ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

83 / 131
68:星屑の流星(スターダスト・ステラ)

「スターダスト……」

「ステラ……?」

 

ラギのそばにいるハヅキと少し離れた場所で取り巻きの相手をしていたコハルが突如現れた六人のうち一人が名乗ったギルド名を繰り返した。

 

「そ、スターダストステラ、私はそのギルドリーダーの……っと、今はそれどころじゃないね」

「ホントだよ、話は後でいくらでもすればいいでしょうよ」

 

ハヅキに向かって自己紹介をしようとした少女はボスの攻撃を避けてギルドメンバーに注意を受けた。

内心は全く照れてないが頭を搔く素振りを見せる。

 

「あはは、つい()()()()()を見ちゃったから仕方ないっしょ」

「まぁ気持ちはわからない訳じゃないけども、今はこのデカブツ倒すよ」

「もち、ぱぱっと片付けますかね」

 

そんな少女の言葉で他の五人も一斉にボスの周りへ走り出す。

 

「アキ姉、ミコ姉!」

 

「「任せて!」」

 

アキ、ミコと呼ばれた二人は片手剣を構えてボスの足元を攻撃する。

ボスはバランスを崩しその場に膝をついた。

 

「よーっし!アッちゃん行くぞー!」

「了解!」

 

アッちゃん、そう呼んだ本人と呼ばれた本人のタッグで膝をついたボスへ同時に攻撃をする。

 

だが、二人が使う武器はほかとは違っていた。

 

「弓と鎌……?」

 

「ふっふーん、いいでしょ、弓」

「弓弓うるさいんだけど……っ!」

 

弓という誰もSAOで見たことの無い武器を目の前に困惑する一同。

そんな中スターダストステラの一員のひとりが何故かキレながらもボスへ攻撃を与えた。

 

「私たちに全任せしてる暇あるなら攻撃に加担して、特にそこの3人組!」

「私たちのこと!?」

「3人組あんたらしか居ないでしょ!ほら早く!」

「無茶言わないで欲しい……っ!」

 

銀髪のプレイヤーが指名した3人──夕立の霧雨は未だ現れ続ける取り巻きからラギを守ることで精一杯だった。

 

「なら()()()()()はこっちで残り二人はその人を守る、それでいいでしょ」

「しーちゃん……ってまさ──「それは後でって言ってるでしょ!」ひゃい!?」

 

ボスの攻撃を防ぎながら怒鳴る少女の圧に負けてライム達と別行動をしてボスへ接近したシズクはスターダストステラのメンバーに挟まれながらもボスに攻撃を与えた。

 

「しーちゃんさん、ボクに合わせて!」

「う、うん!」

 

銀髪とアキの二人でボスの刀を抑え、ミコがボスの注意を引いているうちにシズクとほぼ同じ背丈の少女が同時に剣を振る。

するとソードスキルを同時に終えた瞬間に光の斬撃がボスを襲った。

 

「何……!?」

「もう一回行くよ!」

「わ、わかった……!」

 

わけも分からず再度攻撃しようとする少女に困惑しながらも息を合わせてソードスキルを発動した直後、再び光の斬撃がボスへ降り注いだ。

 

「しーちゃん、よっちゃん、スイッチ!」

「「了解!」」

 

ボスの動きを止めた斬撃によりソードスキルの硬直をほぼ無くした二人へ下がる指示をした銀髪のプレイヤーが単独でボスへソードスキルを放つ。

彼女のソードスキルによりボスのHPはついにラスト一ゲージのイエローゲージまで減っていた。

 

「残りあと少し、黒の人、サムライさん、やっちゃって!」

「急に俺たちかよ!?」

「しゃーねぇ、やってやろうぜキリの字!」

 

ボス戦後半から取り巻き対処をしていたキリトとクラインに突然攻撃をするように指示が飛ばされる。

二人は困りながらも彼女達と入れ替わり交互に攻撃を与えていく。

 

時にボスの攻撃をシズク達が抑え、スターダストステラのメンバーは取り巻きを一掃しながらボスの体力を一気に減らしていく。

 

「よーっし、LA貰ったァ!」

「行け、クライン!」

 

ボスのHPがレッドゾーンになりあと一撃で倒せると思い飛び上がったクラインだったが……

 

