ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~   作:桜花 如月

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77:仲間のために怒る剣

ラギ目線

 

あいつは俺の仲間を、夕立の霧雨を侮辱した。

それが、それだけがデュエルをするきっかけだ。

勝ち負けはどうでもいい、単なる私情に突き動かされた故の決闘なんだ。

シズクが言うには知り合いらしいがそれなら尚更あいつを許せない。

 

 

「──デュエル開始だ。」

 

俺がそう言うとデュエル開始の合図が鳴り響く。

それと同時に動き出した俺と彼女は絶妙な間合いを取りながら剣を振るう。

彼女の剣とぶつかる度に感じるこの感覚、これは──

 

「これだけの実力者がソロじゃないなんてな……っ!」

「あんたには関係無いでしょ!」

「──っ!」

 

彼女の剣技はキリトと同じ、そうだと言いきれるほど重く鋭い。

これだけ強い奴があいつらと一緒にいる理由がわからない。

それでもこいつは彼女達が巻き込まれることを凄く嫌がっていた。

……何がしたいんだ?

 

「まだまだ……っ!」

「くっ……そぉ!」

 

ただの女子だと侮ることは元よりしてないが正直そこらの男でもこいつには勝てない。

女子故の素早い攻撃に重さが加わる、それがこれほどまでに厄介だとは……

だが、だからこそ──。

 

「それだけの実力を持ってるやつに馬鹿にされる事が腹立たしい!」

「でも、()()()()は弱いでしょ」

「……お前には分からないだろ」

 

彼女の言葉にイラッときた俺は鍔迫り合いをやめ剣を下ろして向き合う。

 

「確かにあいつらは弱いよ、それこそこのギルドメンバーと一騎打ちしても勝てるか分からないぐらいには。

それでも、あいつらはその弱さを強みにして戦える力がある」

 

それは、数ヶ月しかいなかった期間で見てきた彼女達の成長が表している。

個々の力は明らかに足りてないし弱点も多い、だがあいつらはそれ以上にコンビネーションが強く『夕立の霧雨』としてはそこらの大手ギルドに負けないだろう。

 

「へぇ……」

「個々が強いお前には分からないだろうけどな」

「言ってくれるじゃん、さすがは長い間彼女達といただけの事はある」

「お前の方が付き合いは長いだろ、詳しくは知らんが」

「なるほど、聞いてきたわけか、それなら──」

 

突然、彼女は一気に接近して剣を振り上げてきた。

動作が大きく読みやすかったおかげで防げたがさっきより速い。

 

「手加減は必要ないわけだね」

「手加減、ねぇ……」

 

確かにこいつとの戦闘は気を抜いたら一気にやられる可能性がある。

ならば俺も本気で行かせてもらうとしようか。

 

 

「──来いよ、あいつらを侮辱した怒り、受けてみろ」

「……おもしろいね」

 

1度距離をとった彼女は再び俺へ近づいてくる。

単に走ってきてる訳もなく、手に握られた剣は光を帯びている。

あれは《ソニックリープ》、なら初撃は──

 

「ここだ……っ!」

「な……っ!」

 

垂直の切り上げ、それさえ防げばソニックリープの二激目は発動できずに止まる。

それを理解していれば初撃の位置にソードスキルをぶつけるだけ。

難しそうに見えるが実際そんなことも無く予測して剣を向けるだけだ。

 

「さすが……でも!」

 

彼女は防がれたと同時に体制を低くして俺の足元へと潜り込んだ。

そしてそのまま俺の足をつかみ転ばせようとしてきた。

 

「……やられてたまるかっ!」

 

バランスを崩したが仰向けに倒れそうになったことで掴んだままの剣を地面に向けて構える。

赤いライトエフェクトを纏った剣はソードスキルを地面へと発動した。

 

「何して……っ!?」

「悪いな、砂に気をつけろ」

「あんた最低……っ!」

 

地面へと放たれたソードスキルは神社の地面を少し抉り砂埃を起こした。

本来SAOはクエストエリアや一部フィールド以外で地面への攻撃は不可能、正確には《破壊不能オブジェクト》になっているため攻撃しても弾かれてしまう。

だがこの神社はクエスト発生した時にフィールドとして設定される場所であるため破壊不能オブジェクトにはなっていない。

それを利用して地面に衝撃を与えて砂埃を起こしたということだ。

 

「こんなのに驚いてたらあいつらに笑われるぞ」

「よくもやってくれたわね……痛った……」

 

食らった当人は目に砂が入ったらしく何度も瞬きをしている。

この戦術を考えたのは俺じゃなくシズクだ。故にあいつは他にも飛び抜けた戦い方を思い浮かべるだろう。

 

「どうする、その状態で戦うのは危険だろ?」

「舐めないで……っ!」

 

戦闘の中断を提案したが見事に却下されてしまった。

ここまでなってもまだ戦おうとするのは何故だ……?

