No side
マスコミ侵入事件から何日かして、今日もヒーロー科の皆はヒーローになるための授業に取り組んでいる。
「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトそれともう一人の3人体制で見ることとなった。本当はブラドも入れて4人だったが、今日は運悪く出張だ」
急に人数を増やしての授業。原因があるとすれば先日のマスコミ侵入事件が関係しているのだろうと考えている者は少なかった。
「はーい!今日は何するんですか?」
「災害水難何でもござれ、
「レスキュー……今回も大変そうだな」
「バカおめー、これこそヒーローの本分だぜ!腕が鳴るぜ!!」
「水難なら私の独壇場。ケロケロ」
「まだ途中だぞ。今回の訓練コスチュームの着用は個人の判断に任せる。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」
相澤の号令で直ぐに着替え始めたヒーロー科の面々は玄関前に止まっているバスに集合した。皆コスチュームを着用していたが、出久だけは体操服に手袋やサポーターなどの一部装備をつけていた。
「デク君体操服だ、コスチュームは?」
「前の戦闘訓練の時にボロボロになっちゃったから今修繕中で…。サポート会社で素材とか一部仕様変更してから戻ってくるだって」
「皆静粛に!クラスごとに出席番号順に二列に並んでいこう!!」
クラス委員長の飯田は委員長の仕事をフルスロットルで行おうとするが、バスの内装が都バス仕様だったため各々自由に座った。
ちなみに長椅子の席に座った出久の両隣には耳郎と麗日が陣取っていた。
「両手に花かクソが!」
親の敵で見るように峰田が睨んでくるが誰も気にしなかった。
施設に着くまで雑談をしていると、出久の迎えに座っていた蛙吹梅雨が声をかけてきた。
「私思ったこと何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「えっと、何かな蛙吹さん?」
「梅雨ちゃんと呼んで。貴方の個性、どこかオールマイトに似ていると思って」
ほぼ核心を突くようなことを言ってきたので出久は似ているだけだと言って全力で否定する。
「確かに似てっちゃ似てるけどオールマイトはベルトにカードさして武器出したり能力使わないぜ」
「バリバリ肉弾戦って感じだしな」
「でも増強系はシンプルだけど派手なこと多く出来て良いよな。俺の個性の《硬化》は対人戦じゃ強いけど地味だしな」
他人の個性を羨ましがる切島に出久は「十分プロに通用するよ」といってフォローする。
「派手で強ぇつったら緑谷以外だと轟と爆豪だな」
「爆豪ちゃんはキレてばかりだから人気出なさそう」
「んだとコラ出すわ!!」
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるって凄ぇよ」
「テメェのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」
普段怖いイメージしか持たない爆豪が周りから弄られるのを見て、出久と両サイドにいた麗日と耳郎は必死に笑いを堪えていた。
B組バス―――――
一方B組のバスでもA組と同じように雑談をしていたが、その中で暗い表情をしている者がいた。そうレイ子である。
(イズ君と同じバスに乗りたかったなぁ~。こういう時だけ同じA組の響香とお茶子が羨ましい)
出久と同じバスになれなかったので肩を落としてガッカリしていた。
「そんな落ち込むなって。教室じゃ一緒なんだしさ」
落ち込むレイ子に声をかけて励ましてきたのは隣に座っていた拳藤だった。
「レイ子は幼馴染みなんだしチャンスは十分あるよ。私なんかハンデが大きすぎる」
その言葉を聞いてレイ子は目を見開いた。
「一佳…まさか貴女も……」
「レイ子も強敵だけど、麗日や耳郎も出久と仲良いしね。でも負ける気はないよ」
事実上の宣戦布告。だがレイ子も負ける気などさらさらなかった。
「私だって負けないよ。10年以上のこの想い、絶対成就させるから!」
決意を新たにするレイ子。
しかし、誰も予想だにしなかった。この後起こる全国に知れ渡る大事件を、ヒーロー社会を揺るがす真実を、そしてクラスメイトの知られざる真実を。
施設に到着し、中に入ったヒーロー科一同はその内装に驚いた。まるで関西にある某テーマパークを彷彿させるようなものであった。
「すっげー、USJかよ!?」
倒壊した市街地もあれば森林地帯、火山地帯に渦潮を作っているプール。この施設だけでほとんどの災害や事故が再現されている。
「水難事故、土砂災害、火事……etc。あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も『
(((((本当にUSJだった!!)))))