「は──?」

「うおっ!?」

 

クラインの振り下ろした刀はボスが突如取り出した白蛇により防がれ、クラインは後方へ吹き飛ばされてしまう。

そして、突然白蛇がボスに噛みつき出した。

 

「何して……」

 

ハヅキがそう呟くと、彼女の近くに倒れていたはずの彼がボスの攻撃を防いでいた。

そんな彼だが、目覚めたばかりなのかHPが減ったままだ。

 

「ハヅキ、キリト、その白蛇を早く倒せ!」

 

ボスの刀を一人で抑えながら後ろに立つこの中で──リアルを除いて──最も彼との付き合いが長いかつ単発火力が高い二人へと指示を送る。

指示を出した当人が攻撃すればいいと言うことせずに二人はボスの足へ噛み付いてい白蛇を狙ってソードスキルを撃つ。

ハヅキはスキルレコードによる飛ぶ斬撃を、そしてキリトはヴォーパルストライクで直接攻撃をする。

 

『kisyaaa!!』

 

「──させるかぁ!」

 

二人の攻撃を避けようとした白蛇を銀髪のプレイヤーが胴体を貫いて制止した。

その一撃で白蛇自体の体力はじわじわと減っているが、決定的な一打ではなく、更にそんな状態でも白蛇はボスに噛み付いていた。

 

「──アキ!」

「……っ!」

「お前がやれ!」

「わかった……!」

 

ボスが暴れだしたことにより抑えることがやっとになったラギが後ろで困惑して立ち尽くしてる少女、アキと呼ばれたプレイヤーを呼んだ。

少女は困惑したまま彼の言葉で表情を変えて真剣な顔でボスに噛みつき続ける白蛇へ駆け出して飛び上がった。

 

「これでどうだァァァ!!」

 

銀髪のプレイヤーが抑えていたところへ向けて《バーチカルスクエア》を放った少女は地面へ着地した。

少女の与えたダメージにより白蛇のHPは完全に尽き、白蛇は消滅した。

 

「これでLA──って」

「急かしたのはこういう事だよ」

「「ボスのHPが………」」

 

白蛇を倒したことで安堵した少女達へと突き付けられた現実。

LAを取れる寸前まで減っていたはずのボスのHPは、いつの間にか一ゲージ分全て回復していたのだ。

 

「なんで!?」

「落ち着け、何とかステラ」

「スターダストステラね!それよりも原因わかってるみたいだけど」

「あの白蛇、アイツがボスのHPを回復した、そんなとこだ」

「なるほど……ってか、久しぶりに会ったんだし感動の「そんな暇無いだろ」はーい……」

 

弓使いのプレイヤーがラギへ声をかけた。

彼の反応や話し方が少し他と違っていることにハヅキ達が気づいたが口に出すことはしなかった。

そんな二人は何かを確かめた後、それぞれのギルドメンバーに指示を送った。

指示を聞いた彼女達は一斉にボスへ攻撃を始めた。

 

『残りHPがイエローまで減れば確実に倒せる、だがそれを逃せばまた白蛇が出てくる、そうなれば無限ループだ。

だからそれを防ぐための保険として俺は準備をしておく』

 

彼がHPを回復しながらそんなことを言った。

その真意は彼が所属している夕立の霧雨だけが知っているのだが、そんなことを知らないスターダストステラのメンバーは頭にハテナを浮かべた。

指示を半分程度しか聞いてない風林火山やキリトとアスナは再度出現した取り巻きの処理を自ら担った。

 

「行くよー!アキ姉、サキ姉!」

「「了解だよ!」」

 

六人の連携と三人の連携がそれぞれボスへの攻撃に向けられる。

ボスに行動の隙をほとんど与えることなくHPを減らしていき、あっという間にボスのHPはイエローゲージまで減少した。

 

「ラギ、クロッシングやるぞ!」

「あぁ、待ってた──やるぞ!」

 

HPを完全に回復した彼は武器を《アニールブレード》から《ゼデュース・ホーリー・ソード》へと変えてその時を待っていた。

()()()()()()()()()その瞬間を。

 

