ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
アインクラッド第1層
はじまりの街
ラギ目線
色々と不可解なことが起きた第5層のボス戦を終え、俺、ラギは第6層の様子を少し見たあと第1層に戻ってきていた。
そして今、俺がいるのは黒鉄宮、そこに設置されている【剣士の碑】の前に立っていた。
SAOが始まってから数ヶ月、既に1000人以上はこの世界で……向こうの世界で死んでいる。
だが、幸いなことにその名前の中に俺の知っている人の名前はひとつもなかった。
ログインしてるかも分からない2人──楓と結がもしこの世界にログインしているのなら俺は何としても………
「ラギー!」
「やっと来たか……」
剣士の碑を眺めていると、ふと後ろから声がかけられた。
その声の正体は俺とパーティを組んでるルナ、その横には
「それでどうだったの?PKのプレイヤーとかは……」
「あいつらの狙いは把握出来たが、結局プレイヤー名とかはわからなかった」
「そっか…でも、誰も犠牲にならなかったんだよね!」
「あぁ、そうだな」
そう答えた俺に対し「よかった!」と満面の笑みを見せながらそんなことを言ったルナは大きく背伸びをした。
「第5層はろくに参加出来なかったし第6層は私も頑張る!」
「そうだな……よし、行こう」
「うん!」
ルナの意気込みを褒めつつ俺たちは黒鉄宮を後にした。
そしてそのまま転移門広場から第6層へと転移をした。
第6層: 叙情の湿地
1度様子見だけはしたが、改めて転移すると既に当たり前だったが、βテスト時とはかなり変化し、フィールド全体が湿地帯のようなエリアになっている。
「わぁ……それじゃラギ!進もう!」
「その前にそこのクエストでも受けるか」
勢いに乗って先に進もうとしたルナを抑え、転移門近くにいたクエストNPCの近くに行くと──
『あぁ、貴方様方は私たちを救ってくださる剣士様ですか……!』
「救う?って何を?」
『私はよくこの近くにある森に薬草を取りに行くのですが、今その森の目の前には巨大な獣が立ち塞がっていまして……あの薬草が無ければ私たちの村は──』
「わかった、俺たちでその獣を倒してくるよ」
『本当ですか……!さすが剣士さま……!私はここで待っていますのでどうかお願いします』
軽くクエストを受け、俺たちはその場を離れた。
【クエスト:獣が守りし神秘の花】
クエストNPCに言われた森、そこに向かうとNPCが言っていた通り、森の入口には大きな獣型のMOBが立ち塞がっていた。
「ルナ、俺がタゲを取る、その間にお前は攻撃をしてくれ、タイミングを見て俺に変わってくれ」
「うん、わかった!」
俺の出した指示に答え、ルナはMOBの後ろ側に回り込もうとした。
もちろん相手はそれに気づきルナに向けて攻撃の準備をしようとする、それを俺が阻止するために一発、ソードスキルを叩き込んだ。
MOBは体制を崩しながらも俺の方にタゲを向けた。そのタイミングで背後に回っていたルナのソードスキル《ソニックリープ》が放たれた。
「ラギ!今だよ!」
「あぁ、了解!」
ソードスキルが炸裂し、MOBがさらに体制を崩したのを確認し、ルナからかけられた言葉に答えたあと、MOBに向けてソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》を撃った。
「よし、このまま決め──」
HPが一気に減り、あと少しで倒せる、そう確信したその直後、MOBの様子が変化した。
「Grrrraa!!」
「──ルナ!下がれ!」
「えっ───」
MOBの異変に気づきルナに指示を出したと同時にMOBは起き上がり、二足歩行の状態でルナにタゲを向けた。
そして、俺が止めに入るよりも早く、MOBの攻撃はルナを襲った。
「ルナ──っ!」
攻撃をもろに受けたルナのHPは一気にレッドまで減少した。
あと一撃でも受ければルナは───
「させるかぁ!」
俺は片手に持っていた剣【アニールブレード】をMOBに向けて投げ、それがMOBに直撃したのを確認してすぐにもう一本の片手直剣【ゼデュースホーリーソード】を装備してMOBの動きを止めるために接近し、そのままソードスキルを放つ。
だが、MOBのHPはほとんど減っていなかった。
(まさかとは思ったが……これは──)
「おーい!そこの人ー!」
「ちょっ、シズク!行くなって──」
MOBに起きたこの変化に心当たりがあり、それを確信していたその時、俺の背後、湿地帯の方から声が聞こえ、そして誰かが走ってきた音も聞こえた。
その音に気づいたのは俺だけじゃなく、変化したMOBが俺の後ろにきたプレイヤーにタゲを向けた。
「馬鹿が!来るんじゃねぇ!」
MOBがタゲを向けた
向こうも俺に気がついたみたいだが……
あれは────
そんなことを考えてる暇もなく、MOBは
「──楓!お前は奥に倒れてるあの子を守ってくれ!」
俺はMOBの攻撃をギリギリで受止め、3人を守ったところでそのうちの一人、俺の探していたプレイヤー……楓に向かって指示を飛ばした。
そのプレイヤーは何も言わずにMOBのタゲを取らないように少し大回りしてルナのもとに走っていった。
「お前ら2人、来た以上は手伝ってもらうぞ」
「うん、わかった!」
「……ったく、仕方ない──やるか」
名前も知らない二人のプレイヤーは俺の発言に否とは言わず、乗ってくれた。
(あのMOBは──)
そして剣を構えながらMOBの方を見て改めてMOBに起きている状況を確認した。
目の前のこのMOBは原因はわからないが、俺たちアーガスが、楓本人が体験してしまったあの現象
【狂化】を発動している。
リメイク前はルナ、いなかったからなぁ……
あ、どうも、いつもの人です。
第29話、イチャイチャしてた彼らの再会はこんな形で叶いました。
クエストに登場するMOBでさえ発動する狂化、恐ロシア。
ふつーに楓って叫んだ彼ですが、人違いだったらすごい恥ずかしいやつですね