デュエルの後、濡羽君はなにを考えるのか。
では本編へ。
☪︎
俺は櫂と昼飯を食べて、それからも何度かデュエルをしてから帰った。いくつか新しいカードも試してみたが楽しかったな。やっぱり濡羽みてぇに複数個デッキを組んでも良いかもなぁ。組むとしたら何にすっかね。クリボーとかか?
「たっだいまー…ってなんじゃこりゃ!」
帰ってみると、そこには小春と神名さんと緑葉さんの3人に、実体化した濡羽と緑葉さんの精霊達…そして見知らぬ少女がいた。いや、少女っつーか、見た目はまんま《閃刀姫-レイ》なんだがな?まさか、また精霊か?
『なんつーかな、胸っつーの?その辺にこう…ぐっとする感じ?』
『クリアウィングの説明は曖昧だね〜』
『まぁ、クリアウィングらしいと言えばクリアウィングらしいな』
『私も一応クリアウィングなんですけどね〜…』
『はぁ…ライズベルト、我らで説明するしか無さそうだな…』
『ですね…閃珖竜さん…』
…なんだこれ…どんな状況なんだ…?
「あ、湊月っちおかえり〜。意外と早かったんだね〜」
「意外は余計だ意外は。で、これは何なんだ?」
「まだ霊化することの出来ないレイさんに、星風さんと風華の精霊達が霊化する方法を教えているんです」
「…クリアウィングは全然教えれてないけどね」
『うるしゃー!』
まぁ…たまーに実体化して出てきた時のスターダスト見てりゃ何となく分かるんだが…あいつ、なんだかんだ説明とか適当なとこがあるんだよなぁ…
『それで…本当に、どうすればいいんですか?』
『何、簡単なことだ。我らにもあるだろう、心臓が』
『そこに力を込める…というよりは、精霊として持ち合わせた霊格を集める感じですね』
『集め初めの頃は心臓の辺が熱くなるが、すぐに消えるから安心して試みるといい』
『1度成功すればあとは自分の意思で自由に出来ますからね』
『わかりました、やってみます!』
…やっぱライズベルトと閃珖竜がマトモ枠か…ってか見慣れねぇ精霊がいたぞ!?
「…そうだった。私達もさっき知ったんだけど、ドラゴネクロも精霊だったんだって、星風くんが言ってたわ」
「今言うのかよ!!つか、その濡羽はどこだ?スターダストもいねぇみてぇだが…」
「濡羽っちは自分の部屋にいるよ〜」
普段の濡羽ならこんな時は必ず混ざるのにな。何があったんだ…?
☆
『なぁヌレハ。何をそんなに気にしてんだ?』
「…あのカード、Sin スターダストだよ」
そう…僕が気にしていたのは、僕の心の闇から生まれたという
『あぁ、あれか。そんなに気にする事か?誰の心にも闇はあるもんだぜ?』
「それは分かってるよ。そうじゃなくてね…」
僕は心の闇を認めている。心に闇がない人なんていないだろうし、いるとしたら何も考えてない人だと思う。僕が気にしているのはそんな事じゃなくて…
「どうして今、このタイミングで今まで引けなかったSin スターダストが引けたのかなって」
『理由なんてないんじゃねぇの?』
「ううん、きっと理由はあると思うんだ。スターダスト、僕はね…この世界にある全てのカードに精霊が宿っていると、そう思っているんだ」
『はぁ、そりゃまた突飛な…』
「現に、湊月君や小春、神名さんも精霊のカードを持ってるからね。本当は僕達が知覚出来てないだけで、まだまだ精霊がいるんじゃないかって思っているんだよ」
だけども、Sin スターダストは生まれた経緯が経緯だからなのか、ライズベルト達とはまた違うモノを感じている。使えば使うほど、その闇に飲まれてしまうような、そんな感覚を。
「実を言うと…僕は怖いんだ。もしもこのカードを使い続けていたら、スターダストが消えてしまうんじゃないかって…スターダストどころか、僕の周りから、精霊達やみんなが消えてしまうんじゃないかってさ…」
『はーーーー…そりゃ杞憂だろ。俺達はヌレハの傍にいてぇからここにいるんだ。心の闇から生まれたカードを使ってるからって、消えたりはしねぇよ』
「…そうだと有難いんだけどね…」
『あ、そーだ。明後日からの旅行、どこに行くのかもちゃんと伝えてんのか?』
「急に話変わるね!?ちゃんとマリーさんには伝えてるよ。僕らが行くところは『ケリュクス』って町だよ、って」
急に話題を変えるって、スターダストらしいと言えばスターダストらしいんだけど、なんだか調子狂うなぁ…
「おーい、濡羽ー!降りてこーい!!」
「レイちゃんが霊化に成功したんだよ〜!!」
『だとさ。降りよーぜ』
「…だね」
リビングにいた小春と、いつの間にか帰ってきていたらしい湊月君に呼ばれて僕とスターダストはリビングに降りて、霊化しているレイさんを祝福した。
この時はまだ、僕の心が生み出した…言うなれば『闇のカード』であるSin スターダストが、予想もつかないような災厄を引き込むとは、僕は想像もしていなかったんだ。
???
一方、海と山の町『ケリュクス』郊外の廃屋、その地下にて。
「ここしばらく研究を続けてきたが…流石にこれは使えないな。闇が強すぎて使い物にならない…闇を制御することも出来ないとなると、封印するしかないか。この闇のカード…『
僕達が行くことになる町で謎の研究が行われている…そして、その研究が世界を揺るがすだなんてことも、僕達は考えさえしなかった。
【一章】-了
続-【二章】
濡羽君の心の闇から生まれたSin スターダスト。このカードが二章に起こる事件の引き金となります。
次回より二章、夏休み編です。
ではでは。