初撃としてライムとのクロッシングスキルを混じえた二種のスクエア系ソードスキルを同時に放つ。

それにより発生した斬撃がボスを襲う。

ここまではいつものやり方だったが、彼にはこれだけで終わらせるつもりなど全くない。

 

斬撃が終わったと同時に彼がバーチカルスクエアを放ち、それが終わってすぐにホリゾンタルスクエアを放った。

彼だけでも計12連撃をボスへと与えた。

 

これによりボスを倒したと思ったが──

 

「倒しきれてない……」

「ハヅキ、コハル!頼む!」

 

星屑の流星に夕立の霧雨それぞれの連携攻撃に加えラギ単身の連続攻撃を受けたボスは残HPがギリギリ残っていた。

ソードスキル三回分の硬直が軽減されているとはいえ少なからず一分ほどは動けなくなっている彼目掛けてボスの刀が振られるがそれを銀髪のプレイヤーと弓使いのプレイヤーが抑えた左右から彼が指示を送った二人が同時にソードスキルを放ち……

 

「これで……」

「終わり──っ!」

 

ボスのHPが完全に尽き、大きくライトエフェクトに爆散して大きなファンファーレと共に【Congratulation!!】と表示された。

 

「ホントに私でよかったの?」

「別にこのメンバーなら誰も責めやしないっての」

「そうだよ、蒼眼ちゃん」

「そーだぜ、ハヅキ」

 

LA──ラストアタックを取ったハヅキがラギへ心配そうに話しかける。

そんな質問に対してそれぞれのギルドからも安心しろと肩を叩かれて彼女は俯いてた顔を上げたが、その表情はどこか曇っていた。

そもそもLAを誰が取ったかで争っているのはキバオウやリンドのギルドと一部βテスター反対派のプレイヤー達だけであり、ここにはそんな些細なことで咎めるようなプレイヤーはいない。

先にLAを取ろうとして失敗したクラインも「むしろ取ってくれて助かった」と続けるぐらいには彼女を攻めるようなプレイヤーは出てこない。

それ故に心配することなど無いはずなのだが、彼女の表情はまだ暗い。

 

「……俺らは上のアクティベート済ませてくる、お前らは?」

「んー……今回はパスで」

「了解、それじゃ()()()

「うん、また」

 

ラギはアキへと声をかけて一緒に行こうと誘ったが断られてしまった。

その代わりなのかアキが左手を上げ、ラギはその意図をすぐ理解して右手でハイタッチを交わしてそれぞれのギルドメンバーに合流した。

 

 

 

「いいのか、あの子知り合いだろ?」

「まだ、今はその時じゃないかな」

「俺と同じだな」

「そう、そこ気になって「行くぞ」えー……」

 

そんな会話をシズクとしながら次の層へ続く階段を登っていく彼の後ろ姿にどこか寂しさを感じたライムはこの先で別れることになると感じ取っていた。

 

 

 

 

 

それから数十分後

 

ラギ目線

 

 

アルゴへ階層を攻略したことのみを伝え終えた俺は待機させていた夕立の霧雨が待っている第10層主街区の路地裏にあるこの街の中で一番大きいと言われる紅葉の木の下へ到着した。

 

「あっ、ラギ!」

「……待たせたな」

「?どうしたの、そんな暗い顔……」

 

シズクの無邪気な顔を見てしまい言うことを躊躇いかけたが、その後ろに立ってるライムが「早く言え」と促してくるため覚悟を決めて口を開いた。

 

「シズク」

「うん?」

「一度、二人の間に立ってくれ」

「うん、わかった」

 

三人が紅葉の下に並んだところで三人の顔を一度見回してから改めて言葉を放つ。

 

「俺は、今日ここで夕立の霧雨を抜ける」

 

そう口にした瞬間、二人の表情が変化した。




星屑の流星、スターダストステラ。
()を探し続ける少女達が集い結束したギルド。
彼女達はそれぞれが力を持ち、それぞれが思いを抱く。



第10層ボス戦第2話です
ラギという重大な戦力の代わりに来た少女達は特別な力(ユニークスキル)を持ちながらボスを圧倒していく。
ラギも知ったような反応だが彼女達はいったい……?



次回
夕立の霧雨を解散する旨を伝えた彼だったが……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。