ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
ハヅキとコハルがタワークエストの5階攻略を受注した頃。
とある場所にて
??目線
とある男性プレイヤーはつい小一時間ほど前、第一層の迷宮区の攻略に参加し第二層への道を開き、一人の少女と共に1度はじまりの街にて情報屋と合流していた。
「第一層攻略お疲れサン、ところでそっちの女の子は誰ダ?」
「私、ルナって言います!」
「訳あってしばらくパーティ組むことになった、それより攻略会議の時に会った女の子は安全な場所に送ったんだよな?」
「あの子なら無事送って、βテストからの付き合いだって言うプレイヤーと一緒に今はタワークエストに──」
情報屋をやっているプレイヤーが言葉を言い切る前に男性プレイヤーは表情を変えながら発言をした。
「タワークエストの5階には行ってないだろうな!?」
「1階しかオレっちはついて行ってないからわからないケド、今頃5階に行ってるんじゃないカ?」
情報屋がそう言うと男性プレイヤーは「しまった」と言った顔をしてすぐにウィンドウを操作し始めた。
「俺の説明が悪かったが、5階の推奨レベルは第一層攻略が出来るレベル、つまり《Lv.12》だ、初心者でタワークエストを登りきったとしてもそこまで行くのは無理だ──詳しい話は後でするからルナ、アルゴ、2人とも俺の方に掴まれ」
「こ、こう……?」
「何する気ダ?」
「あまり使いたくなかったんだが、《権限》を使ってクエスト中のプレイヤーの元に飛ぶ───転移したらすぐに戦闘態勢に入るぞ」
男性プレイヤーは簡単な説明を言い切ると同時にウィンドウに表示された《administrator》という欄にある《強制転移》のボタンを押した。
───────
クエスト開始直後。
Quest:タワークエスト5F
推奨:12
推奨参加人数:6人
報酬:研ぎ澄まされたアニールブレード、研ぎ澄まされたアニールレイピアetc……
ハヅキ目線
クエストの推奨レベルなどを全く見ないで受注し、転移した私とコハルの目の前には明らかに私たちのレベルでは叶わないであろう大型のボスが立っている。
アルゴから聞いた情報の通りに5階にはボスがいた、だけど目の前にいるボスは初心者用ダンジョンには相応しくないと感じるほどの圧を感じる。
「ハヅキ……勝てるのかな……」
「勝つしかない……絶対に死にはしない……!」
剣を構えた私たちに気が付きボスがタゲを向けてきた。
タゲを向けられたのは私、そしてタゲが向いた直後、ボスは大きな武器──多分カタナ──を自分の前に構え、そのまま私に向かって突進のように接近してきた。
そして持っている武器が振りかざされるのをみて防御の姿勢をとった、けど──
「がっ──!?」
構えた剣のサイズとは明らかに違う大きさのカタナは防御の姿勢をとった状態の私を強力なノックバックで吹き飛ばした。
ただでさえ狭いダンジョンの中心から吹き飛ばされた私は勢いそのままにダンジョンの壁にぶつかった。
武器が直撃した訳でもないのに私のHPはイエローまで減っている。
今、この状態で私に追撃が来れば確実に──
そして、コハルにタゲが向けられたとしてもコハルの細剣ではあの攻撃は防げない。
さらにコハルはβテストの時同様、震えてその場から動けなくなっている。
「コハル──ボスからなるべく離れ──」
「その必要は無い」
動けなくなっているコハルに指示を出そうとしたところで私の声は誰かに遮られた。
それと同時に私のHPは急速に全快まで回復し、先程までコハルがいた場所にはコハルの姿はなく、代わりに明らかに軽装備のプレイヤーが片手直剣を構えていた。
「はあぁぁ!」
片手直剣SS(??):ホリゾンタル・スクエア
ソードスキルを放ったプレイヤーがさっき私に「その必要は無い」と言ったプレイヤーだと気がつくのもつかの間、ボスは4連撃を受けてバランスを崩した。
「何してる!お前が受けたクエストだろ!」
ソードスキルを打ったそのプレイヤーは私の方を横目で見ながらそんなことを口に出してきた。
