僕のヒーロー&ライダーアカデミア   作:鎌足大

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わかりにくいと思いますが、初期の頃の鎧武風のタイトルです。

今回の話は今まで書いた中でたぶん一番長台詞が多い回です。


雄英入学~USJ事件
No.5 個性把握テスト、除籍を回避しろ!


出久side

 中学も無事卒業して今日はいよいよ雄英高校の入学式。新しい制服に新しい環境、新しい出会いにドキドキしています。

 

「出久ティッシュ持った?ハンカチは?忘れ物無いわよね?」

 

 お母さんが結構テンパりながら何度も確認してくる。そりゃ無個性って事でだいぶ困らせちゃったし、僕の雄英合格を聞いて大泣きして喜んでくれたからな。

 

「出久!超格好いいよ」

 

 嬉しそうに僕を送り出すお母さんの顔を見てたら僕もつい笑ってしまう。

 

 玄関を開けた直ぐ先にはレイちゃんが待ち構えていた。一緒に登校しようと約束はしていたけどわざわざ迎えに来なくても駅で待ち合わせれば良いと思うんだけどな。

 

「お早うイズ君!」

 

「お早うレイちゃん。わざわざ迎えに来てもらってごめんね」

 

「別に平気よ、家だって近所だし」

 

 近所って言ってもレイちゃんの住んでいるマンションまで200~300mはあるはずなんだけど…。

 

 最寄りの駅で電車に乗って雄英高校側の駅で降りる。そこから少し歩けば雄英高校だ。

 

「おーっす出久!」

 

 レイちゃんと同じ真新しい制服を着た耳郎さんと合流。この二人なんか会う度に睨み合うけどそんなに反りが合わないのかな?

 

 入り口にクラス表が張り出されていた。僕はA組のようだ。

 

「ウチもA組だ。三年間よろしく」

 

 そう言って僕も返事をしようとしたら、レイちゃんが何か落ち込んでいた。

 

「どうしたのレイちゃん?」

 

「イズ君………私、B組だった…」

 

「いやそこまで落ち込むこと?」

 

「ネットとかでこんな話あるんだよ…。雄英のヒーロー科は互いに競争心を持たせるため二クラスで構成されて、それで競い合いがヒートアップして仲の好かった人同士でも啀み合うほどだって」

 

 いやさすがにネットの噂を鵜呑みにするのも…。でも競争心煽るってところは十分あり得るな。今のヒーローって人気取りも激しいし。

 

 とりあえず教室に向かおう。廊下を歩いて行けば巨大な扉に1-Aと書いてある。バリアフリーなのか?個性の都合で大柄の人もいるかもしれないけどそれでも開けるのに重そう。

 

 あんまり言いたくはないけどかっちゃんと一緒のクラスは避けたいな。小学校から中学までずっと同じクラスの腐れ縁だけどさすがに高校は違うクラスに――――。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

 

「思わねーよ。テメーどこ中だ端役!」

 

 かっちゃんと受験の時一緒だった眼鏡の人と同じクラスだ!

 

「ぼ…俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ」

 

「聡明~~~!?クソエリートじゃねーか。ぶっ殺し甲斐がありそうだな」

 

「ブッコロシガイ!?君ひどいな本当にヒーロー志望なのか!?」

 

 かっちゃんが早速他の人に牽制してる。お願いだから穏便にして!

 

「えっ、イズ君!?」

 

 ん?なんでB組の扉から入ったはずのレイちゃんがこっちの教室にいるの?

 

「ちょっと柳、あんた今B組の方に入ったよね?」

 

「うん。でもそしたらイズ君達も向こうのドアから………」

 

 よく見ればこの教室変だ。雄英の入試は推薦合格者4人と一般入試合格者36人の計40名を半分に分けての二クラス編成だが、この教室の席数を数えれば黒板を正面に縦5横8列の40個。しかも教室の一部が明らかに増築された跡がある。明らかにヒーロー科の生徒全員がここに集められるように教室を作り替えてある。

 

「おぉ君は入試の時に一緒だった!」

 

 眼鏡の人が僕に気づいて話しかけてきた。

 

「えっと、聡明中の飯田君だよね。さっきの話聞こえてよ。僕は緑谷」

 

「そうか!それより緑谷君はあの実技試験のカラクリに気づいていたのかい?俺は全然気づけなかった!」

 

 いや僕も何かあるかな程度でしか判らなかったし。それよりもどうして教室がこんな状態なのか聞いてみた。玄関の張り紙にはちゃんとクラス分けがされていたのに。

 

