今回から夏休み編、新キャラも登場しながらの旅行となります。
今回は会話パート、次回はデュエルです。
では本編へ。
三十八枚目:旅行開幕
☆
夏休み初めての月曜日。僕らはフルーナシティの中央駅に来ていた。ここでマリーさんと待ち合わせてるんだよね。
「そろそろ待ち合わせ時間だね」
「うー、アイドルに会えるなんて楽しみだよ〜!」
「あまりはしゃぎ過ぎると目立ってしまいますよ」
そうは言ってもはしゃぎたくなるよね。小春の気持ちはよく分かるよ。
「じゃあ僕は乗車券を貰ってくるね」
「お願いします、柊真さん」
柊真さんが新幹線のチケットを貰いに行ってすぐ、マリーさんがやって来た。
「あ、来ましたよ!」
「すみません、お待たせしてしまいましたか?」
「…そこまで待ってないわよ」
「なんだかんだ全員ワクワクしてたからな。そこまで待った気はしないぜ」
マリーさんと話をしながら、僕はどうしても気になっていたことを聞いた。
「それで…マリーさんの後ろの人は?」
「…まぁ、そうよね」
「前なら『なんで知らねぇんだ!?』って叫んでたとこだが…」
「星風さんがこの手の知識がないことは以前分かりましたからね」
「なんか驚かないよね〜」
「そ、そうなんですか!?じゃあ前に会った時も単に知らなかっただけだったのですか…」
「ってか、アンタらはなんでそうも平然としてられるのよ!?」
「「「んー…アイドルより珍しいもの見てるから?」」」
「…かもしれないわね」
「自己紹介しておいた方が良いですよ。星風さんは貴女のことを知りませんからね」
マリーさんより頭1つ小さい、赤い髪に黄色のメッシュの入った赤眼の人は渋々ながら名乗った。
「なんで知らないのよ…私は
「ワタシも一応自己紹介をしますね。ワタシはマリー・リュクス・ミネルヴァと言います。歳は17です。今日から2週間、よろしくお願いします」
「私は聖川小春だよ〜♪よろしくねっ!」
「俺は西条湊月だ、よろしくな」
「神名優姫と言います。どうぞお見知り置きを」
「…緑葉風華よ。よろしく」
「僕は星風濡羽です。先んじて言っておきますけど、僕は男子ですから」
「…………ふーん、アンタがねぇ」
とりあえず一通りの自己紹介は終わったかな。それで、ラインさんにもどうしても聞きたいことが出来てしまった。
「ラインさんは、どうしてここに?」
「マリーが夏休みに入ってすぐに新しい友達と旅行に行くって言うから、場所と期間聞き出して私も自腹でついていくことにしたのよ。新しい友達は可愛い人だ〜、とは聞いていたけど…まさか男だなんてね…言われなきゃ分かんなかったでしょうけども…」
「マリーさん…どんな説明をしてるんですか…」
「し、しょうがないじゃないですか!濡羽さんは本当に可愛いんですから!」
マリーさんは握りこぶしを作ってまで熱弁した。うん…半ば諦めはあるんだけどさ…みんなも頷かないでよ…
「みんな〜、乗車券貰ってきたよ〜…って1人多くないかな?」
「濡羽さん、彼は?」
「この人は龍凪柊真さん。僕らの保護者役の人ですよ」
合っているような合っていないような説明をしたけど、柊真さん、聞いてないね…
「えっとね〜、1人実費で急遽参加だって〜♪」
「はぁ…まぁ向こうの旅館は割とお世話になってるところだったから、少しくらい無理は聞いてもらえるだろうけども…」
「…旅館には、行ったことがあるの?」
「うん、昔にちょっとね。『ゆきはな旅館』ってとこだよ」
ゆきはな旅館…楽しみだなぁ!
「まぁ、とりあえずホームに行こっか。あと数分で駅に着く時間だしね」
「マジか。まー余裕はあるか」
「…優姫、お土産はどうするの?」
「2人で買いましょうか。流石に1人で買うのは無理がありますからね」
「…マリー、コイツら、
「ラインちゃん…コイツら、なんて言っちゃダメですよ。でも確かに、慣れてる感じはしますね」
…まさかこの旅行にカードの精霊がついてきてる、なんて言ったら驚くかな…
『言わないでくださいよ!?レイさんがまだ慣れてないんですから!』
『うぅ…本当に見えてないんですか?』
『安心してください、見えてないですよ』
うん、そもそも言わないけどね?
ちなみにレイさんはあの後、ライズベルト達の提案で僕らと一緒に過ごす事になったんだ。柊真さんも承諾してくれたし、また一緒に過ごす友達が増えたんだよね!
