ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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19:第二層ボス攻略

第二層迷宮区:ボス部屋

コハル目線

 

自分の無力を思い知った。

SAOが開始したあの日、会えなかった彼女と再開したあの日から、タワークエストの5層でのボス戦の時。そして今。

「私がタゲを取る。」そう言った彼女を止めることが出来なかった。

タワークエストで彼女が飛ばされた時も同じ。

失う、失われると考えてしまった途端、体が動かなくなってしまった。

 

そして、ボスのタゲを取った彼女が麻痺のデバフをボスの目の前で受けた時も、私は1歩も動くことが出来なかった。

彼女は、私を助けるために動いてくれていたのに、私はその行いに答えることが出来ない。

私は、助けられてばかりだ────

 

 

 

 

 

───────

ハヅキ目線

 

それは、夕立のように突然に。

されど、霧雨のように薄く、弱い。

少しの変化で全てが変わってしまいそうな、そんな儚いもの。

 

「夕立の……霧雨?」

ボス2体の攻撃を防ぎ、さらにソードスキルを放った1人が後ろを向きそう言った。

武器は目の前にいる2人が片手剣、そして──

 

「助けに来たよ!」

そんな声が私の横から聞こえる。

声の主は私の口に状態異常回復のポーションを突っ込んで麻痺を回復してくれた。その正体は……

 

「カエデ……?」

「ハヅキちゃん、しばらくは私たち3人で抑えるからそのうちに回復して」

「……わかった」

 

栗色の髪をした少女──もといカエデは私にHP回復のポーションを数個渡して前でボスを抑えている2人に加勢をしに走っていった。

その様子を見ながら数歩後退して回復ポーションを飲んでいると後ろでサポートに回る、そう言っていたキリトとアスナが駆け寄ってきた。

 

「ハヅキ、あの3人は?」

「1人は攻略中にあったけど、あとの二人はわからない」

「とりあえず体勢立て直したら加勢しに俺たちも行くぞ」

「了解、コハルもやろう」

 

キリトたちとそんな会話をしている途中で心配そうな表情をしながら私に駆け寄ってきたコハルにそう伝えた。

 

「う、うん……」

 

だけど、コハルの返答は少し迷ったような反応だった。

 

「回復したなら手を貸してくれ!さすがに2体相手を3人は無理!」

コハルに理由を聞く間もなくボスを抑えている男性?らしきプレイヤーがそう叫んだ。

叫んだ相手は紛れもなく私、でも何故キバオウたちに指示を出さないんだろう?

 

「コハル、行こう!」

「うん、わかった」

 

そんな疑問を振り払って剣を構え直した私はコハルに指示を出してボスに向かって走り出す。

そして、私たちが動き出したのを気がついたのか、ボスの動きを止めて居た二人はそれぞれボスの次の攻撃を剣で弾き、ボスの体勢を一瞬だけど崩した。

 

「……スイッチ!」

「了解!」

 

ボスの攻撃を弾いた2人が交代(スイッチ)の指示を私たちに飛ばす、それに従って私とコハルが黄色ミノを、キリト、アスナが赤ミノに攻撃を与える。

最初からHPを削っていた赤ミノがあと少しで倒せる、そんな状況になったところで負けじとキバオウ率いるメンバーが一斉に畳み掛ける。

赤ミノをキバオウたちに任せ、黄色ミノを倒そうとコハルにアイコンタクトを送り、それにキリトとアスナ、そしてカエデと一緒に来た2人がそれに気づいたのか、黄色ミノに剣を構えた。

 

「デバフがかけられたら何としてもその人を防いで!」

「了解──!」

 

黄色ミノの金槌のような武器の振り下ろしを私とキリトの2人で防ぎ、その隙に他の5人で同時に攻撃を入れる。

黄色ミノの攻撃を弾き、私とキリトで追い討ちとなるソードスキルを放つ。

そして、怯んでいるうちに全員で一斉に剣技を叩き込み、そして───

 

「勝った……?」

ボスがポリゴンの欠片となり消失したのを確認し、私がそう呟いた。

だけど、ボス部屋にいる()()()()が違和感に気づいた。

 

「お、おい……どうなっとるんや!」

そう言ったのは案の定キバオウ、その発言の矛先は夕立の霧雨と名乗った少女に向けられた。

 

「トゲトゲの人、私だってなんでクリアにならないのかわから──」

キバオウの発言に返答をしようとしたのを遮るように、私たち7人とキバオウたちの間に大型の出現エフェクトが表示された。

 

