それでは本編。
✧︎
「…アレ…って…」
湊月っちを探しに外に出て、すぐに目に入った。ボロボロで傷だらけの湊月っちが、倒れているのが。
「み、湊月っち!?」
「……あ? あぁ…聖川か…」
「ど、どうしたの!?なんでそんなボロボロなの!?」
「…ちょっと、な…つーか、何しに来たんだよ。お前、勝ってたろ?」
「湊月っちを探しに来たんだよ!そしたらなんかボロボロで倒れてるしさぁ!!」
『──気の所為、だよな?』
んむ?スターヴ・ヴェノム、何か言った?気の所為とかなんとか?
「…クソッ、なんだったんだよアレ…」
「アレ…?」
「あぁ…よく分かんねぇけど、クソ強かった…こっちのことなんかお構い無しにぶちかましてきて…気がついたらこのザマだ。デュエルしてた、だけだってのに…クソッタレ!!」
「お、落ち着いてよ湊月っち…」
「あぁクソッ、落ち着いてられるかよ!!会いたくねぇ奴に会って、訳わかんねぇままやられて、気がつけばボロボロで…なんなんだよ、俺に何を求めてんだよこの世界は!!」
…いや、正直何の話かワケワカメだよ?
『…あー、なんつーか…色々あって錯乱してんな、コレ』
「あ、やっぱりぃ?うーん……”荒領地”しちゃおっか」
『”荒療治”な。荒れた領地広げてどーすんだよ…』
「そーとも言う」
『そうとしか言わねぇ』
「……聖川…?」
「…はっ、これが濡羽っちがよくやってる事か…!」
「…意味分かんねぇ…」
「あはは…そ、それより!湊月っち、デュエルしよ!」
「はぁ…?お前、試合は──」
「ラインちゃんなら長引くよ!多分!」
「なんだそりゃ…」
「ほらほら、構えて!」
「…マジで、意味分かんねぇぞ…」
ちょーっと、いや、かーなーり強引だけど、これでデュエル出来るね!ラインちゃんは…きっと、ホントに長引くと思うし!(希望的観測)
「行っくよー!」
「「
デュエルスタンバイ
新マスタールール LP 8000
先攻 聖川 小春
後攻 西条 湊月
デュエル開始
「先攻は貰うよー!私のターン!手札から《
捕食植物スピノ・ディオネア 攻撃表示
ATK 1800
小春 手札 5→4
「カードを2枚伏せてターンエンド!」
小春
モンスター ディオネア(攻撃表示)
魔法・罠 伏せ2
墓地 0
手札 2
デッキ 35
LP 8000
「俺のターン、ドローだ」
湊月 手札 5→6
湊月っちが使う【E・HERO】は私と同じ融合メインのデッキ。だけど私と違ってレベル4モンスターの展開がしやすいからランク4にも繋げられるっていう明確な違いがある。ダーク・リベリオンは今は神名さんが持ってるけど、他にランク4がいないとは限らないもん、警戒するに越したことはないよね。その点、私の【捕食植物】はエクシーズやシンクロの妨害がしやすいんだよね〜。
「…足りねぇな。《E-エマージェンシー・コール》。デッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加える。ついでに《増援》。今度は《E・HERO ソリッドマン》だ」
うわー、いきなりレベル4が2体並べられるようになっちゃった…けどまだ何とかなるもんね!
「《E・HERO ソリッドマン》を召喚!その効果で手札から《E・HERO エアーマン》を特殊召喚!エアーマンの効果で《E・HERO リキッドマン》を手札に加える!」
E・HERO ソリッドマン 攻撃表示
ATK 1300
E・HERO エアーマン 攻撃表示
ATK 1800
湊月 手札 6→4→5
「うーん…ここで使っちゃおう!リバースカードオープン!
