と言っても今回は会話パートですが。
それでは本編。
☆
「四季野さん、ありがとうございました!」
「私はとても酷いものを見たよ…」
「そ、それは…」
申し開きのしようもございません…
「…そっちも終わってたんだ」
「あ、緑葉さん。どうでしたか?やっぱり勝ちました?」
「…結構ギリギリだった。小春はやっぱり強いね」
「う〜!負けちゃったよ〜!!」
「あはは…お疲れ様…」
いつもの光景、だったりする。
そんな時…
「しっ、しし、失礼しましたぁっ!!!」
「「へっ?」」
「あ…またですね」
何故か急に四季野さんが走り去ってしまった。一体、何が…?
「えっと…神名さん…説明を…」
「彼女は風華に憧れを抱いているんですよ。風華を神格化しているとも言えます。なので風華が近付くと、いつもあぁやってどこかへ行ってしまわれるのです」
要するに…緑葉さん限定のコミュ障かな?
「…あっ、カード落として行っちゃってるや」
僕は、四季野さんが落とした2枚のカードを何の気なしに拾った。そのカードは…
またしても視界が暗転したかと思ったら、次に広がったのは木々の生い茂る森だった。
「…!?」
見渡す限り、木、木、木、木、木、木、木、木。薄暗く、木しかなく、はっきり言って不気味とさえ思った。
「どこなのさ…ここは…」
直ぐには気が付かなかったが、視点の位置も低くなっている。どうやら、背が縮んだか、子供の視点らしい。
「…とりあえず、歩いてみようかな…」
どこを目指せばいいのか、何も分からないまま歩き続けた。
どれほど歩いただろう。不意に開けた場所に出た。
「うわっ…明るい…」
そこにあったのは、1件の民家だった。いや、民家なのかは分からないけどさ…
『…あっ…』
(…あ、ライズベルトだ…)
その民家にいたライズベルトは、僕を見た途端に家の中に入っていってしまった。なんだか、怯えてるみたいに見えたけど…
「おやおや、こんな森の中に来るとはね。迷子かい?」
「あ…えっと…その…」
ライズベルトと入れ替わりで出てきたのは、仙人みたいなお爺さんだった。
「迷子…と言いますか…」
「なんじゃ、違うのか?迷子でもなければここまで来んぞ」
「それよりも…」
さっきのって、ライズベルトですよね。僕はそう言おうとした。けれど口から出たのは…
「さっきの子は、誰なんですか?」
そんな言葉だった。
(えっ…誰って…僕は何を言ってるの!?)
「ほっほっほ。なんと、少年は『精霊』が見えるのか。そうかそうか」
「精霊…さっきのって、噂話のカードの精霊なの?」
(僕はなんて当たり前の事を聞いているんだ!?)
僕の意志とは関係なく口から出るこの言葉達。それに驚きながらも、僕は自然と受け入れていた。そう、あたかも…
前にも同じことを言ったかのように。
(…まさか…これって…でも、それなら…!)
