ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
それでも興味があったから、覗いた。
彼の、彼らの動きを。
****年**月**日
[取得中──]
[音声──良好]
[会話ログ取得]
[映像データ取得]
name:sirakaba
name:ragi
再生
《アインクラッド》
コツコツと石板を叩く音が虚しく響く。
カメラに映るのは赤と黒を基調とした服に身を包んだ1人のプレイヤー、彼がこの場にある石板を急かすように叩いている。
「あー、マイテス」
『──、──!』
「うるさ……」
『うるさいとはなんだ!……っと、やっと音声反応した、聞こえるか?』
プレイヤーが操作していたのは「システムコンソール」と呼ばれる物であり、それにより
「えぇ、なんとか」
『そりゃよかった、じゃなくてまさかほんとに
外部、つまりは現実世界。
そこへの連絡など今のこの世界では不可能、そう思われていたが連絡相手の言う《穴》によりそれが可能になり今に至る。
「誰の仕業かはわかりませんけど」
『え、お前じゃないの?』
「違います、少なくとも
プレイヤー……少年がそう言いながら何かを片手で操作している。
そこに映し出されていたのは[──事件]と書かれたもの。
その文面は読み取れないが、それを見た少年は険しい顔になっている。
「……ま、それはさておき」
『置いとくなよ重大事件だぞ』
「俺のやりたいことやってもらえれば勝手に生えてきますよ、きっと」
『生やすな、それはそうとお前が
「手短に、もう時間が無いので」
時間が無い、そう言った少年の目の前の画面──コントロールパネルに映し出されているのは[irregular access]というメッセージ。
「詳細は後で
『は?』
「イベントルールは適当でいいんで、場所は──」
『待て待て、実装なんて無理だぞ』
「茅場晶彦が内部全部をいじり倒すことをしてなければ…あるはず」
『てめぇ……まぁ、いい、それで他に何かあるんだろ?』
「お察しの通り」
エラーメッセージが2個、3個と増えていくのを横目に少年は伝えることを徐々に伝えていく。
「──の──権限を──に」
『……出来なくはないかもしれないが、出来ても戻すことは無理だぞ』
「えぇ、覚悟の上です」
『詳細は聞かないけど、こっちからひとつ』
「……?」
──生きて帰ってこいよ、英雄
その一言で通話が切られ、少年の元には静寂のみが訪れていた。
[会話データ取得]
[監視プログラム、ログ取得]
「私は、その作戦には乗れない」
「……と、いうと?」
第10層、そこのとある建物の屋根。
2人の男女が先程まで夜空を見ていたが少女が帰ろうとして何かを言おうとしていた。
「別に単独行動しようってわけじゃないけど、あんたの立てた作戦じゃ
「俺が先頭、そこから戦力差の無いように上手くバラけさせたつもりだけど」
「そういう事じゃなくて、《奇襲》にどう対処する気」
バレないように足音を消して彼らの足元へと駆け寄れば会話の内容が聞こえ、何かしらの作戦について話していることが理解出来た。
「奇襲か……狙うならどこだ?」
「それは……いいや、内緒」
「なんだよそれ」
「まぁとりあえず私は作戦通りには動かない」
「……わかった」
その言葉の意味こそ理解は出来ないが、仲違いなのか、ほんの少し不穏な空気が流れている。
でも2人の声色は全く怒りなどは無い。
「それじゃ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
そんな会話を最後に少女の声は消えた。
そして
「あまり盗聴は良くないぞ」
と、少年が呟いた。
[──録音、撮影、中断]
ニンゲンの感情が重くのしかかる。
辛い、苦しい、悲しい、寂しい、それが何度も。
その重さが、ボクを蝕んでいく。
耳鳴りも酷くて、なにもかんがえられない。
でも。
「助けて……」
その声が、その声だけが酷く美しく感じてしまって。
その声の主が求めている相手を追ってみたら、あの時目が合った彼で。
だから、観察してみる。
メンタルヘルスカウンセリングプログラムNO.03、ノウムが。
プレイヤーネーム、ラギを。