現れたのは重厚な宇宙服のような人物。《スペースヒーロー》13号だ。災害救助でめざましい活躍をしている紳士なヒーローだ。
「わー、私13号大好きなの!!」
好きなヒーローが現れて麗日は飛んで喜んだ。
「13号、オールマイトはどうした?ここで待ち合わせるはずだが」
「先輩それが………オールマイト通勤時に制限時間ギリギリまで活動してしまったみたいで、仮眠室で休んでいます」
「不合理の極みだな(まぁ念のための警戒態勢だ…)。全員整列しろ」
整列して最初に口を開いたのは13号だった。
「えー、では訓練を始める前に小言を一つ二つ…三つ…四つ…」
(((((増える……)))))
「皆さんもご存じだと思いますが、僕の個性は《ブラックホール》どんなモノでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「はい、その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
「えぇ……しかしです、この個性は簡単に人を殺せます。皆さんの中にもそういう個性がいるでしょう」
出久のワン・フォー・オールは高出力で使えば簡単に人を殺せる。爆豪の爆破や芦戸の酸、麗日の
「超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せるいきすぎた個性を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したと思います。この授業では心機一転!人命のために同個性を活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない、助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました」
「ブラボー!皆13号先生に拍手を送ろう!!」
飯田に言われずとも全員が13号に向けて拍手や声援を送った。
「よしそれじゃまず……――――っ!」
中央の噴水広場から黒い靄のような物が現れたことに相澤が気づいた。
靄は広がり、そこから全身に手をつけた男を先頭に異形型個性であろう者達や鉈や鉄パイプを持った大人数がぞろぞろと現れた。
「全員一かたまりになって動くな!!13号生徒を守れ!!」
突然叫ぶ相澤に全員が身震いした。
「なんだあいつら?」
「入試の時みてぇにもう始まってるってパターンか?」
何人かが雄英お決まりの緊急試練だと思った。しかし……
「動くな、あれはヴィランだ!!」
その考えは相澤のこの一言で一瞬に粉砕された。
side out
出久side
ヴィラン!?何でここにヴィランが現れたんだ!?
「13号に……イレイザーヘッドですか…。先日頂いた教師側のカリキュラムにはオールマイトがここにいるはずなんですか……」
「やはり先日のはクソ共の仕業だったのか」
「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴……いないなんて…。子供殺せば来るのかな?」
コイツ……雰囲気だけでもかなりヤバいぞ!!並の怪人どころじゃない、下手をすれば危険度は強個体の怪人ぐらいはある。
「ヴィランッ!?バカだろ、ここ雄英だぞ、ヒーローの学校だぞ!」
「プロやヒーロー候補生いるの判って襲撃するなんてアホだろう!!」
「先生、侵入者用のセンサーは?」
「もちろんありますが……」
現れたのはここだけなのか?それとも学校全体なのか?どっちにしてもセンサーが作動しないってことはおそらくヴィラン側にそれを無効化できる個性持ちがいる。
校舎から離れた隔離空間、授業受ける生徒に担当教諭まで割れている。少なくともあいつらは目的を持って用意周到に準備をしてここに来た。目的までは判らないけど。
「13号避難開始!学校に連絡試せ!センサーの対策も頭にある連中だ、電波系の個性で妨害している可能性もある。上鳴お前も個性で連絡試せ」
「っス!」
「相澤先生はどうするんですか!?戦うにしてもイレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消して捕縛すること。多勢に無勢では不利ですよ!」
「……いいか緑谷、一芸だけじゃヒーローは務まらん」
相澤先生が突撃を仕掛けた。それを見た連中の一人が先生に手を先生に向けた。おそらく射撃型の個性。でも発動されることはなく捕縛布で捕まって分銅のように振り回されて相手と倒していく。
「馬鹿、コイツはイレイザーヘッドだ!見た相手の個性を使えなくさせるヒーローだ!」
「なら俺たちの出番だ!個性消すつっても異形型の俺らは無理だろう!」
異形型個性持ち二人が襲いかかってきたが、先生はそれを軽く避けて拳で目潰し、足下を狙って体勢を崩す。
「確かに変形系や発動系しか消せないが、お前ら異形系のような連中は基本近接主体が多い。だがその辺も対策している」
近接戦闘も出来てゴーグルで誰の個性を消しているかも悟らせない。そのせいで連中は連携が取りづらくなっている。先生の本来のスタイルは多対一!後でノートに書き込まないと。
「感心してないで早く逃げるぞ緑谷!」
あっごめん。直ぐ避難する皆の後を追う。
「させませんよ」
避難する僕らの前に靄のヴィランが立ち塞がった。
「初めまして、我々は
はっ!?こいつらの目的はオールマイトを……殺すために来たのか!?
