ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
SAO第一層
【はじまりの街:黒鉄宮】
「第6層がクリアされた?」
「そうなんだヨ、ただ問題があって……」
「……1人のプレイヤーが倒したって噂になってるみたい」
何故ハヅキ達がいるのかという疑問を飲み込み、アルゴに言われた事を1度口に出す。
そして、それに対して返答しようとしたアルゴの言葉を遮り、ハヅキが俺に詳細を話してきた。
「1人でって……そんなこと可能なわけないだろ?」
「だから、ルー坊を呼んだんだヨ」
「俺?」
「あぁ、ルー坊のスキルならソロでもボスを倒せるんじゃ無いかって思ったんだ、だけどその疑問は直ぐに違う答えに変わったよ」
「ん?どゆこと?」
疑いの目を向けられたと思いきや、アルゴは直ぐにその発言を否定した。
正直、カラドボルグの耐久が無限だったらボスのソロ攻略もしない訳では無いということは内に秘めておこう。
「それが、6層のボス部屋に様子を見に行ったプレイヤーの一部と連絡が取れなくなったんだヨ、それで、帰ってきたプレイヤー達は口を揃えて「見たことも無い赤服の剣士がいた」って不明なことを言ってるらしいんダ」
「赤服の剣士……?」
それは確かに俺じゃないな、と心の中で呟きながらそのプレイヤーが一体誰なのかということを考えた。
だが、現在のSAO上層部に来ていて攻略に参加するようなプレイヤーの中に赤色の装備を着ているようなプレイヤーは見たことがない。
もちろん、夕立の霧雨も前線に来ていたのは知ってたがあいつらはここ数日俺と1緒にいたし赤服なんて装備していない。
キバオウたちのメンバーも全員把握はしてないがソロでボス攻略できるほど戦力があるとは思えない。失礼かもだが。
(誰なのか確認するしかなさそうだな……)
「ルー坊、お前を呼んだのはそのプレイヤーが誰なのかを確認するのと第七層に行けるようにすることを頼むヨ」
「誰も第七層に行ってないってことか?さっき様子見に行ったヤツらがいるとか何とか言ってたが」
「それが、そのプレイヤーは通ろうとする奴を片っ端から
「あぁ、それで……」
先程、アルゴが言っていた「連絡の付かなくなったプレイヤー」は──
噂の謎のプレイヤーによって文字通り殺されたと考えていいだろう。
「だからルナと俺の入ったギルドメンバーは置いて来いって言ってきたのか……なら何故この2人が?」
「ハヅキとコハルはついさっきそこの──タワークエストから帰還してきたとこにオレっちがたまたま来て事情を説明してくれたら行くことを引き受けてくれたんだヨ」
「なるほどな……タワークエストのことは後で聞くとしてとりあえず急いだ方が良さそうか」
「賛成、行こう」
アルゴに変わり俺が出発の合図を出すと、それに応えたのはしばらくの間黙っていたハヅキだった。
何故か少し彼女は呆れたような声だった気がするが、今はそんなことを気にしてる暇などないと自分に言い聞かせる。
臨時のパーティを組んだ後、俺たちはほとんど足を踏み入れてすらいない第六層のフィールドへと転移した。
第六層フィールド
「いやぁぁぁ!?」
「ちょっ、ラギ、アルゴ、助け──」
フィールドを進んでいた俺たちだったが湿地帯ということもあって地面がぬかるんでいて足場が悪く、俺とアルゴは難なく行けた道が俺たちが通ったことによってぬかるみが悪化、その結果後ろの2人は足が泥にハマりほぼ身動きが取れないような状態になっていた。
そして、そんな2人は暴れたせいでバランスを崩してそのまま転倒、俺たちが救いの手を差し伸べる前に勢いよく泥に全身を突っ込んだ。
「うぇぇ……動きづらい……」
「まさか複数人で進むとあんなことになるなんてな」
「ルー坊、他人事みたいに言うナ」
「とりあえずそこに水辺あるし装備着たまま入っとけ」
泥だらけになった2人を先に歩かせながら周りを見ていた俺は、まるで泥まみれになるプレイヤーを想定していたのか、オアシスのような空間があった。
そして奇跡というか進んでいるうちにほとんど戦闘もなく迷宮区入口に到着していた。
「装備してると動きづらい……ラギ、後ろ向いてて」
「……あー、なるほど──
俺はそこら辺探索してくるからアルゴ、2人のガードは任せた」
「残念だったナ、ルー坊。可愛い子2人のいい姿見れなくて」
「……期待してねぇわ」
2人とも装備を──無防備になると考えずに──解除した音を聞きながらアルゴにそんなことを伝え、俺は少し周辺を探索しに行った。
という名目だが、俺の現在の目的は2つ。
先に迷宮区に入ってその噂のプレイヤーとやらを止めること。
だが、今はそれよりも先にやらないといけないことがある。
「……今は構ってる暇なんて無いんだが」
「よく気づいたね、おにーさん」
湿地帯の途中にあった森林──熱帯雨林とでも名付けよう──の1つ木に向かってそういうと、それに答えるように木の上からプレイヤーが降りてきた。
白髪に黒をメインとした装備を着て
「さすがに何度もお前に見られれば気配も気づく。
忙しいんだ、早くけりを付けるぞ───
ジャック──っ!」
「あははっ、おにいさん──
せいぜいわたしを楽しませてねっ!」
両者同時に引き抜いた剣はお互いの攻撃によりかなりの勢いで衝突した。
その頃。
「あ、ああ──アルゴ……っ!?」
「何これぇ!?」
水遊びをしていた彼女たちにも、ハプニングが発生していた。
まぁ、まだ正体は明かしませんよ。
第六層ボス部屋に向かう道中に何も起きないわけないじゃないですか。
お久しぶりのアルゴさんですが、ろくに戦闘もせず今回は終わりました。
次回、作者が本気で書くつもりのラギVSジャック戦。