしめてほしい!!勿論仮面ライダーのことも公表しても構わない、校長や警察からも既に了承は得ているからね!」

 

 次世代の平和の象徴の卵。軽いように見えてその言葉にはとてつもない重さがあった。

 

「それにことに対して準備をしているのはヒーローだけじゃない。警察だってもうヴィラン受取係なんて言われぬように準備を進めている」

 

 先日の会議で警察内部でも対ヴィラン・対怪人ように仮面ライダーを参考にした強化スーツの開発が進められていることを聞いていた。警察とヒーローの連携は後にも先にも必須。警察も仮面ライダーの行動を見て既に備えている。

 

 むろん現在活躍するヒーローも昨年の出久の言葉で意識改革が始まっている。

 

 だがこと雄英体育祭に於いて成果を残したいと思っているのはヒーロー科の生徒だけではない。

 

 

放課後――――

 ヒーロー科の生徒は教室から出ていない。正確には出られないのだ。出入り口に大勢の生徒達が殺到していたからだ。普通科は勿論、サポート科や経営科の生徒もだ。

 

「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」

 

「敵情視察だろ、雑魚共が。襲撃耐え抜いた連中の顔拝みに来たんだろう。意味ねぇから退けモブ共」

 

「爆豪君!無闇矢鱈に他人様をモブとか言うんじゃない!」

 

 やはりと言うべきか、爆豪の発言で不満を漏らす生徒が多い。その中の一人が前に出てきた。

 

「随分偉そうだな、ヒーロー科ってそんな奴ばっかりなのか?ガッカリするぜ」

 

 肩章を見る限り普通科の生徒のようだ。

 

「知ってるか?普通科や他の科にはヒーロー科に落ちた奴も結構いるんだぜ。体育祭の活躍によっちゃヒーロー科への転科も検討してくれる、逆もまた然りだそうだ。敵情視察?少なくとも俺は余裕ぶっているお前らの足ゴッソリ掬ってやる…―――そう宣戦布告に来たつもりだ」

 

 そう考えている人間はこの中にも結構いる。

 

「オイオイ僻みか?僕たちは厳しい試験乗り越えてこの場にいるんだよ。そう簡単にやられるほど―――「関係ねえよ………」はぁーーーーー!!?」

 

「上に上がりゃ関係ねえ。強ぇ奴が生き残るだけだ」

 

 実にシンプルにして当たり前の答え。かなりの人数がその言葉に納得した。野次馬達も、そしてヒーロー科の生徒も。

 

(時間は有限…限られたチャンスの場…なら僕も頑張るよ、子供の頃から憧れていたモノに……僕はなってみせる!)

 

 そこからは全員が各々可能な限りの準備をした。自身の長所を伸ばす者。弱点を克服しようとする者。仮想的を立てて対策を練る者。持てる限りのことを尽くして、あっという間に二週間が経過した。

 

 

 

ヒーロー科控え室―――――

 ついに迎えた雄英体育祭当日。既に持ち物チェックを終えたマスコミやら報道陣が入場を済ませる。そして警備やスカウト目的で来たヒーロー達も大勢集まってきた。

 

「緊張するな………」

 

「テレビ中継の他に全国からプロヒーローが見に来るかんな」

 

「皆準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!」

 

「皆先生から指示があったこのリストバンドちゃんと付けるんだぞ!」

 

 他の科も参加する性質上、公平性を保つためにヒーロースーツの着用は禁止されているため全員体操着であったが、ヒーロー科だけには更に両腕にリストバンドをするように指示があった。

 

「おい緑谷」

 

「轟君?」

 

 準備体操をしている出久に轟が声をかけてきた。

 

「客観的に見ても実力はお前の方が上だろう。オールマイトに眼をかけて貰えているからとか仮面ライダーだからだとかそんなのは関係ない。俺は………お前に勝ちに行く」

 

 突然の宣戦布告。予選を勝ち抜いていけばいずれ周りにいる全員が敵になるのは必至。だが出久には迷いもなければ動揺もない。

 

「皆も、他の科の人だってトップを狙ってきているんだ。僕だって遅れる訳にはいかない、僕も……優勝を狙って獲りに行く!」

 

 覚悟の決まった眼には闘志がわいていた。

 

 

『雄英体育祭!!若き卵達が我こそはとシノギを削って頂点を狙う年に一度の大バトル!!』

 

 実況席のプレゼントマイクがDJよろしくと言わんばかりに会場のテンションを上げていく。

 

『どうせテメーらアレだろコイツらだろ!!?ヴィラン襲撃を受けたにもかかわらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!1年ヒーロー科だろぉぉ!!?』

 

 ヒーロー科に続き、普通科、サポート科、経営科も続いて入場するが、やはりヒーロー科のおまけのような印象を持たれる。

 

「選手宣誓!!」

 

 台上で鞭を鳴らす美女は1年主審を務めるヒーロー科教師・18禁ヒーロー『ミッドナイト』だ。

 

「18禁なのに高校にいて良いものか」

 

「不可思議の存在」

 

「断然有り!」

 

「静かにしなさい!!選手代表!!ヒーロー科1-A緑谷出久!!」

 

