はい、それではよろしくお願いします!
†††††
「るんっ♪てきた!」
「あのーそのるんってなんなんですかねー?」
「ええー、るんはるんだよー?」
拝啓
俺はいま、水色髪のよく分からない人に捕まって、何処かに連れて行かれています。
「で、日菜サン?そろそろどこに向かってるのか、教えてもらっていいですかね?」
「え?言ってなかったっけ?【CiRCLE】だけど?」
あ、そうすか。
とりあえず、一言。助けてください!!!
「もおー、そんなに怖がらなくてもよくない?」
事の発端は二時間前に遡る。
♢♢♢
朝、いつもより早く目が覚めた俺は、行きつけの喫茶店である羽沢珈琲店に目覚めの一杯をいただくために、向かっていた。
店の中に入ると、
「あ、おはよう!鏡華くん!今日はいつもより早いね!」
「ん、つぐか。ちょっと目が冴えちゃってな。注文は「いつもの、だよね。」ああ、そうだよ。頼むな。」
どうやら、すっかり俺がする注文は把握されているようだ。
「はい。お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
運ばれてきたオリジナルブレンドを口に運ぶ
うん。いい感じだ。
しばらく堪能していると、ドアが開いた。
「いらっしゃいませー!」
つぐの元気な声が店内に響く。
入り口の方は向いていないが、足音が何故か俺の方に近づいてきているような気がするのは気のせいだろうか?
足音が俺の前で止まった。気のせいではなかったようだ。
「キミだったんだね!?あたしがるんっ♪てきたのは!」
はい?
思わず、声の先を見る。
「あの、俺です、か?」
そこにいたのは、俺を指差す水色の髪に翡翠のような色の瞳をした美少女だった。
「うん!そう。キミ!名前は?」
「あ、俺は
「キョウカくんだね!やっぱり、るんっ♪てくる名前!あたしは
え?
「ちょ、どこ行くんですか。ってか腕引っ張らないでくださいよ!」
それにちょっと当たってるし。いや、どこがとは言わんが。
♢♢♢
まあ、そんなこんなで、今に戻る。
いい加減気になったので、少し尋ねてみる。
「それで、日菜はなんだって俺なんかを引っ張ってきたんだ?」
首を傾げる日菜
だが、その右手はしっかりと俺の手を握っている。
それ自体は問題ではない。いや、お互い初対面の人間同士という意味ならたしかにアレだが。
なぜ、『恋人繋ぎ』なんだ!!??
と、思考が逸れた。
日菜はしばらくうなって考えていたが、やがて答えが出たのだろう
「うーん、うん!るんっ♪てきたからだよ!」
思わずズッコケる。
「いや、だから………はあ、まあいいや。それで【CiRCLE】に行って何をするんだ?」
「ん?あたしのギターを聞いてもらおうと思ってね。」
ギター?その割にはなにも持っていないように見えるが………
「うん、まだ自分のギターを買えるほどおこづかいが溜まってなくてねー。だから、あっちで借りて練習してるんだ。」
へー。だが、それならなおさら何故俺だったのか、納得がいかない。
「んー、るんっ♪て来たのはほんとなんだけどソレとは別にキョウカくんの手を見たからかな。その手、昔ギターか何かやってたでしょ?多分、それもかなり上手いやつ。お姉ちゃんもおんなじ手だもん。」
まさか気づかれるとは思わず動揺してしまう。少々冷や汗が額を伝うが、なんとか動揺を押し殺し
「むかしの話だ。それに、そんなに大したものじゃないよ。お、そろそろじゃないか?」
というか、まさかバイトが休みの日まで、来なければならないとは。つくづく俺は音楽に縁があるらしい。もう、閉ざされた道だというのに。
おっと、これ以上はまずい。
俺の手をようやく解放した日菜はと言うと
「それじゃ、あたし、ギター借りてくるからちょっと待っててね!」
はいよー、と返事をする。
「あれ、鏡華くん?今日は休みのはずだけど?」
「あ、まりなさん。実は「ただいまー!ほら!早く行こうよー!」と、彼女の付き添いですよ。もう待ちきれないみたいなのでここで失礼します。」
ああ、そういう事、と苦笑するまりなさんの横を抜けて日菜が予約していたスタジオへ向かう。
♢♢♢
「よーし!それじゃ聞いててね!」
早速日菜が一曲聞かせてくれるようだ。
「ま、素人の意見でよければ聞かせてあげられるから頑張って。」
そうして、日菜の演奏会が始まったのだった。
♢♢♢
帰り道、日菜と話しながら帰った。
「へえ、じゃあ双子のお姉さんがいるんだ。」
勢いよく頷く日菜
「うん!そうなんだ。お姉ちゃんもギターが上手いんだよ!あたしが始めたのも、お姉ちゃんの影響だからねー。」
こんな感じで雑談をしていた。
「おっと、ここら辺でお別れだな。じゃあ、またな日菜!」
「うん!また、連絡するから一緒に遊ぼうね!」
♢♢♢
帰り着く頃には、もう夕方だった。
(因みに昼食は日菜と一緒に有名なファストフード店で食べた。予想外だったのは花音さんが働いていた事。)
用意されていた夕食を食べ終え風呂に入った。
そして部屋に戻り寝る準備をしていると、部屋のドアがノックされた。
「いいぞ。」
なんだ、蘭か。って、なんか機嫌が悪そうだな。頬を膨らませてムスッとしてる。可愛い。
「ねえ、明日まで休みだよね?なら、明日はあたしにつきあってよ。」
なんだ、そんなことか。
「もちろんいいぞ。なんなら明日の時間を少しでも長く取るために一緒に寝るか?」
思わず芽生えたいたずら心。さあ、蘭はどう出る!
「え、あ、その…そ、そういうのはまだ早いと思う。でも、い、イヤってわけじゃないから!!」
蘭の顔がどんどん赤くなっていくが、えーと、なんか誤解してないか?
「ちょ、ちょっと待て。誤解だって。俺はただ添い寝でもしようかと思っただけだぞ?」
「へ?あ、そう。そうなんだ。」
ホッとしながらもどこか残念そうな蘭
「じゃあ、おやすみ、蘭。」
「うん。おやすみ鏡華。」
………
いやまておかしい。
「蘭?お前自分の部屋に戻らないの?」
不思議そうに首を傾げる蘭
「なんで?鏡華が言ったんだよ"添い寝しようか"って。だから、あたしはそれに甘えて今日はこっちで寝るよ。」
いや、あれはタダの出来心で。
「それとも鏡華はイヤ?」
ああ、だからその目はやめてくれよ。弱いんだ。蘭のには特に。
「イヤなもんか。じゃあ、一緒に寝るか。ほら、枕を持っておいで。」
すると蘭は目を輝かせ
「うん!」
大きく頷くのだった。
蘭が枕を自分の部屋から持ってきた後は一緒に俺の布団に包まって眠るのだった。
†††††
如何でしたでしょうか?
面白かったと喜んでいただければ幸いです。
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