ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
第5層
ハヅキ目線
迷宮区に向かう途中、私はふと、気になったことを隣を走るラギに質問した。
「……そういえば、スライムとの戦闘の時助けてくれたよね?」
「ん?あの辺の雑魚スライムに苦戦するようなステータスじゃないだろ、それに俺はさっきも言ったがルナとアルゴを送るために1層に戻ってたんだが」
「えっ……その時私たちとすれ違ってない?」
「歩いて戻る暇も惜しかったから転移結晶を使ったんだよ、まぁ、とにかくそれは俺じゃない」
大型スライムの触手に捕まって意識を失う直前に聞こえた声と、その後に私を助けてくれたのはラギだと思ったんだけど、当人はそれを否定した。
それなら、一体誰が──?
「お前が助けてもらうぐらい危険になったMOBのことは気になるが、到着だぞ」
しばらく走ったうちに私たちは迷宮区の前に出来ている集団に合流した。
そして、その中には先に行ったコハルとシリカ、更に夕立の霧雨のメンバーも集まっていた。
「あ、ハヅキー!」
「ハヅキさん、ちょうど良かったです」
「おまたせ2人とも、それでちょうどいいって?」
「ほら、あそこ……」
ラギと別れ、コハル達の元に着いたところで、そんなことを言われコハルが示した方を見ると、そこにはキバオウともう1人、見たことの無い男性が言い争いをしていた。
「だから、お主らが持ってる攻略情報が正しいとは言いきれんやろ!」
「それはこっちのセリフだ、別のギルドだからって嘘の情報を流してるんじゃないのか?」
「コハル、一体何が……」
「私とシリカがエギルと一緒にここに到着した時点であんなことをずっと言い争ってて……」
「話を聞いた限り、お互い、ギルドのリーダーらしくて、それで2つのギルドがクエストでボスの情報を獲得したみたいなんですけど、その情報とクエストが全く違うって話で……」
シリカの説明を聴きながらそんなことがあるのかと考えたけど、ダミーのクエストなんて
そういうこと……?
「……いい加減にしろよ」
「なんやお前…ってラギはんかいな」
「誰だ、君は」
言い争いをしてる二人の言葉を遮り、2人の近くに歩み寄ったのはさっきまで私と一緒にいたラギだった。
思わぬ人物の登場に驚きの声や時々「ビーターの仲間だ……」なんて声も聞こえてきた。
「今さっき到着したばかりだから何を話してるかは分からないが、ボスの情報を1度まとめてみたのか?」
「いや、まとめてないが……まさか、そういうことなんか?」
「あぁ、そういう事だ………言っとくがキバオウ側の外野、俺は《ビーター》の仲間じゃない、次そういった時はお前ら───」
キバオウに何かを伝えたあと、私たちの近くにいるプレイヤーたちの方を向き、私たちさえ今まで感じたことの無いほどの寒気を感じるほどの威圧を見せた。
(今のは……)
SAO──VRの中だと思えないほどの威圧と悪寒、それをラギは見せた。
まるで、『殺気』のような……
「よぉし!お前さんら、騒がしくさせてすまんかった、ボス情報をまとめたから今から伝える、それを伝えたあと各自パーティになって迷宮区を進んでくれ、全員がボス部屋に到着したのを確認次第ボス攻略開始や!」
キバオウが指揮をとると、ギルドメンバーや他のプレイヤーも一斉に声を上げ、順番に迷宮区へ入っていった。
そして、最後の1組になったのは私たちとラギだった。
「……ラギ」
「……聞くな、ほら、遅れるぞ」
「あ、うん……」
さっきの殺意のようなものについてラギに聞こうとしたけど、ラギに遮られ、そのままラギは1人で先に行ってしまった。
それに続くように私達3人も迷宮区へと入った。
「いやあぁ!?」
「ちょ、コハル、落ち着い……って?」
迷宮区を少し進んだ先に、第5層のフィールドをうろついていた幽霊のMOBが大量に私たちの周りに沸いた。
それに動揺し、我を忘れたコハルに気を取られているうちに、そのMOB達は一瞬のうちに消えてしまった。
消滅のエフェクトもなければ本当に消えたわけではないようで、なぜ消えたのかはわからなかった。
そう思ったその時。
「……っ!」
私の視界に人影が映った。
それは、
一瞬しか見えなかったけど、あれは──
ラギに似ていた。
「……はっ、そんなこと考えてる暇ない、コハル、シリカ、早く行こう!」
「あ、ハヅキ、私は何を「そういうのいいから行くよ!」
「ま、待ってくださーい……」
幽霊に似たMOBを見て狂ったコハルや
そう思った私は我に返ったコハルの腕を掴み一目散に走った。
そして、全速力で走ること数分、私たち3人はMOBを無視してボス部屋の前に到着した。
「遅いやないかい……まぁ、それはいい、とりあえずボスの情報と各々の立ち位置は伝えたからな、それに従って戦闘開始や、それじゃお前さんら、このボス戦──勝とうや!」
「お、おー!」
全速力で走ったことによる疲労を回復させる暇もなく、キバオウが鼓舞をし、そのまま躊躇いもなくボス部屋の扉を開けて先に進んでいった。
その時、私の視界に入ったラギは赤い服などもちろん着ていなかったし、雰囲気もどこか違っていた。
──あれは、一体誰だったんだろう?
お久しぶりです。
自粛生活ど真ん中、俺です。
リア友と共作の話をしていたらすっかりこんなに遅くなってしまいました。
今回少しだけ伏線を貼ったリしましたがそれはまぁ、お楽しみに
次回、第5層にて割と大きなボス攻略メンバー達によるボス攻略。
一筋縄で行きますかね……?