ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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38:切り裂きジャック(1)

第六層フィールド

【湿地帯の森】

 

剣を抜き、お互いの剣が衝突──鍔迫り合いを起こした。

俺もそれなりの勢いで剣を振ったつもりだが、相手(ジャック)の2本の剣の同時攻撃による威力の増加は短剣の攻撃力の2倍以上と言える程に強力だった。

 

「あははっ!おにいさん、強いね!」

 

「どの口が言うか……っ!」

 

1度距離をとって直ぐに再びお互いの剣が衝突。

そしてぶつけ合うだけでは相手の思うつぼ、そう判断しバックステップのような動きで後ろに下がる。

数歩下がったところでジャックは逃がさんと近寄ってくる。その隙を無駄にしないために右足を後ろに、左足を前に出す形でフォームを作る。

右手に持った片手直剣《アニールブレード》の剣先を相手に向け、右足と同様に体より後ろの方に構える。

 

「はぁぁぁ!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()しながら片手直剣ソードスキル《ヴォーパルストライク》に似た動きでこちらに向かってくるジャックに向けて剣を突き出す。

さすがにソードスキルを発動してないことには気づかれるだろう。だが彼女はそれでもと俺の背後に回り込み2本の短剣による同時攻撃を繰り出そうとしてくる。

 

「させるか──!」

 

そういう行動になるだろうと予測していた俺はソードスキル、《スラント》に似たモーションをとりながら後ろに振り向く。

今の動きは──言うならば《バックスラッシュ》とでも名付けようか。

 

ソードスキルでは無いため、彼女の剣と衝突したところでこちらが有利、というわけでもなく、2本の短剣は俺の《アニールブレード》から出された剣戟の勢いを相殺した。

 

「まだまだ楽しませてよ、おにいさん──っ!」

 

「そんな暇ないって言ってるだろうが──!」

 

()()()()()()ジャックの止め処無い連撃をギリギリで受け止める。

タイミングを測って隙を作らないと今の状態だと俺が圧倒的に不利だ。だからこそ、ジャックのソードスキル発動を誘っているのだが……

 

「もっともっと……!」

 

彼女はただの連撃を繰り返すだけ。

こちらは押されて精一杯だというのに向こうはまだ余裕そうに、俺を弄ぶように短剣を振る。

 

「おにーさん、面白いの見せてあげる──よっ!」

 

「あぶ──……なんのつもりだ」

 

突然、彼女は左手に持っていた白と赤の短剣を俺に向けて投げてきた。

女の子が投げるにはかなり速く飛んできたそれを俺が避け、彼女の方を見ると彼女は──何かを待つように笑っていた。

 

「舐めんじゃねぇ!」

 

右手に持った片手直剣を地面と水平にし、剣技のイメージを自分の中で拡大させる。

この一撃で決める訳じゃない、ただ、目の前の彼女に少しでも近づくために……

 

「……はぁあああ!」

 

剣が赤く光る。

それは、ソードスキルの《ヴォーパルストライク》を発動させた証拠。

 

 

だが

 

「──……な」

 

その剣技は、彼女に届くことなく途中で止まる。

そして、HPの減少が起きたのは俺の方だった。

 

「……その短剣、そのスキル。……そうか、やっぱりそれが()()か」

 

「さぁ、それはどうかな……!」

 

俺のソードスキルを中断させ、逆に俺のHPを減らした()()は彼女が先程俺の後方に投げた短剣。

今、短剣は2本とも彼女の手に握られている。

大体どんなスキルかは理解出来る。

 

 

「厄介なやつにスキルが渡ったな……本気でやらせてもらお──」

「oh......時間切れだぜ。ジャックよぉ」

 

「誰だ……!」

 

再びジャックに近づこうとしたが、木の裏からジャックの横に深くフードを被った男が現れ、嫌な声質でそう言った。

 

(この声……まさか……)

 

「あーあ、時間かけすぎちゃったか。まぁいいや、おにーさん……次は殺すね?」

「そういうこった、じゃあな………あん時の」

「待て……っ!」

 

フードを被った男とジャックが去ろうとしたのを追いかけようと前に出たが、それを図っていたかのように俺の周りにジャックと共に去っていった男同様のフードを被ったプレイヤーに囲まれた。

 

「おーっと、お前の相手は俺らだぜ」

「……ジャックに使おうと思ってたがここで本気を出すしかないか。お前らは──PK達だけは許せねぇ」

 

フードを被ったプレイヤー達全員に共通して言えること、それは第5層でハヅキたちを襲ったPK集団の一員と同じということ。

プレイヤーの、()()()()()()()()()()()()()の命を奪うような奴らを放っておく訳には行かない。

 

「おー、怖い怖い、だがこの人数。ジャックちゃんみたいに連撃数やべぇ剣技でも使えれば話は別だろうけど、こんな低層にそんなスキル使えるようなやつはいないっしょ」

「──シス───コール……コード──解禁」

 

「あん?聞こえねぇよ?……まぁいいか、ほらお前ら。殺っちまえ」

 

相手の挑発を無視し、俺の持てる《力》を発動させる。本来禁則事項だし使う気は無いとあるものを一時的に解禁した。

 

「……死ぬのはお前らだ」

 

右手にイメージを集中させ、それに応じるように剣が青く光る。俺に飛びかかってきたプレイヤーよりも高く飛び、頭上から垂直に一撃。それによって地面に叩きつけられた1人を右半身を使い突き飛ばす。さらに1人を左半身で突き飛ばし、飛ばした2人をまとめて2連撃を当てる。

残った2人のうち片方に《ホリゾンタル・スクエア》に似た4連撃全てを放ち、そして──

 

「……じゃあな、殺人者(同類)

 

抵抗させる暇も与えず、ラストの一撃をリーダーであろう1人に、《ヴォーパルストライク》と似た1突きを与えた。

 

 

大雑把であり、本来とは少し違うソードスキルの連撃を終えると、俺の周りにはプレイヤーの消滅──死を意味するポリゴンの欠片が散っていった。

 

「……あいつらのところに戻るか」

 

ジャックとの戦闘が中断したことを少し後悔しつつ、俺はポーションを飲みながら第6層迷宮区の方に歩いていった。

 

(ジャックが何故アイツらの……いや、それよりスキル消さないとだな)

 

咄嗟に使ってしまった《権限》を解除し、歩くこと数分。

 

 

 

少女たちの悲鳴が、俺たちの耳に入ってきた。




お久しぶりです。
本気で書くと言ったもののあまり上手くない戦闘描写を書き終えて更新です。


次回は少し時を戻すとしようか……



─────
10連撃のソードスキル
ラギが発動させたとある剣技。
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