ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
それはある日。
もちろん、誰かに言われたからとかじゃなく、自分でなりたいと思ったから。
誰かを、救えるようになりたかったから。
そう思うようになったのはいつの頃だっけ。
──クルちゃん!
懐かしい声だ。
あれは、あの時、
でももう、彼女は───
現在。
朝、みんなよりも早く起きた
別に、買い物をする訳でもないし、外の空気を吸うためでもない。
ただ、《あいつ》よりも強いと証明したいから外に出た。
あの二人を──シズクとカエデを
「
そんなことを呟きながらはじまりの街の転移門広場へと行き、そして彼女はとある場所へと向かっていった──。
「はぁ……はぁ……」
(抜かった……まさかボス系がいるなんて……)
ただでさえ道中のMOB共に苦労していた中、最奥にたどり着いた途端に大型のボス系MOBがポップした。
HPがほぼ全快の状態でボスに攻撃を仕掛けたが、全く歯が立たず、
耐えられるレベルだと思ったのもつかの間、ボスの攻撃が当たった私は吹き飛ばされ、そしてHPが一気にレッドゾーンまで減っていた。
タゲを向けられながらもボスの攻撃を避けつつダンジョンの出口に向かおうとしたが、道中で倒したはずのMOB達がリポップしていて通ることさえ厳しく、結局今私はボスを撒き、雑魚MOBもポップしない空間に逃げ込んだ。
「このまま終わる訳には……」
さっき受けた一撃で装備していたアーマーは砕け、使い物にならなくなった。
それだけじゃなく、その下に着ていた服もボロボロになってしまっていた。
HPを回復しようにも勢いで出てきてしまったがためにポーションはまともなものを持ってきていない。
一応、イエローゾーンまで回復はしたけど、現状でボスを倒せるとは思えない。
その時だった。
洞窟の通路から重々しい、嫌な気配を纏った足音が近づいてきていた。
それが目視できるようになった瞬間、
間一髪で避けたものの、既にボロボロにだった
「あぁ、こんなことなら……」
抵抗を辞め、全てを諦め、何もかもを投げ出そうとしたその時。
走馬灯のように過去のことを思い出した。
それは、もうこの世に居ない友人との思い出。
私が、傷つけ、失わせてしまった
──クル、ごめんね。
彼女は最期に私を呼んだ。
通っていた小学校の屋上に、立ち入り禁止と言われていたその空間で私にそんな言葉を伝えてきた。
そんなことない、私はそう否定した、でも彼女はずっと「ごめんね」と繰り返してきた。
──クル、私はクルと一緒にいれてすごく楽しかったよ、だからさ……
彼女は目に涙を浮かべながらそんな言葉を放った。
そして、言葉を続けた。
──私の分まで生きて。
──クルは、誰かを救えるから。
──じゃあね、クル……
その後、彼女は────
「はは……何を思い出してんだ私……」
ボスの接近を感じながらも私は立ち上がろうとすることさえ全くせず、完全に諦めていた。
「もう、いいよ………」
ごめんね、**
私、誰も守れなかった
私には、誰かを守ることなんてできなかったよ
あぁ、こうなるなら2人に最期の挨拶ぐらいすれば良かった。
ほんと、わたしはなにもできないな──
「とどけ───っ!」
突然、洞窟中にそんな声が響き渡った。
それは、一人の男性の声。
その後に足音なんかも複数聞こえる。
(あぁ、お迎えかな……なんて、死人に口なしってね──)
誰かの声や足音などを聞かなかったことにして意識を落とそうとしたその瞬間。
「──ざけんじゃねぇよ!馬鹿野郎!」
倒れ伏していた私は突然胸の辺りを掴まれそんなことを言われた直後、私は突然宙に浮いてるような感覚に襲われ、その後、腹部に急激な痛みが走った。
まるで、全力で蹴りを入れられたような──
「ちょっ、先輩!?」
「あ?悪いがあれでも手は抜いてるんだ、お前はそばにいてやれ」
「あれで手抜いてるって……って、先輩は何を?」
「おれはこの
「でも「いいから早く下がれ!」は、はいっ!」
思った以上の痛みで視界すら薄れていてしずらいが、ボスの前にたっているその男から、まるで殺気のような何かを感じた。
「悪いが直ぐに片付けてやるよ………」
男は───ラギは背中に装備していた剣を抜き、そう言った。そして──
「俺は今、最高に怒ってるからな──!」
先程以上に彼の殺気のような何かは大きくなったような気がした。
大切なものを失った少女は
大切なものだけを守るために英雄となろうとした。
だがそれは、自分だけでなく、周りをも追い込むような形になってしまっていた。
と、いうことで過去回想を本編進行中に突っ込むという荒業をやりました。
実は彼女達の過去はリメイク前でもあまり深くは扱わなかったんですね。自分でもびっくり。
次回、なんか人格変わった気がする彼の大暴れをとくとご覧あれ!