「うむ。そうじゃよ。あれはカードの精霊。『召喚師ライズベルト』の精霊じゃ」
「精霊ってホントにいたんだ…!」
「そうじゃ。少年、君にライズベルトを預けても良いかの?」
『えっ!?』
(家の中から反応しちゃったよ…)
もう僕は既に考えることを諦めてたからね…
『老師、僕は人の世に馴染めるとは思えません!』
「馴染まんでも良い。じゃが、人と馴染むのは良い事じゃよ。というわけで、この少年と共に行きなさい」
『…分かり…ました…』
「そうじゃ、君にならこれを預けてもよかろう」
そう言って老人が取り出したのは、僕にとって見慣れたデッキ。そして、見慣れた切り札。
「こ、これって…」
『ん…ふぁ。老師、私も旅立つ時ですか?』
「そうじゃ。この少年と共に行きなさい」
『分かりました。よろしくお願いしますね』
「う、うん。よろしく」
老人に手渡されたデッキ。その1番上で表向きにされているカードの名前は…
「……星風さん?」
「…ぁ…」
神名さんの声で意識は現実に引き戻された。
「す、すいません。少しぼーっとしてました。小春、この2枚を渡してきて?」
「うん、分かった!」
小春はパワー・ツールとエンシェントを受け取ると、四季野さんを追っていった。
「それじゃあ僕は、デッキを見直してきますね。また後で、デュエルフィールドで会いましょう!」
「…ん、分かった。優姫、手伝って」
「分かりました」
僕は緑葉さん達と離れた後、こっそりとライズベルト達に話しかけた。
「…何となく、分かったよ」
『何がですか?なんて、言わなくても僕も分かってます』
「…なんでかは分からないけど、
『
「ただ、まだ不確定要素があるんだよね…」
さっきの『機械竜』と『妖精竜』に見せられた光景は、なんとなくだけど僕自身の記憶だと認識できた。現に、僕の元にはライズベルトと、あのデッキ…そして、あのカードがあるから。
けれど、『魔王龍』に見せられた記憶が、僕自身の記憶なのかはあやふやだ。あの光景に当てはまるような情報は持ち合わせていないからね。
『ヌレハ。私、とても懐かしい事を思い出しました』
「…やっぱり、君もなんだね。ってことは、僕と君達の記憶はリンクしてるのかな…」
人間と精霊の記憶が繋がっている。そんなこと…あるのかな…
「…分からないことだらけだよ…」
『…とりあえず、今は考えないでおこうよ。目の前のことに集中しよ』
「その事なんだけど…」
僕は、もう1つのデッキから1枚のカードを取りだした。
「今回のデュエル、君を入れようかなって思ってるんだ」
『えっ…本当ですか!?』
『おー、その精霊も使うのかー。じゃあ、これも入れてくれないか?俺の新しい力だ』
スターダストが渡してくれたのは、見たことの無いシンクロモンスターと、チューナーモンスターの2枚。チューナーモンスターには、妙な縛りがある。
「…ちょっと扱いにくそうな効果だね…でもこれなら、あのカードと合わせられるかも」
『あの…スターダストさん…その2枚って、精霊にしか許されない力では?』
『ん、そうだぞ?』
『なんで安安と渡すんですかっ!?ヌレハだからいいもののっ!』
「…?」
話はよくわからないけど、デッキの方向性は決まったから、どうにかなりそう!
そうしてデッキを組み終えた頃に、放送が入った。
「緑葉風華さん、星風濡羽さん、デュエルフィールドに集まってください」
『ヌレハ、呼ばれましたね』
「うん、楽しもうね!」
デュエルフィールドに行くと、既に緑葉さんと大勢の学生が来ていた。
「…来たね」
「はい、遅くなりました」
「…大丈夫。そこまで待ってないから。それより、始めよう」
「ですね」
「では今から、トーナメント最終戦。ゴールドクラス・プラチナ1位 緑葉風華とシルバークラス 星風濡羽のデュエルを始めます」
(プ…プラチナ1位!?)
プラチナ1位、すなわちアカデミア生の最上位、正しく最強。その情報に驚いた反面、納得もした。どうりであそこまで強いわけだ、と。
「…黙っててごめんなさい。けど、この肩書きってあまり好きじゃないの」
「いえ、僕が知らなかったのが悪いんですから。でも、だからって気後れしたりはしませんよ。僕が戦うのは、あくまで『緑葉風華』さんですからね!」
「…うん。行くよ、『星風濡羽』くん」
「それでは、始め!」
「…「
簡単にですが、ライズベルトとの出会いを思い出しました。
以前ちらっと登場した精霊、今回(というか次回)より本格参戦です。誰なのですかね。
次回は再びデュエル回。濡羽vs風華、2戦目です。
前回からデッキが少し変わった濡羽君、今回は勝てるのでしょうか。
ではでは。