「3体目……!?」

「ちょっと、ライム!?どういう事!?」

「んな事聞かれても分からない!情報には3体いるなんて……」

と、夕立の霧雨の3人が喋ったのが聞こえた気がする。

 

「話してる暇ないぞ!ボスのステータスも行動も不明だ、今は様子を見ながら戦うぞ!」

3人の会話を小耳に挟んだのか、キリトは先程までより険しい表情でそう叫んだ。

ボスの情報を知っていたかのような動きを見せた夕立の霧雨の3人ですら3体目のボスが出てくるということを知らなかったということが色々気になるけど、そんなことを気にしている暇もなく──

 

「みんな、防い──」

3体目のボス──黒ミノ──が金槌を大きく振りかぶったその直後、ボスは前方だけでなく、背後にまで攻撃を飛ばした。

ギリギリではあったけどアスナが防御の指示を出してくれたおかげでキバオウたちを含め全員致命的なダメージは受けなかった。

だけど、既にキバオウたちの方からは「こんなの聞いてねぇ……無理じゃねぇか……」と言った声が聞こえてきた。

 

「ハヅキ、私たちだけでも……」

「うん、行こう」

「だよね……うん、やるよ!」

その様子を見たコハルが私に声をかけてきた。

そして、私たちで攻撃を与えようと決めてそれを行動に移そうとした。

 

その時、私とキリトに同時にメッセージの通知が届いた。

「こんな時に……?」

 

ボスの動きを見ながらメッセージを開く、私の方に届いたのは《ラギ》からのメッセージだった。

コハルが気を使ってくれたのか、「私たちが動きを抑える!」と言ってくれたのでメッセージを確認する。

タイミング悪すぎる、そう思いながらも内容をチラ見すると──

 

 

 

──ハヅキ。

本当はそっちに転移すればいいんだが

あくまで()()だからメッセージで伝える。

今お前はボス戦の途中かもだが

ボスの3体目の情報は誰も持ってないだろう。

3体目、黒ミノの動きは

なぎ払い、叩きつけ、そして前後全体の攻撃だ。

送るのが遅いかもだがそれは許してくれ。

まぁ、これを信じるかはお前次第だ。

 

 

と、完全に信用してると思って書いたであろう文が送られてきていた。

そして、その内容はボスの攻略法。

同時にメッセージが来たキリトの方を見ると「そうか……」と呟いていた。

中身としては似たものだと思うけど、送ったのはラギかはわからない。

 

それだけじゃなく、私の方のメッセージには追加でこんな文が送られてきた。

 

──ボスのHPが減ってきたらこう叫べ。

──《イグナイト・スクエア》。

──それはお前だけが使えるある意味の《ユニークスキル》だ。

 

「ユニーク……スキル……?」

どっかで聞いたことあるような気がする名前を復唱したところで我に返り、ボスの攻撃を抑えているコハルに感謝とともに合図を送る。

 

「ハヅキ、スイッチ──!」

「キリトくん、スイッチ行くわよ!」

それを確認したコハルは一緒に抑えていたアスナにアイコンタクトを送り、それで内容を理解したアスナはキリトに、そしてコハルは私の名前を呼び、指示を出した。

 

「了解!」

私とキリトは同時にそう答え、ソードスキルを放った。

ダメージを受けたのにも関わらず、怯まずに攻撃をしてきたボスの動きを止めるように夕立の霧雨の3人がそれぞれ別々にソードスキルを放ちボスの動きを止めた。

 

「あと少し……」

ボスのHPを確認すると、既に3分の2近くが削られていた。

防御力が元々低いのか、連撃を加えたから一気に削れたのかは分からないけど、これなら行ける、そう思いさっき送られてきたスキルの名前を思い出した。

 

「コハル、あと少し削って私にスイッチして」

「……?わかった、よくわからないけどやるよ!」

「うん、ありがとう」

私の無茶ぶりに近い指示を受け入れてくれたコハルはキリトとアスナと一緒にボスの動きを止めつつ攻撃を与えた。

そして、ボスのHPがあと少しという所でコハルがボスの攻撃を受止め。それを弾き飛ばして私に指示を飛ばす。

 

