遊戯王 WIND SEEKER   作:鐡 銀

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会話パート、一章最終話です。
デュエルの後、濡羽君はなにを考えるのか。

では本編へ。


三十七枚目:Sinの謎

☪︎

 

俺は櫂と昼飯を食べて、それからも何度かデュエルをしてから帰った。いくつか新しいカードも試してみたが楽しかったな。やっぱり濡羽みてぇに複数個デッキを組んでも良いかもなぁ。組むとしたら何にすっかね。クリボーとかか?

 

「たっだいまー…ってなんじゃこりゃ!」

 

帰ってみると、そこには小春と神名さんと緑葉さんの3人に、実体化した濡羽と緑葉さんの精霊達…そして見知らぬ少女がいた。いや、少女っつーか、見た目はまんま《閃刀姫-レイ》なんだがな?まさか、また精霊か?

 

『なんつーかな、胸っつーの?その辺にこう…ぐっとする感じ?』

『クリアウィングの説明は曖昧だね〜』

『まぁ、クリアウィングらしいと言えばクリアウィングらしいな』

『私も一応クリアウィングなんですけどね〜…』

『はぁ…ライズベルト、我らで説明するしか無さそうだな…』

『ですね…閃珖竜さん…』

 

…なんだこれ…どんな状況なんだ…?

 

「あ、湊月っちおかえり〜。意外と早かったんだね〜」

「意外は余計だ意外は。で、これは何なんだ?」

「まだ霊化することの出来ないレイさんに、星風さんと風華の精霊達が霊化する方法を教えているんです」

「…クリアウィングは全然教えれてないけどね」

『うるしゃー!』

 

まぁ…たまーに実体化して出てきた時のスターダスト見てりゃ何となく分かるんだが…あいつ、なんだかんだ説明とか適当なとこがあるんだよなぁ…

 

『それで…本当に、どうすればいいんですか?』

『何、簡単なことだ。我らにもあるだろう、心臓が』

『そこに力を込める…というよりは、精霊として持ち合わせた霊格を集める感じですね』

『集め初めの頃は心臓の辺が熱くなるが、すぐに消えるから安心して試みるといい』

『1度成功すればあとは自分の意思で自由に出来ますからね』

『わかりました、やってみます!』

 

…やっぱライズベルトと閃珖竜がマトモ枠か…ってか見慣れねぇ精霊がいたぞ!?

 

「…そうだった。私達もさっき知ったんだけど、ドラゴネクロも精霊だったんだって、星風くんが言ってたわ」

「今言うのかよ!!つか、その濡羽はどこだ?スターダストもいねぇみてぇだが…」

「濡羽っちは自分の部屋にいるよ〜」

 

普段の濡羽ならこんな時は必ず混ざるのにな。何があったんだ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なぁヌレハ。何をそんなに気にしてんだ?』

「…あのカード、Sin スターダストだよ」

 

そう…僕が気にしていたのは、僕の心の闇から生まれたという(Sin)を名に冠するカード…《Sin スターダスト・ドラゴン》のことだった。

 

『あぁ、あれか。そんなに気にする事か?誰の心にも闇はあるもんだぜ?』

「それは分かってるよ。そうじゃなくてね…」

 

僕は心の闇を認めている。心に闇がない人なんていないだろうし、いるとしたら何も考えてない人だと思う。僕が気にしているのはそんな事じゃなくて…

 

「どうして今、このタイミングで今まで引けなかったSin スターダストが引けたのかなって」

『理由なんてないんじゃねぇの?』

「ううん、きっと理由はあると思うんだ。スターダスト、僕はね…この世界にある全てのカードに精霊が宿っていると、そう思っているんだ」

『はぁ、そりゃまた突飛な…』

「現に、湊月君や小春、神名さんも精霊のカードを持ってるからね。本当は僕達が知覚出来てないだけで、まだまだ精霊がいるんじゃないかって思っているんだよ」

 

だけども、Sin スターダストは生まれた経緯が経緯だからなのか、ライズベルト達とはまた違うモノを感じている。使えば使うほど、その闇に飲まれてしまうような、そんな感覚を。

 

「実を言うと…僕は怖いんだ。もしもこのカードを使い続けていたら、スターダストが消えてしまうんじゃないかって…スターダストどころか、僕の周りから、精霊達やみんなが消えてしまうんじゃないかってさ…」

『はーーーー…そりゃ杞憂だろ。俺達はヌレハの傍にいてぇからここにいるんだ。心の闇から生まれたカードを使ってるからって、消えたりはしねぇよ』

「…そうだと有難いんだけどね…」

『あ、そーだ。明後日からの旅行、どこに行くのかもちゃんと伝えてんのか?』

「急に話変わるね!?ちゃんとマリーさんには伝えてるよ。僕らが行くところは『ケリュクス』って町だよ、って」

 

急に話題を変えるって、スターダストらしいと言えばスターダストらしいんだけど、なんだか調子狂うなぁ…

 

「おーい、濡羽ー!降りてこーい!!」

「レイちゃんが霊化に成功したんだよ〜!!」

『だとさ。降りよーぜ』

「…だね」

 

リビングにいた小春と、いつの間にか帰ってきていたらしい湊月君に呼ばれて僕とスターダストはリビングに降りて、霊化しているレイさんを祝福した。

この時はまだ、僕の心が生み出した…言うなれば『闇のカード』であるSin スターダストが、予想もつかないような災厄を引き込むとは、僕は想像もしていなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

一方、海と山の町『ケリュクス』郊外の廃屋、その地下にて。

 

「ここしばらく研究を続けてきたが…流石にこれは使えないな。闇が強すぎて使い物にならない…闇を制御することも出来ないとなると、封印するしかないか。この闇のカード…『No.(ナンバーズ)』は。くそっ…これじゃあダメだ…もっと強く、それでいて楽に制御できる力は無いのか…」

 

 

僕達が行くことになる町で謎の研究が行われている…そして、その研究が世界を揺るがすだなんてことも、僕達は考えさえしなかった。

 

 

【一章】-了

続-【二章】




濡羽君の心の闇から生まれたSin スターダスト。このカードが二章に起こる事件の引き金となります。

次回より二章、夏休み編です。

ではでは。
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