「俺たちにも判らないんだ。来たときには既にこの状態、やたらと広い教室に増築改装された跡。おまけにA組のみならずB組の生徒も混ざっている」

 

 飯田君もまだ状況を把握し切れてないのかと考えていると背後のドアが開いた。

 

「ギリギリセーフ。あっ!そのモサモサ頭は入試の時の!」

 

 入試の時レイちゃんと一緒に助けた女の子だ。その前に僕も転びそうになったの助けてもらった。

 

「私麗日お茶子、三重から来たんよ!それにしても君入試の時凄かったね。あのデカイロボット貫いちゃったんだから!」

 

 麗日さんの言葉に全員が反応して僕の方を見た。オールマイトが言ってたけどあの0Pヴィラン挑んだ人はこれまでも何人かいるけど撃破されたことはここ数年無かったそうだ。

 

 かっちゃんがこっちを睨み付けてきた。中学の卒業式の少し前に担任の先生に合格報告したときに絡まれたからな。かっちゃんは自分の人生設計図ズタボロにされたことで怒ってきたけど、この合格は僕が勝ち取ったんだ。それだけは絶対に譲れない。

 

「…お前らお友達ごっこするんだったら他所に行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

 声がした方を向けば、寝袋で横になって栄養ゼリーを啜っている小汚い人がいた。

 

 この時全員の心がたぶん一つになったと思う。この人怪しいと!

 

「はい、静かになるまで8秒かかりました。君たちは合理性に欠けるね」

 

「イレイザー、お前またそれか。寝袋で移動するのは止めておけ」

 

 もう一人の人が来た。こっちの人は知っている、ブラッドヒーローのブラドキングだ。血を操って戦うヒーローだ。それにイレイザーってもしかして…。

 

「諸君入学おめでとう。B組担当のブラドキングこと管赤慈朗だ。気軽にブラド先生とでも呼んでくれ」

 

「A組担当の相澤消太だ、よろしく」

 

 自己紹介が終わったところで早速飯田君が手を上げた。僕たちの考えていた疑問がやっと解けるかもしれない。

 

「質問があります!クラスがAとBで別れているのになぜ一緒の教室なのでしょうか?」

 

「理由は簡単だ。今年からヒーロー科の教育カリキュラムが変更になり、それに伴って二クラスのヒーロー科を一つに統合したんだ。これなら指導効率に差も出ないから合理的だ。A組とB組は早い話がグループ分けだと思え。基本授業は一緒だが時と場合によってはこのグループで分ける」

 

「何より近年になって現れ始めた怪物達との戦闘。これまでは小規模な物で留まってきたが2年前には都心で大規模な侵攻があったのはニュースでも知っているだろう」

 

 あれか、僕が仮面ライダーとしてデビューを飾ったあの事件。

 

「2年前の都心での襲来でこれまでには無い強力な個体が確認された。並のヒーローでは一人で勝てる相手じゃ無い。ゆえにヒーロー科を持つ学校ではこれからは個の強いヒーローの育成では無く、複数人数で連携のとれた群れのヒーローを育成する方針に変わった。お前達は雄英においてその第一号だ」

 

 なるほど、僕もオールマイト便りの今の体制じゃいつか限界が来ると思って協力し合えるヒーローになりたいと思っていたけど、あの怪物事件のことで世間もそういった事に乗り出してくれたんだ。これは渡りに船だ。

 

「では早速君たちにはこれに着替えてグランドに集合してもらう」

 

 相澤先生が自分が入っていた寝袋から取り出したそれは雄英の体操着だった。受け取るとなんか生暖かかった。

 

「えっ、入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は《自由》な校風が売り文句、それはまた《教師側》もまた然りだ」

 

「俺も入学式やガイダンスの後で良いとは言ったが、校長が許可したんだ。我慢してくれ」

 

 相澤先生の後にブラド先生が謝罪してきた。

 

 とりあえず更衣室で着替えるよう指示を出されたので教えてもらった場所へ行き着替え始めたけど、最初の状況が状況だったせいか、A組とB組の生徒同士での会話が成り立った。

 

「俺切島鋭次郎、お前筋肉凄いな」

 

「鉄哲徹鐵だ、お前だって良い体つきだ」

 

「漆黒の凶鳥」

 

「暗黒の咎人」

 

「その尻尾椅子とか座るとき大変そうだな」

 

「うん、結構苦労するんだよ」

 

 などと和気藹々で話している。一部を除けば。

 

「君中学の時ヴィランに捕まったんだってね?嫌だねぇやっかいごと持ち込みそうで」

 

