ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~ 作:桜花 如月
翌日。
俺はコハルをアルゴに任せてとある場所にいた。
本当は顔を合わすなんてことしたくは無かったが事情が複雑な上戦力として必要だと感じたため私情を捨てて──いや、私情しかないがとある少女達へ会いに来た。
奇しくも夕立の霧雨新ギルドハウスがある第10層に目的の場所がある。
和風テイストの街並みから少し外れた人通りのまばらな区域の一角、一見普通な建物、その玄関である一般家庭でよく見る木製のドアの前に立つ。
今なら引き返すことも可能、もちろんこっちから行くと伝えてあるためドタキャンになるが変に気を使わせるぐらいなら──
などと余計なことを浮かべているとノックもしてないのに扉が勢いよく開かれ、そこから伸びてきた2つの手によって俺は建物内に引きずり込まれた。
─────────
勢いよく引かれた手が突如離されたことによりバランスを崩した俺は思いっきり床に倒れこんだ。
「なにやってんのさアキ」
「いやいや力強く引っ張ったのはそっちですよね!?」
「無理やり引き込むことにしたのは君でしょ」
「うっ……」
俺が倒れているのを他所に責任転嫁の話をする少女2人。
どっちも悪いと思うんだが、それを言えば何されるか分からないから黙っておこう。
「お前ら何してくれてんだ……」
「あ、起きた」
「なんだその反応、というか──」
立ち上がり二人に文句の一つでも言おうと口を開くと「生きてたんだ」という言葉が片方から小さく聞こえてきた。当たり前だろこれで死ぬやつは居ねぇよ、多分。
なんてツッコミながらも二人の奥に十人十色な反応を見せながら俺を見てくる四人の姿が見えた。
「久しぶり、でいいのか」
「「そーだよ!!」」
「私たちはついこないだ会ったけどね〜」
「……女たらし」
「は!?」
感動の再会とやらになるが半数は前に会ってるし全員10層で顔合わせてるからそこまで感動するものでは無い。
それ故に「ちゃんと話すのが久しぶり」という意味合いになってしまった。
それを横目に唯一知り合いじゃない銀髪っ子がジト目で罵倒してきた。
「何、知り合いってことは聞いてたけどどういう関係なの」
「それじゃ自己紹介と行こう!」
「……人たらし」
「何故!?」
何か勘違いされてるようだが、決してそういうものじゃないはず。
そんなジト目の横で元気よく少女達の自己紹介コーナーが始まった。
「まず私ー!」
「あっ、ずるい!」
元気よく立ち上がり手を挙げた少女から自己紹介が始まる。
「私はヨシノ!久しぶり、ハル兄!」
「……自己紹介とは」
「気になってたけど、ハル兄……どんなプレイ?」
「勘違いだよ、訳アリなだけだ」
「へー、勘違いねぇ」
黒髪ロングに左端だけが赤くなっている少女はヨシノ、星屑の流星結成の中心人物でリーダーを担ってるらしい。
そんな彼女は──
「どういう関係なのか、聞いても?」
「ハル兄はハル兄だよ?」
「うん、どういうこと?」
「つ、次私!」
今更すぎるしまるで守ったことないがSAOはリアルの詮索は禁止されている。
故にヨシノのこともあまり話せない。
それを読んだのかつい最近あった人が手を挙げた。
「ユミちゃんへの紹介って感じだよね、なら話は簡単。
後輩くんは後輩くん!そして私は先輩のミコト、そしてそしてこっちがアッちゃん!」
「……後輩、ねぇ?」
「後で覚えておいてくださいね」
「えー?」
「これはキタちゃんが悪いね」
「えぇ!?」
ユミと呼ばれた子だけでなく、俺を引っ張ったもう一人にもジト目で見られてしまう。
決して意味深な関係はないのに紹介する本人達が語弊を生む言い方で終わらせるせいで変な勘違いを連続してしまう。
黙らせたいがここは耐えて流れに任せるとしよう。
「ラギクンがこんなにも脈広いとはねー」
「お前も名乗れよ」
「知ってるくせにィ」
「こっちの名前知らねぇよ」
「それもそっか」
すっかり忘れてた、と言わんばかりに照れ顔を見せる黒髪ショートの彼女は──
「ここまで知り合い感出しといて現実の話一切出さないってのは無理でしょ。だから私はちゃんと言うよ!」
「……こいつはリアルで中学の時に同級生だった奴だ」
「なぜ先言う!?」
あまり知らない奴に現実の話をするのは気が進まないがそういうのを全く気にしない彼女が思いっきり話そうとしたため思わず先に言ってしまった。
