ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
「「結婚した!?」」
第10層でのやり取りの後、俺のプロポーズを受けてくれたハヅキとシステム上ではあるが結婚をした。
そして次の日、新居を探しているところでばったり会ったシズクとライムに報告すると声を合わせて驚きの顔を見せる。
「めでたいけど、急だね……」
「というかてっきりもうそこまで行ってるかと」
「お前の中でどういうイメージなんだよ」
急、と言われても仕方ない話だと言うのは理解している。
この先もずっと一緒にいると約束したし
本当に急なプロポーズをしたのは自分でも反省点ではあるが、悔いは無いしむしろ一つ肩の荷がおりたと言ってもいいだろう。
それよりライムはなんかとても失礼な言い方をしていた気がするが、本人は知らん顔をしていた。
「ま、おめでとってことで」
「カエデには伝える?」
「そうだな、また会った時に伝えるけど、一応頼んだ」
「りょーかい、それじゃ、また」
たまたま会っただけというのもありそれだけの会話をしたあと俺たちはまた新居探しに戻る。
と言ってもいい場所が中々見当たらない、23層にも家があった気がするが特殊なクエストを挟んだ記憶があるため一旦パスだ。
「ハヅキはどういうとこがいい?」
「静かなとこ」
「ざっくりしてるなぁ……」
今使ってる宿でもいいとは思うが、元々俺が一人で活動する時に使っていた場所、つまりは一人用の部屋だったため二人でひとつのベットを使っていた。
さすがに狭かった(ハヅキはこれでいいとか言ってた)ため新居を探しているのだが、そもそも圏外のフィールドに建物がある層の方が珍しいしハヅキの要望を取り入れるとなれば尚更選択肢は減る。
料理スキルと同じく建築スキルも実装してくれていればこの苦労も気にしなくていいんだが、なんなら結婚はあるのに建築はないんだから制作陣の考えはよく分からない。
「そんなお困りのふたりにいい場所があるんだヨ」
「来てくれたか、アルゴ」
埒が明かないと思って頼んでいたアルゴが背後からすっと現れる。
手には売り物件を載せているMMOトゥデイの一片が握られていた。
「久しぶり」
「そういや久しぶりだな、はーちゃん。それで良い売り物件だロ?なら──」
アルゴが探してくれた物件は第五層の主街区から少しはずれた場所にある外見は石造りの傍から見ても違和感はない建物。
だが扉を開けると中は石造りを残しつつもちょっと木造が混ざったような、そんな造り。
「で、ダブルベッドらしいんだヨ」
「ここにする」
「ベッドで決めるな!?」
「お盛んだねお二人サン」
おかげさまで変な誤解をされかけたが、とにかくこれでちょうどいい新居を見つけられた。
アルゴにも結婚したことを伝えると「そんな気はしてたヨ」とだけ言われてそのままアルゴは帰っていった。
それから新居を購入し、新たな家での穏やかな時間を過ごすことはや数日後。
「それで、血盟騎士団は抜けたのか」
「そりゃ、な」
俺たちは数日ぶりにキリトとアスナに会っていた。
なにやら二人もこの世界で結婚したらしく、その経緯を聞いていたんだが……
血盟騎士団に入ったキリトはアスナの側近として動いていた男……クラディールとやらと共にとある渓谷の調査をしていたが、その道中で突如クラディールが麻痺毒を使ってキリトを殺そうとしたらしく、それに気付いた──何かあったらすぐ動けるようにしていた──アスナが阻止して、その後色々あって結婚した
それで、クラディールはラフィンコフィンの一員だった、と。
そんな一件があったため、キリトは血盟騎士団を抜けてアスナも休暇を貰い今に至る。
色々と言いたいことはあるが、とりあえず無事でよかった、と言うべきか。
キリトも大概大変な目にあってるよな……
「で、そういうラギも結婚したのか」
「プロポーズされた」
「惚気けてんなぁ」
結婚報告のために呼んだわけじゃないというのはクラディールとやらの件でなんとなくわかる。
これだけ名が大きいギルドにも、そういう輩が潜んでいるというのは、キリトとしても俺に伝えておきたかったんだろう。
ハヅキはアスナと何かを話しているためキリトと二人だけになる。
「PKに関しては警戒しとくよ、それで……アスナたちが離れたわけだけど、
「さすがに気づかれたか……これは、ここだけの話にしたいんだけど──」
「……そうだな、それは──」
ただ惚気に来ただけじゃないとは思っていたためキリトから本題を聞いた。
それは、俺も気にしていたとある事だが、それを今どうにかする方法がないため、今はあくまで
それにアスナという大事な人を得た直後、そんなタイミングで無理に踏み込むことはしない方がいいだろう。
とはいえ、キリトなら無理でも突っ込みそうだけど。
「……わかった、ラギが言うなら様子見でいくよ」
「悪いな」
俺としても違和感で止まっているため、下手なことは言えない。
そのため、キリトには確実なことは伝えずに話を終えた。
「さ、キリト君、帰るよ」
「はいよ」
アスナもハヅキと話したいことを話し終えたらしく、キリトを連れてそのまま別れることになった。
「……ラギ、なんかいる」
「お前な……」
別れたあと、第一層に寄って買い物を済ませるとハヅキが路地裏の何かに気づき俺を呼び止めた。
近づくと見覚えのある銀髪の少女が倒れていた。
声をかけても反応せず、動く気配もなかったためとりあえず目を覚ますまでの間黒鉄宮に連れていくことに。
起きていれば新居に連れて行ったんだが、それを言っても無駄だろう。
「それで、この子は」
「そんな怪訝な顔するなよ、こいつは──」
この少女──この黒鉄宮にて起きた管理者による暴動、そこで協力してくれた赤銀と俺が呼んだこの子は──