「行くよハヅキ……スイッチ!」

「これで倒す!《イグナイト・スクエア》──!!」

ラギから送られてきたスキル名を叫ぶ。

すると、私の剣はソードスキルのエフェクトと同様の赤い光を纏い、それと同時に横に一撃、さらに縦に一撃、それを繰り返し合計4連撃の剣技を放った。

それだけじゃなく、放った剣技の斬撃は四角を描き、その四角の斬撃が炎を纏ったのだ。

ラギと戦ったあの時使ってきたホリゾンタルスクエアも同じように四角を描いたけど、あれは炎を纏わなかった。

でも、これはソードスキルの欄にはなかったはず───

 

そんなことを考えているうちに、ボスのHPは尽き、ポリゴンの欠片となり消滅、そして今度こそ勝利のファンファーレが鳴り響いた。

 

 

 

 

「──なんやそれぇ!」

勝ったことを喜ぶ隙もなく、私たちの正面に立っていたキバオウが叫んだ。

「あんたら、途中から入ってきて偉そうに指示出して!そっちのハヅキ言うたか、あんたはLA取りおって!なんなんやあんたら!」

「………はぁ」

 

私の近くに立っていた男性?がキバオウの発言に対しため息をついた。

持っていた剣を鞘にしまった後、キバオウたちの方を向いて言葉を出した。

 

「何を苛立ってるんだか。私たちは()()()()を集めてたから遅れただけ、そっちの……ハヅキ?はあんたらと違ってボスとの戦闘をした結果、LAを取ったんだ。」

「なんやと……!!ハヅキはんはLA取るだけじゃなく、わいらの見たことないスキル使ったやろ!それはどうなんや!」

「スキルの模索は禁止、そうだろ?」

「なっ………」

 

男性とキバオウの言い争いの中、私の横にいたコハルが小声で何かを伝えてきた。

 

「(ねぇ、さっきあの人、()()()())って言ってたよね?」

「(うん……そういえば言ってた……)」

 

言い争いが激しくて聞き流してたけど、さっき確かにボス情報を集めてたと男性?は言った。

でも、キリト達が探してもクエストは無かったらしいけど………

 

 

「あんたと無駄な話をしてても時間が経つだけだ、これだけ伝えとくよ」

小声で話してる間もちょっとした言い争いをしていた男性とキバオウの会話が止まり、その後、男性が口を開いた。

 

「ボス情報を出してくれるクエストNPCは第一層の商店通り、その《特殊クエスト受付掲示板》の近くにいた。そしてそのNPCのクエスト発生の条件は『3人以上のパーティを組んで話しかける』だ。()の後ろにいる男女や女子二人はタッグだから発生は無理だろうけど、キバオウ、あんたらは見た感じギルドを結成してるんだろ?なら……攻略の時ぐらいはパーティを組んでると思ったんだが、まさかソロで攻略してたとは」

 

「そんなんわかるわけないやろ!なんであんたらはわかったんや!」

「……教えてももう遅いと思うけど、たまたま第一層に行った時にクエストNPCに話しかけられたんだよ」

 

男性は説明を続けた。

カエデともう1人、そして男性の3人で装備を整えようと、はじまりの街の商店通りに行ったところで、()()()()()()()()()()()()()()NPCから声をかけられ、話を聞いたら

『この天を昇った先、分かたれた次なる大地にはこのような伝説がある』

『2つに別れた巨大なミノタウロスは、黒き雷を持つ』

 

 

「まさか、2体に別れたミノタウロスだけじゃなく、黒き雷とやらもボスの情報だとはおもわなかったけどな」

「ようわかった……今回はわいらの確認不足ということにしとく、次の層からはその辺を含め確認することにするわ……ほな、次の層に行くぞ」

 

キバオウはぐうの音も出ないのか、悔しそうにしながらも男性の発言を聞き終えたあと感謝やその他色々を含めた発言をしたあと、一緒にいたプレイヤー達を連れて次の層に向かっていった。

 

 

 

その後、私とコハル、キリトとアスナ、そして助けに来た3人が第二層ボス部屋に残った。




最初に別キャラ目線を書いた部分だけ投稿の二週間前。
というのはさておき

助っ人に来た夕立の霧雨という謎の3人。
そのうちの一人は見覚えのあるあの少女。

一応ボスはSAOIFを元に書いてますが、モーション等の確認は大変なのでそこはオリジナルで。

これだけ強けりゃリメイク前の彼女ら苦労してないのに。何があったんだか。


本当はまだ話続けようとしたんですが
ここで区切るとちょうどいいので無理やりですが切りました。
次回は早めに投稿できます。多分。
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