ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
楓目線
「アーガスの中に別会社の最新機器があるってのも中々複雑ね」
「それは結のアレにも言えますから、それより早く準備をですね」
先輩がハヅキちゃんを迎えに行く間に先に新しいゲーム、アルヴなんとかに入るため白澤さん達が菊岡?さんから渡された新機器の接続を準備している。
アインクラッドから、あのデスゲームから戻ってきて1ヶ月とちょっとでまた仮想世界に行くというのは、傍から見たらおかしいのかもしれないけど、私は……私たちはそんなこと気にしない。
「よし、準備できた」
「ほら、仮眠室は綺麗に残ってるからそっちで行ってきていいよ」
仮眠室の扉から手だけ出してそう指示してくれた先輩達に続いて部屋に入ると、私がSAOに入った時のようにフルダイブ出来る環境が整えられていた。
「SAOクリア者とはいえ、何があるかわからないから気をつけてね」
「はい!」「うん!」
「誰が黒幕なのか分からないけど、頼んだよ」
白澤さんと木田さんのそんな言葉を聞いて私と結ちゃんはそれぞれベットに寝っ転がる。
新しい機械、アミュスフィアを頭に装着すると、ちょうど目のところにガラス面が当たりしっかり外れないように固定された。
「「──リンク・スタート!」」
その声と共に意識が仮想世界へと落ちていく───。
楓達がログインしたあと
「ん、メール……」
「どれどれ……」
同時刻、和人と会った春揮が聞いた話を要約したメールが届いており、それを見た白澤たちは言葉を失う──ではなく。
「「は?」」
とだけ発し、菊岡に罵詈雑言を浴びせた後、2人して頭を抱えて仮眠室に籠ってしまった。
データ:コンバート
プレイヤー:セット
種族:セット
ログイン:開始
色々な設定を終えた後、私はどこかわからない洞窟の中に立っていた。
周りを見回すとSAOと同じようにHPや名前等、色々と表示されていて、再び仮想世界に来たという実感が湧いてくる。
それより
「ゆ……ヨシノちゃん!」
一緒にログインしたはずの結ちゃん──ヨシノちゃんが見当たらない。
同時にログインしたから同じ場所に出る、アインクラッドのようにはじまりの街がスタート地点のような設定がされてないのか、どうであれなんとか合流しないと……
「……なんか、聞こえる?」
遠くから、何かが近づいてくるような音が聞こえてくる。
まだ状況を整理出来てないし、チュートリアルも受けれなかったからプレイヤーならいいんだけど……
「お、こんな所に
「見るからに弱そうだし……やっちゃうか」
音の正体は赤い髪に赤い服の男性二人。
私を見つけるとすぐに明らかに話が通じそうな感じのしない会話をしてから剣を抜いてジリジリと近づいてくる。
「……私、初心者なんですけど」
「初心者が
「怪しいなぁ、まずは身ぐるみを剥いで何企んでるか聞くとするか」
サラマンダー?の領地とか言われても、ログインしたらここにいたから私には何もわからないし、襲われるのも理解できない。
でも、
今は、私一人。
でも、私だって戦える。
「装備……よし」
プレイヤーウィンドウを開くとソードスキルの欄がない。
SAO開発してる時、先輩が何度か呆れながら言ってたバグではなく、この世界にはソードスキルがないのかな
だとしても、勝てる。
「ライム直伝……っ!」
初期装備として普段あまり使わない片手直剣がプレゼントされた。
アインクラッドでライムから教わった戦い方をこの世界でも出来るか試すにはちょうどいい状態。
サラマンダー?の男性二人が私が武器を取り出したことで容赦なく剣を振り下ろしてくる。
軽く避けて追撃を警戒しながら距離を取る。
妙に身軽い気がするけど、その考えを捨てて次の動きを見て私を挟むように振られた剣の一人を弾いてそのままバランスを崩した所で首元に剣を突きつけてもう一人の様子を伺う。
「くそ、なんなんだよお前……!」
「動くとこの人は確実に死にます」
ライム曰く一人を抑えればだいたいどうにかなるらしいけど、なんかちょっと違う気がする。
でもとりあえず威圧はできたみたいで二人の動きは止まった。
「くそ……昨日の
「黒いの……は知りませんが、色々と教えてください」
「教えるって何──ちょいちょいちょい!」
その場に座り込んだサラマンダー?の二人がブツブツと何かを呟いていて私の質問にも答えてくれそうになかったため静かに剣を向ける。
ライムとシズクがたまにやってたことだから、多分やり方はあってると思う。
「私、
「「はい……」」
小一時間、この世界──ALOの細かい設定やプレイヤーが決まった《種族》についての説明、《飛行》のレクチャーを受けた。
