次回も会話パートですけど、次回から一応2話目扱いです。
前置き考えられないので本編どうぞ。
☆
「ありがとうございました、緑葉さん。勉強になりました」
「…こちらこそ、ありがとう。強かったよ、君」
『あの、ひとついいですか?』
「…何、ライズベルト?」
『その…フウカさんが使うクリアウィング・シンクロ・ドラゴン…精霊の宿るカードでは?』
「…正解」
『僕が精霊だってよくわかったね』
ライズベルトの質問に答えた緑葉さんの後ろに、クリアウィングが現れた。いや…現れたんだけど…
「………さっきより小さい…」
『気にしてるから言うなーっ!!』
『…僕ですら実体化する時は頭一つ分小さくなるだけなのに…大きすぎるが故…ですかね?』
「…きっとそう。クリアウィングが実体化する時はいつもこのサイズ」
『手のひらサイズ〜☆可愛いよね〜☆』
セームベルさんは手のひらサイズと言っているが、実際にはデフォルメされた感じだ。言うなれば、クリアウィング・トゥーン・ドラゴン…かな?トゥーン化をイメージすれば大体わかるこのサイズ感。
『トゥーン言うなー!!!』
全部口に出てたみたいです。
「…言い得て妙」
『あはは…確かにトゥーン味はありますけど…』
僕はトゥーンじゃないのにー…とクリアウィングは落ち込んでいたけどさ…ごめんね、どうしてもトゥーンにしか見えないんだ。
(あの…私は…)
(…柊真さんに言われたでしょ、あのデッキは使っちゃダメって。そっちに入ってる君はちょっと出しにくくて…ここで君を出したら、きっとそっちのデッキでもやろうって言われるから…)
(仕方ないですよねぇ…私の効果はあのデッキ以外では使いにくいですからねぇ…)
(いずれ顔合わせさせてあげるからさ…)
僕がもう一体の精霊と会話していることは、少しだけ渋い顔をしているライズベルト以外には気付かれなかった。
❀
彼は、本当に強かった。もし一手でも違えれば、私は負けていたかもしれない。もしあの伏せが罠無効系だったら。もしディメンジョン・ウォールを引けていなかったら。もし彼が最後に引いたのがあのモンスターではなく伏せ除去のようなカードだったら。全ては、運によって導かれた
「…そう言えば、最後の伏せって…」
「あぁ、あの伏せカードですか?これですよ」
「…なるほどね」
彼が見せてきたのは《ミラクルシンクロフュージョン》。このカードには、シンクロモンスターを素材とした融合モンスターを融合召喚する効果と、セット状態で相手の効果で破壊された時に1枚ドローする効果がある。これを伏せていたということは、彼はドローのために破壊して欲しかったのだ。
「…これじゃあ、ディメンジョン・ウォールはどうにもならないね」
「はい…でも出したかったんですけどね、ドラゴエクィテス」
それだけはやめて欲しい。もしドラゴエクィテスにヴァジュランダの効果が付与されようものなら、間違いなく手に負えない。
「…というか、そもそも出るの?」
「出ますよ。ジャンク・シンクロン入れてるんで」
「…回るの?」
「デスシザ入れてる時点でお察しということで。まぁ今回は引けませんでしたけど、それなりにドロソ入ってますからね、このデッキは」
何だか、彼のデッキはもう少しまともにならないのかと思ってしまう。
『でも楽しかったですよね、神槍とビッグバン、それに僕のペンデュラム効果と合わせての9400ワンショット』
「あはは…やり過ぎて融合に対してメタ戦略流行ったからね、あれ…」
ゴールドの中で去年噂になっていた、ブロンズ生の異常なまでの融合メタっぷりは彼が元凶だったとは…あれにどれだけ融合使いのゴールド・シルバー生が苦労させられたことか…
『むしろシンクロをメタられなくて良かったと思いましょう?』
「シンクロメタなんてされたら、僕のデッキ戦えないよ…」
『だって、フウカ!』
「…わかった。次からそうする」
「やめてくださいよ!!というか次もあるんですか!?」
「おーいお二人さーん、ご飯出来たけど食べるかー?」
家主さんが階下からそう呼んできた。その時、私と彼…そして実体化していた2人と1匹のお腹が鳴った。
「「『『『……………』』』」」
全員が少し顔を赤らめて、リビングに降りた。その朝ご飯(午前九時。ギリギリ朝ご飯だと思う)はとても美味しかった。
☆
少し遅めの朝ご飯を食べながら、さっきのデュエルを柊真さんに話していた。
「へぇ、濡羽くんが負けたのか」
「はい。まさかディメンジョン・ウォールが伏せてあるとは思いませんでしたよ…」
「スフィアードにディメンジョン…反射ダメージが好きなのかな?」
「…違う。魔法の筒やウェーブフォースも入ってる。神の宣告も」
「おう…それは…まぁ…」
「なんというか…凄くしっかりとした防衛策ですね…」
「…初手から威嚇する咆哮を使った君に言われたくない」
「ガルドを素で立てたのは何かあると思いましたからね。スフィアードの効果ってなんなんですか?」
「…自分のガスタの先頭で自分に発生するダメージを相手に肩代わりさせる能力」
「それ、永続ですか?」
「…永続」
「キッツ!!」
あの時、防いでおいて良かったー!!直感サンクス!!
