ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
シズク目線
「あんたらを信用出来ない、いくら緑だとしてもね」
「なんでさぁ、オイラたちは単にこのイベントに参加しただけだって」
「そうでゲス、ケイちゃんの言う通りでゲス」
「喋り方……は別にいいけど、君たちが無害であるとは思えないんだよ」
ユミさんとサキさんが男性プレイヤー達と睨み合ってかれこれ数分。
何があったのかと言うと………
ギルドイベント開始後。
私たちがラギチーム、ヤヨイさん達チーム、そしてライムと別れたあと。
5分程奥に進んだところで私たちは大量のモンスターに囲まれた。
ラギが組んだチームで人数と戦力がかなりあるから苦戦はしなかったものの数が多くまるで
そんな私たちの元に急に現れてモンスター狩りをしたのがユミさんが今話している6人組。
「タイミングといいヨシノちゃんが襲われたのを即座に庇ったあたり、アンタたちが怪しく見えるんだけど、何か弁明は?」
「弁明も何も俺たちはその木陰から見てただけで何もしてない、というかなんだよその……
「ウィンドウ出してみなさいよ、それが答え」
パッと見カツアゲに近いことをしてるように見えるけど、こんなことをしててもユミさん達は私たちのために本気でキレてる。
そのために善悪問わずに今目の前に行くプレイヤーへ質問を投げてるんだ。
「ウィンドウだと……?」
「そうよ、ウィンドウの最下を見せてみなさい」
「そんな事しなくてもいいだろ、そこに何も無いんだから」
「無いなら見せられるでしょう?」
「うっ……プレイヤー間の詮索は禁止されてるだろ!!」
ごもっとも、と納得しながらもジリジリとプレイヤーへと近づくユミさんとサキさん。
そんな2人の圧に呆れながらも苦笑いを浮かべていると、リーダーらしきプレイヤーの後ろにいた一人がウィンドウを操作し──
「ケンちゃんをこれ以上攻めさせない!!」
そう言いながら何かを決定し、その直後サキさん達の前に巨大なMOBが現れた。
「ボロ出るの早いねぇ」
「サキ!そんなこと言ってないであと5人抑えないと!」
「もう手遅れだよ!バカが!」
一人がMOBを呼び出したことで他の5人も同じ操作を始めた。
それに気づいたユミさんが止めるよりも早く残り5人も操作を終えて一気に6体のMOBが呼び出されてしまった。
「信用してないなら早く手を打つべきだったな、俺たち6人──『ヤマダファミリー』を抑えるぐらいのことをよ」
「そーでゲス、隙を与えたことを後悔するでゲス!」
「てわけで頑張ってね〜♪」
巨大なMOBに阻まれて動けない私たちを嘲笑いながら6人は森の奥へと消えていく。
ユミさんが上手いこと抜けようとしたけどMOBの一体に攻撃されそうになって後ろへ下がった。
「あっこら待て!」
「ダメ、さすがにこいつらを片付けないと……このメンツでも厳しい」
「しゃーなし、やりますか……っと」
いつも余裕そうなユミさんが少し険しい顔をしながら両手剣を構え、それに続くようにサキさんも弓を構えた。
ユミさんが真剣な顔をするのも仕方ない、目の前にいるのは──
「みんな戦闘準備!ユミ姉達に続くよ!」
そんなヨシノちゃんの指示と同時にユミさんが攻撃を防ぎはじき飛ばした。
ユミさんが思いっきり弾いてバランスを崩した
「「させない!」」
ユミさんへと振り下ろされた太刀を私とカエデが同時に受け止め息を合わせて一気にはじき飛ばす。
一度戦ったことがある相手だけど、あの時よりも一撃が重い……気がする。
「サンキュ、2人とも──スイッチ!」
「うん!お願いユミさん!」
大ボス──サムライロードの刀を弾いたと同時にユミさんが私達の前に立ち大剣を深く構えてソードスキルを発動した。
連撃を受けている間にも刀を構え直そうとしたところでサキさんが木の上から射撃を放ち動きを封じてユミさんの連撃を全てヒットさせた。
「サキ!周りの取り巻き!」
「オーケー、よしのんもこっちお願い」
「うん!」
あのプレイヤーたち──ヤマダファミリーとかいうギルドの人たちが呼び出したサムライロードの周りのMOB達をサキさんがサムライロードごと撃ち抜きそれにより怯んだ所をヨシノちゃんが一気にソードスキルで切っていく。
5人が呼び出した総数は索敵範囲内だけでざっと25、どうやってそんな数を呼び出してるのかもわからないけど、サキさん達はこれだけの数を相手に全く怯むことなく攻撃を続けている。
これなら行ける、そう思いたいけど相手はラギが言うには「10分の1の区切り枠」であり、他のボスたちとは違う強さがある。
そして何より、このサムライロードは
「やっぱり、色違いってだけじゃなさそうね」
「となるとどういうこと?」
「こいつ、しーちゃん達が戦ったヒッポカンプの亜種とか、私たちの戦った1から4層のボス同様に強化されてるってこと」