ソードスキルが無かったり、魔法があったり、飛行しながら戦闘したり等SAOとの違いがかなりある。
なにより《種族》、これが設定時にもちょっと説明はされたけど選んだ種族によって特徴が用意されていて、私の選んだケットシーこと猫妖精族は猫耳としっぽが生えていてモンスターのテイムも出来るらしい。
俊敏性も高いと言われたけど、多分戦闘時に感じた身軽さが猫妖精族の特性だったということかな
それで、目の前の二人は火妖精族──サラマンダーで火属性の魔法に長けていて武器の扱いも優れているらしい。
「それで、ここが……」
「俺らサラマンダーの領地、正確にはその近くの地下洞窟っス」
「ケットシーの領地はだいぶ離れてるんすよ」
「そこに行きたい……けど、友達と合流したいんです」
どこに行くかとか、種族別にある領地に行くとかよりも先に結……ヨシノちゃんと合流したい。
そもそもどの種族で、どこにログインしたのかもわからないから探すのもどうにもならないけど、キリトさんの手伝いをするにしてもヨシノちゃんを呼ぶべきだ。
「なら、アルンに行くのがいいんじゃないっすかね」
「アルン?」
「さっき話した各種族の街とは別にある全種族関係無く出入りできる大都市っす、多分お知り合いもそこにいると思います」
「わかった、そこに──案内してください」
洞窟と言われていたけどダンジョン扱いのようで飛行が自由には出来ないためしばらく徒歩で移動しているうちに陽の光がさしてきてやっと外に出て飛行すると目の前に広がる景色──アルヴヘイムの全貌を見ることが出来た。
「──きれい」
サラマンダー領の横からとはいえ、妖精の国はアインクラッド内ともかなり違う、本物のファンタジー世界という雰囲気をまとっていた。
広大な森、栄えた都市、かなり大きなバトルフィールドなどが点在し、その中でも一際大きく目立つのが巨大な樹がそびえ立っている。
「あの《世界樹》の麓が中央都市アルンっす」
「よし、行こう!」
まだ慣れない飛行操作をしながら一直線にアルンに向かう。
かなり距離があるとはいえこのまま行けばあと20分くらいで行ける──そう思ったその時。
「上だ!ケットシーの姉貴!」
「その呼び方やめてくださ───え?」
何事もなく飛行を続けられる、そう考えている私の頭上から巨大な虫型のモンスターが複数体突進してきた。
サラマンダー二人に腕を引かれ間一髪避けることが出来たから良かったけど、これは──
「こんなの聞いた事ねぇっす!」
「なんとか突破しないと……」
横を抜けていくにもサイズ感が私の何倍もあるし、突進が飛行速度よりも明らかに速かった。
倒すしかないけど、この数──パッと数えただけでも10は遥かに超えている──を3人でどうにか出来る自信はない。
「……ったく、道案内の約束してたのにぁ」
「っすね、仕方ない」
どうしているかと思考を巡らせていると、前にいる2人がそんな会話をしていた。
かと思えば、私の腕を二人で掴んで「ご武運を」とだけ口にして私を放り投げて私はそのまま虫達の間を抜けてアルンの方へと吹き飛んだ。
「なんで……!?」
その答えは「行け」というジェスチャーのみが返ってきただけで、特に説明は無く虫たちへと突っ込んでいく姿が遠ざかっていく。
戻って加勢する、なんて考えはそれこそ二人の想いを無駄にする事だと誰かに怒られそうだから戦闘音を背にアルンへと一人向かって飛ぶ。
幸いにもその間にモンスターから襲われることは無く、大都市への入口へと到着した。
「すごい賑わい……!」
遠くから見ても明らかに栄えて見えた街は目の前に来ると見えていた以上に大きく、広く、そしてプレイヤーも多い。
説明された通り、種族と特徴の違うプレイヤーたちが行き交っていて、種族間の抗争があるとは思えないほど平和な雰囲気。
「あ、おーい!」
街の景色を眺めながら歩いていると、聞き覚えある、安心する声が遠くから私を呼ぶ。
声の方を向くと、街の端に設置されたステージの上に、探していた少女──ヨシノちゃんが立っていた。
「って、ステージ!?」
改めてよく見ると、ステージに立ったヨシノちゃんはマイクを持ち、歌を歌い終わったタイミングだったようで、客席にいる人たちは彼女の声の向き先──私に視線を向けていた。
「ビックリだよね、ほんと」
ビックリして立ち尽くしていた私の横からそっと現れて声をかけてきた人の顔を見る。
「え、あなたは──」
「──や、
弓を背負った女性はそう口にした。
旧ALO編って短いのね
ということでALO編、正式開始です
最後に出たのは……?
カエデ
種族:猫妖精(ケットシー)
武器:片手直剣(現時点)
猫妖精としての特徴的な獣耳と尻尾を携えたアバター。
本人曰く、テイム出来るのは後で知った。