「まぁ、もう濡羽くんにはその手は通じないよね」
「こーなりゃガスタの全カード、それと関連カード…あとは各大会で使われてるようなデッキタイプを覚えますか…」
「…覚える…? そんな芸当出来るの…?」
『無理じゃないかなー?』
『出来るよ。濡羽ならね』
「…どうして…?」
「ちょっとばかし矛盾した存在だけどね…僕は」
「…どういう…?」
『ヌレハは記憶喪失で』
「サヴァン症候群なんだよ」
ライズベルトと柊真さんがそう言い切った。
「…記憶喪失でサヴァン症候群…確かに矛盾してる」
『お兄ちゃん、どういうこと?』
『”全てを記憶できるのに、全てを忘れた”ってことだよ』
記憶喪失。それは一切の記憶を失うこと。ここには個人差があり、思い出だけを忘れる人もいれば、知識だけを忘れる人もいる。僕は前者だ。
サヴァン症候群。完全記憶の原型、雛形とも言えるもの。全ての記憶を忘れることがないから、創作作品では特殊な立ち位置が与えられることが多い。
医者の診断では、サヴァン症候群は生まれつきだった。
つまり僕は、『サヴァン症候群の身でありながら記憶喪失になった』矛盾を抱えている。
「…それ、どうなの?」
「事実、そうなんですもん。僕が10歳の頃にこの家の前で倒れてたんです。その時に覚えてたことは、僕自身の名前だけだったんですよね」
「…それだけ…なの?」
「はい。親の顔も、親の名前も、何も覚えていません」
『だから、僕とヌレハがどうやって出会ったのかも覚えてないんです。と言っても、僕も覚えていないんですけどね』
そう…僕は初めからライズベルトといたから、いつ出会ったのか、どこで出会ったのか、何も分からないんだ。
「…そう…なのね…」
『もー!この話終わりにしよー!』
見ていられなくなったらしいセームベルさんの一声でこの話は切り上げになった。
「…そうですね、終わりにしましょうか。それじゃあ、今日はどうします?僕は新しいカード買いに行こうかなって思ってますけど」
「そういえばそんなこと言ってたね。僕は今日は仕事あるけど…風華さんも着いて行くかい?」
「…そうします」
こうして僕達はしんみりした空気を払うようにカードショップに向かった。
???
「…すまんな、
「ええ、分かりました。本日は土曜日。2日経てば否が応でも会うことになります。その時にでも」
「頼むよ」
「任せておいてください、おじ様」
そんな会話が行われているとは、この時の僕達は知る由もなかった。
はい。とりあえず1話分終了です。
こんな駄文なのにここまででお気に入り登録者4名…誠にありがとうございます。
次回はキャラ追加、その次は新キャラとデュエルになります。ちなみにそのデュエルは今回よりも更にダメなデュエルになっておりますので容赦なくダメ出しをしてください。次次回のデュエルから本気で反映させます。次回分は…手直しする努力が出来ません()
それでは〜