 選手宣誓はヒーロー科の一般入試試験主席が行うのが通例であった。出久は若干緊張しながらも台上に立ちマイクを握る。

 

『宣誓!僕たち生徒一同は、日頃の鍛錬の成果を見せ正々堂々戦い抜くことを誓います!!ヒーロー科1―A緑谷出久!!』

 

 こうして宣誓を終えたが、出久は台上を降りなかった。

 

『最後にもう一つ。僕は……去年の春先まで無個性でした』

 

 突然のカミングアウトで場の空気が動揺する。

 

『それまでの僕は無個性でもヒーローになれると信じてずっと努力を怠りませんでした。個性こそ得ましたがそのあまりの強大さで未だに完全制御には至っていません。この場にはヒーロー科に入りたくても入れなかった人も大勢います。だからと言って僕は手心を加える気はありません。皆なりたいモノのために今日に備えてきました。だから僕も今日勝つために全力を出し切るつもりで戦います!!』

 

《カメンライド ディケイド!!》

 

 腰にネオディケイドライバーを装着しディケイドに変身した。

 

 突然生徒が仮面ライダーに変身したことに驚いたが、直ぐそれは歓声に代わった。

 

「マジかよ。雄英の生徒が仮面ライダーだったのか!?」

 

「スクープだスクープ!!カメラ回せ!」

 

「コイツは是非ともスカウトしたいな!」

 

 観客やマスコミ、ヒーローも次々注目していく。

 

(変身して自分の過去の暴露や変身。緑谷少年、始めから飛ばしてきたね、自分が来たって!!)

 

 観客席の隅でその様子を見届けていたオールマイトは内心嬉しそうであった。

 

『さーてそれじゃ早速第1種目いってみましょう!!』

 

「雄英って何でも早速だね」

 

『いわゆる予選よ!毎年多くの者がここで涙を飲む(ティアドリンク)!!さて運命の第1種目!!今年は……これ!!障害物競走!!!』

 

 ルールは会場を出て外周4㎞をそうはしてスタジアムに戻ってくる。コースさえ外さなければ何でもありの競争。

 

『ただし……ヴィランとの戦闘をいち早く体験したヒーロー科の生徒には、ちょっとハンデを付けさせて貰います。そのハンデは………ペアを組んでゴールすること!!』

 

 ヒーロー科の生徒は二人一組でチームを組んでゴールをするのが条件。それ以外は自由。ざわめくヒーロー科一同であったが、ここで更にミッドナイトは爆弾発言をする。

 

『ちなみにペアに関しては……アナタ達が自由に決めるのではなく、完全にランダムに決めます。そしてその決定法は入場前に全員に配ったリストバンド!』

 

 手にした機械のスイッチを押すと、ヒーロー科の生徒達が互いに引き合っていく。

 

『リストバンドに内蔵した強力牽引装置で同じ周波数同士の人がペアになります!!』

 

「マジかよ!?」

 

「ランダムってこう言う意味か!」

 

 そして同じ種は数同士のペアが次々に出来上がっていく。

 

切島&鉄哲ペア

「ぬぉっ!?お前が俺とペアか」

 

「なんかいつもセットにされるな」

 

飯田&塩崎ペア

「塩崎君!組こそ違うが互いに頑張ろう!」

 

「神よ、どうか我らに勝利を」

 

峰田&小森ペア

「何でコイツとノコ!?」

 

「知るかよ!?俺だって八百万や拳藤とかが良かった!」

 

轟&八百万ペア

「轟さん、勝つために頑張りましょう!」

 

「足引っ張るんじゃねえぞ」

 

爆豪&物間ペア

「オイオイオイオイ、何だってA組の問題児と一緒なのかなぁ~?」

 

「うっせーぞ物真似野郎!」

 

一佳&響香ペア

「取り合えず共同戦線張るか」

 

「負けたら元も子もないしね」

 

レイ子&お茶子ペア

「イズ君とが良かった……」

 

「あれ、それじゃデク君は?」

 

出久&唯ペア

「えっと……よろしくね小大さん」

 

「ん!」

 

 出久のペアを見事に勝ち取ったのは唯であった。

 

((((なんて羨ましい……!!))))

 

 恋するよにんの乙女の嫉妬の視線が降り注いだ。

 

『では準備は出来たようね。全員位置につきまくりなさい』

 

 ゲートの信号が音を鳴らして点灯していく。最後のランプが緑になった瞬間。

 

『スタ―――――――ト!!!!』

 

 合図と共に一斉スタートする。何でもありの障害物競走の開始である。

 

 

 

 

 

 




全ペア紹介
出久・唯

レイ子・お茶子

一佳・響香

爆豪・物間

峰田・小森

飯田・塩崎

轟・八百万

切島・鉄哲

尾白・葉隠

庄田・吹出

円場・宍田

泡瀬・上鳴

瀬呂・取陰

角取・砂籐

骨抜・青山

凡戸・口田

常闇・蛙吹

障子・鱗

回原・芦戸

黒色・鎌切

切島が変身するとすればどのライダー?

  • 心火を燃やす 仮面ライダーグリス
  • ハードボイルド探偵 仮面ライダースカル
  • 鍛えてますから 仮面ライダー響鬼
  • 負ける気がしない 仮面ライダークローズ

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