ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
SAOがデスゲームとなり、1ヶ月が経過した頃、未だ第一層がクリアされていないことに不安を感じ始めた時、俺にメッセージが届いた。
差出人の名前は【kirito】、1ヶ月間偶然にも一度も顔を合わせなかったあのキリトだ。
『ラギへ』
今はじまりの街にいるなら商店通りにある広場に来て欲しい、そこでやっと第一層を攻略するメンバーを募ろうとしてるプレイヤーがいる。
という、割と簡単な内容のメッセージだった。
ちょうど商店通りで装備のメンテナンスをしていた俺は近くにある広場から誰かの演説を覗きに行った。
「もう一度話そう、俺は今、第一層をクリアするためのメンバーを集めている、もし一緒に攻略に参加するというプレイヤーは《トールバーナ》という街がフィールドを進んだ先にある、そこで行われる《攻略会議》に参加して欲しい、俺からは以上だ」
そこには水色っぽい髪色の青年(?)が立っていて第一層の攻略への参加を促していた。
今まで積極的に攻略を進めようとするプレイヤーがこういった形で演説をするということが少なかったからか、周りにはそこそこの装備のプレイヤーや商人などが集まって話を聞いている。
結局、ここでこういう事をやっているとメッセージを送ってきた張本人は見当たらず、演説は終了し、プレイヤー達は「トールバーナ行こうぜ!」などと話しながら各地に別れて行った。
「攻略会議か……まぁ行ってみるか」
今さっきまでのちょっとした騒がしさが無くなった商店通りをあとにしようと、転移門広場の方に振り向いたその時──
「やぁ、オニーサン、なにか面白い話はないカ?」
「お前、誰だ」
気配もなく俺の後ろにフードを被ったプレイヤーが立って、俺が振り向いたと同時に声をかけてきた。
フードの中に見えるのはまるで《鼠》のような髭のペイントが顔にされていて、髪色は金髪……サービス開始前後に見たプレイヤーとは違う雰囲気を出している。
「おっと、まずは自己紹介からだナ、オレっちは《アルゴ》、情報屋アルゴ」
「お前が噂の《鼠のアルゴ》か、そんな情報屋が俺に何か?」
SAOサービス開始から1ヶ月、フィールドの攻略法やモンスター情報、クエストのクリア方法などなど、それら全てをどんなプレイヤーより早く他プレイヤーに伝える。
そんなことをしているプレイヤーが情報屋と呼ばれ、その中でも特に情報が早いのが《鼠のアルゴ》だ。
「オレっちの目は誤魔化せないゾ?オニーサンは
「……とりあえず誰もいない所に行くぞ」
誰かに聞かれたらまずいと思い、俺は情報屋とやらを連れて路地裏に向かった。
「教える前に約束しろ、俺の正体は誰にも明かすな」
「それだけ重要なことなんダロ?」
俺はアルゴの言葉を信じ、俺の正体の
もちろんアルゴは信じようとしなかったが、それを覆すための《とあるスキル》をアルゴにみせ、さらに迷宮区に出てくるであろうモンスターの情報まで伝えた。
「……なるほど、これはどんな情報屋でも持たない情報ダナ、分かった、オレっちは信じる、その代わり」
「その代わり……?」
「お前の正体を誰にも明かさないという約束の代わりに、オレっちとしばらくの間パーティを組んでクレ、もちろん何も得られないわけじゃナイ」
アルゴが俺とパーティを組むと言ってきたと同時に出てきたメリット、それは──
「分かった、俺がお前に情報を与えて、お前は俺にその情報と交換したアイテムや報酬を渡す……なにか気に食わないがそれで手を組むよ」
「よし、これから宜しくな《ルー坊》」
「……はい?俺は《ラギ》だぞ、どこからルー坊になるんだよ」
「何となくダ、とにかく今はコンビネーションの確認をしながらトールバーナに向かうゾ」
こうして、突如としてパーティになったアルゴと共に俺は攻略会議が行われるトールバーナに向けて出発した。