ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
開発時代、こっそり用意したギルドイベントを見事に発掘されて小一時間問い詰められた。
どうすればこんなシステムを回そうと思ったとか、勝手に作るなとか後始末俺がやるんだぞとか。
たしかに作ったのは俺だけど提案者は他にいた、新田先輩と北沢先輩とかあの辺、単なるクエストだけだとつまらないからなんか作ろ、とか言ってきたからとりあえず適当に作った。
「競う必要が無いようにすれば初心者も簡単に近づける」
このギルドイベントを用意するにあたってまず危惧したのがそこだった。
色んなゲームを片っ端から遊んだりクチコミを見ていると類似したイベントは基本的に戦力差や経験の差が大きく出て上位勢にしか有利にならないクソゲーがほとんどだった。
だからそこをどうにかするためにランキングシステムをまずとっぱらった。
ならギルドイベントである必要はない。
それはそう、だけど「ギルドで協力して敵を倒す」を一定のエリアで複数のギルドがやる、だけでギルドイベントと名乗ることでそこを無理やり突破した。
で、消された。
無断で用意したのがダメだったらしくて「永久凍結しとく」って。
でも、データだけは残ってたようで。
「コハル、自分の身は自分で護ってくれよ」
「了解です!」
「お兄ちゃん私は!?」
「同じだよ」
3チームに別れたうちの「ハヅキ奪還チーム」はとりあえず森の中心部へ向かって突き進んでいた。
ハヅキが戻ってくるために動くだけのメンバーのため俺とコハルとアキの3人だけになったが、ある程度のバランスを見た結果のチームだ。
「いたぞ」
「……お兄ちゃん!」
「……っ!」
5分と歩いたぐらいのところで向こう側から黒ローブを着たプレイヤーが2人、こちらに気づいた瞬間にウィンドウを操作して何かを決定した。
その瞬間、俺の頭上から大きな影が降ってきた。
「
「ソラ……ね」
間一髪で避けて指示を出したプレイヤーの言葉を反復する。
となればこのモンスターを呼び出したシステムを譲渡してるのもソラということになる。
「お前ら、ボスは任せろ」
「ボスは……って?」
「コハルちゃん周りみて!」
ボスの出現に気を取られていたが索敵スキルにざっと20を超えるモンスターの反応が検知された。
ただの下っ端であろうこいつらにこのシステムを渡しているということはきっと他にも渡した奴らがいるということ。
ならば即座に倒すだけ。
「でもお兄ちゃんは!?」
「邪魔がいなけりゃ倒せる」
「りょーかい」
片手直剣、『アニールブレード』を構えてボスに向かう。
周りから寄ってくる雑魚を2人に任せればそうそう苦戦する相手じゃない。
「こいよ、コボルト王」
第1層以来、正確には次の層のリポップボスぶりだが、このMOB召喚システムの欠点か召喚されるやつは基本的にこの世界内に存在してるMOBのレベル設定をそのまま呼んでくるようで目の前のこいつもレベルは1層のボスのままだ。
「一瞬で決める」
コボルト王のナタを弾き飛ばしてバランス崩したところにホリゾンタルを叩き込む。
それだけで終わらせずにソードスキル発動後のラグを消すために武器のクイックチェンジを使い短剣に持ちかえる。
ボスに行動を許す前に一気に距離を詰めて短剣による連撃を一気に与えて1度距離を置く。
HPが一気に削れたことによる怒り状態で振り下ろされたナタを宙返りで避けて地面に突き刺さったナタを駆け上がり頭上に飛ぶ。
「──死ね」
手放した短剣をそのまま宙返りの勢いで蹴り飛ばして頭に突き刺して怯ませる。
その隙を付くようにクイックチェンジで武器を元に戻して一気に《ヴォーパル・ストライク》でとどめを刺す。
「……そっちは」
「お兄ちゃん……たった数撃で倒したよね」
「ボスと言えど雑魚ではあるからな」
「雑魚って……フロアボスですよね?」
先述した通りフロアボスではある。
だがアインクラッド中層まで昇ってきた前線プレイヤーからすればあの程度は既にボスと呼べる強さはない。
故に雑魚呼びだが、よく考えればコハルはともかくアキは流星のメンバーとして動いてて前線に出たのは10層がほぼ初だったらしいからフロアボスって時点で強さはアレ基準なのだろう。
「チートと疑うなら勝手にしな、それより……」
「ひ、ひぃ!?」
「逃げれると思うなよ、お前ら」
チートでは無いと理解してくれる2人だとわかってはいるが疑われてもおかしくないことはした自覚はあるためそんな冗談を吐き捨てて目線を奥にいるプレイヤー達に向けた。
勝つ気で召喚したであろうボスがこうも簡単に消し飛んでその原因がこうして睨んできてればそりゃ死を覚悟するだろう。もちろん、殺意しか向けてないが。
「利用されただけだとしても俺の邪魔、そして
「だ、黙れ!どんな手を使ったか知らねぇが…もう一体呼ぶだ──」
もう一度ボスを召喚しようとしたプレイヤーがウィンドウを開く動作をした瞬間に持ったままの片手剣を地面と水平に構えて相手に向けて投擲する。
ウィンドウを開いて召喚の操作を完了するよりも早く俺の剣はプレイヤーの右腕に突き刺さった。
それで怯ませるだけ、それが目的だった。
だが──
「いっ──ぁあ!?」
勢いがあったためか右腕がそのまま吹き飛んだプレイヤーは明らかに
「い……いだ……ぁ……」
普段なら切り落とされることなんてある訳のない腕が落ちたことによる精神的な痛みに襲われたのかもしれないがこれは明らかにそんなレベルではない。
まるで、
「お兄ちゃん、何が……」
「……お前ら、
「それって……?」
あの反応、思い当たる原因はあった。
だとしても、GMでも無いプレイヤーがそんなことできるのかという問題があるんだが。
「ペインアブソーバー……あるシステムのレベルが明らかに低くされてる……つまり──
今このフィールドは現実と同じような痛みを受ける」
完全にブチ切れた奴がいっちゃん怖い
ギルドイベント
チームA(ハヅキ奪還チーム)
ラギ、コハル、アキ
ペインアブソーバー、SAOとALOだと基本的には高レベルに設定されてるものでちょっと痺れる程度の痛みしかない『はず』のもの。
以下川原礫先生のTwitter(X)参照
仮想の痛みを生成する機能と、脳が勝手に生成してしまう幻の痛みを緩和する機能を併せ持った感覚再生エンジンのこと。