ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
第二層:迷宮区入り口
ハヅキ目線
レベリングとちょっとしたクエストを終えて迷宮区のある場所に向かうと、ちょうど攻略に挑もうというタイミングだった。
「よし、これから攻略開始だが………見ない顔やな、あんたらは?」
リーダーっぽい人──トゲトゲ頭──が開始の合図をしようとしたところで、私とコハルを見てそんな質問を投げてきた。
「私たち、攻略に参加したくて来たんです」
「なんや、そういう事か。ワイはキバオウ、よろしくな」
「私はコハル、こっちがハヅキです」
質問に返答しようとしたところでコハルが全て説明を終えてくれた。
コハルに感謝しながらもキバオウというトゲトゲが仕切り直してボス攻略を改めて始めた。
「まさか、また会うとはな」
「あ、キリト……」
迷宮区に入ろうとしたところで呼び止められた。
聞いたことある声だと思い振り向くとやっぱりそこにはキリトとアスナの2人がいた。
「とりあえず積もる話は後だ、今回のボスはβテストと違う
「それってどういうことですか?」
「ボス部屋に着いたら説明するよ」
βテストと違う、それはこの階層に入ってきてからわかっていたことではあるけど、まさかボスも……?
などと考えながら迷宮区を進んでいるうちに、私たち4人はボス部屋の前に到着した。
「さっきの続きだ。ハヅキは気づいてると思うけど第二層は元々違うエリアのはずだった、それがデスゲームになったことで変化したとなるとボスも変化してる可能性がある」
「それをキリトくんに聞いて、情報を集めようとしたんだけど……何故かボスの情報をくれるクエストが無かったの、だから不確定要素、って訳」
「何ごちゃごちゃ話しとるんや、『ビーター』とその仲間。あんたらは後衛になってもらうからな」
「ビーター……?」
「……汚名だ、気にしないでくれ」
聞いたことの無い単語を言われ困惑していると、キバオウがチームの確認をしたあと、ボス部屋の扉を開けた。
扉の先に入り、少し進むと、少し大きめの牛のようなモンスターがポップした。
「やっぱりβテストとは違ってる、ハヅキ、コハル、君たちは気をつけながら前線にたってくれ、俺たちも追撃する」
「……了解」
私とコハルはキリトに言われたようにボスに向かって走り出す。
そして、ここでようやくボスの名前を確認した。
ボス:【バラン将軍】
見た目:赤いミノタウロス
「おい!お前さんらは後ろ言うたやろうが!」
「私は『ビーター』の仲間じゃない。だからあなたの言うことには従わない!」
先程、キバオウは『キリトの仲間』では無く『ビーター』の仲間と言った。
なら、私はその指示には従わない。
「何を……ええい!遅れをとるなお前ら!」
私の挑発に近い言葉に見事に乗せられたキバオウは一緒にいるメンバーに指示を出す。
その間にも私はボスに向かってソードスキルを放ったり連続攻撃を何度も叩き入れてダメージを与えていた。
「コハル、スイッチ!」
「うん、行くよ!」
ボスの持っている大きなハンマーのような武器の攻撃を防いで弾き飛ばして後ろに下がる。
と同時に細剣を持ったコハルと入れ替わりコハルがソードスキルを当てる。
いいダメージが入り、相手が怯んだのをチャンスと見てキバオウは「全員で畳みかけろ!」と指示を出す。
私とコハルも遅れを取らないように連撃を与えようとしたその時。
ボスのHPが半分を切り、あと少しで倒せる。そんな所でボスの後ろにもう1つ、何かの出現エフェクトが現れた。
「お前ら!後ろに下がれ!」
と、キリトの声が聞こえる。
キリトが、そう言葉を発した理由がすぐにわかった。
赤ミノの後ろから、もう一体のミノタウロス型ボスが現れたのだ。
「コハル、下がって!」
そう私はコハルに声をかける。
だけど、コハルはビクとも動かない。いや、私も動くことは出来ない。
一体何が起きたのか、そう思い体力を見ると体力表示の上に黄色い雷のマークが表示されていた。
麻痺だ。
私とコハル、それだけじゃない。出現したボスの近くにいるプレイヤーたちは全員麻痺のデバフを受けている。
「ハヅキ、コハル!」
キリトの声が聞こえたその時、私とコハルは最初から出ていた赤ミノのなぎ払い攻撃をもろに受けてしまう。
HPの減少はそこまでではなかったものの、麻痺のデバフを付けられた後に攻撃を食らうなんてことを続けてしまえばHPの全損は時間の問題だ。
「全員、退避!」
というキバオウの声で、麻痺から解消されたプレイヤーたちは全員後ろの方に下がった。
だけど、結局は新しくポップした黄色いミノタウロスをどうにかしないと再びデバフを受けてしまい攻撃をまともに出来ないだろう。
「コハル、私がタゲを取る。その間に攻撃を」
「待ってよハヅキ、危ないよ!」
「誰かがデバフを受け続ければ周りには被害は行かない、その役目は私が受け持つ」
「……わかった。HPが危なくなったら下がってよ」
「約束する」
コハルと作戦を立てたあと、私は1人でボスに特攻を仕掛ける。
その間にコハルがキバオウやキリトにその作戦を伝えて実行するように促す。
そうすれば私のリスクは大きいけどボスを倒せる可能性が増える。
「せやあああ!」
黄色いミノタウロスに攻撃を仕掛けようと剣を振る。
と、その瞬間だった。
ミノタウロスが私にタゲを向け、麻痺のデバフを付与してきたのは良かった、だけどそれだけじゃなく、ミノタウロスは器用にも砂埃を発生させたのだ。
(見えない……これじゃあ……)
麻痺で動けない中、砂埃でまともに周りが見えない状況ができてしまった。
そして、その隙を逃がさないと言わんばかりに黄色いミノタウロスだけでなく、最初から出ていた赤いミノタウロスも私にタゲを向けたようで、足音が少しずつ大きくなり、そしてボスの攻撃が私に振り下ろされそうになった。
その時だった。
振り下ろされた攻撃は私にあたる前に誰かに防がれた。
人数は3人、音からしてここにいるメンバーじゃないような……
「何とかセーフ!このまま抑えとくからカエちゃんはデバフの解除を!」
「了解!」
「少し相手してもらおうか!」
そんな声とともにソードスキルのエフェクトが光る。
そして繰り出されたのは片手直剣のソードスキル【ホリゾンタル】。
それを確認したところで私の口に何かの瓶が入れられる。
それは麻痺を回復するポーションで、飲みきった時には砂埃も晴れて私を助けてくれた3人の姿がはっきりと見えるようになった。
「改めて。私たち3人は【夕立の霧雨】、助っ人に来ました!」
お久しぶりです
第二層攻略前編です。
キバオウ、馬鹿ですね。
そして、ハヅキのピンチに駆けつけたのは夕立の霧雨と名乗る集団。3人なのにギルドのような名前。
一体何者なのか……