「こっちでの名前はサキ、よろしくねラギクン」
気を取り直して名乗った彼女……サキはウィンクをしてきた。
もちろん無視して五人目の方をむくと──
「お兄ちゃんずるいよ〜!!」
「おまやめ──」
向いた瞬間に彼女に飛びつかれてその場に押し倒された。
「痛った……何すんだよ!?」
「離さない……離さないから……っ!」
俺の上に馬乗りになった彼女は俺の両肩を強く掴んできた。
そんな彼女は頬から大粒の涙を零していた。
「……アキ」
「ヨシノちゃんからお兄ちゃんがずっと会ってくれたってことを聞いて、サキさんからお兄ちゃんが私のことをずっと悔やんでるって聞いて、ミコトさんとヤヨイさんからなにか思い詰めてるって聞いたの。それで……いち早く会いたいって思ってた……それでも、お兄ちゃんはずっと避けてたよね」
「……別に避けてた訳じゃ」
「なら、私がいるって知ってすぐ、なんで会いに来なかったの」
「それは──」
避けていたわけじゃないと否定したが今までの言動を思い出して言葉を詰まらせてしまう。
会おうと思えば会える距離にいたはずなのに俺は知らぬ間に会うことを拒んでいたのだろう。
「アキ──いや、千秋。心配させてごめんな」
「私こそ……せっかく
「見て……?」
彼女の言葉が引っかかり繰り返していた。
俺が彼女を見たのは第10層の戦闘中、そして───
ライムと初めて出会い、彼女を助けたあの文化祭、そのステージ。
「実は気づいてたんだよ、私。右目は見えないけど、それでも一曲聴いてくれてた他校の制服を着たお兄ちゃんの姿は、ちゃんと見えてた」
「気づくわけないと思ったんだけどな」
「文化祭とはいえ平日に他校の生徒が来てたの結構目立ってたし、お兄ちゃんわかり易かったから」
「どういう意味だ」
流れるようにバカにされた気がしたが当の本人は「知らなーい」といいながら俺を離して立ち上がった。
さっきまでのとても悲しそうな顔は少しだけでも晴れたようで俺も嬉しくなる。
そんな俺らを横目に未だジト目の少女がいる。
あまり喋らないが明らかに何か言いたそうな様子だ。
「自己紹介の前に本題に首を突っ込むけど、なんで私達に協力を申し出た?」
「お前以外の力が必要だと感じたから、以上」
「一言余計でしょ、それに──」
キレ気味、というか完全にキレた声の彼女は言葉の途中で武器を装備した。
「私情に巻き込まないでくれる?」
「ちょっ、ユミ!?」
圏内だからダメージも無いし向こうもペナルティは負わないが、それを知った上でサキが俺と彼女の間に入った。
明らかに話す前から戦闘態勢を取ってる以上は止めるのは容易じゃない。
「どいてサキ、あなたが許可を出そうがリーダーが許可しようが関係ない。
「で、でも……」
「私以外は全員知り合いみたいだけど、
「ごもっとも、あんたの言うことはわかる」
「なら、
「──転移」
俺の操作と一言によりこの場にいる全員がとある場所へ転移した。
─────
第10層:呪いの神社鳥居前
アキ目線
「えっなんで!?」
「後輩くんか……」
「何のつもりなの……」
サキさん、ミコトさん、ヤヨイさんの順でこの状況に対して反応した。
うち2人は何が起きたのかわかってるみたいだけどお兄ちゃんが何かをしてこの場──第10層のフィールドへ転移した。
その当人は───
「まるでチートだね、何をしたいのさ」
「……確かに俺はお前らを、
お兄ちゃんは
あんなお兄ちゃん初めて見た………
「──俺の仲間を侮辱した事だけは許さねぇ」
「何、怒ってんの?」
「あぁ、だから───」
「いいよ、やるってならやろうか」
バチバチと火花が見えるぐらい睨み合う二人は剣を構えた。
その行為に何をするかすぐに理解したけど私の横に立つみんな誰一人止めようとせずに静かに見守っている。
「開始だ」
お兄ちゃんのその声で二人は同時に動き出した──。
皆さんお久しぶりです
星屑の流星、スターダストメンバーとのちゃんとした顔合わせ
まさかの6分の5知り合い出できたメンバーです。
同級生、妹、先輩ⅹ2、訳あり関係
そんなメンバーの中に一人未関係者が
そんな彼女と最初から関係が悪そうなラギは夕立の霧雨を侮辱されたことによりガチギレ、流れるように管理者権限で転移してデュエル開始
次回、謎の銀髪女子とのデュエルスタンバイ!
各キャラの詳細等は次回以降投稿後に活動報告に貼り付けておきます。