「私の役目はこれ」
何かしようとした瞬間13号先生が構えようとしたけど僕の横から何かが飛び出した。かっちゃんと切島君だ!
「その前に俺たちにやられるとは思わなかったのか!?」
「死ねクソ靄野郎!」
二人の攻撃が靄のヴィランに決まった………かに見えた。
「危ない危ない……そう、生徒といえど優秀な金の卵」
「ダメだ、どきなさい二人とも!」
二人が前に出ては13号先生のブラックホールに巻き込まれる。これでは手出しできない。
「散らして、嬲り殺す」
靄が広がって僕たちを包み込もうとする。何人かは範囲外だけど確実に飲み込まれる人もいる。
さっきこの靄からヴィラン達が出てきた、考えるにコイツの個性は貴重なワープ系個性か。そしてさっきのセリフから察するに、僕たち生徒を大勢で潰す手はずがある。
「皆近くの人と固まるんだ!孤立することだけは絶対に避けるんだ!!」
孤立して各個撃破されるのは最悪のパターン。戦闘向けの個性じゃない人はもっとマズイ。生き延びる可能性を少しでもあげるのなら、最低でも二人以上のグループで飛ばされる方がましだ。
僕は近くにいたレイちゃんと泡瀬君の腕を掴んだ。他の人たちもなんとかグループを作っている。
「出久!」
小大さんの腕を掴んでいる拳藤さんがこっちに走ってきた。少しでも固まらないと。
僕は腕を伸ばすけど、その前に視界が暗転した。拳藤の手に届かなかった。
side out
no side
視界の黒い靄が晴れて出久の目に映った先には、鬱蒼とした森林地帯の上空であった。すぐ側には手を引いた泡瀬とレイ子もいた。
3人はそのまま林の木に突っ込んで地面に落ちた。幸いにも木がクッションになったので大きな怪我はなかった。
「ぺっぺッ!おいお前ら大丈夫か…―――」
泡瀬が見たその先には。出久の下敷きになったレイ子の姿があった。しかも出久の右手はしっかりとレイ子の胸を掴んでいた。
「「っ!!//////」」
二人とも顔を真っ赤にして直ぐ立ち上がった。
「ごごごごごごごめんレイちゃん…別に悪気は……」
「いいいいいいいいいの、別に気にしてないから……」
「お前らイチャついてる場合じゃねーぞ。多分施設の中だとは思うけど皆とバラバラにされちまった。どれぐらいのグループに分散されちまったかは判らねーけど、戦闘向けの個性持ちじゃない奴らが固まったら危ないぞ!」
現状出久が咄嗟に固まるように言い放ったのだからさほど分散はされていないとは思うが、それでも少人数のグループに大勢を送り込んでもおかしくない。
「とにかく今は出来るなら他のグループと合流して共同戦線を張ることと先生達のいる中央広場に行くことが先決だね」
味方と合流できれば襲われるリスクも少なくなる。それにプロである教師達と合流できれば勝ち目も十分ある。
とにかく合流を第一目標として出久達は動くことになった。
移動する前に周囲に敵がいないか確認をするために出久がスコープで索敵すると、自分達にに接近する反応が7つ確認できた。
「二人とも気をつけて、ヴィランが来る!」
叫んだのとほぼ同時にヴィラン達が飛び出してきた。
「見つけた3人いるぞ!」
「男二人に女一人だ」
「ちっ、女は一人だけか」
「やっぱり向こうに行けば良かったぜ」
ぼやくヴィランだが現れたのは4人だけ、となると残り三人はどこへ。
「まぁ美人だし胸もデケぇ。コイツは遊び甲斐がありそうだ。野郎二人とっとと殺っちまってから向こうと合流すんぞ!女の方はお前らに任せた」
ふとレイ子の頭上から陰が堕ちてきた。上空からトンボの羽を生やしたヴィランと鳥形のヴィラン、下半身を竜巻のようなモノで覆って飛ぶヴィラン。その三人がレイ子に強襲を仕掛けてきた。
「レイちゃん!」
「お前の相手はこっちだ坊主!」
「血ぃ流せや!!」
岩のような体表のヴィランとカマキリのようなヴィランが出久に襲いかかってきた。既に実戦経験をそこそこ積んでいる出久には攻撃が雑に見えるのでアッサリかわされる。
(威勢の割には攻撃が雑だ。おそらく程度で言えばチンピラ程度か。それならつけいる隙は十分ある!)
