これからは仮面ライダーのタイトルやヒロアカのタイトルのスタイルで行きます。
???side
夏休みのある日、ウチはいつもよりやたらと早く目を覚ました。ちょうど朝日が半分ほど顔を出してきてる。
両親はまだ寝ているようだったから着替えてそっと家を出た。たまには早朝の散歩も悪くないし。
あっ、自己紹介まだだった。ウチは耳郎響香。辺須瓶中学の三年生、つまり今年は受験だ。ウチは今進路のことで悩んでいた。
両親が音楽関係の仕事をしているためか、小さいときから楽器や音楽が好きだった。家にある楽器も大概扱える。その方面への進学も考えていたけど、周りの同級生と同じくヒーローにも憧れていた。
模試の判定はB。だから勉強もう少し頑張れば雄英だって十分狙えると先生から言われているが、どうしても音楽のことも諦めきれない。
進路希望もヒーロー科のある学校か音楽学校かで悩んでいる。先生も一つに絞った方が良いと言ってくる。当然だけどね。
煮え切らないまま夏休みに突入し親からも絶賛心配されている。
近所の道から違うコースを通って海沿いに出た。この辺海流のアレやらでゴミとかが漂着してそれにつけ込んで不法投棄している輩もいるんだよね。
ふと海岸を見ていると何かが動いているのが見えた。興味本位でそれを見に行くと、ウチと同い年ぐらいの男の子がタイヤを担いで一カ所に集めていた。
side out
出久side
お早うございます皆さん、緑谷出久です。僕は今この多古場海浜公園のゴミ掃除をしています。ワン・フォー・オールは継承したかって?実はまだオールマイトの個性は受け継いでいません。
あの日から二日した早朝。僕はオールマイトの指示でこの多古場海浜公園の清掃活動をすることになりました。
ワン・フォー・オールはオールマイトの代まで八代かかって培われてきた強力な個性だった。なんの準備もなく僕が引き継げば身体の方がそのパワーに耐えきれずに四肢がもげて爆散してしまうそうだ。つまり今やっている清掃活動は体を鍛えるためのトレーニングでもあるがもう一つ、
『最近のヒーローは派手さばかりを追い求めているけどね、ヒーローってのは本来奉仕活動!地味だなんだと言われてもそこだけはブレちゃいかんのさ!この区画一体の水平線をよみがえらせる!!それが君のヒーローとしての第一歩だ!!』
と言うわけでトレーニング込みの奉仕活動、そしてオールマイトの指示による雄英入試のためのスケジュールプラン、食事や寝る時間さえ管理して僕を鍛えてくれるオールマイトのためにも僕はそのメニューをこなしてきている。
ゴミ掃除をする際には約束事として仮面ライダーに変身してやったり能力行使を禁止にしていた。それで楽してはトレーニングにならないからだ。故にディケイドライバーとライドブッカーはオールマイトに預けていた。僕が持っていたら力の誘惑に負けそうだし。
清掃を開始して約四ヶ月ほどが過ぎた。海岸線はだいぶ片付いてきた。オールマイトも合間を見て様子を見に来ているけどこれなら受験一ヶ月前には完了とのことで何度かのスケジュール調整もされてきた。
そして今日も張り切って海岸線の掃除だ。
「ちょっとあんた何してんの?」
ふと声をかけられたので上を向くと僕と同い年ぐらいの女の子がこっちを見ていた。
休憩がてらそのこと少し話した。女子とまともに話すなんて初めてで緊張するよ。彼女は耳郎響香さんと言うそうだ。
