東方酒呑錄   作:aodama

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一日空いてしまったこと許してヒヤシンス·····。学校でテストがあったねん·····。その分倍で書いといたから·····。

それはそうと、京都弁難しいな·····。間違っていたらすみません。

ちなみに 霊夢→美鈴→主人公 の視点でお送りします。





第二話

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

赤く、紅く、赫く·····空を覆い尽くさんとばかりに広がったアカい雲·····小さな異変なら、こなしてきた私だったがここまで大規模な異変は初めてかもしれない·····だからなのか、知らずのうちに気分が高揚していたのかもしれない。だから道中にあんな存在がいるなんて思いもしなかった·····。

 

最初は、背丈がほぼ同じの妖怪二体が戯れているとしか思えなかった。しかし、2体のうちの1匹が視線に気づいたのか、此方に振り返る。

 

 

瞬間、

 

 

恐怖が身体を支配した。指先なんかは冷水を浴びせられたかのように震えだし、全身には冷たい汗が浸走る。頬は強張り、歯と歯が噛み合わず小さくカチカチと音を鳴らす。何より、私が恐怖を感じたのは·····

 

 

「(何なの·····()()()())」

 

 

紫苑色をした瞳から放たれる圧により、震えた声を出しながら、目の前の存在に問いかける。

 

 

「·····アンタ、一体何者?」

 

「何者って言われても、ウチはしがあらへん妖怪やで?」

 

 

私の問いに対してまるで、無邪気な子供のような笑みを浮かべて答える。その笑みですら私には、恐怖を煽る材料のひとつにしか見えなかった。生存本能を刺激されたのか、震えていた身体は何時でも戦闘に入れるよう深く構えを取っていた。

 

 

 

「冗談にしては笑えないわね。一体アンタの何処がしがない妖怪なのよ·····」

 

 

最低でも紫レベル·····()()()とタメ張れる力は持ってると私の勘が告げてるわ。

 

 

「単刀直入に聞くけど·····アンタがこの異変の犯人?」

 

 

普段は、早く終わらせたいがために、犯人であってくれる方が有難いのだが·····今回ばかりは違ってていることを願う。

 

 

「ちゃうよ、ウチらはただここら辺を散歩していただけやで」

 

「·····そう」

 

 

違っていた事に安堵しながら、すぐ様気を引き締める。と、同時に新たな疑問が浮かんでくる。

 

 

「(なんで·····大妖怪と呼べる程の存在がこんな所に?)」

 

 

もう少し先に行ったら異変の中心と呼べる館に着くはずだが、この大妖怪は此処で何をしていた? 目的が分からない·····。

 

 

「ほな、もう行ってええ? ウチらには用事があるんやけど。」

 

 

ッ!? 異変をほっとくのは不味いが、目的がわからない以上この妖怪をほったらかすのはもっと不味いと私の勘が言ってるわ!

 

 

「·····なら、私に着いてきなさい。」

 

 

最初は、どちらかと言えば驚いた表情したが、直ぐにふんわりとした笑みを浮かべ「はぁ、分かった·····ついて行けばええん?」と、肯定の意を示してくる。その仕草·····と言うより、こんなあっさり着いてくることになったせいか、尚更この妖怪の目的が分からなくなった。最初に言っていた用事とは何だったのか·····? こんなあっさり着いてくるようになったのには何か裏があるのか·····?

 

 

「(駄目、まだコイツの正確な目的が分からない·····けど。)」

 

 

素直に着いてきてくれるのが、不幸中の幸いと言ったところか·····

 

 

「·····ちゅう訳で、残念やさかい、此処でお別れや」

 

「えー?しゅてんもう行っちゃうのー?」

 

「ほんま堪忍なぁ、また今度埋め合わせするやさかい」

 

 

そんな私の思案など知ったこっちゃないと言わんばかりに、もう一体の妖怪と話をしている。会話だけ聞いたら、駄々を捏ねる妹を宥めるら姉のようだが、身長差が余り無いからか、どちらかと言うと友達同士の会話にしか聞こえなかった。

 

 

「ほなら、さっと行って解決してきましょうか。ちなみに方向はこっちで合ってるん?」

 

「えぇ、合っているわ·····あぁ、私の事なら心配いらないわアンタが出発した後でも追いつけるから」

 

 

監視の意味を込めて、私は後から飛ぶことを選ぶ。

 

 

「そぉか? なら、遠慮なく·····」

 

 

ダァン!