《アタックライド ドッガハンマー!》
呼び出した紫色の魔鉄槌『ドッガハンマー』で岩ヴィランを叩き飛ばす。続くカマキリヴィランもライドブッカーをガンモードにして撃ち落とす。
「緑谷手貸すか武器くれ!溶接したいけど触る暇がねぇ!」
武器を持ったヴィラン二人に追いかけ回されている泡瀬。さすがにステゴロはキツいようだ。
「これ使って!」
《アタックライド ジカンデスピア!》
緑色の槍『ジカンデスピア』が現れて泡瀬の元に飛んできた。
「槍………なのかこれ?」
形状からして槍かどうかが疑わしいが、出久が出した武器ならまず間違えはないと思ったのか使うことにした。
振り下ろされた鉈を受け止めて押し返す。鉈は若干刃をこぼしたが、ジカンデスピアは無傷であった。
「マジかよ!?どんだけ固てぇんだ。このパネルみたいなのも何だ?」
試しに押してスライドしてみると『カマシスギ!』と音声が鳴って槍が鎌に変形した。
「槍が鎌になった!?」
「ごちゃごちゃうるせぇぞ!」
鉄パイプを持ったヴィランが襲いかかってくるが、直ぐにバックステップを踏み鎌の先で足を引っかけて相手を転ばせる。その隙に相手に触れて相手と地面を溶接させた。
泡瀬の個性は《溶接》。触れたモノを分子レベルで結合させるので相手の体を地面と結合させて拘束したのだ。
「コイツ!」
鉈を持ったヴィランが襲いかかってきたが、後ろから出久がドッガハンマーで頭を叩いて気絶させた。
「緑谷……お前顔の割に結構えげつない攻撃するな。ヴィランとはいえ鈍器で頭ぶん殴るとか」
「正当防衛だよ。それよりもレイちゃんの方を―――――」
ふとレイ子の方を向けば、レイ子を襲っていたヴィラン達はネットで捕縛されたり、ワイヤーで縛り上げられたりしていた。
「よく捕まえられたなこいつら飛んでたのに」
「林の近くでワイヤートラップ張ったり近づいてきたところでネット飛ばしただけよ。アメリカにいたときも不審者襲ってきたときに同じ事して捕まえたわ。あっちじゃ正当防衛なら個性の使用は目を瞑ってもらえるし。日本は変なところで規制固いから」
さすがはアメリカ帰りというか何というか。とりあえずレイ子が捕らえた三人と出久が倒した三人も地面に溶接して逃げられないようにした。
その間に出久はもう一度スコープで辺りをサーチし、他にもディスクアニマルのアカネタカ、カンドロイドのタカカンドロイドを呼び出して四方に飛ばす。
なぜここまで入念に探りを入れるのかと言えば、先ほどのヴィランが言った一言が頭に引っかかったからだ
『やっぱり向こうに行けば良かったぜ』
そして合流するとも言っていたところからこのエリアには他にヴィランのグループと生徒のグループがいるはず。それを探り当てるにはスコープだけではカバーしきれない。ゆえに索敵能力のあるカンドロイドやディスクアニマルも動員したのだ。
詳しい索敵の結果不味いことが判明した。
「近くに二人いる。しかも十人ぐらいの大人数に追われている!」
「「…ッ!」」
「さっきこいつらは向こうに行けば良かったって言ってた。こいつらの言動からして追われているのは多分女子生徒だ」
「最悪じゃねぇか!」
「どうする?救援呼んでたら多分……」
「……行くよ。僕たちで助けよう!」
三人の行動方針が決まった。
この投稿を持ってアンケートの募集を終了します。
皆様のご意見や一票ありがとうございました。
爆豪が変身するとすればどのライダー?
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負ける気がしない 仮面ライダークローズ
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プライドの騎士 仮面ライダーバロン
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狙いは外さない 仮面ライダースナイプ
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圧倒的大火力 仮面ライダーゾルダ