「うるせー端役が!俺がA組って事は俺が上だって事だ!B組のモブ共はおとなしく引っ込んでろや!」

 

「止めないか君!これからのヒーローは共闘すべきだと先生も仰っていたではないか!」

 

「物間も止めてくれ、俺たちを妙な争いに巻き込もうとするなよ」

 

 かっちゃんとB組の物間君との間で既に罅が入り始めている。

 

 そんなこんなで着替え終わって全員がグランドに集合した。

 

「全員そろったな。ではこれより個性把握テストを執り行う」

 

 個性把握テスト?体力テストみたいなモノかな?でも個性なんて人それぞれでどうやって………。

 

「お前達が中学生になったからやってきた個性禁止の体力テスト。アレを個性を使って行う」

 

「まぁ説明するより実戦した方が早い。爆豪、お前中学の時のソフトボール投げいくつだ?」

 

「67m」

 

「個性使ってやってみろ。円の外出なきゃなにやったって良い」

 

 相澤先生からボールを受け取ってかっちゃんが定位置についた。

 

「んじゃまぁ(球威に爆風を乗せる)―――――死ねえぇ!!!」

 

 

……………死ね?

 

 

 かっちゃんの叫んだ言葉に僕もみんなも呆気にとられたけど、ボールは爆風と共に遠くまでぶっ飛んだ。

 

「爆豪記録705.2m。まずまずだな、さすがは入試3位だけのことはある」

 

 その言葉を聞いた瞬間、かっちゃんは鬼の形相になって振り向いた。

 

「先生ェよ、俺はどうしても納得がいかねーんだ。なんで俺が一位じゃねーんだ!?撃破ポイント77も稼いで何で俺がトップじゃねーんだ!?」

 

「そいつは簡単だ。お前はヴィランPだけで77Pも稼いだ。例年だったらこれで主席になる奴もいる。だが今年の入試においてヴィランPと合否結果の際に説明したレスキューPのトータルでお前のポイントを上回った者が二人いた。しかも主席に至ってはヴィランPこそお前に及ばなかったがレスキューPが過去最高点、しかも合計Pもここ十年ほどの入試で最高点の150Pを叩き出したんだ。お前もレスキューでいくらか稼いでいれば次席は夢じゃ無かった…「一位以外価値ねーんだよ!主席はどいつだ!?俺の方が上だって判らせてやる!」

 

 ヤバい、ここで僕が主席だって言ったらかっちゃん絶対僕に何かしてくる………。

 

「良いだろう。なら主席にもやらせて納得してもらおう。と言う訳でお前も投げろ。入試主席の緑谷」

 

 先生が僕にボールを投げてきて思わずキャッチしちゃったけど、周りの人たちの視線が一気に僕に集まった。

 

「クソデクが!?ありえねーぞ!だってそいつ無個性だぞ、入試だって何か不正したに違いねぇ!」

 

 いきなりバラすなよかっちゃん。それで更にみんなが驚いた。けどそれを相澤先生が制止した。

 

「静かにしろお前ら。緑谷は確かに無個性だったが、去年の春先に個性が急に発現したそうだ。ちゃんと医師の診断報告書も出ている」

 

「馬鹿な!?個性の発現はもれなく四歳までじゃ…「アンタ知らないの?アメリカの最近の研究じゃ四歳以降でも身体が出来上がってから急に個性が発現するケースがいくつかあるらしいのよ。超常黎明期にだって四歳過ぎに発現した人間も多い」

 

 かっちゃんの言葉をレイちゃんが遮った。勇気あるな。

 

「没個性のモブ女が勝手に喋るんじゃ………ぐっ!?身体が………」

 

「私の個性はポルターガイスト。見たモノを浮かべたり動かしたり出来る。人間に対して使えば動きだって封じられるわよ。ちなみに次席が私よ」

 

 レイちゃんがかっちゃんの動きを止めてくれたんだ。それにしても凄いな、後でノートに書き加えないと。

 

「その辺にしておけ柳。とりあえず緑谷もやってくれ」

 

 一悶着あったけど僕も同じように円に入ってボールを構える。

 

「クソデクごときが俺に勝てるわけねーだろ!!」

 

「君知らないのか!?彼が入試の時、あの0Pを撃破した唯一の人間だと言うことを!」

 

 飯田君が何か言ってるけど、気にせず指先にワン・フォー・オール一部使用25%でスマッシュ!!結構飛んでいったけど、もしかしてかっちゃんの記録を………。

 

「緑谷出久、記録1974m。これが答えだ」

 

 この記録を見て他のみんなも一斉に歓声が上がった。

 

