ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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EX:それはきっと、運命的な

これは、如月春揮がアーガスという労働施設……では無く清く美しい会社に入ってからそれほどの時間が経っていないある日のお話。

 

 

「またラーメンかよ、遠藤」

「乗り気で来といてなんだよそれ、いいじゃんラーメン」

「別にいいけどさ……あ、俺チャーシュー丼と味噌ラーメンで」

「おまっ、食いすぎじゃね。俺は餃子と醤油ラーメン、あとライス小盛で」

「人のこと言えるのかそれ」

「ラーメンには米と餃子って決まってんだろ」

 

春揮はほぼ同期の遠藤と昼休憩の時間を使い、アーガスに入ってから何度か行ってるラーメン屋に足を運んでいた。

そして、n度目の全く同じメニューを注文しながらそんな会話を繰り広げていた。

 

「ところで聞いたか」

「いや何を聞いたんだ」

「これだから内部設計班は……あ、俺もそうか

じゃなくて、今日から新しく社員が来るらしいぞ」

 

遠藤は周りには聞こえない程度の小声でそんなことを伝えてきた。

だが、最近入った春揮たちでもわかるぐらいには、今のアーガスはそれなりに手は足りていた。

 

「新しい社員?俺らが言えることじゃないけど社員足りてないか?」

「俺もまだ噂程度だから知らないんだけどな、女性社員らしいぞ」

「お前がそういう話出してきた時点で何となく察してたよ、というか女性社員ならもういるだろ」

「……おいやめろその話題は」

 

女との出会いに縁がない男、遠藤は女性に関する話題には敏感だった。

その性格を理解していた春揮は遠藤が話題にしてきた理由などとうに理解しており、割と軽くその話を流した。そして、話題の本人がいたら消されそうなことを口にしたが、遠藤はそれを必死に止めるのであった。

 

「ほら、ラーメン来たしその話は後にするぞ」

「くっそ、覚えとけよ……」

 

などと話し、到着したラーメンを食べ終えた2人はその足でアーガスに戻って行った。

 

 

そして、通常通りの作業を開始して間もなく、アーガス内部設計班の仕事スペースに突然、別班にいるはずの上司が入ってきた。

その後ろには、知らない人が歩いており………

 

「ほら、俺の言った通りだろ」

「いや、お前さ……」

 

上司とその後ろにいる()()1()()が入ってきたことで何だ何だと騒がしくなった内部設計班の中で、さっき話しただろうとドヤ顔をする遠藤の横で、春揮だけは周りと反応が違っていた。

それもそのはず、彼の目線に入った上司の後ろにいるもう1人は───

 

「はい、君たちうるさい、注目はしていいけど仕事進めながら聞いてな。

……ほら、紹介紹介」

「は、はいっ!」

 

上司がそう言うと、後ろに隠れていた人が姿を現した。

 

「お、おい」

 

部屋中がざわつく中、遠藤は春揮の脇腹をつつき見たものを伝えようとした。

上司の後ろから出てきたのは、見るからに春揮達よりも年下の少女であった。

 

「こ、小嵐……楓、です……きょ、今日から……

その…、よろしくお願いしますっ!」

 

少女はあたふたしながら自己紹介をして頭をぺこりと下げた。

それに追加するように上司が言葉を続ける。

 

「この子はここじゃなく外部班の景色提案組に入るけど、こっちにも顔出す役割になってるから来る時は優しくしてあげてな。ということで自己紹介終わり。はい仕事して」

 

 

現在、アーガスには2つの班がある。

それが『内部設計班』と『外部設計班』。

春揮と遠藤がいるここは内部設計班であり、少女──楓は外部設計班に所属することになった。

それを伝えた上司は楓を連れて外部設計班の仕事場へと向かっていく。

それについて行く楓はとある人と目が合ったのだが、上司も周りの職員も気づく様子はない。

 

「なぁ、あの子」

「中学生だろうな」

「だよな、だよな!……え、でもなんで?」

「さぁな、俺達には関係ないだろ」

 

上司と楓が退出した所で興奮気味な遠藤は春揮へと声をかけた。

彼女は確実に春揮たちより年下。もちろん見た目が若いだけという可能性もあるが、彼女は見た目だけでなく反応も年相応に見えたのだ。

 

「あの子こっちじゃないんだよなぁ」

「そりゃ仕方ないだろ、こっちは変た……男が多いんだから」

「おいお前今何言おうとした」

「いや、気のせいだ。ほら仕事するぞ」

 

内部設計班は、8:2の割合で男性が多い。

そんなところに中学生であろう彼女を入れるのは誰が見ても危険だとわかる。

そういう点を考えての内部設計班だろう。

だが、彼女はちょっと特別だった。

 

「そーいやさっき、こっちにも顔出すとか言ってたっけ」

 

