ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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32:双方の秘密事項

第6層にて発生したクエストモンスターの【狂化】現象。

その影響は全く出ていないようだが、何が原因でそれが発生したのかは判明することがなかった。そして、そのクエストの報酬はとてもしょぼかった。

 

 

《はじまりの街:宿屋通り/仮ギルドハウス》

 

苦労に合わない報酬を獲得したあと、俺とルナは3人が借りている宿にしてはかなり大きな施設に招待された──のだが。

 

「四人部屋だな、俺は別の部屋借りるわ」

 

シズクから「安めの宿をギルドハウス代わりに使ってるの!」ということだけは聞いていた。

なのでこの宿の全ての部屋がこのギルドメンバー用のものとなっているらしい。

この宿の設計をした人間は大人数が一部屋に入ることを考えていないのか──1階にカフェ的なスペースがあるからだろうか──寝室として使える部屋の中で最大人数は4人、俺とルナが入れば5人、つまりは自動的に誰か1人は省かれるわけだ。

そうなると真っ先に異性の俺が別室を使うのが最善だろう。

 

「まぁ、ギルドハウスとして使うことは想定されてない訳だし、パーティ組んだ場合の最適人数の4人が入れる限界だろうな」

「そんなぁ……ラギ、寝袋とか無いの?」

「あるわけないだろ、それに俺はお前らとは異性なんだし……何か用があったら俺の部屋に来るかここに呼んでくれ」

 

残念がるシズクとルナ、そして楓の姿を横目に見ながら部屋から出て近くにあった一人部屋に入った。

一応、扉の鍵は締めることができるようになっていることを確認したあと、すぐに楓に呼ばれ、4人の部屋に向かった。

 

 

 

「……改めて!私たちのギルド、《夕立の霧雨》に入ってくれてありがとう!私が一応のギルドマスターです!」

「あぁ、こちらこそよろしくな」

 

部屋に入ってすぐ、女子会してた雰囲気の中、シズクが改まって感謝を述べてきた。

 

「──なぁ、あんた、何かを隠してないか?」

「挨拶してくるかと思いきや何だ、──ライム」

 

感謝に対し答え、握手まで交したところで、俺はライムに声をかけられた。

 

「どうせ教えてくれないと思うけど、シズクや()に何か隠してないかって聞いたんだ」

()、ね……お前らに話せば俺がギルドに入った意味もなくなるだろうよ」

「なんだよそれ……!何かあるなら話「それはお前もだろ」なっ──」

 

ライムの質問に対し出来る限り冷たく、そして気づかれないように答えた。

そんな俺の回答にライムは怒りに近い感情を浮かべていたが、すぐに収まり近くにあったベッドに腰をかけた。

 

「……わかった、しばらくは聞かないことにするよ、でも──シズクに何かあったら許さないからな」

「へいへい、わかったよ。……とりあえず今日はこの辺でいいか?」

「今言う?でも確かにもう夜だもんね」

 

ライムと険悪な雰囲気になりつつ、俺はSAO内部時間─リアルと同じではある─を確認し、視界に入ったとても眠そうなルナの様子を見てそんな提案をシズクにした。

もっと話したい!とか楓との馴れ初めとかを聞かれたらどうしようと思っていたが、そんなことはなく、そのまますぐに解散、俺は個別の部屋に向かった。

 

 

その後しばらく経ったところで楓──PNはカエデ──からメッセージが飛んできた。

 

 

──先輩へ。

私たちのギルド、夕立の霧雨に入ってくれてありがとうございます。

と言っても無理やりだったかもですね……そこは反省します

ライムも、本当はすごく優しいんですが、()()()をしたりする人には敏感で……

もし、先輩が私のことを気にかけてリアルでの活動をみんなに話してないならそれは気にしなくても大丈夫です。

あの二人は……《家族》みたいに優しい人達ですから

 

夜遅くにすみませんでした。

また明日、しっかりとみんなに話をしましょう。

 

 

そんなメッセージがカエデから送られてきていた。

そりゃあ、ライムのあの態度は正直素とは思ってないけど、なんで男っぽい言葉使いなのかとか色々と気になることはある。

まぁでも、俺だって2人に話してない秘密がある。カエデは気にしなくても大丈夫と言ってくれたがそこらの会社に入った等ならまだしも、このゲーム内で()()()()に入ってるということを言えばいくら仲のいい2人でも……

 

──私は、あなたを信じる。

 

「……おまえならどうする、ハヅキ──」

俺はふと、()()に言われた言葉を思い出しその当人の名を口にした。

あいつこそ最初は信用してくれなかったが最近になって、言うより昨日、俺がこのゲームの開発をした会社、アーガスの社員であり管理者権限を持っているということを信用してくれた。

もちろん、彼女だって俺の持つ管理者権限によってPKができるという事は把握していたはずなのに……

 

「あぁ、もう……!どうすりゃいいんだか……」

 

あの二人──シズクとライムに伝えるべきなのか否か、そんなことで頭がいっぱいになり、俺はそのまま1人用の布団に突っ伏した。

当たり前だが、このギルドメンバー以外は誰もいないこの宿はかなり静かだ。

そんな中、位置的には隣にある彼女達の部屋からとても楽しそうな談笑の声が聞こえてきた。

 

「──家族、ね……」

俺は布団に倒れたままそんなことを呟いた。

幼い頃に親を失った彼女からすれば、あんな風に一緒にいてくれる人は少なかったはずだ。

だからこそ、あの関係を俺が関わることで崩す訳には───

 

 

色んなことを同時に考えているうちに、俺はいつの間にか寝てしまっていたらしく、起きたのは次の朝、カエデが部屋にやってきたタイミングだった。

 

 

「先輩──助けてください!」

 

朝一で俺の部屋に来たカエデはかなり緊迫した様子で俺に助けを求めてきた。

 

「どうし「ライムが……」

 

「ライムが……どこかに行っちゃったんです!」




彼が真実を話した時、彼女たちは何を思うのか。


暇なら投稿しろって誰かに言われた。
なので早めの投稿です!気分乗って来たので描きました。

夕立の霧雨という名前の少数ギルドに入ったラギ、ライムと揉めたあと自室で色々と考えた彼は次の日、ハプニングに襲われる。
内心(あの馬鹿っ!)とか思ってますよ、多分。



ざっくりとしたステータス(夕立の霧雨メンバー/第6層攻略現在)

ラギ/片手直剣(アニールorゼデュース)/Lv22
使用可能スキル:片手直剣SS熟練度300前半/管理者権限(転移等)

ルナ/片手直剣(アニール)/Lv 20
使用可能スキル:片手直剣SS熟練度250まで

シズク(female)/片手直剣(スチールソード)/Lv18
使用可能スキル:片手直剣SS熟練度200まで

ライム(female)/片手直剣(ブロンズソード)/Lv19
使用可能スキル:片手直剣SS熟練度250まで

カエデ(female)/片手直剣(スチールソード)/Lv18
使用可能スキル:片手直剣SS熟練度250/管理者権限?
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