ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
夢を見る。
ここがVRMMORPG《ソードアート・オンライン》の中、VR世界だから本当の夢かはわからないけど。
懐かしく、寂しい。そんな夢を見る。
もう何年も前の、私の姿を今になって見るのだ。
《蒼い目》を持って生まれ、それを理由に蔑まれたあの頃の自分を思い出してしまったのだ。
それは数年前。
私、桜花葉月は生まれつき蒼い目を持っていた。
もちろん、両親は黒目、姉も同様に黒目だった。けど両親も姉も「そんなことで嫌いにはならない」と言ってくれた。
でも、家族以外はそんなことは言ってくれなかった。
小学生の時はまだ「珍しい」なんて言われるだけで特には何もされなかった。
だけど中学に入ってからは違った。
「化け物じゃん」とか「親と血繋がってんの?」なんて言われたり「
言葉だけならまだよかったけど、徐々にエスカレートして行き、あまり思い出したくないようなことまでされた。
それに加え、ちょうど姉が大きな高校に進学するタイミングだったため、親も私を助けようとはしてくれなかった。
多分、その時から誰かを信用するということをしなくなったんだろう。
それだけじゃない、助けてくれない親や見て見ぬふりする先生、そんな周りの人間に対しても嫌気がさしていた。
唯一手を差し伸べてくれた友達がいたけどその子も
「大丈夫?」
不登校になってから姉はそんなことを言ってきた。
小学校に通ってた頃は仲良かった姉ともその頃には既に話すことすらしないようになっていたため、私は姉の言葉を無視した。
──もし、大丈夫と答えても心配なんてしてくれない。
冷たい反応をしても小学校の頃のように姉は話しかけてきた。
SAOサービス数週間前には姉は「はー」という呼び方をしてきた、それも小学校の頃の私の呼び方だった。
なんで私にそこまで関わってくるのか、そんなことを1度口にした。
姉は「迷惑だったらごめんね」と笑顔混じりに答えた。それがどんな意味だったのかもわからずに私は冷たく受け答えをしてしまった。
──もし、助けてくれようとしていたら?
一度そんなことを考えたこともあった。でもそれはありえないと勝手に考えて姉とは多少話す程度にすることにした。
年齢的に高校生になるぐらいのとき、私は1件のニュースを見つけた。
たまたま居合わせた姉もそれを覗き込んできて一緒にそれを見た。
その時だけは姉と普通に話せた気がした───
そして私と姉が見たニュース、それが……
ソードアート・オンライン、SAOのPR等の情報だった。
「はー、やってみない?」
なんて姉は言ってきた。
あの時、私は今のコハルとの関係のように誰かを信用する、なんてことを気にせずに姉と話していた。
多分、その時に見た《SAOPR文》に影響されていたのかもしれない。
両親とはほとんど話さないままβテストを始めた。
姉とはさすがに別行動をしたけど、最終日に
その事を姉に話すと「よかった」なんて言ってきた。それが何を意味してたのかわからない。
でも何故か、あの時の
もしかして、本当に心配してくれてたのかな───
「葉月、ごめんね」
βテスト最終日を終えた後、姉からそんな言葉が聞こえた気がする。
「ハヅキ、そろそろ起きて」
長い夢を見てる途中でそんな声が聞こえた。
「ん。ん……?」
重い瞼を開けると2人用のベッドの半分から私の様子を伺うように覗き込んでくる彼女の姿があった。
「ごめん、すぐ用意する……」
私はそう言って布団から起き上がる。
すると、彼女はこんなことを言ってきた。
「ハヅキ、泣いてるよ……?」
その言葉を聞いてから気づいた、仮想世界のデータとしてではあるが私の頬には涙が流れていたのだ。
まだ、彼女──コハルには過去のことは話していない。
もし、話したらどんな反応をされるだろう。そんなことを考えて今はまだ言っていない。
ねぇ、コハル……私は人を信用してもいいのかな?
先に外に向かう彼女の後ろ姿を見ながら私はそんなことを心の中で問いかけた。
少女は夢を見る。
それは忌まわしき夢。
それは気づきをあたえる夢。
春揮に続き葉月の過去。
誰かを信用するということをできなくなった彼女、だけど姉との会話をする中で少し変化が……?
コハルに対しても多少不安を感じながらも彼女は剣をとる。
自分の気持ちを確かめるため、進み続ける───
P.S 本編の中間の話だったのでEXから移動しました。