ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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103:あからさまな証拠

 

翌日

星屑の流星ギルドハウス

 

「敵の拠点を見つけた!?」

「静かに、後輩君が一晩かけて探したみたいだよ、今は《現場》で潜んでる」

 

昨日の今日で、はや過ぎない?という疑問はお茶とともに喉奥へと流し込む。

あとは、彼が見つけた拠点とやらが確定し彼が潜入するのを待つだけ。

 

「全員で殴り込みはノー、ハヅキちゃんと私で行く」

「心配してんのはわかるけど、カエデがいなくなってんだから、私も行くよ」

 

ライムちゃんが手をあげる。

後輩君から聞いた話だとこの子とシズクちゃんは後輩くんの後輩、楓ちゃんの幼なじみとのこと。

本当は拒否したい、危険なことに巻き込むってのは私としてもできるなら避けたい。

でも。

 

「君が行かなきゃ、だもんね」

 

そんなことを呟く。

 

 


 

???

 

「ここ、か」

 

教えてもらった場所に到着する。

まさか、こんなところにカエデ達がいるとは、普通にわかるわけないでしょ。

 

「ラ……あいつに合図送るか」

 

待機しているメンバーにメッセージを送り見るからに怪しい壁を触る。

人二人ほどが横並びで通れるほどのサイズの通路が出現する。まさか、()()()にこんな隠し通路があるなんてね。

 

「……待ってろ、みんな」

 

メッセージの送信が完了したことを確認し《片手直剣》を抜いて先へ進んでいく。

 

 

異様な雰囲気、明らかに《なにか》を隠しているような、少し変な匂いが先から漂ってくる。

いったい、何が───

 

 

「……なん、だよこれ──」

 

通路を抜け、広い空間に出た俺は言葉を失う。

こんなものがあるなんて聞いてない、いや、正確には──()()()使()()()()をしている空間だという話は聞いてない。

となれば、読み通りのことをしている、と考えるのが正解だが。

 

 

「──ここでなにしてんだ?」

 

そんな声が背後から突然現れる。

振り向くとフードを深く被り顔が見えないようにした大柄の男が立っていた。

 

「あんたこそ、なにしてんだ」

「なに?みてわからないんかぁ?」

 

見た上で聞いてるんだ、こんな──()()、平然としてるお前はなんなんだ。

 

そんな質問に男は鼻で笑う。

 

「おいおい、僕の楽園を地獄なんて言い方するんじゃねぇよ」

「楽園、だと……?」

「お前も男ならわかるだろ、僕たちは《道具》がありゃそれでいい」

「ゲス野郎──!」

 

片手直剣を右上へ振り上げて《スラント》を発動──

が、ソードスキルにはならず、ただの切り上げになってしまい、男に避けられてしまう。

 

「残念ながら()()()()()()ソードスキルはこの空間では無効化される。それよりいいのか?お前の大事なお友達も同じようになってるんだぞ?」

「……なにがいいたい」

「見りゃわかるさ」

 

男はニヤけながら奥へと進んでいく。

後ろから刺そうと思ったが、《これ》をどうにかできる手段が分からないのとカエデ達が何をされるか分からないため一旦従いついていく。

 

 

助けて、という声が至る所から小さく聞こえる。

そりゃそうだ、今ここには──

 

「女の子を檻に入れて拘束して何が楽しいんだ?」

 

行方不明とされていた女性プレイヤーたちが小さな檻に入れられ手足を拘束されている。

全員、こいつにこうされたのだろう。

 

「そりゃ、さっき言った通り《道具》にするためだよ」

「道具、だと……?」

 

ゲス野郎の言葉を聞いていると突然立ち止まる。

そして、その前には──

 

「ほら、お前のお友達だろ?」

 

カエデたち3人が同じ檻に入れられていた。

3人とも気を失っているが、手足は拘束されて身動きが取れない状態になっている。

 

「お前も男なら、特別に《使って》いいぞ?なぁ……如月」

「──そんなこと、するわけもさせるわけもないだろ」

 

これ以上は抑えきれない。

みんなに危害が与えられると言うならその元凶をその前に潰すだけ。

 

俺は()を抜き構える。

 

「死ね」

 

約束を守れない、あとでみんなには謝らないとだけど、そんなのは後で考える。

今は、このクズを殺すだけを考える。

 

 

「……ふっ!」

 

地面を思いっきり踏み込みバネの要領で地面を蹴り飛ばして一気に近づく。

管理者とはいえこんな攻撃は想定外だったようで防御で対応しようと盾を構えてくる。

それを見越して突っ込んでる最中に刀が光を放つ。

 

カタナソードスキル:夕霧

 

「なっ、なぜソードスキルが使え──」

「さぁ──なっ!」

 

使ったのは突進中に発動することが出来る二連撃。

カタナソードスキル自体はもちろんこいつの言う《登録》がされているだろうが、このスキルは()()()()()もの。

こいつが言っている登録が何に対しての話かは分からないが、使えたならあれも使える、ということだろう。

 

「──なんてな」

 

盾の防御を避けて攻撃したはずが、二撃目は謎のエフェクトにより妨害され弾き飛ばされた。

その勢いで刀手放して壁に衝突する。

 

「残念だったなぁ!俺には──《破壊不能オブジェクト》を設定してるんだよぉ!」

「な……クソが……」

 

破壊不能オブジェクト、建物とかに設定されてるものだったはず。

そんなもの、プレイヤーに設定出来るなんて聞いてないっての……

 

 

「さぁ、せっかくだ、お前のお仲間が目の前で僕にあんなことやこんなことされるのをそこで見とけ」

「……っ!」

 

強かった衝撃で立ち上がれない俺は腰に付けていた短剣を取り出す。

 

「させるか──っ!」

 

余力全てを使い短剣を男に投げる。

 

「だから俺には効かないって、話聞いてたか?……まぁ、いい──じゃあまずは小嵐ちゃんから──」

 

短剣を避けた男がそのまま檻を開ける。

そして、檻に入ろうとした男の背中に、短剣が突き刺さった。

 

 

「間に合った──!」

 

()が預けた浅葱色の羽織りを纏ったラギが目の前の男を檻から遠ざけるように蹴り飛ばし、言葉を続ける。

 

「大丈夫か、ライム」

「二度とごめんだね、こんなの」

 

彼から借りた装備を返して羽織りを着る。

 

「さぁ、反撃開始だ」

 




え、ラギじゃない──!?

何事かというのは次回。
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