トリニティセブン -青薔薇の魔導士と7人の魔書使いー   作:暁葵

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プロローグ

  プロローグ

 

 

 私たちは、いつも通りにCIRCLEでハードな練習をしていた。

「あこ、少しリズムがズレていたわ。ちゃんと私の声に合わせなさい」

「はーい」

 友希那は、ドラムである宇田川あこのもとへ向かい、注意を促す。

 あこは軽い返事をして、スティックをスネアドラムの上に置いて、額に汗を伝わせて息を荒げる。

 かれこれ二時間、ぶっ続けで練習をしていた。ゆえに疲れるのも無理はない……。

「いったん休憩にしましょうか」

 休憩を最初に提案したのは、ギターである氷川紗夜であった。友希那は頷いて外に出る。

「そうね。ちょっと水を飲んで来るわ」

 

 友希那が水を飲んでいると、入口の方から一つの声がするのに気づく。

「ゆーきなせーんぱーい‼」

 その声の主は、猫耳の様な髪形をしている活気づいた少女…戸山香澄であった。

「あら、戸山さ………」

 友希那が反応した途端、何が違和感を感じる――そう、白い光を放つ眩い太陽が、”黒く”染まったのである。

 そして、同時に満面の笑みで走り寄っていた香澄が黒い光に包まれ、粒子となって消え失せた。

「………え?」

 何が起こったのか分からない。人が何の変哲もなく消えるなんて現象…非科学的なことだ。

 友希那は、焦って香澄の方に走るが冷静に考えてしまう。

 もしかしたら香澄はあの『黒い太陽』によって消えた……つまり、あの『黒い太陽』に当たれば自分も死ぬのだと。

 人が目の前で消えるのを間近で見て精神がおかしくなりそうだが、今は一旦ロゼリアのみんなの様子を確かめよう……そう思った。

「大丈夫⁈ みんな‼」

「へ? どうしたんですか、友希那さん。そんな慌てて」

 紗夜が首を傾げて冷や汗を頬に伝わせる友希那に問いかける。

 どうやらまだみんなは消えていないようだ――一旦安堵の息を吐き、膝から崩れ落ちる。

「どうしたの、友希那? もしかして熱とかあるの?」

 リサが心配する。

 友希那は、リサの方を向いて叫ぶ。

「リサ‼ 外が……外がっ!」

「…外がどうしたの?」

 友希那は無言でリサの手首を掴み、みんなに宣言する。。

「みんなも来て‼」

 

 そしてみんなは見てしまった――空に浮かぶ禍々しい『黒い太陽』を。

 …と同時に、それの光に呑まれ粒子となって消える人間の姿も目撃してしまう。

「何なの……これ?」

「これは一体………‼」

「こんなの……こんなのおかしいよ!?」

「……へ? どういうこと、なんですか?」

 みんな、絶望のあまりに語彙力を失くしてしまう程であった。

 いくら冷静沈着名の知れた友希那、紗夜でさえ絶望感と焦燥感を同時に味わうほどの状況である。

 そして、五人の腕が段々と黒い粒子となって空に消えていく。

「キャアアアア‼」

 燐子が悲鳴を上げる。

 友希那は、「もう…ダメだわ。私たちの夢はここで果てるのかしら」と死を悟っていた。

 

 その瞬間――――。

 

「‼」

 空から男の声が響き渡り、直後『黒い太陽』が爆散し、何事もなかったかのような景色に戻る。

 その声のする方に視線を向けると、そこには長銃を構えていた少年とそれを囲む七人の少女たちであった。

「うっし! 初遠征ではあったが、上手くいったぜ!」

 少年が左こぶしを握り締める。

 そして、一人の赤髪の少女がやけに巨大な銃を持って此方に向かってくる。

「…突然で申し訳ありませんが、この『崩壊現象』を見たからには、貴女たちはここで消えてもらいます」

 少女は、何を言うかと思えば、いきなり物騒なコトを言ってくる。

 その言葉に最初に抵抗したのは、氷川紗夜であった。

「ふざけないでください‼ 人間を『消す』なんて、絶対に許しません‼」

「そうだそうだ‼ 私たちの世界に干渉するな‼」

 次いで抵抗したのはあこであった。

 赤髪の少女は銃を下ろして、溜息を吐く。

「……仕方ありませんね。では貴女たちの記憶を消すしかありませんね」

「何でそうなるんの?!」

 リサがついに鬱憤を爆発させる。

 赤髪の少女はその問いに答える。

「この『崩壊現象』は、あらゆるものを消す最悪な現象です。尚且つ、これは非現実的なあり得ないもの…つまり精神に異常をきたす可能性があるのです。その為に、記憶を消し『崩壊現象』をなかったことにするのです」

「………記憶を消すということは、私たちが築き上げたこれまでの努力と日常も…消えるということなのかしら?」

 友希那が少し沈黙し、そして赤髪の少女に問いかける。

 彼女は少しも考える仕草をせずに、友希那に答えを返す。

「えぇ、その通りです。それが”運命”なのですから」

「……け……で」

「――何ですか?」

「ふざけないでッッ‼‼」

 友希那が叫び、彼女に抵抗する。

 ……と、同時にあり得ないことが、ロゼリアの周りで起こっていた。――周囲のものが一斉に崩壊を起こしたのだ。

 少年少女はそれに気づき、顔を見合わせる。

「ねーリリスせんせ~、こ~んな【素質】があるんだからさ~、殺さなくてもよくない?」

 最初に声を出したのは、露出度の高い服装の金髪ツインテールの少女であった。

 その「リリス」なる少女は、銃を消して頷く。

「そうですね。こんな”力”を持つ人間は珍しいです。急いで回収して、学園長に報告しましょう」

 リリスはそう言って五人に伝える。

「あなたたち五人は、”取り敢えず”ということで、我ら『トリニティセブン』が回収いたします!」

 五人は、いきなりの掌くるりん状態に唖然としていた。それもそのはず、さっきまで敵だった人がいきなり味方のような素振りをしているのだから。

 ロゼリアはお互いに目で会話し、そして立ち上がる。

「いいわ。どうせ、ここではもうライブも出来なさそうだし」

 そうして、実力派バンド【Roselia】は、王立ビブリア学園に保護されることになった―――。

 

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