「それじゃ春先からずっとここの掃除してるの!?」
「うん、ヒーロー科目指すならトレーニングは必至だったし。それにここの海岸が綺麗になれば近所の人たちだって喜ぶしね」
「そっか、緑谷はヒーロー目指してんのか。ちゃんと目標あって良いな。けどウチは全然ダメダメ、進路希望で優柔不断になっちゃってさ」
ふと耳郎さんが言葉を漏らした。何か悩みでもあるのではないかと聞いてみれば耳郎さんは今進路で悩んでいるそうだ。ヒーローになるために音楽を諦めるのか、音楽のためにヒーローを諦めるかで両親にも心配をかけているそうだ。
「緑谷は良いよね。これだって言う道を見据えて真っ直ぐ走ってきたんだから。ウチは分かれ道でどっち行けば判らないしさ」
「う~ん………悩むんだったらどっちも選べば良いんじゃないかな?確かヒーローって特例で副職持てるんだよね?ヒーローをやりながら音楽をやるのもありじゃないかな?」
耳郎さんは鳩が豆鉄砲でも食らったような顔になった。
「でも………なんか欲張りじゃないかな?一挙両取りしても両立できるか不安だしさ」
「確かに不安かもしれないけどさ、人間人生は一度きりだからやらずに後悔するよりはやって満足した方が良いかな。自分のなりたいモノになればいい、僕はそう思うな」
ふと耳郎さんは何か考え込んでそして立ち上がった。
「サンキュー、なんかすっきりした。なりたい自分になるか、超ロックじゃん!」
「覚悟は決まったみたいだね」
「うん!帰ったら父さんと母さんに話すよ、ウチはヒーローになって音楽もやるって」
完全に吹っ切れたみたいだ。
その後互いに連絡先を教え合って別れた。
そしてその次の日、耳郎さんも時間があれば海岸の掃除を手伝うと言ってやってきた。僕のトレーニングだし手伝ってもらうのはズルじゃないかと思ってオールマイトに相談してみたところ、
「何を言っているんだ!君が行動で示し、そして君が言葉で諭した結果じゃないか!もちろんOKさ!!ただ私が指導していることは秘密にしといてくれよ。バレたらバレたで面倒だし」
あっさりと許可は下りた。
それからは二人で海岸の清掃、時には一緒に受験勉強などもしていく内に耳郎さんは僕のことを名前で呼び始めた。家族以外で名前で呼ばれるなんて初めてだった。
そして時間は流れてゆき―――。
side out
オールマイトside
私は今凄い光景を目の当たりにしていた。目の前にあるのはゴミの山、そしてその頂に立っているのは、
「うおおおおおおおぉぉぉ!!!」
緑谷少年が雄叫びを上げていた。そして海岸線にはゴミ一つ残ってない綺麗な砂浜が復活していた。そう、私が指定した区画以外も全部だ!
しかも今日は奇しくも12月31日の大晦日。たまに手伝ってもらっていたとはいえ彼は年内中にこの海岸の掃除を終わらせるなんて予想外のことをやってのけたのだ。しかも受験まで約二ヶ月の期間を残してだ!どう早くたって一ヶ月前、遅ければ一週間前だという私の予想を大きく覆しやがった!
しかもただ完遂させただけじゃなく完成以上の結果を叩き出した。こいつは……こいつはもう、
「オーマイ、グッネス!!!」
驚きのあまり叫んでマッスルフォームなっちゃった。
「あっ、オールマイト!」
早朝から元気がよろしい!それにしてももう十二月なのに上半身裸で寒くないのかい?
