ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
本編(52話現在)より少し先の話ですがネタバレは無いはずなのでお気軽にどうぞ。
アインクラッド第10層攻略中
2月23日
ハヅキ目線
「団子一つください」
「……私はおしるこ」
珍しく主街区がある第10層のフィールドの様子を少し見てから街に戻ってきた私とコハルはNPCが経営している甘味処にて休憩をしていた。
「でもまさか、《圏内》がある層がちゃんと用意されてるなんてね」
「そうだね、それもこんなに日本っぽい城下町っていうのも面白い」
第一層のはじまりの街はどこか、日本では無い雰囲気が至る所にあったけど、この層は入口であるこの街からフィールドまで、日本の都のような、どこかの城下町を再現したような、そんな作りになっている。
こうやって、街の中のお店で団子を食べれるのも、昔テレビで見た京都の街中みたいだ。
「……美味しい」
「すごい美味しい……」
注文した物を店前の椅子に座りながら食べた感想が、ほぼ同時に口に出ていた。
「SAOの食べ物って、味とかほとんどしなくて食べた感覚が無かったけど、このお団子には味が付いてるね」
「おしるこも、ちゃんと味がある……」
第一層に売ってる硬いパンとか、今までSAO内で食べてきた物には一切味がなかった。というのも、仮想世界じゃその辺は再現できないとかなんとかで、無味で食べるしかないと言う話を聞いたことがある。
だからこの甘味処でも同じように味が無いものを食べることになるのかと不安になったけど、そんな不安は意味が無いほど、現実に近い味が口の中に広がった。
「ね、団子あげるからおしるこちょっとくれないかな」
「追加で頼めば──わかったからそんな顔しないで」
コハルの提案に案を出そうとしたけど、彼女はしゅんとした顔で俯いてしまう。
そんな顔されたら誰でも断れないって………
「ありがとう!──それじゃ、はい、私の団子」
「……ぱくり」
「え……」
一気に顔が明るくなった彼女は私に団子を差し出してきた。
少しぐらいならと思い差し出された団子を受け取らず、彼女が串を持ったままの状態で、串に刺さった団子をひとつ食べる。
……うん、美味しい。
現実でも近所に有名店があって、そこで食べてた頃を思い出す。
──決していい思い出の中にあるわけじゃないけど…
「美味しい──ってコハル?」
口の中に広がる団子の味を堪能していると、いつの間にか彼女が頬を赤く染めて停止していた。
「そうやって食べるなら言ってよ……ビックリしたじゃん……」
「ご、ごめん…?」
「なんで疑問形なの?……それならハヅキ、おしるこ私に
頬を赤くしながらもそういった彼女は私の横に置いてあるおしるこを取るわけでもなく何かを待機してるような顔をした。
食べさせてって言われても、この状況なら一つしかないんだけど──
「……はい」
「ん、いただきます──ぱくり」
スプーンでおしるこをすくい上げ、気づいたら開けていた彼女の口の前に運ぶ。
すると、彼女は一切の躊躇いもなくそのスプーンを口に入れた。
「こっちも美味しい……!」
「あの、さ……コハル?」
「?どうしたの、ハヅキ」
「……これ次食べる時、お互い──」
「ふぇ?──あ」
味を堪能してる彼女に気づきたくなかったことを伝えると、また頬を赤く染めた。
お互い、お団子とおしるこを食べ合ったのはいいけど、口をつけたわけで──
「「関節キスになる(じゃん)……!」」
気にしてなかったことに対して2人でハモる。
私はそこまで気にしないけど、それでもやっぱり少しは意識する。
もちろん異性じゃないし、特にこれといったあれは無いのだけど──
「うぅ……なんで言ってくれないの」
「ごめん、私も気づかなかった」
「せっかくの誕j……じゃなくて、休憩なのに──こんな恥ずかしい思いするなんて」
「誕生日……?」
彼女も無意識のうちだろうけど、すごいことを呟いた気がする。
確か、ラギの情報だとフレンドリストから登録した人に限ってだけど誕生日を確認できるらしい。
念の為に確認しておこうと、フレンドリストを開くと、コハルのフレンドページにはケーキのマークとか、色々と主張の激しいものが表示されている。
そして、誕生日の日付は──
2月23日、つまり今日だった。
「そういうことなら言ってよ、コハル」
「え、あいや……言って何か用意されたりするとお返ししなきゃとか考えちゃうから、あまり人に言わないようにしてるの」
「……信友にも伝えてくれないの」
「ハヅキ……」
「私はコハルの信友だから、そんな私にも伝えないの」
「──シン……ユウ?」
私の信友発言に対して何故か彼女は首を傾げた。
まるで理解してないみたいな顔で私を見てくる。
「シンユウって、何?」
「……え?」
混乱しているのか、彼女は
「いや、だから──」
シンユウの意味を伝えようとしたところで彼女が小さく笑った。
「──私は、あなたのパートナー。
そして、そう言った。
シンユウの意味を理解してたのかはわからないけど、彼女は本気で伝えてきている。
それは、彼女の顔を見ればわかること。
「……せっかくお祝いしようと思ったのに、それはずるいって」
「ハヅキは、私の信友。私のパートナー。でしょ?」
「そう、だね──」
彼女の一言一言が今は少し重く、優しく感じる。
いつか、本当に私を助けてくれるような、そんな1人だと、心のどこかで感じているのか、彼女の言葉は私に響く。
「──改めて、誕生日おめでとう、コハル」
何かをあげられるわけじゃないし、何かを出来る訳でもない。
それでも、私の
それが、どれだけ嬉しいことか──
「これからもよろしく、私の
風が、私と彼女の頬を撫で、髪を揺らした。
これから始まるだろう私たちの戦いを予兆するような、そんな風が。
コハル誕生日おめでとう!
SAOIFのヒロインである彼女は
こちらの作品ではハヅキのヒロイン……否、パートナーとして登場しています。
今回からこういった誕生日記念を書けるキャラは書いていきたいですね
ちなみにですが、信友と親友とシンユウは誤字ではありません
ユージンと友人みたいな感じです、伝われ