「すげーぞ、最初の爆豪も凄かったけどあのいかにもひ弱そうな奴が記録塗り替えちまった!!」

 

「てかこのテスト面白そうだな、個性思いっきり使えるって」

 

「今まで禁止だっただけに楽しそうだ!」

 

「面白そう、楽しそうね………ヒーローになるための三年間そういう腹づもりでいるのなら、トータル成績最下位の奴は見込みなしと言うことで除籍処分とする」

 

 盛り上がった空気が一気に驚愕に変わった。無理も無い、入学早々に入学式も無しに下手をすれば除籍って言われたんだし。

 

「俺たち雄英教師は三年間君たちに様々な困難と試練を用意して立ち塞がろう。生徒の如何は俺たち教師の自由だ。ようこそ雄英高校ヒーロー科へ、この困難もPlus Ultlaで乗り越えて見せろよ」

 

 皆身勝手だ理不尽だと言うけど、そんな言葉に相澤先生はヒーローになればヴィラン・大事故・災害などが理不尽に襲いかかってくる。ヒーローはその力を持って覆す者だと。僕は偉大なヒーローから力を受け継いで仮面ライダーの力を継承してここまでこれたんだ。ならどんな困難が来ようとも乗り越えるだけだ。

 

 

第1種目50m走―――――

 一度に二人でスタートするこの競技で一緒に走るのは飯田君だ。ここはディケイドライバーを取り付けて《クロックアップ》のカードで高速移動。結果は0.01秒。飯田君は得意科目であったためかガッカリしていた。

 

 でも同じクラスで推薦入学したという人は創造の個性で乗り物を出してゴールして周りの人から反則じゃ無いかと言われたけど先生は個性だからOKだと言って収めた。

 

 

第2種目握力―――――

 指先に25%の出力で力一杯やったら握力計が壊れて先生に謝ったが、増強系の個性持ちの生徒がたまにやらかすそうなので事なきは得た。

 

 耳郎さんは握るときに自分のイヤホンジャックで一緒に締め付けて記録は125㎏だった。他にも腕を複製して握ったり万力を使っている人もいた。

 

 

第3種目立ち幅跳び―――――

 下半身のみにワン・フォー・オールを25%で発動して結果は68m。かっちゃんは僕に負けじと爆破で飛んでいって87m。でも満足していなさそうだ。

 

 

第4種目反復横跳び―――――

 ここはさっきとは違いフルカウル20%で137回。隣にいた葡萄みたいな頭の人より回数が多かったけどその人なんかガッカリしている。

 

 

第5種目長座体前屈―――――

 ここはカードの力。腕が伸びる《エクステンデット》で腕を伸ばし、蛙みたいな女生徒と同着で20m。

 

 

第6種目上体起こし―――――

 ここはさすがに普通にやって大した記録は出ませんでした。

 

 

第7種目ソフトボール投げ――――――

 さっきやったので二投目はパス。でもレイちゃんがポルターガイストで263m、麗日さんは自身の個性《無重力(ゼログラビティ)》でボールを遙か彼方に飛ばし記録が∞となった。

 

 

第8種目持久走(1500m走)―――――

 さすがに皆疲れの色が見え始めてきたけど諦めず走ったが、さっきの創造の個性の人がスクーターで走っていたのでさすがに反則だと抗議されたが個性で作ったからとやっぱりOK。だったらと言うことで僕はカードで《ジェットスライガー》を呼び出して完走した。さすがに巨大バイクを呼び出して空を飛んだのはまずかったかな?先生達も含めて皆目が点になってたし。

 

 

 ようやく全種目を終えて一息ついた。いつものトレーニングに比べればまだ良い方だけど除籍が掛かっていただけに精神的に疲れた。

 

「諸君ご苦労。いちいち説明するのは合理的じゃ無いからパパッと結果だけ発表するぞ」

 

 空中に投影された順位では僕が一位だった。最下位の人であろうさっきの葡萄みたいな人ががっくり項垂れている。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

 ………………へぁ?