「っ、通す!」
E・HERO ソリッドマン
捕食カウンター 1
レベル 4→1
E・HERO エアーマン
捕食カウンター 1
レベル 4→1
捕食植物スピノ・ディオネア
捕食カウンター 1
レベル 4→1
「だが、関係ねぇ!《融合》!手札のリキッドマンと場のソリッドマンで融合!」
E・HERO リキッドマン 水属性 HERO
E・HERO ソリッドマン 地属性 HERO
「奇跡を導くサンライズ!光よ降り注げ!融合召喚!《E・HERO サンライザー》!」
E・HERO サンライザー 攻撃表示
ATK 2500
湊月 手札 5→3
「融合素材となったソリッドマン、チェーンして同じく融合素材となったリキッドマン、さらにチェーンして融合召喚に成功したサンライザーの効果を発動!」
「ならそれにチェーンしてプラネットの効果も使うよ〜。デッキから《捕食植物セラセニアント》を手札に〜!」
「俺はサンライザーの効果でデッキから《ミラクル・フュージョン》を手札に加え、リキッドマンの効果で2枚ドロー。その後1枚を墓地へ。そしてソリッドマンの効果でリキッドマンを守備表示で特殊召喚だ!全ての処理を終えたあと、リキッドマンの効果で捨てた《E・HERO シャドー・ミスト》の効果発動!デッキから《E・HERO オネスティ・ネオス》を手札に!」
湊月 手札 3→4→6→5→6
小春 手札 2→3
「うーわー…手札減ってないじゃん!」
「バトルフェイズ!」
うにゅ?エクシーズしないんだ。そうでなくてもリンク召喚とかミラクル・フュージョン使っての墓地融合とか…
『だから言ってるだろ、錯乱してるって。どれだけ取り繕ってても冷静になれてねぇんだよ、アイツ』
「んー、そっか…」
「サンライザーでスピノ・ディオネアに攻撃!サンライザーの効果で、俺のモンスターの攻撃力は俺の場の属性の数×200ポイントアップする!」
「え?あ、うわぁ!!」
E・HERO サンライザー
ATK 2500→3100
捕食植物スピノ・ディオネア
ATK 1800
3100-1800=1300
小春 LP 8000→6700
「続け、エアーマン!ダイレクトアタックだ!」
「そのダイレクトアタック宣言時に手札のセラセニアントの効果!このカードを特殊召喚するよー!」
捕食植物セラセニアント 守備表示
DEF 0
小春 手札 3→2
「っ、確かアイツはバトルした相手を強制的に破壊する効果と、墓地へ送られたらサーチする効果があったな…厄介だな。バトルは中断、メインフェイズ2だ。カードを2枚伏せてターンエンド」
湊月
モンスター エアーマン サンライザー(攻撃表示) リキッドマン(守備表示)
魔法・罠 伏せ2
墓地 5
手札 4
デッキ 27
LP 8000
「私のターン、ドロー!」
小春 手札 2→3
ディオネアは倒されちゃったけど、まだまだモンスターに余裕はあるよ。それに…
「こーすれば並べられるもんね!捕食カウンターの乗ったエアーマンをリリースして墓地のドロソフィルム・ヒドラを特殊召喚!」
「っ、いつものやつか!」
捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ 守備表示
DEF 2300
「捕食カウンターの乗った相手モンスターが場を離れたからプラネットの効果で《捕食植物オフリス・スコーピオ》を手札に加えるよー。さらに手札から《
捕食植物オフリス・スコーピオ 攻撃表示
ATK 1200
小春 手札 3→4→2→3
「オフリスの効果だよー!手札のコーディセップスをコストに、デッキから《捕食植物ダーリング・コブラ》を特殊召喚!さらに捕食植物の効果で特殊召喚されたダーリングの効果で、デッキから《置換融合》を手札に!」
捕食植物ダーリング・コブラ 守備表示
DEF 1500
小春 手札 3→2→3
ここからはちょっと悩むんだよね〜。どー展開しようかなぁ…
『素直に…いや、ここはアイツだな。ほれ、アレを出しとけ、アレを』
「…? あー、アレだね!開いて、力を繋ぐサーキット!召喚条件は『モンスター2体』!私はドロソフィルム・ヒドラとダーリング・コブラをリンクマーカーにセット、リンク召喚!現れ出ちゃえ、リンク2!《クロシープ》!」
クロシープ リンク2 ↙↘
ATK 800
「ここで《置換融合》発動だよ〜!場のオフリス・スコーピオとセラセニアントで融合!」
捕食植物オフリス・スコーピオ 闇属性
捕食植物セラセニアント 闇属性
「麗しき二輪の花よ。今こそひとつになりて、飢えたる竜を呼び覚ませ!融合召喚!現れ出ちゃえ、私の友達!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」
『さぁて、暴れますかぁ!』
スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン 攻撃表示
ATK 2800
小春 手札 3→2
「まずは融合召喚成功時のスターヴ・ヴェノムの効果!チェーンしてリンク先にモンスターが特殊召喚されたクロシープの効果!最後に効果で墓地へ送られたセラセニアントの効果!」
「っ、チェーンは無い!」
「なら処理していくよー!セラセニアントの効果で《
スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK 2800→5700
小春 手札 2→3
「バトル!スターヴ・ヴェノムでサンライザーを攻撃!破甲のアーセナル・バイト!」
スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK 5700
E・HERO サンライザー
ATK 2900
5700-2900=2800
湊月 LP 8000→5200
「かはっ…」
あれ、通った?