遠藤に聞こえないトーンでそう呟いた春揮はパソコンを使い続けた疲れを取るために全班共通の休憩室という名の談話室へと疲れた足を動かしながら向かっていった。

そして───

 

 

「……あ、はじめまして」

「あ、あぁ……」

 

2人は遭遇した。

アーガス全体(業務エリアのみ)を回りきったら疲れてしまった楓がそこでカフェオレを飲んでいた。

座っていた彼女は春揮が来ると立ち上がって頭を下げた。

彼としてはそういう丁寧さは苦手な方だったため、少し困惑しながらコーヒーメーカーを操作して彼女の側へと歩み寄る。

 

「隣、いいか?」

「あ、はい!どうぞ……えっと、えっ……と」

 

突然近づいてきた彼に対して少し慌てながら名前を呼ぼうとした彼女は名前を聞いてないことに気づいて言葉を詰まらせる。

少し笑を零しながら彼は名乗った。

 

「……如月春揮、呼び捨てでもいいから好きに呼んでくれ」

「わ、私小嵐楓です!」

「いや、さっき聞いた」

「はっ!?そうでした……」

 

先程、各班に自己紹介をしに来ただろうと彼に指摘されるとはっとした様子で少し照れた彼女は何かを考える素振りを見せたあと、突然彼の方に向いて真剣な表情でとある言葉を口にした。

 

 

「……先輩」

「え?」

「ここで、初めて優しく声をかけてくれたので、ここでの、そして私の先輩って意味を込めて……先輩って呼んでいいですか?」

「そりゃ全員その呼び方になるんだが」

「あ、そっか……」

「まぁ俺は氏名付けないで呼んでくれればそれが俺の事だって判断するから、それならいいだろ?」

「……はい!それでお願いします、先輩!」

 

彼女はとても煌めいた笑顔を見せた。

それは、誰しもが見入ってしまうほど美しく、綺麗だった。

 

 

 

「……なんで俺なんだか」

 

彼女が先に戻り、1人になった彼は静かにそう呟き、コーヒーを口にする。

彼女が何も知らないからこそ、話しかけてくれたのだと言い聞かせながら。

 

 

 

 

「どうしてだよぉぉ!!」

「うるさいっての」

 

内部設計班のスペースに戻って数時間後、楓が訪れてきて、すぐさま彼の所へ質問をしに来た。

それを見た遠藤は某カジノ漫画の主人公みたいな言い方で彼に質問を投げる、がそれを止めたのは彼ではなく彼らの上司の白澤だった。

 

「そうだぞ遠藤、後輩ちゃんが決めたことだ」

「あーもう!如月お前ちょっと目を離した隙になんで可愛い子を引き付けてんだ」

「言い方の問題だ、それに俺は相談に乗るって役割だ」

「って事なんではい、遠藤は落ち着いて自分の仕事に戻って。

如月、後輩ちゃんにしっかりと教えるんだぞ?」

「わかってますって。それよりあっち止めてください」

 

春揮が言った『あっち』にはこれまた危ない人、もとい木田が怪しげなことをしていた。

すぐさま白澤はそれを止めに行った。全力で。

 

「あっと……ごめんな、それでどこだっけ」

「あ、大丈夫です、先輩。

それでですね、この建物をここに置こうって話になってるみたいなんですが、この辺、クエストNPCとか置かれますか?」

「あー、ここは……いや、特に置かれないから大丈夫だよ」

「わかりました、ありがとうございます」

 

なんて会話を繰り広げている2人は、傍から見ればカップルで。それはもちろん男性多めのこの班には毒のようなもの。

楓が戻った後、彼が質問攻めにあったのは言うまでもない。

 

 

 

「なんで私、先輩のこと気になって………って、そういう気持ちじゃない、うん。違う……よね?」

 

彼が質問攻めにあっている中、彼女は彼女で乙女心を揺らがせていた。

そう、一目惚れしていたのだった。

 

 

 

 

「また失礼します!先輩!」

「ん。空いてるからいいよ、それでどうしたんだ?」

「外部設計班で今、クエストの───」

 

 

それからというもの、彼女はほぼ毎回彼にシステムの相談をするようになっていた。

そんな二人の関係が出来たからこそ、これから先、色々なことが起きる。

 

 

 

 

「結ちゃん……」

 

とある少女と出会い、それぞれの過去を知り。SAOという名のデスゲームへの招待券を受け取り。

そんなSAOでは、友人と再会、戦い続けた末に想い人とも再会する。

 

 

 

まるで、彼らの出会いが、運命的であるかのように彼らは共に歩む。

例え、叶わぬ恋が待っていたとしても──




10月末公開予定だった話です。
すごい簡略敵になってしまいましたが、如月春揮と小嵐楓の出会いです。その1部。


ちなみにですがそろそろアンケートの結果を受けて一話書こうと思います。
添い寝ですかね
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