「毎度君には本当に驚かされるよ、このエンターテイナーめ!!これが十代の力か、おじさんうらやましいぞ!!」
「お、オールマイトはおじさんじゃありませんよ」
良いこと言うじゃないか。それじゃアレを見せようか。
「これを見たまえ。これが春に撮った君の写真、そして現在の君はここまで逞しく成長している。よく頑張ったよ、本っっ当に!!」
「なんか……ズルだな、僕は。オールマイトにここまでしてもらえて、恵まれすぎですよ」
何を言うんだ、自分の頑張りのおかげだろう。でもその気持ちはわかる気がするな。私もお師匠から個性を受け継いだときもそうだった。
「これは受け売りだが、最初から運良く授かったものと認められ譲渡されたものでは本質が違う!肝に銘じておきな、これは君自身が勝ち取った力だ!!」
大きな力を手に入れたのにもかかわらず自らを律して制御に努める姿勢。君を後継者に選んだことは正解だと思っているよ。今は否定しているが、きっといつか彼も君を認めてくれるはずさ。
「では約束通り君に個性を継承しよう。これを受け取れば君は立派なワン・フォー・オール九代目継承者だ!次の平和の象徴として頑張ってくれ!!」
「………オールマイト、僕ずっと考えていたんです。オールマイトという一人の巨大なカリスマがいたから平和の象徴が保たれ続けた。正直僕にそこまで出来るかが不安なんです。でも平和の象徴は消してはいけない、だから、だから僕はヒーローの存在そのものが平和の象徴になれる世界を作りたい。そうすれば一人にのしかかる負担は減るし、なにより一人よりも大きな正義の輪が出来ると思うんです!」
なんと!私は若かりし頃、この国の犯罪が減らないのは人々に心の拠り所が無いからと師匠に答えたことがあった。だから平和の象徴があれば人々はそれを拠り所に出来ると思って決して悪に屈さない平和の象徴であり続けてきたが、どうやら緑谷少年は私なんかよりも過酷で険しい道を進む気だな。見据えていた目標はさらに向こうか。
いつかきっと、緑谷少年は私とは違う意味で平和の象徴になるかもしれないな。それも一人では無く一人のヒーローとして。
「大きく出たね緑谷少年。私の道も決して楽では無かったが君が目指す道はもっと険しい。だが男が目標掲げるならデカイ方が格好いいぜ!この力が君の未来を歩くための手助けになったくれるはずだ」
私は髪を一本抜いて緑谷少年に差し出してこういった。
さぁ………食え!
「………へぁ?もしかして、それが譲渡のやり方ですか?」
「そう!別にDNA取り込むんだったら何でも良いんだけどさ、ささ遠慮せずパクッとね、お水もあるよ」
「なんか想像してたのと全然違う………」
なんかガッカリさせちゃったな。まぁ良いか!!
side out
出久side
オールマイトから個性を譲渡してもらってから2時間程して、僕の身体が何かオーラのようなものが出てきて赤い稲妻のようなものが走る。これがワン・フォー・オールなのかな?
「無事継承完了だ。これでワン・フォー・オールは完全に君のモノとなった」
「はい!でもそうなったらオールマイトは無個性に戻ってしまうんじゃ無いんですか?ワン・フォー・オールは僕が引き継いじゃったんだし」
「大丈夫さ、ワン・フォー・オールは継承した後も残り火として体内に留まるのさ。でもそれは所詮残り火、使えば使うほど小さくなっていずれは消えてしまう。それまでは私は平和の象徴として働き続けるさ」
そうか、今はよくてもいずれは消えちゃうんだ。だったらそうなってしまう前にワン・フォー・オールを完全にモノにしないといけない!
「まずどれぐらいの出力まで上げられるか試してみよう。受けきれる器を作って力を受け継いだと言ってもまだ自在にコントロールできるわけじゃ無いしね。幸い二ヶ月ほど時間はあるから受験日までは力のコントロールに時間を当てよう」
確かにディケイドの時もどれぐらいの力加減で安全ラインか見極めていた。さもないといざ対人で使うとき危なかったし。
要領はなんとなくだけど判る。意識を集中してちょっとずつ力を上げる感じで「おーい出久!」……えっ!?
ふと振り向いたら耳郎さんがこっちに手を振りながら走ってきてた。しまった!今日この後会う約束あったんだ!!