どうやってこのエリアに入ってきたのかなど、気になることはあるけど確かにこれは私の受けたクエスト、だからこそ人任せにはできない。
「言われなくても──っ!」
私はその場から立ち上がり、そのまま剣を構えてソードスキルのモーションとる。
片手直剣SS(ハヅキ):ヴォーパルストライク
私の一撃はバランスを崩しているボスに普通に入り、そのままボスのHPを削っていく。
だけどまだ、ボスのHPは半分近く残っている。
そしてボスは私の攻撃を受けてバランスを立て直し、私に持っているカタナを再び振りかざしてきた。
(さっきとは違う……今なら──)
「弾ける──っ!スイッチ!」
「──わかった」
片手直剣SS(??):バーチカル・スクエア
咄嗟にスイッチと指示を出したけど、私の後ろにいたプレイヤーは少し笑顔を見せつつソードスキルを放った。
だけどそれだけじゃ倒せなく、ボスはそのプレイヤーに攻撃をしようとした。
「……アルゴ、ルナ!」
私の目の前にいるプレイヤーが聞き覚えのある名前と聞いたことの無い名前を叫んだ直後、ボスの後ろから2人のプレイヤーがそれぞれのソードスキルを放った。
片手直剣SS(ルナ):ソニックリープ
短剣SS(アルゴ):ダブルアクセル
ソードスキルの連続で一気にボスのHPは減って倒した、そう思った私たちだったけど、ボスのHPはあと数ミリ、という数値で残った。
そしてボスはなぎ払いのような攻撃の構えを取った。
「させない──っ!」
だけどボスの攻撃が始まる前に入った一撃により、ボスのHPは完全に尽きてそのまま消滅した。
【Congratulation!】といつものソレが流れて報酬が私のストレージに入ったのを確認したところで助けてくれたプレイヤーに感謝を言おうとした、けど──
「あれ……?」
アルゴを含め、私達を助けてくれた3人のプレイヤーはこの場にはいなくなっていた。
「ハヅキ……さっきの人……」
3人が来てから姿が見えなくなっていたコハルが私の横に立って少し震えている。
多分ボスにトドメを刺したのはコハルだろうけど……
「大丈夫、コハル?」
「う、うん……ありがと」
あまり話せる状況じゃなく、そのまま口数少なく私とコハルは報酬をそれぞれに分けたあとはじまりの街内の宿に向かった。
はじまりの街:宿
ハヅキ目線
「研ぎ澄まされたアニールブレードと《星型の首飾り》、ポーションが少し……」
「私は研ぎ澄まされたアニールレイピアとあとはハヅキと同じだね」
宿に入った私たちは改めて5階攻略の報酬を確認してそれぞれが使うもので分けた。
そして、攻略時に助けてくれた人達のことを少し振り返っていた。
「ハヅキ、さっきの人達の中の男性……昨日私を助けてくれたっていう人なんだけど……」
「あの人が……?」
突然現れたりしたあたり、あまり信用はできない、でもコハルを助けてくれたということだけは事実だ。
なんて考えていると、私に1件のメッセージが届いた。
「誰から?」
「えっと──アルゴから」
コハルが私のウィンドウを覗き込んできたのでそのままメッセージを開く、すると中には──
ハヅキ。コハル。
さっきは事情の説明も無しに現れてすぐさま消えて済まない。
色々と説明したいことがあるから明日、昼の時間頃に転移門広場に来てくれ。
とらアルゴの口調とはかなり違う文面のメッセージだった。
お久しぶりです。
ハヅキルート
タワークエスト攻略編
が一旦終わりになります
そして次回からはついにハヅキ達も攻略に……
と、言いたいですが何やら怪しい雲行きですね。
ステータス(タワークエスト攻略後)
ハヅキ
Lv.10
武器:研ぎ澄まされたアニールブレード
装備:無名の服、レジスタンスリング、陽月の髪飾り(月)、星型の首飾り
使用SS:ホリゾンタル、ホリゾンタルアーク、ヴォーパルストライク
コハル
Lv.10
武器:研ぎ澄まされたアニールレイピア
装備:スチールアーマー、レジスタンスリング、陽月の髪飾り(陽)、星型の首飾り
使用SS:リニアー、ストリーク