 

 

と、爆発音が聞こえたと思ったらそこには小さなクレーターが出来ており、館の方へ直進するアイツが目に付いた。慌てて私は追いつこうとするが、思っていたよりも速く、やっと追いついたと思ったら舘はもう目の前だった。

 

 

「アン、タ·····ッ! 無茶苦茶ねッ!? 普通は空飛んで行くでしょッ!?」

 

「へぇ、もう追いついたんか? 凄いやないかい·····そういや、自己紹介がまだやったなぁ、ウチは酒呑童子、酒呑でかまわへんで」

 

「·····霊夢、博麗霊夢よ」

 

 

 

ここでやっと初めて自己紹介をしあうが、先程のこともあったせいか、若干の警戒を含みながらの自己紹介となってしまった。

 

 

「(酒呑童子·····、やっぱり聞いたことが無いわね。今度、紫辺りにでも聞こうかしら。)」

 

「ほな、どうするんよ? 真正面から馬鹿みたいに突っ込むんか?」

 

 

 

 

「そうはさせませんよ」

 

 

 

 

 

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

 

 

 

「私はこの館の門番をさせて貰っている紅美鈴という者です。以後、お見知り置きを」

 

 

私の前に立つのは噂に聞いていた博麗の巫女で間違いないだろう。しかし、もう1人の方は一体·····?

 

 

「·····まぁ、普通は門番の一人や二人は居るもんよね·····それで、弾・幕・ご・っ・こ・のルールは分かるかしら?」

 

「えぇ、勿論。郷に入れば郷に従え·····存じ上げております」

 

 

幻想入りする時に、あの胡散臭い妖怪からルールは聞いている。

 

 

「ならいいわ、スペルカードは3枚でいい?」

 

「それでお願いします」

 

「それじゃあ行くわ···よッ!」

 

 

そして、開始とともに、博麗の巫女が弾幕をばら撒く。やはり、こちらより、場数を踏んでいる為か隙がなく、何より美しい。

 

 

「ッ! 流石ですね! 此方は避けるのに精一杯だと言うのに·····」

 

 

なら、最初のスペルカードです!

 

 

「華符『芳華絢爛』!」

 

「無駄よ!」

 

私のスペルカードをいとも容易く避ける·····そんなのは予想済みだ。

 

 

「虹符『彩虹の風鈴』!」

 

「っ!2枚連続で!?」

 

 

1枚目の攻略をされた瞬間を見計らって2枚目のスペルカードを切る。最初は驚いたものの、辛うじで全てを避けきる様は、やはり“博麗”の名を継ぐに相応しい実力の動きだった。

 

 

「ははっ·····流石にあれを避けられるのはキツイですね·····」

 

 

そもそも弾幕ごっこ自体があまり得意でもないのに·····。

 

 

「確かに、驚きはしたけど、別にこの戦法を初めて食らうって訳でもないしね」

 

「·····何故初めてでは無いのに、驚きはしたのですか?」

 

()()()()()()()()。スペルカードは言わば切り札。それも3枚という少ないルールの中でいきなり2枚もぶっぱなしてきたからよ。·····それに、アンタの動き方からして弾幕ごっこは初めてでしょう? 初めてにしては随分と思い切りのいいことをするなと思っただけよ。」

 

「·····お見事です、素晴らしい観察眼のお持ちのようで。」

 

「まぁ、勘で答えた部分も少しはあるけどね。」

 

「なら、最後の1枚です。·····彩符『極彩颱風』!」

 

 

最後の1枚、これに全てをかけて放つ。色彩鮮やかな弾幕は四方八方から襲い掛かる。

 

 

「·······弾幕ごっこっていうのはね、こういうことも出来るのよ」

 

「·····ッ!?(自分の弾幕を私の弾幕の軌道上に放って少しだけずらしているだと!? しかも、美しさを損なわない程度の量で·····)」

 

 

弾幕を弾幕でいなすようにしながら、軽やかに避けていく·····最後の弾幕も少ないのに!