「……んー、私はこれでターンエンドだよ」
小春
モンスター スターヴ・ヴェノム クロシープ(攻撃表示) セラセニアント(守備表示)
魔法・罠 惑星
墓地 8
手札 3
デッキ 27
LP 6700
☪︎
「…俺のターン、ドロー!」
湊月 手札 4→5
無理矢理押し通されて始まった聖川とのデュエル。現状は、盤面的には俺の不利。手札の枚数的には有利だが、そんなものは関係ない。勝てなきゃ、意味ねぇ。
(クソッ、どーするか…)
「ねぇねぇ湊月っちー」
「…なんだよ」
「なんか悩んでるなら吐けばー?」
…その言葉は、俺の思考を一瞬とはいえ止めた。俺が、悩んでる?何を言っているんだ?
「何の話だよ。俺は悩んでなんか…」
「いやいや悩んでるでしょー。悩んでないなら考え纏まってない。湊月っちとは思えないくらいプレミ多いよー?」
「…何言って…」
「リキッドマンの効果が名称ターン1なのは私も知ってるけど、それ抜きにしてもミラクル・フュージョンでエスクリダオだったりアブソルートだったりを出してれば私のライフ削れたし、攻撃力も増えてたよ。アブソルートならなおのこと警戒して私は展開できなかっただろーしねー。それに、リバースカードなんで使わないの?湊月っちのデッキ的に、《ヒーロー・シグナル》とかその辺のハズだよね?それ使って後続確保とかしないの?」
……聖川達とは3、4ヶ月一緒に過ごして来たからな。そりゃ、中身も割れてるか。だが…改めて言われて、実感する。なんで使わなかったんだ、
「私が思うに、湊月っちがおかしくなった理由ってあの子だと思うんだよねー。結ちゃん、だっけー?」
「…結は、関係ねぇだろ」
「大ありだと思うよー。結ちゃんとデュエルしてから、湊月っちの元カノさんの話してから、湊月っちおかしいもん」
「…おかしく、なんて…なってねぇ」
「なってるよー。湊月っち、自覚してた?デュエルに負けた時、湊月っち泣いてたんだよ?」
「────」
泣いていた…?あの時、俺が…?
「…訳、わかんねぇ…」
「多分、考えないよーにしてるだけだよ、それ。全部ぱーっと吐き出しちゃいなよー。絶対そっちの方が楽だよー」
聖川の、普段と変わらない口調で告げられたその言葉に、俺は考えないようにしてきた…
「っ、なんなんだよ…なんでそんなに関わってくるんだよ!!これは、俺の問題なんだ…俺と玖織の『約束』なんだ!!」
そうして1度吐き出してしまったモノは、止まらない。
「俺は玖織と約束したんだ、結を守るって!絶対、傷つけたりしねぇって!だからあいつが負けて傷つかねぇように手を抜いてきた、いつだってあいつに負けてきた!あいつに勝ちそうな相手に勝って、あいつにだけは負けてきた!いつだって…守ってきた、つもりだったんだ!」
1度動き出してしまったモノは、止まれない。
「結を守るのは、玖織の遺志だったのに!俺が、彼氏としてできる、最後の事だったのに!あいつとの約束を、俺は、守れてなかった!いや、違う!積極的に、破ってた!俺は結を、傷つけてたんだ!」
1度崩れ出してしまったモノは、止められない。
「結は気づいてた、俺が手を抜いてることを!結はその事実に気がついて、傷ついてたんだ!なのに俺は、それに気づかないで、お前らと過ごしてたんだ!あいつが傷ついてる中で、俺は、『幸せ』を得ていた!それが、許せねぇんだ!!結を傷つけて、玖織を無下にして、それでも幸せを得ていた、俺が!!」
分かっている。頭では理解している。考えもなくあんな事を言う聖川じゃないってことくらいは。きっとあいつも、何か抱えているんだ、俺達には言えない、暗い、黒いモノを。それでも敢えて、俺に吐き出させたんだ。抱え込むのが、辛いことだと知っていたから。
「…ならさー。それ全部、本人にぶつけちゃえば?」
「──は?」
「よーするにそれってさー、『玖織ちゃんも結ちゃんも大切に思ってる』ってことでしょ?意味合いは違うと思うけどー」
否定は、しない。玖織の事は彼女として、結の事は、彼女の忘れ形見…では無いにせよ、妹として。大切に
「直接って…何を…」
「だーかーらー。私、次のデュエル終わったら湊月っちにバトンタッチするよ。ナユタプロってエンタメってる人だからねー。そういうハプニングというかサプライズ的なの面白いと思う人だと思うんだよねー。だからちょっと後で掛け合ってみるよー!」
「…いや、それは…」
「いーからいーから!」
「聖川さん」
そこに、神名さんが訪れた。このタイミングで来るということは…
「あれ、神名さん?どうかしたんですかー?」
