ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

37 / 130
31:共闘とは仲間になったという意味ではない。

第6層:【クエスト用森林フィールド】

 

「Grraa!!」

 

「くそっ──避けろ!」

 

狂化したクエストモンスター、【ダート・ビースト】の通常時よりも強化された攻撃の予備動作を確認し、楓──だと思う──と一緒にいた2人のプレイヤーに回避の指示を飛ばす。

この2人と合流してから数分、何度か攻撃を当てようと接近を試みたが、まるで全身に目がついてるのかと言わんばかりに背後に回っていた俺の攻撃を防いだ。

そしてその時に気がついたこと、それが【狂化時はステータスが桁違いに上がる】、ということ。

その問題にテスト前に気が付かなかったのがかなり痛手だが、今はそんなこと気にしてる場合じゃ───

 

「お兄さん!」

「──あ!?俺か!?」

「前!」

 

2人のうち、楓と同じぐらいの方の女子が俺の事を呼び、「前」と言った。

考え事をしていた一瞬の隙にビーストの動きが止まっていた。

 

「今がチャンスだよね!行──「待て!」えっ?」

 

HPが減ったわけでもなくクエストの変化が無いことを確認した俺は特攻しようとした1人を止めた。その直後、俺の嫌な勘は当たった。

 

「uraaa!!」

 

ビーストがそう雄叫びを上げた途端、俺と2人は体が動かなくなり、さらに防御ダウンのデバフがかけられた。

視界に入った楓と回復したルナの2人にはそのデバフが無いことを確認し、安心したのも束の間──

 

「お兄さん、避け──」

 

そんな言葉が聞こえたと同時に、俺の目の前にビーストが立ち、そしてビーストが体から生やしていた巨大な爪が俺を貫いた。

 

「が──、く──、、」

 

ビーストの爪が抜かれ、その場に力なく倒れた俺の視界は少し薄れ、そしてHPがレッドゾーンまで減少していた。

 

「おま──えら──逃げ─」

「逃げないよ!」

「あぁ、防御ダウンは入ったままだが()らは見殺しにはしない!───カエデ!その人を頼む!」

「わかった!」

 

そんな言葉を聞いたあと、俺の体は駆け寄ってきた──と言うよりは後ろにいた──カエデに抱えられてビーストから離れた場所へと運ばれた。

その間、ビーストは俺にタゲを向けていたが、それをあの二人が抑えてくれた。

 

 

2人が奮闘している中、回復ポーションを飲み終えた俺は()()()()()を取り出して準備を直ぐに終えた。すると──

 

「──先輩、無理しないでくださいね」

「……あれは俺の力で倒すよ、──あと、回復サンキュな」

「はいっ!」

 

人違いだったらと少し思っていたところで楓が声をかけてくれた。

それに応え、俺はビーストの近くまで()()()接近をして片手に持った【ゼデュースホーリーソード】を使いソードスキル《ソニックリープ》を放った。

そして、ビーストが後ろに振り向くよりも前に俺はとあることばを叫んだ。

 

「こい!──カラドボルグ!」

 

その言葉を叫んだ俺の手には、少し短めの赤い槍が握られていた。

 

「お前ら!楓の近くに避難しとけ!」

「どうして!?それよりその武器──」

「──死ぬぞ」

 

俺が()()()()()()でそう言うと2人は戸惑いつつも楓達のいる方に走っていった。

その間にもビーストは俺の方に近づいてきて攻撃をしてこようとしたが、それを槍で防ぎ、そのまま槍の持ち方を変え、そして──

 

「──穿て!《ゲイ・ボルグ》!!」

 

そう叫び、構えていた槍を投げる。その槍はビーストを1度貫いた。

その直後、()()()カラドボルグが貫いた箇所から炎が発生した。

 

「──はっ?」

 

そんな間抜けな声が出るほど予想外の倒れ方をした。

カラドボルグ──それから放たれるゲイ・ボルグの効果に火炎なんてなかったはずだが……

 

などと考えていると、カラドボルグが手元に戻ってきて、そして俺のレベルがひとつ上がったことによるファンファーレが流れた。

そして、違った効果を発動したにもかかわらず、相変わらず俺のHPは半分減少していた。

 

 

 

それから数分後、理解が追いつかず停止していた2人と、楓とルナが駆け寄ってきた。

 

「とりあえず……何とか倒せた?」

「……あぁ、お前らのおかげで、な」

「いや、それより今のは──」

「……聞くな、お前らに話せるもんじゃない──それより楓、無事だったんだな」

「あ、はい──それで先輩「俺は一緒には行けない」えっ──?」

 

駆け寄ってきた3人──ルナ以外──の質問攻めにされつつ俺は楓の無事に安堵した。

それと同時に楓が言おうとしたことに対して否定を出した。

 

「私たち何も言ってないけど……私たちの《ギルド》に入って欲しいって」

「あぁ、そんなことだと思ったよ、お前ら──6層の転移門前からずっとつけてただろ」

「それは……」

「楓ならわかってたと思うが……とりあえず楓の友達か何かだろ、俺はギルドには入らな──

 

「誰かを失うのが嫌だから、ですか」

 

案の定ギルド参加への誘いだったのを断り、帰ってもらおうと思ったところで俺の言葉を遮ったのは、俺がギルド参加を断る理由の一つである楓だった。

 

「この世界に入った後すぐに()()()()()が起きて、それから数ヶ月、私だって何もしてなかったわけじゃ無いんですよ、それに、先輩を誘うのは()()()()()()()()からです。守って欲しいからじゃないんです」

 

「……そうか」

 

楓の言葉を聞いたあと、俺は1度空を見上げた。

βテスト終了後、俺が渡したSAOへの参加権、それを利用した結果、アーガスの代表的存在のあの男(茅場晶彦)に彼女ははめられた。

もちろん、管理者としてのシステム等の情報は持ってるだろう、だが、他プレイヤーたちもβテストの時との違いに困惑したように管理者である俺たちもそれに対処することは厳しかった。

そんな彼女が──いつかはわからないが──合流した友人だろう2人とギルドを組み、こうやって前線に来たことが彼女の努力や本気は確かなものだ。

 

「……わかったよ、だがずっと一緒にいるってことは出来ない、それはいいか?」

「はいっ!みんな、やったよ!」

「やったねカエちゃん!……私はシズク!よろしくね!」

「はぁ……()はライム、よろしく」

「俺はラギ、よろしくな」

「ラギー!私を無視しないでっ!──私はルナ!よろしく!」

 

こうして、俺は楓の所属しているギルドに加入した。

 

「とりあえずクリアしたクエストの報酬をまとめたら1度休ませてくれ」

「賛成です、あのモンスター戦でいつの間にか夕方ですし……」

 

そんな会話をしながら転移門前へ向かう俺の手には何も握られていなかった。

そして、先を歩く俺と楓の背後から少し冷たい目線が送られてきたような気がした。

 

 

 

それと同時に、俺を見る誰かの気配が感じたような気がした。




割と早い投稿。
ということで夕立の霧雨メンバーに半強制的に勧誘からの入会。

ラギルートが久しぶりなので当たり前ですが久しぶりのカラドボルグとそれから放たれるゲイ・ボルグ。
何と謎の特殊効果が発動。

ちなみに本文中にラギが装備したのはゼデュースホーリーソードとは別の装備品です。

そして次回は平和回。というなの日常。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。