「マズイ!」
オールマイトもすぐマッスルフォームからトゥルーフォームに戻った。見られたら色々まずいしね。
「じじじ、耳郎さんお早う!」
「お早うって……そっちの人誰?」
トゥルーフォームのオールマイトを見て聞いてきた。えっととりあえず誤魔化さないと。
「あーこの人この近所に住んでいる人で僕がゴミ掃除してるの見ててトラックとか手配してくれたんだ!」
「そ、そうそう!今日で片付いたからご褒美にジュースでもと思ってね。確か君も手伝っていたよね、君も一本どうだい?」
「えっと……それじゃゴチになります」
ふぅ~、なんとか誤魔化せたみたいだ。
オールマイトがジュースを買いに行っている間に僕らは片付けた砂浜に座って昇ってくる朝日を見ていた。
「まさか年内で終わっちゃうなんて思ってみなかったし」
「うん、僕も結構驚いている」
「再来月には受験か、お互いに受かると良いな雄英高校」
耳郎さんも雄英の受験を受けることにしたそうだ。苦手だった数学も僕が教えてから成績が上がったと話してくれた。
「筆記は問題なさそうだけど。問題は実技試験だね」
そう、雄英ヒーロー科の受験は筆記試験の他に実技試験がある。何をするかはまだ判らないけどまず簡単では無いはずだ。
「まずやれることはやろう。そのためにトレーニングだってしてきたんだしさ!」
「おう!もう矢でも鉄砲でも何でも持って来いだ!」
うん、その意気だよ!
「あの、それとさ………今日大晦日じゃん、その………合格祈願で初詣一緒にいく?」
耳郎さんからの初詣のお誘い。ていうか女子から誘われるなんて初めてだ!
「べべべ別に用事あるんだったら良いよ!ウチがかっ勝手に誘ったんだし!」
なんか顔赤いけど風邪気味かな?とりあえず用事は無いから僕はOKした。
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雄英高校一般入試三日前―――――
???side
私の乗った飛行機が空港に到着した。外は既に夜中だ。時差ボケのこともあるから早めに帰国して正解だ。帰国と言って私が日本に帰るのは約十年振りだった。
小学校に上がる直前に親の仕事の都合でアメリカに引っ越すこととなった。小さかった私は泣いて嫌がったけど結局ついて行くことになった。
それからは一度も日本には帰っていない。向こうの学校で少ないながらも友達を作り個性のトレーニングを続けてきた。もちろん理由はヒーローになるために。
まだ日本にいた頃に唯一出来た男の子の友達。個性を気味悪がられて苛められていた私を身体を張って庇ってくれた。結局返り討ちにあっていたけど私にとってその子はオールマイトよりもヒーローに思えた。
そこの子は私の個性を気味悪がったり怖がったりはしなかった。理由を聞けばその子は無個性でそのせいで今まで遊んでいた子とも仲間外れになってしまったそうだ。お互い仲間外れ同士だったのか不思議と仲がよくなった。
私は彼が『出久』という名前だったので彼を『イズ君』と呼んで彼も私のことを『レイちゃん』と呼んでくれた。家も比較的近かったからよく二人で公園で遊んだのを覚えている。
引っ越しの日に私は彼に会いに行ってお別れを言いに来たけど、最後に約束した。
『私絶対に日本に戻ってくるから!日本に帰ってきてヒーローになってイズ君のお嫁さんになるの!』
『うん、僕も約束するよ!』
その言葉を支えに向こうで十年過ごしてきた。このたび親の海外での仕事が終了して帰国と相なり、私は日本の高校――――ヒーロー科最難関の雄英高校を受験することにした。
向こうの学校でも成績は向こうでも上位をキープ。個性の方もこの十年の成果もあって今では短時間ではあるけど車だって浮かべて動かせる。
雄英に行ってプロヒーローになれば、ヒーロー好きの彼の目にも留まるはず。出来れば再会したい。彼は忘れているかもしれないけど、私の気持ちは十年たった今でも色褪せていなかった。
必ず合格して私はヒーローになるんだ。無個性故に夢を諦めることを進められても足掻いていた彼の意志を継いで。
これが私――――柳レイ子のオリジンだ!
でもこの時は知らなかった。この三日後、恋い焦がれていた彼と再会するなんて。
pixivでのURL張りました。こっちの方でもよければ読んで下さい。
爆豪が変身するとすればどのライダー?
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圧倒的大火力 仮面ライダーゾルダ