 

「まだデュエルは終わってない!」

「……あぁ、そうだな」

 

彼女は目を擦りながらも剣をかまえ直した。

そんな彼女は気迫が上がりさらに強さが増したような気がする。

 

「本当にソロじゃないのが不思議だな……」

 

何度も思うがソロじゃ無いのが不思議だしこれだけの実力なのに大手ギルドに入らないのが不思議に思う。

まぁ、実力者故にギルドに入ってるってこともあるだろうけど。

 

「私は……あなたに勝つ」

「やってみな」

 

彼女は構えた剣を地面と垂直にした。

あれは《ヴォーパルストライク》の構えだ。

もうここまで来れば夕立の霧雨を馬鹿にしたことをぶつけるデュエルじゃなくなってきてる気がする。

背負ってるものを全て置いて本気でぶつかるとしよう。

 

「はァァァ!!」

「……さすが速い、だけどな」

 

同じくヴォーパルストライクを発動させて剣どうしがぶつかり合う。

このままソードスキルが切れれば決着つかずに次の鍔迫り合いになるだろう。

だが、彼女はこの一撃で決着をつけるつもりなのが伝わってくる。

ならば、俺もそれに答えるとしよう。

 

 

「……悪いが、勝たせてもらう」

「──っ!?」

 

ソードスキルが切れ、お互いの構えがとかれかけた瞬間に俺は構えを変えて次の連撃へと繋げる。

本来不可能な行動だが、装備が特殊故に出来る芸当。

それで終わらせよう──

 

 

「負けられない──っ」

「なっ!?」

 

《バーチカル》を発動させようとしたその時、ソードスキルの硬直が残ってるはずの彼女が俺の剣を受け止めた。

硬直時間自体はソードスキルのランクとプレイヤーのレベルに依存する。

となると彼女は……

 

「そこらのプレイヤーよりステータス高いってことか」

「そりゃどうも」

「尚更手加減は出来ねぇな」

 

 

彼女は明らかに()()を考えてる。

そんな気がする。

それが何かは全く分からないが……

 

「今度こそこれで終わり」

「……わかった、正々堂々やらせてもらう」

 

彼女は再びヴォーパルストライクの構えを取る。

ここで別のソードスキルを打てばほかのメンバー達に怒られるだろう。

故に同じ技で、これでで決める───。

 

「「はァァァァ!!」」

 

全く同時に放たれたソードスキルが衝突し剣先がぶつかり合う。

このままぶつかり続ければどちらかの剣が砕けるかソードスキルが切れて()()()()()()()()()という約束がなくなってしまう。

なら、本当はやりたくなかったが──

 

「──!?」

「エンドだ」

 

俺は姿勢を崩してソードスキルを無理やりキャンセルし低くした姿勢のまま再度ヴォーパルストライクを放つ。

ソードスキルの挙動中で動けなくなってる彼女は抵抗出来ずに俺の一撃をもろにくらい後ろに吹き飛ばされた。

 

 

 

────────

「……はは」

「何笑ってんだ」

 

吹き飛ばされた彼女は仰向けに寝たまま笑を零した。

その顔は負けたにもかかわらず満足そうだ。

 

「いや、君の実力に笑うしかないんだよ」

「……やっぱり喧嘩売ってきたのは」

「そ、あえて喧嘩売ったの。君がどんな強さで、あの子達のそばにいたのか、あの子達をどんなふうに思っているのかを確かめたんだよ。でもまさかソードスキルをキャンセルするとはね」

 

さっき砂が入った目を擦り、起き上がった彼女は俺にあんな言葉を吐いた理由を言った。

そりゃ仲間をあんなふうに言われれば誰でもキレるってもんだろ……まったく。

 

「──うん、君が単に利用しようしてる訳じゃないことは伝わった。だから私も協力する事を約束しよう。

……私はユミ、これからよろしく」

「……あぁ、俺はラギだ、よろしく」

 

いきなり手を差し出されて協力することを約束した彼女の名はユミ。

シズク達と深く関わりがあるらしいが………それは次の機会に話そう。

 

 

 

いきなりのデュエルを終えた俺たちはほかのメンバー達にこっぴどく叱られたのだった。




お久しぶり……かな?

ラギ対銀髪少女ことユミの戦い。
ラギ曰く実力はキリトやラギと同じぐらい。
そんな奴が隠れてるって怖すぎる


そんな余談は横目に準備編も残すとこ2話、もうちょっとだけ続くんじゃよ
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