 

 

「くッ! まだまだァ!」

 

「いいえ、終わりよ。 霊符『夢想封印』!」

 

「く、ああぁぁぁぁ!!!」

 

 

勝負は、相手のスペルカードの発動とともに着いた。

 

 

「·····完敗です。どうぞ中でお嬢様がお待ちです。」

 

「そ、なら遠慮なく入らせてもらうわよ。」

 

「えぇ、どうぞ私の役目は終わりました。·····あぁ、そうだ、気づいておられないようなので、一つ忠告を····この赤い霧、お嬢様の妖力を素に造られています。私達妖怪や貴方の様な人間はともかく·····人里にいるただの人間が吸い続けたら·····」

 

 

どうなるか、察しのいい貴方なら理解できますよね?

 

 

「ーーーッ!?」

 

 

私の言葉を聞くと反射的に身体が動いたのか、一目散に屋敷の中に入っていく·····

 

 

「(ふふっ、ちょっと言葉で揺さぶったらこれ·····子供の反応をしたと思えば、実力は1級品。本当に才能に恵まれた子のようですね。)」

 

 

·····それで、貴方はどうしますか? 貴方もスペルカード3枚で良いのですか?

 

 

「残念やさかい、ウチは此処に着いたばっかやさかい、すぺるかーど? は持ってへんねん·····。せやけどな? こっちやったなら、相手になれるで?」

 

 

そう言って拳を握り拳を私に見せつけてくると同時に抑えていたのか、洗練された妖力が身体から滲み出ている·····成程。確かに此方の方が私達妖怪にとってやりやすいのかもしれない、が·····

 

 

 

「(あの妖怪は·····確か“鬼”·····)」

 

 

私がまだ武者修行で旅をしている時期に何度か会ったことがある。その度に命からがら逃げ出した苦い思い出のある相手だが·····

 

 

「(違う、今まであった鬼とは桁が違う·····)なら、」

 

 

今まで出会ったの鬼が雑魚に思えるほど、相手の()が違った。しかし、おかしな点があった。

 

 

「(構えが·····素人、隙だらけだ·····)」

 

 

身体から滲み出ているオーラは玄人そのものだが、構えについては素人同然の構え方。かと言ってやはり強者のオーラは隠しきれない、なんともチグハグな存在だった

 

 

「(何なんだ、この違和感は·····? それにあの動き·····()()()()()()()()()()()·····)」

 

 

そうして熟考していると、突然目の前の敵が消えた。と、同時に腹部から激しい痛みを感じる。

 

 

「ぐ、ぅ·····油断したつもりはなかったんですが·····まさかその戦闘スタイルも作戦のうちと言うことですか·····」

 

 

まさか、素人同然の動きがフェイク、そしてそれについて、相手に思考させる事により隙を生み出す戦略·····見事、としか言い様がない·····

 

 

「? あんさんには足りひん物があった、それだけよ」

 

 

·····何?

 

 

「速さが足りひん」

 

 

なるほど·····私には思考速度、純粋な速さ、判断力の速さ·····数々の速さが足りなかったのか·····

 

 

「·····ッ、ご教授、感謝いた、し、ます·····」

 

 

敵ながら、天晴れ。そこで私の意識は完全に落ちた·····。

 

 

 

 

 

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、く、·····ぅぅ」

 

「アハハ! どうしたの? まさかもう打つ手がないのかしら?」

 

 

·····クソ! 本当に強いな·····。 この俺が手も足も出ないとなると、いよいよ終わりかもしれん。

 

 

「ほんなら、この手ならどや!?」

 

 

俺の苦し紛れに放った一撃は無情にも彼女には届かず、俺のもがく姿か愉しいのか、最期の一撃をくりだす。

 

 

「ーーーはい! これでまた私の勝ち!10連勝目ー! しゅてんチェス弱ーい!」

 

「くぅ、やるやあらへんか! もういっぺん勝負や!」

 

 

くそ、·····なんでこんないたいけな幼女と指しあい(意味深)をすることになったんだっけ·····?