「それじゃ早速、しゅっぱ〜つ!」
「小春、まだ新幹線は来ないからね?」
「もう!ノリ悪いな〜」
その後ホームに上がってすぐに来た新幹線に全員で乗った。たまたま全員の席が近くて良かったよね。
「そう言えば、マリーさんに会ったら聞こうと思ってた事があったんです」
「ワタシに?何ですか?」
「アイドルって普通、忙しいですよね?なんで2週間の旅行に行けるくらいの休みが貰えたのかなって…」
「それはですね…ワタシ達の事務所のスポンサーをして下さっている企業の社長さんが、『2人はまだ若いんだから、少しくらい長い休みがあっても良いと思う』って、2ヶ月分の夏休みをくれたんです」
「まぁ結局、事務所と話し合って『2ヶ月の間、本人達が自由に仕事をする』って体で休みを貰ったんだけどね。実をいえば、私らは7月の頭から8月の終わりまでずっと休みなのよ」
「へぇ…そんな面白い人がいるんだね。なんて人なのかな」
「確か…ハルトさん、でしたっけ」
「えぇ、事務所の人達もハルト様、ハルト様って言ってたからね」
柊真さんの何気ない質問から出てきた名前に、なんでか知らないけど緑葉さんと神名さんが微妙に反応していた。
「…優姫…もしかして…」
「えぇ…恐らく、晴人おじ様ですね…」
「…全く…粋なのか考え無しなのか分からないわね…」
「ですね…」
「?」
小声で聞き取りにくいな…何を話してるんだろ?
「それじゃ、私達からも質問するけど。みんなには夢や目標ってある?私達は勿論トップアイドルだけど」
「すごく自信満々に言うね…僕は答えなくてもいいよね?」
「柊真さん、もう大人ですからね。僕に夢はないですけど…目標ならあります。秘密ですけどね」
「秘密なんですか?教えてくださいよ」
「いいじゃないですか、秘密でも…」
『記憶を取り戻すこと』…なんて目標、言えないよ…
「俺の夢はカードデザイナーだな。効果の方も、イラストの方もやりてぇぜ」
「そうなのね。てことは、相当絵が上手いのかしら?」
「本職には及ばねぇけど、アマチュアとしては上手い方だと思うぜ。ま、まだまだ修行中ってとこだな」
「私はカードショップで働きたいな〜って思ってるんだ♪」
「そのためにカードショップでバイトしてるもんね」
「うん♪」
「…私は…そうね。目標、と言うならば、プロで活躍したいわ」
「それは私も初耳です。まさか風華がプロデュエリストを目指していたなんて…」
これには僕も驚いたけど、確かに緑葉さんの実力ならプロでも戦えそうだよね。
「残ったのは…優姫さんだけですね」
「私の夢や目標…ですか。そうですね…私は…まだ決まっていませんね」
「決まってない…?」
「えぇ。なんというか、将来というものを想像するのが苦手なんです。漠然としたものより、確実なものの方が安心するといいますか…」
「ふぅん…なら、この旅行中に夢や目標が見つかるといいわね」
ラインさん、少しきつい口調だけど、根は面倒見がいい人なのかな?
「わ〜、見て!海!海だよ!」
「…小春、あまり騒がないで」
「今更ですけどね…」
柊真さんが言ってた到着予定時間までまだあるから、みんながはしゃいでいる中で僕は少し眠ることにした。
次回は今回登場した誰かがデュエルします。
そして二章から、あとがきを利用してちょっとしたカード紹介を始めようと思います。ではよろしくお願いします。
「はい、という訳で今回からカード紹介を行わせていただきます!今回は僕、星風濡羽と」
「…私、緑葉風華が担当します。今回紹介するのはこのカード。《召喚師ライズベルト》よ」
召喚師ライズベルト
ペンデュラム・通常モンスター
星3/風属性/サイキック族/攻 800/守 800
【Pスケール:青2/赤2】
(1):1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルを1つ上げる。
【モンスター情報】
妹セームベルをとても大事に想っている、心優しき兄ライズベルト。
昼下がりの午後に妹と一緒に魔術書を読む時間は毎日の日課になっており、
そんな二人の仲睦まじい様子に周囲の人々は自然と心が癒されてしまう。
※テキストは遊戯王wikiより引用
「僕の友達、ライズベルトのカードですね。フレーバーテキストから妹の存在は知ってましたけど、まさか緑葉さんの精霊だとは思いませんでしたよ」
「…私も、ライズベルトの精霊がいるとは思わなかったわ」
「さて、肝心な効果ですが…通常モンスターなので効果はありません。その代わり、ペンデュラム効果でモンスターのレベルを1つ上げることが出来ます!」
「…シンクロやエクシーズのレベル合わせ、星風くんみたいにドラグニティで使って神槍での攻撃力上昇に貢献、色々使い方はあるわね。それにレベル3のサイキック族だから、《緊急テレポート》で呼べるのも利点よね」
「通常モンスターなので、《予想GUY》等、通常モンスターのサポートも受けられますよ。ペンデュラムスケールも2と小さく、通常モンスター主体だったり、ローレベルのデッキには入れていい1枚だと思います」
「…次回は誰と誰が紹介するのかしらね」
「それはみんなの気分次第ですよ。それでは皆さん、次回もお楽しみに!」