「いえ、探しに行くと言ったきり帰ってこられないので探しに来たんです。輝琉さんのデュエルは終わりましたよ。次は聖川さんの番です」
「もう終わったんだー。じゃあ行かなきゃ!そーゆー事だから、とりあえず行ってみよー!」
「なっ、はぁ!?」
そう言うが早いか、聖川はデュエルを中断して駆け出して行った。
「…西条さんは、聖川さんと何を?」
「あー…デュエルっつーか…説教?まぁ、デュエルしてました…ね」
「はぁ…そうですか?」
……まぁ、聖川がやれって言うなら、やるか。今度は…アレを、使ってみるか。
デュエル中断
「ふー、危ない危ない。あともうちょっとで堪えられなくなるとこだったよー」
オレの相棒は、誰も見えない場所まで走ってから、そう呟く。
『…オレは昔からお前を見てるから分かってるが…良かったのか?あんな事して』
「いいんだよー。湊月っちは私と同じ道を歩まない方が幸せだよー」
「そう、”幸せ”、なんだよ」
「”××××”な
そう言う相棒の声は冷たく、全てを飲み込む闇のように澱んだ目をしていた。
今回は珍しく(というか本作初の)結果なし、となりました。あのまま続けていた場合、多分湊月君は精神的にまともに回せないので小春さんのグリーディー辺りに蹂躙されてます。
…あと、何故か湊月君の救済フラグを立てたら小春さんの闇フラグが立ちました。なんででしょう……?
前書きに続き、少し今後の楽しみを。まさかの海晶乙女大幅強化に驚いています。これはマリーさんのデッキも混ぜ物から純になる予感…まぁウォーターリヴァイアサンは入れるんですけどね。他メンバーはそこそこって感じです。ガーディアン・キマイラは…ちょっとエクストラ枠と相談ですね。
ではカード紹介を。
「というわけでカード紹介です。今回も僕、星風濡羽が参加します。しばらく出番がないのでここの専門になりますね…」
「そんな濡羽君をサポートするために僕、龍凪柊真も参加するよー。濡羽君と会うのも久しぶりだね?」
「僕のいない間に色々やってた柊真さんじゃないですか。今回はどのカードを持ってきたんですか?」
「あははー刺があるー。今回はこれ、《ドラグニティナイト-アスカロン》だよ」
ドラグニティナイト-アスカロン
シンクロ・効果モンスター
星10/風属性/ドラゴン族/攻3300/守3200
「ドラグニティ」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の墓地から「ドラグニティ」モンスター1体を除外し、
相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを除外する。
(2):S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。
EXデッキから攻撃力3000以下の「ドラグニティ」Sモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する。
「あれ、今回は2人のデュエルで使ったカードじゃないんですね?」
「うん。今回は紹介できそうなのが出なかったからね」
「それでアスカロンですか。このカードはレベル10のドラグニティシンクロモンスター、攻めの切り札ですね。ターンに1度の制限がない除外効果、破壊された際にエクストラデッキから後続を呼び出す効果を持っています。倒れても次を呼び寄せる、絶対に攻め切るという強い意志を感じますね」
「除外には墓地コストが必要だけど、サーチや墓地肥やしを頻繁に行うドラグニティだとコストの確保はしやすいね。けどこの効果を使いすぎると次のターン以降の展開が辛くなるから、使い所や使う回数は見極める必要があるよ」
「アスカロンは他のドラグニティとは違ってチューナーにしか指定がありませんから、バルーチャからはもちろんクーゼを経由すればヴァジュランダからも出せます。当然、ドラグニティ以外を素材にもできますよ。ドラグニティとの混成デッキでも充分活躍できます」
「耐性がないのも(2)の効果を使うためなら納得だね。《ドラグニティの神槍》を装備すれば罠には耐性が得られるから《無限泡影》警戒で装備させてもいいね」
「ただ、注意すべきは除外効果は対象を取るということ、そして後続の対象が攻撃力3000以下のドラグニティシンクロモンスター、という点ですね。自身の効果で2枚目を、とはいきません」
「ま、出来たら強すぎだもんね」
「僕はこの除外効果を活かすために《D.D.ダイナマイト》なんかも入れてますよ」
「…うん…殺意高いね……」