リポップボス、ラギがそう命名した突然出現する階層ボスの亜種、それらには通常ボスとは少し違う点があった。
今戦ってるサムライロードも名前こそ同じものの鎧に赤い線が散りばめられ、刀も少し長さが違っていて何より少し素早い。
そんなこのボスの攻撃を初見で防げたのは少しだけど成長してる……のかな。
「HP半分切った!ユミさんとカエデ気をつけて!」
「うん!シズクも気を──」
「カエデ!」
ボスの大半はHP半分で動きが変わる。
それを警戒して体制を立て直そうとした直後、カエデを白蛇
「まず……ぅ」
「早く何とかしないと……でも近づけない……!」
巻きついた白蛇たちを切ろうとしたらカエデと私たちを遮断するようにさらに数匹の白蛇が目の前に伸びてきた。
この白蛇は少し見た目が違うけど10層のボス戦でも見たやつだ。
つまり、ボスが召喚したやつということ。
早く、早くこの白蛇を倒さないとカエデが……
「こうなったら、やるしか──」
MOBを相手していたサキさんとヨシノちゃんも白蛇を退けようと攻撃を続けているけど白蛇が倒れる度にさらに追加が湧いてカエデへ近づくことが出来ない。
多を圧倒するには、ラギから託された
そう思い片手剣を直上にあげようとしたその時。
小さく鈴の音が鳴りその音の主が私の足へ頬を擦り付ける。
「妖猫……モミジ!?」
「その子カエデの……しーちゃん!」
んにゃ〜、なんて鳴くのはカエデが連れ帰ってきた妖猫。
ラギのアドバイスで『モミジ』と付けられたこの子は今回ギルドハウスに置いてきていたはず。
どうして付いてきてるのか謎だけど、今はピンチを脱するために必須だ。
「モミジ、白蛇を避けてボスのところに行ける?」
『にゃ〜』
「……よし、お願い」
言葉が通じてるかは分からないけどモミジは私の指示に頷いてくれた。
鳴いたと思えば白蛇のいない所を駆け抜けてボスの方へ一気に近づいていき、あっという間にボスの目の前に到着した。
「モミジ、『パルスクロー』!」
テイムした本人じゃないけど指示を聞いてくれたモミジはボスの足元を爪による連撃を繰り返し当て続けて微量のダメージを与えた。
そして、ダメージが重なったところで白蛇が一気に地面へ崩れ落ちていく。
モミジが使用したのはパルスクロー、時間は短いけどダメージを与えた相手に強めの麻痺毒を付与する。
それはボスでさえも一瞬隙ができるレベルで、ボスの拘束なんかも解ける、ということ。
「麻痺毒……なかなかえげつないね──っと、カエデちゃんは私が──」
白蛇が地面に崩れ落ちたのを見て木から飛び降りてきたサキさんはモミジのスキルに少し苦笑いしながら拘束を解かれたカエデを助けようとそっちに向かった。
そして言葉を詰まらせた。
「おうおう、ボーっとしてるから油断だらけだと思ったら残り香にやられてたんか……つまんねぇなぁ」
「お前……」
「あん?……あぁ、
カエデの横には革ローブの男が立っていた。
ボスはもう消えた、なんてことを言いながら。
「知らねぇのか?こういう召喚物は召喚主を消せば傀儡も消えるってもんだぜ?それこそ魔術師とその使い魔みたいにな」
「そこから離れて」
「あ?離れて何がある」
「……その剣を抜けって言ってんの」
謎のプレイヤーが淡々と語る中、横目で見るとサムライロードは消えている。
そして──
「あぁ、そういう──もう死んだろ」
「……そう、なら死ね──下衆野郎」
カエデの腹部に短剣が突き刺さり、そのまま木に打ち付けられる形になっていた。
革ローブ、つまりはラフィンコフィンのメンバーであり、そんな男プレイヤーはカエデを貫いていた短剣を抜きくるくると回して不敵な笑みを浮かべた。
「来いよ、俺──『ピグレ《pig》』を楽しませてくれるんなら相手してやるよ」
「──言ったでしょ、殺すって」
「……へぇ、そいつァ面白い」
そんなやり取りの直後、私の視界は揺れ、背中に鋭い痛みが走った───。
信頼出来ない相手とは距離を置く、それも必要なのかもしれない。
チームC(ラフコフ足止め班)
シズク(チームリーダー)
カエデ
ユミ
サキ
ヨシノ
(ここからは用語等)
『ヤマダファミリー』
リメイク前にも実は出ていた6人ギルド
ファミリーと言っているが本当の家族かは不明
メンバーは
ヤマダ
ハナコ
ケイ
ケン
ヨッチ
セン
ヤマダファミリーと言いながらリーダーはケン。
サムライロード亜種を呼んだのはヤマダ
紛らわしいね
サムライロード亜種(正式名:Δ)
十字切り、白蛇による回復(今回不発)、薙ぎ払いに追加で白蛇乱舞が行動に増えている。
モミジ
準備編にてカエデが連れていた妖猫
テイム前は名前をつける必要もなかったがせっかくなのでモミジに
今回は危険が多いためギルドに置いてきたはずが何故か着いてきてしまった。
テイマーであるカエデ以外にもギルドメンバーの言うことは聞くらしい