 

 

 

···················································································································

 

················································································

 

·······················································

 

 

 

「貴方·····だぁれ?」

 

目の前に座る幼女·····もとい、少女は首をかしげながら此方に名前を聞いてくる。

 

 

「ウチは酒呑童子っちゅうもんよ。お嬢ちゃんの名前聞いてもえぇ?」

 

「フラン。フランドール・スカーレット。」

 

 

·····やっぱりフランだったか。金髪に、口から小さく見れる尖った犬歯。何より特徴的なのは7色の宝石のようなものがからぶらさがっている背中から生えている羽根だろう。

 

 

 

「ほな、フランちゃん? フランちゃんは此処で一体何をしているん?」

 

「··········良い子にしてる」

 

「良い子?」

 

「そう、お姉様に言われたの。貴方はここで良い子にしていなさいって·····そしたらいつか、外に遊べれるようになる日が来るって·····」

 

 

··········よし

 

 

「·····なぁ、フランちゃん。ウチとゲームしいひんか?」

 

 

「·····ゲーム?」

 

 

 

 

 

···········································

 

·······································································

 

····································································································

 

 

 

と、いうことだったはず。いやぁ、それにしてもフランちゃん強ぇわ。てか強すぎるわ。チェスどころか、トランプにUNO、更にはオセロでも負け続きなんだからな。

 

 

「ねぇねぇ! 次は何して遊ぶ? ドミノとかもあるよ!」

 

「なぁ、フラン? 外に、出てみたくはないんか?」

 

 

俺の言葉に先程まで心の底から楽しそうに笑っていたフランは、ピタリと止まり、顔を俯かせ静かに首を振る。

 

 

「無理だよ。この部屋には結界が貼ってあって私が出ると直ぐにバレちゃう仕組みになってる。それに、外に出たらお姉様に叱られちゃう·····」

 

「ーーーなら、()()も一緒に叱られてやる。」

 

「·····え?」

 

「お姉ちゃんだけ、外に出てるなんて狡いと思わないか?一緒に出て、一緒に外で遊んで、一緒に怒られよう、な?」

 

 

言葉と共に差し出した手に、戸惑いながら手を伸ばすフラン。しかし、やはり姉が怖いのか中々手を取ろうとしない。そこで、俺からフランの手をつかみに行く。

 

 

「·····あっ」

 

「せや、お姉ちゃんに反抗しいひんか? その様子だと、喧嘩もしたことないんやろ? だったら、自分の思いはしっかりと伝えなあかんで」

 

「·····うん!」

 

 

納得したのか、吹っ切れたのかは分からないが、俺の言葉に力強く頷いて自身の手に妖力を集め始める。·····能力を使う気だな?

 

 

「離れてて! “ギュ”っとして“ドカーン”!」

 

 

そんな可愛らしい声とは裏腹に、俺が入ってきた扉は木っ端微塵に破壊された。

 

 

「しゅてん! 行こ! お姉様に文句言ってやる!」

 

「せや、アンさんの溜まりに溜まった鬱憤を全部ぶつけたり?」

 

「うん!」

 

 

という訳だ。可愛い妹の反抗だぞ?待ってろよ、お姉ちゃん?

 

 

 

 




霊夢・美鈴「コイツ·····出来るッ!?」
※主人公は基本何も考えておりません。

勘違いタグ増やした方が良いのかなぁ?



※2019/05/31 修正しました


·····次の投稿は三日後とかになりそうかも·····。

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