 

「君たちの実力を最大限にまで引き出すための合理的虚偽だ」

 

「「「「はああああああああぁぁ!!!!??」」」」

 

「あんなの嘘に決まってますわ。ちょっと考えれば判ることです」

 

 いやあの時の相澤先生の目は絶対本気だった!それでもなお除籍無しって事は……少なくともここにいる全員が見込み有りだと判断したんだと思う。

 

「デクぅぅぅぅ!!!テメェ今までこの俺を騙していやがったのかぁぁ!!」

 

 かっちゃんが爆破をしながら僕に飛びかかってきた。迎え撃とうとするとかっちゃんに何かが巻き付いて爆破が止まった。

 

「んだこの布……固ぇ……」

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線編み込んだ捕縛武器だ。それとお前の個性は俺の個性で打ち消した」

 

 ゴーグルに捕縛武器の布、それに個性を消す。間違えない、メディアにあまり出ないからさほど有名では無いけど、相澤先生は抹消ヒーロー《イレイザーヘッド》。相手の個性を打ち消す個性を持つアングラヒーローだ。

 

「ほう、俺のことを知っていたか。爆豪、あんまりお痛が過ぎると除籍すんぞ。雄英がお前ら生徒の中学時の素行を内申書以外で調べてないと思っているのか?」

 

 と言うことは僕ら生徒の素行は既に調べ済みか。ここで何か問題を起こせば即除籍。いくらかっちゃんでも無茶はしないはずだ。

 

「判ったらさっさと教室に戻れ。長時間俺に個性を使わせるな。俺はドライアイなんだ」

 

 個性凄いのに凄くもったいない弱点!

 

 結局かっちゃんも観念して大人しく教室に戻っていった。

 

「ねぇそこの緑の君!」

 

 ふと声をかけられた。振り向けばオレンジ色の長い髪をサイドテイルで纏めている人が僕に話しかけてきた。

 

「えっと何か……」

 

「その髪と腰につけているベルト、やっぱり君だ。私ずっと御礼言いたかったんだぞ」

 

 御礼?僕この人に何かしたっけ?

 

「覚えてない?入試の時に助けてくれたの」

 

 入試の時……あっ!そう言えばこの人入試の時に仮想ヴィランに囲まれて僕が助けた人だ!

 

「あの時はホント助かったよ。私は拳藤一佳。B組だけどよろしくな」

 

 手を差し出されたのでとりあえず握手したけど、なんか背後から悪寒が!?

 

 恐る恐る振り向けばレイちゃんと耳郎さんが怒った顔でこっちを睨めつけている。何で!?

 

 

 

 教室に置かれたカリキュラムの書類や教科書を受け取ってその日は解散となった。

 

 トレーニングもあるのですぐさま帰ろうとしたら飯田君に声をかけられた。

 

「緑谷君本当に凄かったぞ。50m走や持久走は自信があったんだが、やはり世間は広い!これからも一緒に頑張ろう!!」

 

 飯田君まじめだ。受験の時は怖そうな人かと思ったけど、なんとか仲良くなれそうだ。

 

「お二人さーん、駅まで一緒に行こ!」

 

「イズ君、同じ方向なんだから一緒に行くよね?」

 

「ウチも途中までだけど良い?」

 

 麗日さんとレイちゃん、耳郎さんが一緒についてきたので途中までご一緒することにした。

 

「君は∞女子!」

 

「∞女子!?私麗日お茶子です!飯田天哉君と緑谷…デク君だよね!」

 

 すると麗日さんの肩をレイちゃんと耳郎さんが掴んだ。

 

「お茶子さん、だっけ?イズ君のことをデクとかって言うのは止めてほしいな」

 

「ウチも同感」

 

「え?でもあの爆豪って人はデクって呼んでたよ?」

 

 ちゃんと自己紹介してなかったからな。僕は飯田君と麗日さんに僕の名前の読みが《いずく》であることと、かっちゃんが幼馴染みで無個性で名前がデクとも読めるから無個性で木偶の坊のデクと呼ばれていたのを説明した。

 

「蔑称だったのか。無個性だったとはいえ酷い者だ」

 

「でも、デクって頑張れって感じで私好きだな」

 

「いや麗日デクで頑張れってそれは…「デクです!」

 

「ちょっとイズ君!?」

 

「いいの出久!?十年以上蔑まれてきた渾名で呼ばれて!?」

 

「しっかりしろ緑谷君!」

 

 そう言って皆色々言って来たけど、僕はちょっと嬉しかった。今まで馬鹿にされる形で呼ばれ続けてきた《デク》と言う渾名を頑張れって感じの《デク》と良い意味で呼んでくれる人と出会えて。

 

 初日は色々大変だったけど。僕はこの日、とても良い友達と巡り会えて良かった日だと思います。




気づいていた人はいるだろうか………?今回の話にヒロアカすまっしゅのネタが織り交ぜられていたことに!

爆豪が変身するとすればどのライダー?

  • 負ける気がしない 仮面ライダークローズ
  • プライドの騎士 仮面ライダーバロン
  • 狙いは外さない 仮面ライダースナイプ
  • 圧倒的大火力 仮面ライダーゾルダ

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